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【事業開発が加速する!】「書く」技術を学んで見えるビジネスモデル構築法(全6記事)

絶対に刺さる顧客がいるのに、経営層から“サイズ感は?”の突っ込み “なぜか通らない”提案に足りない2つの視点とは? [1/2]

ビジネス領域に特化した日本最大級のナレッジプラットフォームを有し、新規事業推進を支援している「ビザスク」。同社が主催するセミナーに、『事業構想を「書く」 ビジネスモデルを可視化し新規事業開発を加速させるフレームワーク』の著者であり、株式会社NEWhの執行役員・堀雅彦氏が登壇。新規事業開発担当者が持つべき問いや、Amazonの強化と還元に学ぶ「事業を持続させる視点」などを解説しました。

フレームワークを書くことで生まれる3つの気づき

堀雅彦氏:新規事業の仮説検証に活用できるフレームワーク「バリューデザイン・シンタックス®」(以下、VDS)の使い方は、とてもシンプルです。あまり難しく考えすぎず、とりあえず書いてみる。それに尽きると思っています。実際に書いてみると、さまざまな気づきが生まれてきます。大きく3つのパターンに分かれることが多いです。

1つ目は、「ここが書けない」というケースです。VDSにはビジネスモデルを構成する要素が網羅されていますが、例えば「競合について、どうしても書けない」といった部分が出てくることがあります。書けないということは、そこが論点として抜けている可能性があるということ。まずは仮説を立てて、そこを検証していく必要があります。

2つ目は、チームでVDSを書いた時に起きやすいことですが、人によって書く内容がバラバラになるケースです。

「あなたはこのお客さんを見ていたけれど、私は別のお客さんを想定していました」といったような認識のズレが顕在化します。こうしたギャップが見えてくると、「なぜこの認識の違いが生まれているのか」「どちらに寄せるべきか」といった共通認識を揃えるための議論が自然と加速していきます。これも非常に大きな気づきになります。

3つ目は、一度書き出した戦略や仕組みをあらためて見直した時に、「本当にこの戦い方でいけるのか?」「この仕組みは本当に実現可能なのか?」といった問いが浮かび上がってくるケースです。これはまさに仮説であり、次に検証すべき論点として扱うべきものになります。

このように、書いてみることで「どこが抜けているのか」「どこがあいまいなのか」「どこに仮説があるのか」が明確になる。これこそが、VDSを使う大きな価値です。つまり、これが「CHECK(チェック)」のフェーズです。

VDSのようなフレームワークを使って一度書き出してみる。書くことで弱点が可視化され、その弱点に照らし合わせながら次にとるべきアクションが見えてくる。こうしたサイクルをぐるぐると回し続けていくことができれば、迷子になることなく、新規事業開発を前に進めていけるのではないかと考えます。

VDSが他フレームワークと異なるポイント

VDSは、書くことで2つの“ぐるぐる”が回り始める、そんなイメージを持っています。

1つは、ビジネスモデルの構成要素を描き出す中で、「次に自分たちは何に向き合うべきか」が見えてくること。

例えば、「お客さんの解像度をもっと上げる必要があるのではないか」「我々のコンセプトは本当に刺さるのか、その需要性を確認しなければならないのではないか」といった問いが浮かび上がってきます。そうした問いが明確になると、正しい仮説検証をスタートできる。書くことで、仮説検証を回すための起点が生まれるのです。

もう1つは、特に大企業の新規事業開発に多い「チーム体制での活用」において、チーム内の認識のズレが可視化されるという点です。VDSをチームで書くと、人によって見ているお客さんや課題、提供価値の捉え方に違いがあることがよくあります。

こうした違いが表に出てくることで、「なぜこのズレが生じているのか」「どこに合わせていくべきか」といった議論が活性化し、チームとしての共通認識が整っていく。この“認識を揃えるぐるぐる”が、もう1つの重要な回転です。

認識を揃えながら正しい問いを立て、仮説検証を進めていくための起点をつくる。その起点を「書く」という行為によって生み出せることが、このフレームワークの強みだと考えています。

もちろん、ビジネスモデルの可視化を目的としたフレームワークは他にもたくさんありますが、VDSが目指しているのは、もう一歩、二歩先です。単なる可視化にとどまらず、可視化したことで「次に何をすべきか」が見え、プロジェクトが前に動き出すような“加速装置”としてのフレームワークを目指しています。実際の現場でも、そうした使い方を意識して導入しています。

以上が、VDSというフレームワークの概要になります。より詳しい内容や細かな解説については、書籍のほうで1〜2段階深くお話ししていますので、ご興味があれば、ぜひそちらもご覧いただけるとうれしいです。

ビジネスモデルの「コンセプト」を構成する4つの要素

あらためて今日お伝えしたいのは、VDSというフレームワークがビジネスモデルの構造を3つのブロックに分けて捉えているという点です。

具体的には、1つ目が「コンセプト」、2つ目が「戦略」、3つ目が「仕組みと収益のデザイン」。この3つの要素に分解しながら構造を捉えていくかたちになります。

ということで、ここからは各論に入っていきます。最初に「コンセプト」、続いて「戦略」、最後に「仕組みと収益」の順にお話を進めていきます。

まずは「コンセプト」についてです。この「コンセプト」という言葉、世の中には「デザインコンセプト」などいろいろな意味合いで使われていて、新規事業開発の現場でも頻繁に登場しますが、実際には人によって解釈が揺れやすい言葉だと感じています。

もちろん、厳密な正解・不正解があるわけではありませんが、僕たちは「コンセプト」とは次の4つの要素で構成されるものだと定義しています。それは、「誰の」「どんな困りごとを」「どうやって」「どういう状態にするのか」という4つの要素です。

この4つを明確に定めることが、事業の“幹”となるようなコンセプトにつながると考えています。例えば、Uber(タクシー配車サービス)をこのコンセプトの枠組みに当てはめると、こんなふうに整理できるかもしれません。

都市部のサラリーマンが感じている「タクシーの待ち時間が長い」というモヤモヤに対して、アルゴリズムを活用したアプリで「手軽に呼べる」「待ち時間がなくなる」といった体験成果を提供する。これが、Uberという事業のコンセプトを表現する1つの例になるかな、というイメージです。

なぜいけそうなのに“サイズ感は?”と突っ込まれるのか?

コンセプトは、新規事業開発においては比較的早い段階、序盤に描かれることが多いと思います。いわゆるエントリーシートのような社内書類の中でも、このコンセプトの言語化が求められるケースは多く見られます。

実際、新規事業開発のプロセスにおいて「コンセプトをまずつくって、それを上申し、検証フェーズに進めていいかどうかを判断する」といった“コンセプト上申”のようなステップが設けられていることもあります。

そうしたケースでは、コンセプトを軸にピッチを行う場面も多く見られます。例えば、「目の前に『絶対に買う』と言ってくれるお客さんがいるんです」といった強いメッセージを打ち出して、経営層や決裁者に対して提案を行う。非常によくあるパターンです。

ただ、そうした場面では、経営層側から「お客さんがいるのは理解できたが、事業全体のサイズ感としてこのコンセプトで十分なのか?」といった視点でのツッコミが入り、結果的に承認が得られず、頓挫してしまうケースも少なくありません。

逆のケースもあります。冒頭でお話ししたように、コンセプトの検討に入る前にマーケット調査を行い、「全体の4〜5割が興味を示している」「ポテンシャルは十分にあると思う」といったファクトをもって提案に臨むというケースです。

ところが、そうなると今度は逆に、経営層から「調査結果はわかった。3割、4割、5割という数字は理解できた。ただ、それは本当に現場で機能するのか?」といった現実感へのツッコミが入り、やはり止まってしまう。

このように、どちらのアプローチでも“よくある失敗パターン”に陥る可能性がある。コンセプト1つとっても、こうした両面のバッドケースが存在するのではないかと僕は思っています。

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