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第1076回 ペライチ書評『みんなのフィードバック大全』(全1記事)

フィードバックで「部下の反応」を気にする上司 「重めの指摘」をする時のNGな伝え方

日本最大のビジネススクール「グロービス経営大学院」が、ビジネスパーソンに向けて、予測不能な時代に活躍するチャンスを掴むヒントを配信するVoicyチャンネル『ちょっと差がつくビジネスサプリ』。今回は、 「重めの指摘」をする時のNGな伝え方をお届けします。

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フィードバックで「部下の反応」を気にする上司

本山裕輔氏:今回は、『みんなのフィードバック大全』という本をご紹介します。個人的に、もらうのは好きだけど、あげるのは苦手なものが「フィードバック」なんですね。特にオブラートに包まれてないような、クリティカルなものをもらうのは大好きです。

なぜかというと、そういうものを摂取すればするだけ成長できるからです。それに、「うーん、どこをどうやって伸ばせばいいんだろうか?」と、自分で考えたり調査したりする手間も、それはそれで大事なんですけど、省くことができます。

自分が伸ばすべきポイントをダイレクトに指摘してもらえる。そういう意味だと、「フィードバックをください。お願いします」と言って、ビシバシと率直に浴びせてくれる職場って、本当に最高なんじゃないかなと個人的には思っています。

しかし、「世の中、そういう人ばかりではない」という声もよく耳にします。自分から「フィードバックをください」と言ってくる人って、実はそんなに多くなく、むしろ、「フィードバックをもらうのがちょっぴり怖いな」と思われている方も、一定数いらっしゃるんじゃないでしょうか。

あと、これはフィードバックをする立場の方がおっしゃっていたことですが、「何かをフィードバックした時に、部下から『ありがとうございます』と口では言われるものの、内心どう思われているかがわからない」という悩みを打ち明けられました。

そうやってフィードバックするのが難しいからとフィードバックをしないでいると、「どうして言ってくれなかったんですか?」と言われてしまうと。「どうすればいいんだよ」という悩みをおっしゃっていました。

指摘をする「ギャップフィードバック」には2種類ある

そんな時にお薦めしたい本が、今回ご紹介する『みんなのフィードバック大全』なんです。フィードバックにも2種類あると書かれていて、1つ目が「ポジティブフィードバック」。これは相手ができている点についてコメントをすることです。そしてもう1つが「ギャップフィードバック」で、相手ができていない点について指摘することですね。

このギャップフィードバックにも、さらに2種類あります。1つ目が、相手に軽く気づきを与えるようなフィードバック。そしてもう1つが、「お客さんに迷惑が掛かりますから、必ずこう改善してくださいね」といった、重めのフィードバック。この2種類があるそうです。

特に2つ目のギャップフィードバック、かつ重めのものは、するほうもされるほうも非常に難しいものですよね。特に、「年上部下を持つ機会が増えました」という声もよく耳にしますが、年上の方にこういった重めのギャップフィードバックをするシーンは、非常に難しいかなと思います。

下準備をして「淡々と」伝える

ということで、この本を読んでみて、かつ自分の経験とも照らし合わせて、特に大事だなと思ったポイントを3つお伝えできればなと思います。

まず1つ目が、「低姿勢であること」。「ちょっと○○さん、相談させてもらってもいいですかね?」とか、「ちょっと僭越ながら、○○さんにお伝えしたいことがありまして」と、まず低姿勢で入る。こうすると、「なんだよ」と思いながらも、「しょうがないな。聞いてやるか」と思ってもらえるんじゃないでしょうか。

そして、2つ目に大事なことは、「きちんとファクトで伝える」ということかなと思います。とにかく自分が目にしたファクトを簡潔にお伝えしていく。例えば事実として、「このタスクは納期から何日遅れたのか」とか「成果物のどこがどうおかしいのか」。これは、似ている成果物とか、一般的にセオリーと言われているものと比較しながら、客観的に伝えていく。

あとは、クライアントから実際にどんな声が事実として挙がったのかというファクトを淡々と伝えます。ここで述べるファクトは、ちゃんと裏を取った上で、事前にメモを書き出しておくと。これはなんでかというと、この伝えるファクト、捉えるファクトが間違っていると、一気に場も関係性も崩れてしまうからなんですね。

そういった下準備のもと、ファクトを淡々と伝えると、相手に「あ、これはちゃんと聞かなきゃな」という、ある種の緊張感を抱いてもらえるんじゃないかなと思います。

相手に「自己決定感」を抱かせる

そして、3つ目に大事なポイントが「自己決定感」です。こちらが提示したファクトについて、「こうだと私は見聞きしているんですけど、これで間違いないですか?」と、絶対に相手におうかがいを立てることが大事かなと思います。

間違っても、「こうですよね」と決めつけてはいけないと。情状酌量でしたり、相手に補足をする余地を残しておかなければなりません。そうやって、起きたファクトの認識についてまず合意をすると。

そして、合意ができたら次に、「そういったファクトが起きた原因は何なのか?」そして、「原因を踏まえると、次はどんなアクションを取ったほうがよさそうか?」。こんなことについて、なるべくメンバーご自身の口で語ってもらうよう、辛抱強く向き合っていくことが必要なんじゃないかなと思います。

自分の口から話したことだからこそ、自分で決めた自己決定感が生まれます。なので、時間がいくらかかろうとも、自己決定感を抱いてもらうことを外してはいけないんじゃないかなと思います。

以上、私が経験的に気にしていたことと、この本で学んだことを照らし合わせながら、振り返ってみました。他にも、「ポジティブフィードバックは、具体的にどうすればいいのか?」でしたり、「軽めのフィードバックは、どんなシチューエーションで、どんなトーンですればいいのか?」とか。

あとは、重めのフィードバックについても、「どういうフレームワークに沿って事実を捉えて、原因を突き止めて、次のアクションに導けば良いのか?」。こんなフレームワークもかなり詳しく紹介されていますので、もしよろしければ手に取ってもらえると、とてもうれしく思います。

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