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まとまらない考えをスッキリ整理!「構造化思考」(ゲスト:荒木博行氏)(全3記事)

「どんな仕事をしているの?」と聞かれた時、“できる人”がまず考えること “ごちゃごちゃ思考”を一瞬で整理する構造化スキルの正体 [1/2]

本の学びを深めるオンライン講座「flier book camp」を運営する株式会社フライヤーが主催したイベントに、『構造化思考のレッスン』著者の荒木博行氏が登壇。会議や議論、課題解決、プレゼン、タスク管理などあらゆる場面に役立つ構造化思考について解説しました。

難しい議題やテーマでも道筋がはっきりと見える「構造化思考」

荒木博行氏(以下、荒木):みなさん、こんにちは。荒木と申します。私は自分で会社を立ち上げて、「学びデザイン」という会社の代表取締役をやっております。もともとのキャリアは住友商事から始まりまして、その後グロービス、そして現在の学びデザインの設立という流れでやってきました。

今は大学で教えたり、フライヤーも含めていろんなスタートアップの支援も行っています。つまり、学びに関して、多方面にわたる活動をしているという状況です。今日はよろしくお願いします。

久保彩氏(以下、久保):よろしくお願いします。荒木さんとはもう10年くらいのお付き合いになりますね。もともとは、グロービスで先生をされていた時に、私が教えを乞うた、という関係で、その後フライヤーでもアドバイザーを務めていただくなど、いろいろとご一緒しています。

最新のご著書『構造化思考のレッスン』がこのたび出版されましたね。仕事で荒木さんを間近で拝見していると、こんがらがりそうな会議でも荒木さんがいるとスッキリしていくんですよね。学びの場でも、さまざまな意見が飛び交う中で、その道筋がはっきりと見えてくる。

やはりそれは、ファシリテーションの力というか、ホワイトボードの前に立った時の存在感なんですかね。今日はそのあたりのポイントを、みなさんにもぜひつかんでいただければと思っています。

荒木さんは、今回で14講座目です。「ストラクチャード・シンキング」と呼んでいた構造化思考の講座は、過去に5回開催いただきました。

参加者の声を見ていますと、荒木さんからの「フィードバック」が印象に残っているようで、みなさんが「考えてきたことにいろいろツッコミが入る」と(笑)。「視座が高まりました」とか、「何がいいのか、悪いのか、良くないのかっていうのが、フィードバックが丁寧だからすごくわかりました」といった声もいただいています。

前回までの「ストラクチャード・シンキング」と、今回の「構造化思考のレッスンー実践編ー」は、考え方も大きく異なっていますので、以前ご参加いただいた方も、今回あらためて受講いただける内容だと思います。

多くの受講者がつまずく構造化思考の“悩みどころ”

久保:荒木さんとしては、前回までの講座をどのように感じられ、そして今回の講座を開くにあたってどのように考えていらっしゃいますか?

荒木:今回の講座は、最近出した『構造化思考のレッスン』という本を実践する場です。実はその本のベースになっているのが、flier book campでやっていた「ストラクチャード・シンキング」です。

もともとフレームはあったんですけど、「ストラクチャード・シンキング」を受講されたみなさんに提示しながら進める中で、いろんなところでつまずきが出たり、フィードバックを重ねることで、「ああ、ここが悩みどころなんだな」と気づくことが多かったんです。

私はこれまで、毎回100~200人規模の参加者にフィードバックする場を経験し、それは累計で言えば300~400件くらいになりますかね。そうした中で、「なるほど、ここにつまずくのか」と私自身も発見があって。そういった“落とし穴”を、しっかりと言語化しようとまとめたのが今回の書籍です。

なので、今回の講座ではフレーム自体も「ストラクチャード・シンキング」から大きくアップデートしていますし、「やってみないと身につかない部分」がやはり多いので、本を読んだ上で実践していただき、フィードバックしながら学んでいくような構成になっています。

久保:なるほど。みなさんもチャットにたくさん書き込んでくださってますね。企画を立てる時や、部下の質問にちゃんと対応できるようになりたい、そんなニーズも多いようです。「これができると、モヤモヤが晴れると期待しています」とか、「考えがまとまらない沼によくはまります」といった声も届いています。

荒木:いろんな場で、「自分が何に悩んでいるのかもよくわからない」という状態の方は、本当に多いなと実感しています。あるフレームがあると、それをきっかけに考えやすくなることが多いので、今日はそのあたりのお話ができればと思っています。

ビジネスと学びをテーマに荒木氏が書き続けてきた14冊の本

久保:では、資料を投映しながら、荒木さんの考え方をお聞きしていけたらと思います。

荒木:今日は一方的に話すというより、プレゼンしながら、みなさんのチャットや久保さんとの対話を通じて、インタラクティブに深めていければと思っています。先ほどキャリアの紹介もありましたが、今回の本が、実は私にとって14冊目になります。

久保:すごいですね。

荒木:ダイジェストでパーッとご紹介していきますね。そうすると、私が何をやってきた人間なのか、わかりやすいかと思います。

最初の5冊が『ストーリーで学ぶ戦略思考入門』から始まって、『27歳からのMBA グロービス流ビジネス基礎力10』『27歳からのMBA グロービス流ビジネス勉強力』『27歳からのMBA グロービス流リーダー基礎力10』『新版MBA経営戦略』といった、いわゆるグロービス時代の本ですね。

戦略系だったり、いわゆる“思考系”と言われる分野の専門家として活動してきました。そこからグロービスを退職して……。

久保:急に、デザインがかわいらしい感じに変わりましたよね。

荒木:そうそう、表紙の雰囲気がガラッと変わってきたと思います。私のイラスト全開の本なんです。

久保:かわいい全開(笑)。

荒木:『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』、『世界「倒産」図鑑 波乱万丈25社でわかる失敗の理由』、それから『藁旅』(『藁を手に旅に出よう “伝説の人事部長”による「働き方」の教室』)など、いわゆるビジネス書にMBA的なエッセンスを加えながら、世の中を読み解くような本をいくつか出してきました。

これが直近の4冊で、あとは『自分の頭で考える読書』、『独学の地図』、『裸眼思考』、そして『構造化思考のレッスン』ですね。5月にはまた新しい本が出ます。

久保:はてなマークの新しく出る本は、『努力の地図』ですね。表紙はまだ、ということですね。

荒木:そうですね、はい。たぶん、今日か明日ぐらいには表紙が出るんじゃないかという気がしています。

久保:楽しみです。

荒木氏のキャリアのベースにある「構造化」スキル

荒木:何をお伝えしたかったかというと、私はビジネススクールで教えたり、スタートアップの経営に携わったり、本を書いたりと、いろいろなことをしていますが、そのすべてのベースにあるのが「構造化」と呼ばれるスキルなんです。

対話したり、毎日Voicyで話したり、本を書いたり、新規事業を企画したりと、いろんなことをやっているように見えるかもしれませんが、実はそのすべての根っこに“構造化の原液”がある。そこからいろいろ派生しているという感覚ですね。薄めている、という表現は正確じゃないかもしれないけれど、「原液がある」ということです。

久保:対話にも、書くことにも、企画にも生きてるということですね。まさに原液。

荒木:はい、おっしゃるとおりです。例えば対話でも、相手が全体像の中でどの部分を話していて、どこを話していないのかを感じ取る必要がありますし、文章を書く場合も、構造的に書かないと伝わりません。ビジネスプランなんて、その最たるものですよね。

ということで、私のこれまでのキャリアと、その中でやってきたことのご紹介でした。

自分だけでなく、相手の思考も整える

荒木:僕がビジネススクールでとても大事にしていたのは、アウトプットを出してもらった上で、それに対してしっかりと返すということなんですね。

けっこう、頭の中が“スパゲッティ状態”になっている人が多いんですよ。これはもちろんメタファーなんですけど、ぐるぐるしていて。

久保:頭の中だったり、考えだったり、言葉だったり。

荒木:そう、頭の中が。もう、どの麺がどこにつながっているのかわからない状態ってあるじゃないですか、パスタって。おそらく、そんなイメージです。スパゲッティみたいに絡まっている状態を、いわば“寿司パック”みたいに整えていく。つまり、お寿司のようにまとめるということですね。

久保:まとまってますね。

荒木:構造的に整っているというメタファーです。シャリとネタがきちんと分かれているような。僕の仕事は、まさにそういったことをしているようなものでして。

そうすると、自分が構造的に考えるだけでなく、相手の思考を整えることで、より伝わりやすくなるという視点も出てきます。そんなことを、これまでやってきたわけです。そして、それを自分自身がどんな考えでやってきたのか、ということをまとめたのが今回の本なんです。

久保:自分の思考だけじゃなく、相手の思考も整えるんですね。

荒木:はい、自分だけじゃなくて。だから、「こうすべきだよね」と言うのは簡単なんですけれども、じゃあどこでつまずいているのか、なぜこのアウトプットになってしまったのか、そういったことを読み解きながら、「ここをこうしてみては」「ここはこうだよね」と、一歩ずつ踏み込んでいく。それが大事だと思っています。

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