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【事業開発が加速する!】「書く」技術を学んで見えるビジネスモデル構築法(全6記事)

ロジックも数値も揃っているのに通らない “その新規事業、大丈夫なのか”という社内のモヤモヤとどう向き合うか

ビジネス領域に特化した日本最大級のナレッジプラットフォームを有し、新規事業推進を支援している「ビザスク」。同社が主催するセミナーに、『事業構想を「書く」 ビジネスモデルを可視化し新規事業開発を加速させるフレームワーク』の著者であり、株式会社NEWhの執行役員・堀雅彦氏が登壇。新規事業開発担当者が持つべき問いや、Amazonの強化と還元に学ぶ「事業を持続させる視点」などを解説しました。

新規事業開発担当者が持つべき問い

堀雅彦氏:NEWhの堀と申します。あらためて自己紹介ですが、NEWhという会社で、新規事業の領域でいろんな企業を支援しています。

個人的には書籍もそうですが、事業開発を型化できないかを「マイミッション」として持っています。よろしくお願いします。

少しだけ僕たちの会社のこともお話しさせてください。親会社はSun Asteriskという会社で、このSun Asteriskはベトナムに多くのエンジニアをリソースとして抱えているような会社です。その企業の連合体として、新規事業を構想のフェーズから社会実装するところまで一気通貫でご支援をしています。

僕たちNEWhは、新規事業開発という領域にどっぷりですが、本業・本丸は、個別の新規事業開発のプロジェクトに入り込んで、一緒に戦っていくことです。この図でいうと「2番」のところが中心になります。

それ以外にも、全社としての方針づくりや、新規事業を進めるためのインフラ整備など、トータルでご支援している会社です。

カテゴリーとしてはコンサルにあたりますが、受託的にどちらかだけが手を動かすというより、チームに入り込んで、一緒に悩んだり戦ったりする“共創”という言葉をすごく大事にしています。その中で、プロセスも必要に応じて変えていきますし、共創する中で「この新規事業をやるんだ」という熱量も含めて、モチベーションづくりまでご一緒しています。

こうした会社なので、今日お話しする「バリューデザイン・シンタックス®」というフレームワークもそうですし、ほかにもいろんなフレームワークを作っています。一緒に共通言語を持って新規事業を進めていく中で、知の体系化をすごく大事にしている会社です。

今回、僕個人の目的としては、この本に書かれている内容の一部を抜粋しつつ、「バリューデザイン・シンタックス®」というフレームワークについてお話ししたいと考えています。

そしてインプットで終わりではなくて、「なるほど、やってみようかな」「おもしろそうだな」、ひいては「NEWhっておもしろい会社かも」と思っていただけると、とてもうれしいです。

今日の60分間では、さまざまな論点をお伝えしていきますが、全体を通してみなさんにもぜひ持っていていただきたい問いがあります。それは「事業開発において、意思決定を突破して実現に至るために必要なことは何か?」という問いです。この問いを頭の片隅に置きながら聞いていただけると、気づきや学びにつながりやすいのではないかと思っています。

新規事業を止める“社内意思決定”の壁

ということで、ここから本題に入っていきます。まずイントロダクションとして、新規事業開発において推進者がどこを目指すべきなのか、そのあたりからお話ししていこうと思います。

冒頭のスライドに、「事業開発とは=□(ブランク)」という1枚の絵を出しています。「新規事業開発」という言葉を聞いた時、みなさんはどんな言葉をこのブランクに入れるでしょうか? 少しイメージしてみてください。

僕はこの領域に10年以上関わっていますが、それでもこの問いにずっと向き合い続けています。新規事業開発って不確実性の塊なんですよね。試してみないとわからない。そんな世界だと感じています。

だからこそ、もちろん会議室で考え抜く時間も大事ですが、それ以上に「実際に世に出してみる」「お客さんに聞いてみる」といった“打席に立つ”ことをどれだけつくれるかが重要だと考えています。それが、事業開発の本質であり、肝なのではないかと。

とはいえ、企業の中で新規事業を立ち上げる際には、「世に出す」以前に、まず社内で意思決定を突破しなければなりません。つまり、そのビジネスや新規事業に対して、「お金と人と時間をかけて継続的に投資する価値がある」と社内に納得してもらう必要がある。証明とまではいかなくても、一定の納得を得なければ、世には出ていかないわけです。

この「どうやって社内の意思決定を突破するか」というポイントが、非常に大きなハードルだと感じています。

僕自身も、いろいろな新規事業のプロジェクトにご一緒させていただいていますが、アイデアは磨かれ、検証も進んでいるのに、それを実際に出して試すところまで至らない。このハードルがかなり高いなと感じています。

ここ数年、イノベーションの機運が高まり、多くの企業で新規事業開発の取り組みが活性化してきました。アイデア自体は、各社でたくさん生まれているし、光るものも出てきていると思います。

でも、その中で実際に世に出ていくアイデアはごく一部にとどまっている。言い換えれば、試される機会を得ることなく消えていくアイデアが、山のように存在している。これが、長く抱いている課題感です。

意思決定側に残る“その新規事業、本当に大丈夫なのか”のモヤモヤ

このハードルを乗り越えるために、新規事業の担当者の方々も、さまざまなリサーチを重ねて、ロジックや数値計画を駆使しながら、ある種の証明に取り組まれています。

ロジックや数値をどれだけ整えて、新規事業の可能性や蓋然性について納得感のあるかたちにまとめたとしても、「頭では理解できたけれど、本当に大丈夫なのかな」といったモヤモヤが、どうしても意思決定側には残ってしまう。

この納得しきれない感じが、新規事業における意思決定の特性であり、難しさでもあります。

つまり、事業開発における意思決定では、ロジックや数値といった要素はもちろん必要ですし、前提としても重要だと思います。ただ、それだけでは前に進まないし、世に出ていかない。ここが新規事業開発の特性であり、意識すべきポイントなのではないでしょうか。

このような時に、何が必要なのか。冒頭でお伝えした問いに立ち戻る必要があります。新規事業開発に関わっている方は、おそらく例外なく向き合っているであろう「ビジネスモデル」という言葉について、意味合いをひもときながら、何が必要なのかを探っていきます。

「ビジネスモデルとは何か」という問いに対して、今回インタラクティブな場ではないのですが、聞いてくださっているみなさんには、ぜひ頭の中でこの空欄をイメージしていただけたらと思います。

「ビジネスモデル」という言葉は、いわゆるビッグワードで、人によってかなり解釈が異なる言葉です。ちなみに、世の中のさまざまな企業や識者の方が、それぞれの視点から定義をしているのがこちらのスライドです。

ここでお伝えしたいのは、「ビジネスモデル」という言葉の捉え方や、その範囲感、スコープが人によってかなり異なっているということです。僕自身も、定義を調べながらそのばらつきを実感しました。

僕自身、あるいは僕たちNEWhとしては、「ビジネスモデル」を次のように捉えています。それは、「持続的に成立することを示す、あるいは示そうとするような事業の全体構造」です。

キャンバスを書いても進まない、新規事業の“つまずきポイント”

この「全体構造」の中に含まれる構成要素については、さまざまなフレームワークなどでも定義されています。

例えば、顧客がいて課題があり、そこに対してどのようなバリューを提供するのか。そのバリューがなぜ選ばれるのかという戦略があり、さらに、どういう仕組みでそれを提供するのか、どうマネタイズするのか。こういった要素がビジネスモデルを構成するパーツとして含まれています。

このような構成要素は、いわゆるキャンバス系のフレームワークでも整理されています。非常にわかりやすく、事業の構成要素が言語化されているので、実際に新しい事業を考える場面では、とても使いやすいフレームワークです。

一方で、このキャンバス系のフレームワーク、僕もすごく好きなんですけど、使いこなすのが難しいと感じる場面もけっこうあります。実際の現場でも、「書いてはみたものの、そのあと何をすればいいのかがわからなくなった」といったお悩みを聞くことが多くて、そこに課題を感じていました。

では、ビジネスモデルを描くうえで何が大事かと考えると、僕たちは「ビジネスモデルには構造がある」という前提に立っています。その構造の中でどう整合性をとり、ストーリーを紡いでいくのか。そこが最も重要なポイントだと捉えています。

ビジネスモデルにおける「ストーリー」

では、その「ストーリー」とは何かという話を少し分解してみたいと思います。

起点はお客さんです。お客さんには困っていること、つまり課題があります。その課題に対して、私たちが提供する価値があり、その価値を体現する手段としての体験や仕組みがある。これが、いわゆる事業におけるコンセプトにあたる部分です。

お客さんと課題があるということは、そこに消費が生まれ、市場としてのマーケットが存在します。そして、課題に対して提供される価値や手法に重なるかたちで、競合も当然存在しています。マーケットに多くの競合がいる中で、私たちはなぜ選ばれるのか。その理由を語る「戦略」が必要になります。

さらに、こうした戦略や、「私たちはこういう価値を体験として届けたい」といったバリューは、単に言葉で語るだけでは意味がありません。きちんとビジネスの仕組みとして実装されている必要があり、しっかりとしたつながりが求められます。

仕組みがどう設計されているかによって、当然コスト構造も変わってきますし、それに適合する料金モデルも見えてきます。そこで初めて、事業の収支がどう成立するかが明らかになるわけです。このように、収入と支出のバランスが取れている状態こそが、「事業が成立する」構造であり、1つのストーリーでもあると捉えています。

Amazonの強化と還元に学ぶ、事業を持続させる視点

さらに、「時間軸」という視点を重ねてみると、事業活動を継続していく中で、企業や事業には何かしらの「蓄積」が生まれていきます。そして、その蓄積は事業のどこかを強化し、やがて顧客への価値として還元されていく。この循環があると考えています。

わかりやすい例として、よく挙げるのがAmazonです。現在は多くの商品を扱っていますが、もともとは書籍のECプラットフォームというシンプルな事業からスタートしています。

この事業活動を通じて、Amazonには「誰が、どの本を買ったのか」といった購買データが蓄積されていきます。このデータがあることで、「誰に、どの本をおすすめすればよいか」といったレコメンドの精度が高まり、それがAmazonで本を買うという顧客体験の質に還元されていく。こうしたサイクルがまわっているわけです。

つまり、事業をスナップショットのように一瞬で切り取るのではなく、時間軸で捉えた時に「私たちは何を強くしていくのか」という視点が非常に重要になります。これはまさに、「持続的に成立する」という観点そのものです。

「ビジネスモデルは持続的に成立することを示す構造である」という定義の裏側には、こうした構造的な背景があるということになります。

ビジネスモデルは、それぞれの構成要素がドミノのようにつながっていて、どれか1つが変わると他の要素も連動して変わるという特性を持っています。

だからこそ、個別にバラバラに考えるのではなく、すべての構成要素が1つのストーリーとしてつながっている状態であることが大切です。僕は、これこそがビジネスモデルと向き合ううえで、そして新規事業開発と向き合ううえでも、何より重要なポイントだと考えています。

※バリューデザイン・シンタックスは、株式会社NEWhの登録商標です。

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