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理不尽・放置・ヒステリック…ダメな上司を“逆に利用”し結果を出す具体的方法(全3記事)

細かいミスや進め方まで指摘してくる上司の対処法 タイプ別「やりにくい上司」を攻略する秘訣

一代で東証プライム上場を成し遂げた木下勝寿氏の仕事術や、北の達人コーポレーションの社員の働き方などを通して、「リアルな北の達人コーポレーション」をお届けする「北の達人チャンネル」。本記事では、理不尽・放置・ヒステリックなど、タイプ別の上司の攻略法をお伝えします。

些細なミスや進め方まで指摘する上司の攻略法

——今日はタイプ別の攻略法ということで、やりにくそうな上司のパターンを4つ考えてきたので、それぞれの具体的な攻略方法を教えてください。

1人目、「マイクロヒステリック上司」。特徴はマイクロマネジメントがすごくて、ちょっとしたミスや進め方まで細かく指摘してくる。ヒステリックな一面があって、できていないことを詰めてくる。個人としては仕事ができるが、マネージャーとしては部下が疲弊してしまうタイプ。こんな上司の場合はどう攻略したらいいでしょうか。

木下勝寿氏(以下、木下):この上司はお客さまに置き換えると「細かい注文が多い、だけど信頼関係を築くと最強のリピーター客になる」タイプのお客さまです。このタイプの上司は「完璧な資料」とか「完璧な仕事」が大好きなんですね。

営業でいけば、細かいことをたくさん言ってくるんですけども、一度信用するとリピート注文してくれるお客さまのような存在です。完璧なことを求める人って、そこに答えられる人が少ないんですよね。

あなた自身もそれに答えるのが「つらいな」と思っていると思うんですけども、この人は完璧主義で完璧なことを周りに求めます。ところがそれに応えられる人ってすごく少ない。これに応えられると一気に信頼を得ることができます。

あえて上司が指摘しやすいポイントを作る

木下:問題は、この人は部下を「仕事のできる自分の分身」と考えがちなんですね。なので期待どおりにならないとヒステリーを起こしてしまう。完璧主義の人ってだいたい仕事ができる人が多いので、この人を味方につけると会社内での自分の評価を爆上げしてくれる力を持っています。

攻略法なんですけども、まずは「上司の好みを徹底分析する」ことですね。このタイプの上司は自分なりのこだわりを持っています。資料のフォーマットはどうあるべきだとか、報告のタイミングはどうあるべきだ、何をチェックされやすいか、ここを絶対チェックする、とかですね。

これらを把握して、先回りして好みに合わせて仕事をしていくんですね。そうすると「こいつ、わかってるな」「こいつ、やりやすいな」というふうに信用を得ることができます。

そしてもう1つ、「あえてツッコミどころを作る」ってことですね。この手の上司は指摘しないと気が済まない部分も持っているので、あえて指摘しやすいポイントを作っておきます。

例えばあえて意見を求める箇所を残すとか、「この部分はどちらの方向性が良いでしょう」とか聞いたりすると「こっちだよ」と指示してくれたりする。そういうことで「俺の指示で良くなったな」って感じてくれますので、味方にしやすいんですね。

上司の手柄として報告する

木下:そして次に、上級管理職には上司の手柄として報告してください。「僕がやったんです」ではないんですね。このタイプの上司は自分の上司に評価されるのが大好きです。「上司のアドバイスのおかげでこうなりました」と伝えることで、上司の機嫌はすごく良くなるんですね。それによってまた自分も評価されます。

上司を上げることで自分の評価を上げるのが、このタイプの方の攻略の仕方です。このタイプの方は完璧主義なので、あなたと仕事をすると自分の思ったとおりできるので、すごく仕事がやりやすく感じるんですね。

なので、ことあるごとに自分の上司にあなたのことを褒めるようになるんです。「こいつとずっと組ませていてくれ」という感じになってきますので、上級管理職からしても「彼は優秀なんだろうな」と認識してくれる感じですね。

——上司がなんでそういう態度を取るのかを理解すると、どう接したらいいかすごくイメージが湧きました。このタイプの上司だと本当に社内の評価爆上がりのチャンスですね。

木下:そうですね、こういうタイプは本当に味方につけるとめちゃくちゃ強いので、ぜひ味方につけてほしいなと思います。

上層部からの無理な目標をそのまま現場に押しつける上司

——2人目は「戦略なし目標押しつけ上司」。特徴は、上層部からの無理な目標をそのまま現場に押しつける。上からの無理な依頼を突っぱねられない。現場には「考えておいて」「やっておいて」と丸投げ。「今月の目標にまだ足りてないからがんばれ」と根性論ばかり。こんなタイプの上司はどう攻略すればいいでしょうか。

木下:この上司の方はお客さまに例えると「間に挟まれた代理店営業」の方なんですね。メーカーだったりクライアントの間に挟まれた方です。このタイプの上司は上級管理職から無茶振りをされて、それをそのまま部下に流してくる仲介業者みたいな存在です。

しかし代理店営業というのは優秀な営業の方に任せるとスムーズに契約を取ってくることがありますので、味方にすると良いポイントがあります。

「達成のための具体的な条件」をこちらから提示する

木下:この方の攻略法なんですけども、「達成のための具体的な条件をこちらから提示する」ことです。この上司は「自分の意思で達成せよ」と言っているわけじゃないので、この上司に「無理です」と言って理解してもらっても、あんまり意味がないんですよね。

彼の立場からすると「無理でもやれ、だって上が言ってるんだから」って話ですね。この上司と無理か無理じゃないかの観点で話しても意味がなくて、「達成するにはこの条件が必要なんですよ」ということを提示するのが大事になってきます。

高い目標をポンと言われました。この目標を達成するのはなかなか無理だと思った時に、高い目標を達成するためには「合理的に考えて◯◯の予算が必要です」とか、もしくは「◯◯するのが不可欠であれば目標自体を◯◯まで下げる必要があります。どちらがいいですか」と聞きます。

具体的な感じで言われると「いいからやれ」とはなかなか答えにくくなります。よってこの上司は、上級管理職にそのままその条件を持っていくことになります。ここでぜひ覚えておいてほしいのが「人は説得しやすいほうを説得する」という原則です。

例えば営業をしていて売れない時は、上司が優しいタイプの場合は、上司に対して「◯◯という理由で売れないです。僕が悪いんじゃないんです、◯◯が悪いんです、仕方ないんです」と上司を説得しようとします。売れない理由を上司にわかってもらおうとします。

ところが「お前、いいから売ってこい」と言われるタイプの上司だったとすると、上司を説得するのは無理なので、お客さまを説得しようとします。こんな感じで人は説得しやすいほうを説得しようとします。

今回の場合はあなたが説得しづらい立場になりました。具体的にロジカルに説明されたので、上司は「いいからやれ」とはなかなか言いにくくなりました。なので上司は上級管理職を説得するスタンスになっていくんですね。

上級管理職にアプローチする仕組みを作る

木下:そして次、「上級管理職にアプローチする仕組みを作る」。このタイプの上司は上級管理職と直接話をするのを避けがちなんですね。人を説得するのが苦手な方です。あなたが上層部に直接報告する場を作るかたちにしたほうが良いと思います。

例えば進捗報告ミーティングを設定するとかですね。上司に対して「間違った方向に進むと上司が上級管理職から叱られるかもしれませんので、私も同席させていただいて上級管理職の方に毎回説明して、方向が合っているか確認する場を設けてください」みたいな感じで言います。

これを上司と一緒にやれば、上司を立てつつ上層部に自分の成果を見せることができます。最初に言ったように、上司の攻略法は上司の上司に認めてもらうこと。そのための場を作りましょうって感じですね。

一方で「いや、私が報告する」みたいな場合もありますので「では私が報告書を作りましょう」と言って報告書を作ります。報告書の中で「詳細の確認が必要だった場合は◯◯までご確認ください」と自分の名前を入れておきます。これによって実際にやっているのはあなたであることが伝わります。

——これはさらっと自分のこともアピールできるし、事態も前進するし、本当に良いことづくめですね。

木下:そうですね。

——木下社長のお話を聞いていると、合わない上司にストレスを抱えたり愚痴を言ったりすることがどれだけ不毛なことなのかが、すごくわかりました。

木下:営業をしている時に「お客さんが悪い」と言っている営業マンって論外ですよね。社内で仕事をしていく中においても「上司が悪い」と言うのではなく、上司を攻略するのが仕事なんですよってことです。

「考えておく」「上に伝えておく」と言って動かない上司

——攻略法を考えるとどんどん楽しくなってきました。3人目は「努力無効化上司」です。特徴は、成果を出しても評価してくれない。「考えておく」と言って動かない。部下からの提案を「上に伝えておく」と言うが、いつまで経っても改善されない。こんなタイプの上司はどう攻略すればいいでしょうか。

木下:この上司はお客さまに例えると「決裁権のない発注担当者」ですね。「いいですね、検討します」と言いながらまったく進まない。このタイプは動かざるを得ない仕組みを作らないといけません。

具体的な攻略法なんですけども、まず1つ目に「具体的なアクションを取らせる」ということです。「考えておくよ」と言われたら「では、いつまでに決めればいいですか?」とかいう感じで期限を決めます。「上に伝えておく」と言われたら「いつ、どういうかたちで伝えるんですか? それに合わせて僕が資料を作ります」みたいな感じで先回りしていきます。

すべて次のアクションを「何月何日の何時」と確定することが大事なんですね。それによって「動かなくちゃ」と相手の方に気づいていただけます。

上司を「動いてくれる窓口」にする

木下:そしてもう1つが「上司を『動いてくれる窓口にする』」ってことですね。「この案、◯◯さんの名前で出すと通りやすいですよね」というふうに、上司の手柄になるかたちで提案します。すると上司も自分の実績にしたいがために動いてくれるということですね。

次に3つ目、小さな改善を積み重ねて上司に「通る実績」を作らせます。このタイプの上司の方は大きな変化を嫌うんですね。なので「小さな改善から試してみませんか」ってかたちで、スモールステップの提案をして進めていくのが有効になってきます。

ちょっとずつちょっとずつ成功体験を積ませると「この部下の言うことは通してもいいんだな」とわかってきて、だんだん大きな案件も進みやすくなってきます。

自分で上司の上司に成果報告の場を作る

木下:そして4つ目ですね。この上司に関しても、上級管理職に対して成果報告の場を設ける。努力を無力化していく上司は報告が面倒なので、自分で上司の上司に成果報告の場を作るのが鍵になってきます。

例えば「プロジェクトの中間報告をしましょう」と提案して、そこで成果を見せます。その報告の時もちゃんと上司を立てるかたちでやっていくと「こいつはちゃんと俺を飛ばさずに立ててくれるから、今後もこいつに報告させよう」みたいな感じで、上層部にきっちりと提案の場を作ってくれるようになります。

——こうやって人を動かすんですね。あらためて木下社長はマーケターなんだなと感じました。

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