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“推し”の熱量をビジネスに!人を動かす「推し活マーケティング」とは(全4記事)

3年で急成長した「推し活マーケティング」 損得で動かない消費者に刺さる“推しの企業”という選択肢 [1/2]

推し活支援企業Oshicoco代表・多田夏帆氏が、熱狂する“推し”の消費行動とコミュニティの特徴を解説。「好き」と「推し」の違いや、推し活マーケティングに向いている業種、企業のファンを作るマーケティング手法のポイントなどを紹介します。

3年で急成長した「推し活マーケティング」

多田夏帆氏(以下、多田):1年前には東京ビッグサイトで、「推し活グッズ EXPO」という推し活の企業さんが集まる展示会ができて、それがすごく大盛況だったんですよ。弊社も出店して、私も講演会をさせていただいたんです。(推し活をビジネスに活用する動きは)そのあたりから相当大手の企業さんも注目するようになったなと感じています。

藤田祐司氏(以下、藤田):そうなんですね。『推しエコノミー』とか、推しをテーマにした本も世の中にけっこう出てきて、自分の中ではわりと一気に広がっているなと思ったんですけど、確かに3年前はまだ、ビジネスの世界ではそんなに言われていなかったですね。

多田:そうですね。本当に自分が推し活をされている方はわかってくださるんですけど、そうじゃない方は、推し活という言葉も「うーん、何だろう?」という感じの反応でしたね。

藤田:「聞いたことはあるけど何? それとビジネスはつながるの?」みたいな感じの時代があったということですね。

多田:まさに、です。

西川ハルミ氏(以下、西川):例えばどれだけ好きなものがあったとしても、時間をかけて遠くに行くとか、お金をかけてすごく高い家電も買うのってちょっとハードルが高いんじゃないかと感じるところもあります。先ほど熱量のお話もありましたけど、その熱量が実際の行動に変わるのはどんな時なんですか?

コミュニティ性が推し活の特徴

多田:多田:今のご質問って、たぶん「好き」とか「趣味」と、「推し」は何が違うのかというところに基づくかなと思います。「推す」という単語自体の意味として、「誰かにすすめたいほど好き」みたいなニュアンスがあるわけですね。

「好き」という気持ちは感情で、1人の人間でも持っていられるものなんです。だけど「推す」という言葉や行動、概念自体に「誰かにすすめたい」という感情があるので、「誰かと一緒にやる」「誰かに話す、表現する」というのがセットなんですね。「好き」の感情だけでも喜びなんですけど、誰かに表現するとかすすめてあげるところにも喜びを感じているのが「好き」と「推し」の違いとしてあります。

なので「なんでそんなにお金や時間を使うのか?」(という疑問)の中には、誰かにすすめるとか、自己満足で終わらないところがあると思っています。あとは推し活の人たちって、やはり同じ推しが好きなコミュニティを持っているんですよね。その仲間たちと一緒に行動するのが楽しいとか、同じものが好きな人たちの中で、たまに一種のマウントを取りたいとか、いろんな気持ちがあるんですよ。

「仲良くしたい」もあれば、「マウントを取りたい」とか、「それが大好き」と表現することで、自分はそういう人間なんだと周りから見られたい、アイデンティティを持ちたいとか。

いろんな人がいるんですけれども、誰かと一緒にやることが考えのベースとしてあります。なので「好き」という気持ちだけで終わるんじゃなくて行動に移すところには、「推し」という概念の中に誰かの存在があることがけっこう大きいんじゃないかなと思っています。

藤田:コミュニティとつながる要素があるということなんですかね?

多田:はい。まさにそうですね。推し活をされている方たちは、同じものが好きなオタクの人たちが何をしているのかをすごく見ているんですよ。そのコミュニティの中で共通言語をたくさん持っていて、あるコミュニティの中では1個の情報がものすごく深く浸透している、みたいな感じなので、そこがマーケティングに使えるポイントと言えると思います。

「好き」を起点に、メッセージが自然に入ってくる

藤田:ちょっと外れた話になっちゃうんですけども、僕は『スター・ウォーズ』がすごく大好きで。

多田:あ~!

藤田:2年に1回、世界のどこかで『スター・ウォーズ』の祭典が行われていて、先週末にその「スター・ウォーズ セレブレーション ジャパン」が17年ぶりに日本で開催されたんです。それに参加してきたんですが、6割ぐらいが海外から来ている人たちで。

多田:えぇ~、すごい!

藤田:もう、言語は要らない感じなんですよね。そこの会場ってめちゃくちゃ混んでいて、ややもすればストレスがかかる状況なんですけど、『スター・ウォーズ』が好きでみんな集まっているから、笑顔でずっと過ごしている、みたいな。

いろんな企業の方たちがマーケティング活動やPR活動をされていましたが、たぶん中の人も『スター・ウォーズ』が好きで参加されているんだろうなという感じで、メッセージが自然に入ってくるようでした。

コミュニケーションも含めて、みんなすごく積極的に行動するし、ちょっと勝手に「あぁ」と感じておりましたので、「これはそういうことなのかな」と今、思わせていただきました。

推し活マーケティングに向いている業種や業界

多田:そうですね。既存のマーケティングと推し活マーケティングの違いがどこにあるのかで言うと、やはり既存のマーケティングって「今、買うとお得」とか「今、期間限定」とか「これをしないといけない気がする」とか、それだけではないと思いつつも、人間の損得勘定を刺しにいくことがけっこう多かったと思うんです。

けれども推し活の人たちって、推しがすごい好きという熱量とか、推し活仲間たちとのコミュニケーションが取りたくてとか、損得で動いているんじゃないんです。好きなもののためだったらお金や時間を使ってもいいと思っている方たちなんです。

なので、単純な損得勘定のマーケティングでは動かない人たちを動かせるのもすごく推し活マーケティングの効果としておもしろいというか、企業から注目されている部分かなと思っています。

藤田:熱量が高いですね。ちょうど質問のある方から(コメントが)来ておりました。大石さん、ありがとうございます。「推し活マーケティングに向いている業種や業界ってあるんでしょうか?」。確かに。

多田:これはたぶん明確にあって、エンドユーザーがいる業界だと思います。

BtoBの企業さんでもまったくできないかというと、その会社を好きになってもらうみたいなところでできる部分もあるんです。けれどもやはりBtoCもしくはBtoBtoCみたいな、最終的にエンドユーザーがいる業種・業界だと、先ほど言ったような今まで取れなかった層が取れることが起きやすいと思っています。

あと、そのコンテンツとのコラボもやりやすいので、そこは「向いている業種・業界は特にここ」というよりは、エンドユーザーがいるかどうかだと思います。

藤田:なるほど、確かに。わりとそうですよね。「BtoBだと難しい」みたいなのはあります。

多田:売上がすごく上がるのは、たぶんtoCの企業さんのほうが目指しやすいと思います。

推し活の創作性を象徴する「SWAG」文化

藤田:マキセさん、ありがとうございます。『スター・ウォーズ』絡みのコメントですが、「スター・ウォーズ セレブレーション」では「SWAG」という文化があります。ファンの人たちが、自分たちで好きな『スター・ウォーズ』のグッズを作ってくるんですね。

多田:あぁ、いいですね。

藤田:ステッカーや何かをたくさん作って、出会った人と交換し合うカルチャーがあります。そこに関してはみんな自分で勝手に作ってくるんですけど、すごく温かい空間が生まれる。展示を見たりしながら、ずっとSWAGを交換していたりします。確かにそこは推し活に非常に近いなという。

多田:そうですね、本当にクリエイティブな活動ですよね。

藤田:まゆかさんからのコメントです。「推しの対象になる方のお仕事をしているため参加させていただきました」。コメントもしていただいてありがとうございます。

西川:いろんな方がご参加くださっていますね。参加者の方から事前にいただいた質問の中だと、先ほどのBtoB系のサービスを展開されている会社さんのお話に近い、こんな質問をいただいています。

「熱狂要素を持っていないサービスや商品のマーケティングに推し活を取り入れる時に壁にぶち当たるかと思います。そういう時に企業側ができる工夫ってどんなことがありますか?」。

推し活に学ぶ、自社のファンの作り方

多田:BtoBだとどういうかたちになるかというと、やはり「自社のファンをどう作るか」に推し活の考え方が使えるかなと思っています。

さっき「損得勘定じゃないですよ」という話をしたんですが、やはり推し活の方々がなぜ消費をするのかは、損得ではなくて好きだからとか、共感しているからとか応援しているから、そこを選んで消費するんですよね。

この考え方自体は、BtoBの企業さんや熱狂要素を持っていない企業さんでも、特に広報で使えると思っております。例えばそのサービスを作った時に担当者の方がどんな思い・信念を持って作られたのか、とかですね。

あと弊社は「推し活マーケティングは『その生産者の顔が見える』が最強」といつも言っているんです。広報や自社の商品・サービスをマーケティングで売っていく時に、やはりできることならば顔を出して、「こういう人たちがこんな思いを持ってやっているんだ」ということをどれだけ発信できるかだと思います。

やはり特にBtoBだと、「こんな機能があって」とか、機能の説明をすごくしちゃう企業さんってけっこう多いと思います。もちろん人の気持ちを損得で動かすのも大事なんです。

けれど、そうじゃないアプローチの意味だと、「買ってほしいからとか売上を上げたいからではなくて、こういう信念があって、これが社会の役に立つと思ってやっているんだ」という、どんな思いでやったのかをきちんと掲げられるかどうかがすごく大事かなと思っていますね。

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