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『速読速聴・英単語シリーズ』【Z会】発刊25周年記念 第2弾 タカサカモト さんトークイベント(全5記事)

日本人が英語を身につけるための2つの視点 中高6年間で学んだ「受験英語」の活かし方

Z会の『速読速聴・英単語シリーズ』発刊25周年を記念して開催された本イベント。本シリーズを教材として使用して、海外で活躍するトップアスリートへの語学指導経験を持つタカ サカモト氏が、英語学習の重要性や学習法について語ります。本記事では、英語を身につけるための2つの視点について語りました。

プロアスリート専門の語学コーチが教える英語学習法

タカサカモト氏(以下、サカモト):みなさんこんばんは。あらためまして、タカサカモトと申します。

今、ご紹介……あ、あ、あ……すみません、ちょっと私、花粉症とほこりのせいでちょっと声がかれていまして、大変お聞き苦しい声で申し訳ないんですけれども。

本日はZ会さんの主催で、こちらの『速読速聴』シリーズという大変な名著である英語学習参考書や、受験の世界では大変有名な『速読英単語』といった参考書を使っているファンの代表として、ここに立たせていただいております。

2回あるイベントの第2弾が今日だっていうのは今ご案内があったと思うんですけれども、先週実は、こちらの『速読速聴』シリーズの著者で監修者でいらっしゃる松本(茂)先生のイベントがございました。今日なんとその松本先生がお客さんに紛れて普通にいらしているので、一瞬ご紹介だけ。

(会場拍手)

著者でもない人間が非常に恐縮な状況ではあるんですけれども、短い時間、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。

本日の流れですけれども、こんな感じでございます。大しておもしろいことは書いていないんですけども、最初に簡単に自己紹介させていただきます。「著者でもないのにいったいお前は誰なんだ?」っていうところをご説明させてください。

その上で英語学習がテーマということで、おそらくみなさま、英語学習者でいらっしゃるか、英語学習中のお子さんをお持ちでいらっしゃるか、何らかのかたちで英語学習における知見を求めていらっしゃるんじゃないかなと思いますので、そういった話をしたいと思います。

1時間って非常に短い時間ですので、「何を話せるか」というより「何を話さないか」を考えなければいけないなと思うんですけども、どんな学習をするにおいても、どういう考え方でやるのか、始めていくのか。その上で、じゃあどのようにやっていくのかということに基本的には大別されると思います。

英語学習という観点でこちらの参考書の話もさせていただきながら、「理論」と言うと堅苦しいんですけど、考え方。そして「実践」って言うとまたちょっと堅いんですけど、進め方の話をさせていただきます。最後に簡単にまとめとして結論のような話をさせていただいた上で、ご案内にあったように質疑応答と、ご希望の方がいらしたらサインの時間を取りたいと思います。

なかなかこんな都会の中で人と人が出会える機会も貴重ですので、質疑応答は本当にご遠慮なく、どんなことでもかまいませんので聞いていただければと思います。

“言語の壁”でキャリアにつまずく選手たち

サカモト:それじゃあ、内容に入っていくんですが、あらためて自己紹介です。「タカサカモト」という名前で活動しております。ご紹介いただいた「フットリンガル」という事業を営んでおりまして、あとは著作活動もしています。

簡単に申し上げると、プロアスリート専門の語学コーチ、相談相手みたいなことをしております。屋号は「フットボール」の「フット」と、(ラテン語で)「言語」を表す「リンガル」から取った安易な名前なんですけども。

もともとスポーツが好きだったんですけど、海外に行くサッカー選手ってけっこう増えていると思うんです。

けれど適応とか言語の部分でキャリアがつまずいてしまう選手が、少なからず出てきているっていう報道を目にしてきたことが実際にありました。「そこを補う人間がいたほうがいいんじゃないかな?」と思っていた中で、ご縁があってそういう仕事を始めました。

ご紹介にあったように、例えばサッカー日本代表のキャプテンをやっている遠藤航選手ですとか、あと(スライドを指して)右上の原口元気選手ですね。どっちかというと仕事柄、(日本)代表を中心に海外、ヨーロッパでプレーしている選手等々が、生徒というかクライアントになっています。

近年はちょっと野球選手とのご縁が増えてきて、右下は、今サンディエゴ・パドレスという大リーグのチームで中継ぎ投手として活躍している松井裕樹選手ですね。楽天イーグルス(東北楽天ゴールデンイーグルス)にこの前までいた選手なんですけども、彼も含めてメジャーリーガーの選手を中心に見させていただいている状況です。

スポーツ選手のための家庭教師や通訳も

サカモト:基本的にはそういうスポーツ選手のための家庭教師。英語やスペイン語といった語学を教えたり、あとは海外のいろんな国や地域から来た選手や同僚とどううまくやっていくかという相談に乗ってアドバイスしたりしています。あるいは、そもそも現地での生活の話を聞いたりしております。

その傍ら、語学関係で時々通訳の仕事をしています。英語、スペイン語、ポルトガル語を話せるって書いているんですけど、私は通訳では、どっちかというとポルトガル語が多くて。左側は(ブラジル代表の)ネイマール選手ですね。真ん中はメッシ選手ですけど、これは2017年に日本に来た時(の写真)です。

右下もブラジル代表の選手なんですけど、こういった選手たちが日本に来た時に空港に迎えに行って、(彼らが)いろいろなスポンサー対応だったりメディアの取材をこなして帰るまでの、アテンド通訳のようなことを時々やっていたりもします。右上はJリーグのクラブでちょっと通訳をやっていた時ですね。

そんなかたちで、ざっくりと語学と国際コミュニケーション、スポーツっていう領域でうろうろと活動しているような人間です。

みたいなことをしつつ、私は今2児の父で、上が8歳、下が1歳になりました。基本的に親になってからは子育てばっかりしているので、あんまり熱心な語学学習者と胸を張れる状況ではなくて、子育てに追われてその合間で落ちていく語学力をなんとかつなぎ止めようとしています。そういった意味では、今日いらしているみなさまとも近い立場になるのかもしれません。

そんなような者でございますので、著者ではないんですけども一応、最低限ここでお話をさせていただいてもいいかなと思っております。

本はこんな感じで、自伝的なエッセイ集が1冊、2024年はプロ野球を舞台にしたスポーツビジネス・ノンフィクションが1冊。今日は書店さまのイベントですので、自著のお話で恐縮なんですけど、よろしければあちらでぜひ手に取って見てやってくださいませ。

実は今、英語学習についての本を書いておりまして、7月上旬ぐらいを目標に刊行できればというところで進めています。今日はちょっと時間的に詰め込めない話がいっぱいあるので、そういったところもその本の中に一生懸命書いてお届けできればと思っております。といったところで自己紹介は以上になります。

日本人が英語を身につけるための2つの視点

サカモト:本日のテーマなんですが、Webの広告ではイベントのタイトルに「受験英語の活かし方」みたいなところも書いていただいていました。結局同じことなんですけども、今日お集まりいただいている方の多くがそうなんじゃないかなと想像するんですが。日本人の一般的な学習環境や実情の中で、どのようにして英語、語学を身につけていくかというテーマでお話をしたいと思っています。

1つ「受験英語の活かし方」っていうタイトルがついているのは、やはり多かれ少なかれ我々の多くが高校だったり大学だったり、受験というかたちで向き合わざるを得ないような状況の中で英語に触れてきたと思いますので。

そういったバックグラウンドを持っている我々が、どういうふうに英語の学習を工夫していくかっていう話を、主にお届けしたいと考えております。
その上で、じゃあさっそく内容に入りたいんですが、1つ目ですね。本日の流れにあった、学習の考え方です。

(参加者が遅れて入室)

参加者1:こんばんは。すいません、遅くなって。

サカモト:本当にこの新年度で忙しい、4月中旬の平日の夜という微妙な日程に、英語学習という真面目なテーマでこんなにお集まりいただくとは思っていなかったので、ありがとうございます。

まだ内容に入っていないんですけれども、(途中参加の方に)本日の流れと自己紹介を簡単にさせてもらって。日本人の一般的な学習環境と実情の中で生きている人間が、どうやって英語を身につけていくかっていう話で、大きく考え方と勉強の進め方の話をします。

その考え方なんですが、今日はちょっと2つの視点でお話をしたいと思っています。1つ目は、今日はみなさん、英語ができるようになりたい、あるいは身内に英語ができるようになってほしい人がいる状況だと思うんですけれども。

英語を話せなかったら、「英語ができる」とは言えない?

サカモト:せっかくなので英語のエクササイズをしたいと思います。「英語できますか?」って目の前の相手に聞く時に、これを英語で何とおっしゃいますか? いかがですか?

参加者2:Do you speak English?

サカモト:そうですね、おっしゃるとおり。「Do you speak English?」が最も一般的というか、自然な表現ですよね。じゃあ、逆に今度は1回、頭をゼロにしていただいて、「Do you speak English?」っていう英文が目の前にありますと。「これを日本語にしてください」って言われたら、何という日本語になるでしょうか? いかがですか?

参加者3:英語を「話す」ことができますか?

サカモト:そう、「英語を『話す』ことができますか?」「英語を『話し』ますか?」。これ、ちょっとおもしろいのは、最初の日本語と違う日本語にアウトプットされましたよね。最初は「『英語できますか?』ってなんて言いますか?」「Do you speak English?」だったのが、再翻訳すると「英語が『話せ』ますか?」になっています。

つまり「英語ができる=英語が話せる」っていう式が成立していることになりますよね。ちなみに、スペイン語の「¿Hablas español?」は、「スペイン語を話せますか?」で「Do you speak English?」(と一緒)。で、ポルトガル語も「Você fala português?」って言うんですけど、これも「ポルトガル語を話しますか?」。

日本語だと「日本語を話せますか?」って聞くと思います。いちいち考えたこともないかもしれないんですけど、「英語ができる」って言う時に、我々は当然のように「英語を『話せる』」という言葉を使っているんですよね。

つまり「英語が話せる」ということをもって初めて「英語ができる」という捉え方をしている可能性が非常に高いんじゃないかと思うんですよ。逆に言うと「話せなかったらできるとは言えない」という考え方が実はあるんじゃないか。

「読む」と「書く」に偏っている英語学習の現状

サカモト:というところで次のお話なんですけども、英語の4技能という言葉、ご存じですよね? 英語に関心のある方だったら一度は目にされたことがあると思うんですけど、15年ぐらい前からすごく議論されるようになった言葉なんですね。

英語教育の見直しの中で出てきた言葉なんですけど、英語の4技能とは「読む」「聞く」「書く」「話す」の4つですよね。ここはみなさんご存じだと思います。

ちょっと次のエクササイズなんですけど、英語学習者っていう観点で、この4つの技能を2つのグループに分けてほしいんですよね。4技能ってもともと「4つできるようになろうぜ」っていう話なんですけど、いきなり4つって難しいじゃないですか。そんな中でいったん2つに分けて考えようと。2つに分けた上で優先順位をつけるとしたら、どういう分け方をされますか?

参加者3:真ん中で線を引くかな?

サカモト:(線を引いて)こういうことですか?

参加者3:はい。

サカモト:「読む」「書く」側と、「聞く」「話す」側。どっちかを優先してってなったら、どっちを優先しますか?

参加者3:気持ちは「聞く」「話す」。

サカモト:「聞く」「話す」ができるようになりたい。けど……? 

参加者3:みんな「読む」「書く」を一生懸命やったなと。

サカモト:そうですね。おっしゃるとおりで、そもそも4技能っていう言葉が出てきた背景そのものが、実は今線を引いていただいたところと関係していて。要するに日本の英語教育、英語学習の現状が、随分と「読む」と「書く」のほうに偏っていますよね。

今の小さい子は小学生から(英語学習を)やっていると思うんですけど。大人の我々で言うと「中高6年間英語をやっているわりにぜんぜんしゃべれるようになっとらんぞ」というところで「4技能をもっと大事にしようぜ」という動きが出てきたんですけれども。

受験英語ではなく、英語を使えるようになるには

サカモト:まず簡単に言うと……英語の「読む」「書く」「聞く」「話す」を2つに分けるとしたらという話を今していたんですけども、真ん中に線を引くよねと。

これは要するにこういうことですよね。一般的に、左側の「読む」「書く」が学校の英語、あるいは受験の英語。右側が会話、コミュニケーション。言ってしまえば「読む」「書く」だってコミュニケーションなんですけども、いわゆるオーラルコミュニケーションという意味で、「聞く」「話す」のほうが、こう(右側に)なっていると。

なので今おっしゃっていただいたように、右側の世界に行きたいんだけど、我々が向き合っている現実って左だよねっていうのが、日本の英語学習環境の中でずっとありましたと。

というところで、今2つの視点を押さえたと思うんですね。1つ目は、「英語できますか?」って英語で聞く時に何と言うかというと、「Do you speak English?」と聞きます。でもそれって、逆に日本語に翻訳すると実質「英語、話せますか?」となりますよねと。

これはつまり、我々は「英語ができる」っていうことを「英語が話せる」こととイコールだと捉えている、あるいは思い込んでいる。それは逆に考えると「英語が話せていなかったらできていることにはならない」という考え方を、知らず知らずのうちにしている可能性が非常に高い。

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