株式会社らしさラボ 代表取締役 伊庭正康氏の
『研修トレーナー伊庭正康のスキルアップチャンネル』では、業績の悩み、効率の悩み、マネジメントの悩み、コミュニケーションの悩み、モチベーションの悩みなど、仕事の悩みを解決できるビジネスメソッドを紹介しているチャンネルです。今回は、不躾な印象→上品な印象に変えるコツをお伝えします。
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こちら 「品格」を高めると仕事がやりやすくなる
伊庭正康氏:どうもこんにちは。研修トレーナーの伊庭正康です。今日のテーマは「品格を高める一言」です。品があるというのはどういうことなんでしょう。お金持ちの家に生まれないといけないんでしょうか。そういうことではまったくありません。
品格は言葉遣いに宿りますので、今日からすぐに高められます。そして品格を高めれば、ちょっとしたお願いごとを気持ちよく聞き入れていただけます。ですから、品格を高めると仕事がやりやすくなるんですね。
今日は「育ちがいい人に見られたい」「品がある人に見られたい」「スマートな会話ができるようになりたい」と言う人に見てもらえたらと思います。これができれば「この人、育ちがいいんだな」と思ってもらえます。
では行きましょう。まず育ちがいい、品がいいということについて、かつて私はこんな誤解をしていました。お金持ちしか品格は保てない、標準語を話さないと品格は保てない、「わたくしは」と言わないと品格は保てない。そんなふうに思っていたこともありました。
でも社会に出ると、そうじゃないことはすぐにわかります。不躾な印象や、不快感を与えないことが品格なんですよね。ということは、言葉遣い、言い回しで、育ちがいい人、品格のある人と思っていただけるということなんですね。別にお金持ちであるとか、地方の訛りがあるかとかはまったく関係ありませんので、まずそこを押さえておきましょう。
「明日までにお願いできますか?」ちょっとカチンとくる言い方
こういった言い方をされると、ちょっとカチンとくるかもしれないというものを、3つ紹介します。例えば、営業の方がお客さまに「他の業者を使っているんですか?」と聞いたとしましょう。お客さまはちょっとカチンとくるかもしれませんね。
あと同僚に「明日までにお願いできますか?」。あとはお店で「これってやってらっしゃるんですか?」と聞いた時に「やってないです」と言われたら、ちょっとカチンとくるかもしれません。やってないのは別に悪いことじゃないんですけども、あと「できません」というのも「あれ?」と思います。
これはなぜかというと、正しいことを言ってるのに、不躾な印象や不快感を与えちゃっているからなんです。じゃあ何をすればいいんでしょう。実はめちゃくちゃ簡単です。クッション言葉をうまく使うだけで、品格は簡単にアップします。
不躾で粗雑な印象を持たれてしまう「尋ね方」
では、3つ紹介します。まず1つ目は、尋ねる際のクッション言葉をいくつか紹介しましょう。例えばこういうケースです。営業がお客さまに聞くときに、「他の業者を使っているのですか?」というのは、かなり不躾感がありますよね。お客さまは「あ、この人、デリカシーないな」とすぐに見破ります。じゃあどうすればいいかと言うと、クッション言葉をつけてやっていきましょう。
3つ、一気にいきますね。「差し支えなければうかがってもよろしいでしょうか。他の業者さまをご利用なされているんですか?」。こうすると、上品になりませんか? 「もしあるとすればけっこうでございますが、他の業者さまを使っていらっしゃる背景は、何かおありなんですか?」急に上品に変わりましたね。
あと、「勉強の意味でうかがってもよろしいでしょうか。他の業者さまをお使いでいらっしゃるのでしょうか?」。「差し支えなければ」「もし、あるとすればですが」「勉強の意味で」ということを挟み、ちょっと丁寧な言い回しにすると、不躾感が一気になくなりますよね。クッション言葉を使うことによって、一気に感じのいい人になるんです。これが使えないと、不躾で粗雑な印象になります。
2つ目。お願いする時のクッション言葉も覚えておくといいです。例えば、同僚の方に「明日までにお願いできますか?」というケース。この時にやはり不躾感がありますよね。「明日までお願いできますか?」「できるけどさ」となるかもしれません。
ではクッション言葉を入れてみましょう。「お忙しいところ恐れ入りますが、こちらを明日までにお願いできますか?」。2つ目「お手数をおかけいたしますが、お願いすることは可能でしょうか。明日までにできるとありがたいのですが」。3つ目「もし可能であればでけっこうでございますが、明日までにお願いすることは可能でしょうか?」。
「お忙しいところ恐れ入りますが」「お手数をおかけしますが」「もし、可能であれば」このあたりは覚えておくと、かなり感じが良くなりますよね。ぜひ自然に使えるようにしておいてください。
「できません」を上品に言い換えるには?
では3つ目、断る時ですね。やっていないのに、「それ、できません」と断る時もあるでしょう。これはさすがにちょっと「あれ?」と思われちゃいます。「できません」もダメです。
実は先日、ある地域の研修に呼んでいただきまして、駅からタクシーで20分くらいのところでした。その駅ではなかなかタクシーが捕まらなくて、タクシー会社さんに連絡をして、「駅まで迎えに来ていただくことは可能でしょうか?」と聞いたら、「あ、それうちではやってません」と言われたんですね。
「あ、そうなんですか。駅に来ていただくことができないということですか?」「まあそうです。駅には行けないんです」「じゃあ近くだったらOKですか?」「近くもできないんです」と言われたんですね。これが1件目のお電話でした。
そこで2件目に電話したら、雰囲気が違いました。「駅前でございますか。大変申し訳ございません。誠に恐縮でございますが、駅前でのご予約は承れないんです。と言いますのも、実はタクシーが並べないという約束ごとがございまして、大変申し訳ございません。せっかくのお話でございますが、もし差し支えなければですが、少し離れたところのホテルや、レストランでしたら大丈夫なんですけど、駅はちょっと無理なんです」。
どうでしょう。感じがずいぶんと変わりましたよね。このクッション言葉、「誠に恐縮でございますが、駅前でのご予約は承らないんです」が入ったからですよね。「誠に恐縮でございますが」が入ると、気分がちょっと和らぎますよね。
「せっかくのお話でございますが承れないんです」「あいにくでございますが、承れないんです」これもいいですよね。ぜひこのあたりは押さえておいてください。
聞きにくいことを尋ねる時のスマートな方法
さあ、今日はクッション言葉をテーマにお話をさせていただきました。5つにまとめてみました。まず1つ目、「これを尋ねると不躾かも」と思う時はクッション言葉を入れてください。
2つ目。何かをお願いする時は、仲が良い相手でも「差し支えなければ」「忙しいところ誠に申し訳ないんですが」という言葉を挟んでお願いしてください。僕は家族でも大事かなと思っています。家族にも、「忙しいところ申し訳ないんだけども」とか、無自覚に言っています。
断るときも大事ですよ。「あいにくでございますが」とか「せっかくのお話でございますが」とかは、ぜひ使えるようにしておいてください。4つ目。聞きにくい質問の時もまさにそうですね。先ほど紹介した「どちらかの業者をお使いなんですか?」と不躾に言ったシーンがありましたが、あれがまさにそうですよね。
お客さまにしてみれば、自分のことを言うのも抵抗あるじゃないですか。手の内を明かすというか、営業に対しては「売り込まれるんじゃないかな」と思われるわけですよ。ですから「差し支えなければうかがってもよろしいでしょうか。どちらか業者さまを…」と続ける。ぜひこのあたりは覚えておくと、聞きにくいことをどんどん聞けるようになります。
そして5つ目。質問攻めになりそうな時は、クッション言葉を使うことによって和らぎますので、ぜひやってみてください。ちょっと今やっていきましょうかね。「伊庭さん、ご出身はどちらなんですか?」「はい、関西です」「あ、そうですか。関西のどちらですか?」「京都です」ここまでだったらいいじゃないですか。
「あ、そうですか。さしつかえなければうかがってもよろしいでしょうか? 京都のどちらの地域ですか?」「京都の西部のほうの出身なんです」「あ、京都の西部でいらっしゃるんですね」もっと知りたくなりますよね。
「ああ、そうなんですね。勉強の意味でうかがってもよろしいでしょうか」「ああ、どうぞ」「西部をいくつか分かれていると思うんですけども、西部のどのあたりでございますか?」「ああ、このあたりなんです」「ああ、そうですか」。クッション言葉を入れるだけでも、ずいぶんとスムーズになりましたよね。スムーズ=スマートでございます。ぜひクッション言葉、覚えておいてください。