2024.11.26
セキュリティ担当者への「現状把握」と「積極的諦め」のススメ “サイバーリスク=経営リスク”の時代の処方箋
『やめてよかった』と本気で感じたこと TOP5(全1記事)
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伊庭正康氏:今日のテーマはこちらです。「何をやるか」よりも「何をやめるか」が、仕事のクオリティや人生の満足を高めます。本当にやめて良かったと思うこと、トップ5を紹介していきます。
こんな言葉をご存じでしょうか? 「戦略とは何をするのかではなく、何をやらないのか」。これが重要なんだということは、どの学者も言っています。戦略とは何をするかなので、「あれもこれもやるべきだ」と、逆のことを言う学者は、世界中を探しても誰1人いません。
ところが、僕たちの今の仕事はどうでしょうか? 何をやらないのかを決めているでしょうか? 意外と仕事が増えて増えて……ということは、けっこうありますよね。だからこそ今日は、何をやめればいいのかをランキング形式で5つ紹介していきます。
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では、ランキング形式でいきます。効果を得にくい習慣をやめてほしいんですね。僕自身、これをやめてよかったなと思うことのうち、1つ目が「年賀状」でした。「え、年賀状をやめていいの?」と、思われたかもしれません。もうやめている方もたくさんいらっしゃいますよね。僕自身はやめてよかったなと思っています。
年賀状を投資対効果で考えると、僕はあまりなかったんですね。仕事の年賀状もそうですが、プライベートの年賀状も、それを書いたから何かが変わったということはなかったんですよ。そもそも今、日常会話で関係のある人はメールやチャットでやり取りをしていますので、もういいかなと思ってやめました。
そもそも投資対効果で考えた時に、仕事とプライベートの年賀状(作成)に3日ほど時間をかけていたんですね。3日あれば他のもっと大事なことができたなと思い、やめました。結果、どうだったか。やめて関係性が悪くなったり、疎遠になった方は1人もいません。
私は会社をやってますが、事業への影響はまったくありません。むしろ上がったなと思っています。やるべきことに3日間を費やすことができたからですね。もっと大事なことに時間を費やすことが、僕は大事かなと思ってます。
ですから、効果を得にくい習慣を忙しくなる前に棚卸して、大掃除をしておいてはいかがでしょうか。僕は今年も年賀状はやりません。
第4位が、「値引きをしてまで仕事を取ってくる」。これは絶対にやるべきではないなと思ってます。でも、これは(各自の)考え方がありますのでなんとも言えませんが、僕はやめて良かったなと思っています。
僕は研修の会社を創業してから13年、14年ぐらい経つんですが、1回も値引きしてないです。でも、(年)200回以上の研修(依頼)をいただいてます。実は、これ以上増やすつもりはあんまりないんです。これ以上増やすとクオリティに影響すると思っているので、僕はいったんここで止めています。
でも、お店で言うと満席で行列ができている状態と言っても過言じゃないんですよね。ただ、僕は2店舗目、3店舗目を作らないんです。「このお店で商売をしたい」というオーナー店主みたいなもので、僕はそれが好きなんです。
直接顔を見て、直接研修をするのが好きなんですね。それが前提になっています。なので、値引きをしてでも(お客さんを)引っ張ってきたいとは思ってません。
もう1個の観点を紹介します。売上よりも利益の観点で見ると良いでしょうね。どういうことかというと、例えば売上を20パーセント値引いたとしましょう。でも、利益にはもっと悪い影響が出るという話を今からします。
まず、知るべきは「営業利益」という考え方。いろんな計算方法がありますが、今日はこれを使います。売上から諸経費を引いたものが営業利益という、わかりやすいシンプルな構図で話をしますね。
経費を2つに分けます。売上と連動する経費は変動費。例えば、ものを2個作るのと200個作るのでは、当然ですが材料費も変わりますし、デリバリーコストも製造コストも変わってきます。
こういった、売上に連動するコストを「変動費」と言い、売上に連動しないコストのことを「固定費」と言います。2個作ろうが、200個作ろうが、テナント代は一緒ですよね。社用車も動いてないものがあるだけです。というふうに、経費を分けて計算するとわかりやすいです。
仮に売上が1,000万円だったとしましょう。そのうち、売上に対して変動費が50パーセントかかっているので500万円で、固定費が300万円。計算すると、営業利益は1,000−500−300=200。つまり200万円の営業利益であり、営業利益率は売上に対して20パーセントということがわかりますよね。
ここからが怖いことが始まります。20パーセントオフにしたらどうでしょう? 売上が800万円になるんだけれども、変動費・固定費まで入れていくとどうなりましたか? 営業利益は100万円、営業利益率は13パーセントになるんですよね。
あれ? 不思議なことが起こっていませんか? 売上は20パーセントオフなんですが、営業利益は50パーセントオフになってるんです。この感覚があるかどうかなんですよ。何気ない値引きが、実は営業利益になると思った以上に減っちゃうという話なんです。この感覚、めちゃくちゃ重要です。
そして、仮に「今回は半額でけっこうですよ」と言った場合、なんとマイナス50パーセント。赤字になります。ということは、何気なくやる値引きは、思った以上に利益に圧縮をかけてるということなんです。なので、やらないほうが良いと思います。
僕自身も値引きをやっていないので、2つの効果を感じています。1つは、もちろん利益が担保できるということがあります。2つ目が、自分が提供している価値がどれだけのものかということに対して、すごく敏感になります。値引きをしてまで持ってくるのではなく、値引きをしない値段に対して、本当に価値を感じていただけるのかを本気で考えるようになります。
これはどんな仕事でもそうですよね。本当に価値を感じてもらえるのかどうか、そこに対してかなり敏感になります。僕自身は値引き1回もやっていませんが、リピート率は10年以上、ずっと9割を下回ったことがありません。「値引きをしたらどうかな?」と思いますね。値引きに走ったら、たぶん9割はなかったんじゃないかなと思います。
このように、価値に対して敏感になる。このあたりはおすすめです。もちろん会社の方針もありますので、できる範囲でいいかなと思います。
第3位が、「全部受けるのをやめる」ことです。キーワードは「断るのも仕事のうち」。これをぜひ覚えてください。もう1度言いますよ、「断るのも仕事のうち」。何度も言いましたが、意外と大事なんですよね。
断るというのは、「ノーです」と言うんじゃなくて、調整をちゃんとしているかということです。それをお受けすることは難しいんです「が」、という話ですね。ちゃんと代替策を示せているかどうか(がポイント)です。
じゃあ、どのあたりが問題になるかと言うと、QCD。これは有名な言葉ですね。Quality、品質。Cost、コスト。Delivery、納期。この3つの観点で無理をしないことです。
例えば、私がやめて良かったなと思うことは、品質のところで過度なカスタマイズ。「うちの会社用にぜひテキストを作ってください」「うちのこの会議のためにこの資料を作ってください」というのは、僕は受けていません。なぜかというと、カスタマイズをかけ過ぎたものは汎用化が効かないですよね。
例えば、その会社の会議用に資料を作ったとします。他の会社に使えるわけではないですし、その会社の次の会議に使えるわけではないじゃないですか。なので、それは断るんです。調整であれば、「お渡ししている資料でなんとかご説明いただけませんでしょうか?」というふうに調整します。それは、カスタマイズをやり過ぎだからですね。
次に「C」のコストは、無理な料金で受けない。さっきの値引きの話です。そして「D」の即納。ちょっと無茶なことを言われるリスクがあるということなので、これも無理をしてはいけないと思ってます。なので調整をするんですが、DESC法でお話をすれば調整は簡単にできますよ。この後、DESC法もちらっとお話をしますね。
結果、僕自身はこのように調整をすることによって、お互いにとってWin-Winで、どちらにとっても良い状況で仕事ができているなと思います。もし無理をして受けた場合、上下の関係になりやすいですよね。「業者」と「発注元」というふうになっちゃったりするので、あんまり良いことはありません。
あと、事業への影響はむしろ上がります。無理をしないので、私1人ではなく周りの関係者に対しても無理をさせることがなくなりますよね。なので、1人だけの問題じゃないんです。周りも幸せにできますので、全部は受けず、調整をするということをやっていきます。
DESC法についてはこちらの動画でも紹介をしておりますので、また見てください。
「こうすればお客さまや社内での上手い調整ができる」という具体的な方法を紹介していますので、ぜひDESC法の紹介の動画も参考にしてみてください。
第2位が、「ノルマ意識を捨てる」です。営業さんであれば、ノルマがあるというのはよくあるケースですし、当たり前だと思います。営業目標がない営業はほとんどいないですよね。でも、それをノルマと考えるのか、それとも挑戦と考えるのかではぜんぜん違いますね。僕は、ノルマという意識は捨てています。
何が違うのかなんですが、ノルマの語源は何かと言うと、昔は強制労働とか、ちょっとした過酷な労働があったんですよ。強制労働や過酷な労働があった時に、お金ではなくノルマとして食事を渡す。配給をするという意味ですよね。これをノルマと言ったんですね。
もともとは、やりたくないことをやって、配給することをノルマと言ったんですよ。でも、挑戦は違いますよね。(挑戦は)「自分はここまでやってみたい」と思うかだから、同じ目標でも意味合いがぜんぜん違うんです。
ですから、「これをやらないと叱られる」とか「やらないとマイナス評価を食らっちゃうな」ということで動いてしまうのが、ノルマ意識です。でも、僕はもうそれは捨てています。
この挑戦が与えられた目標だったとしても、それを自分の挑戦に仕立てるんですね。「いつまでにこれを達成させるぞ。会社からは今月いっぱいと言われているけれども、この方法を試しながら、自分はここまでにやるようになるぞ」と。すると、来月、再来月はもっと良くなるかもしれない。
つまり、挑戦を置くことによって、今まで自分がやったことないやり方にチャレンジしてみることもできるわけですよね。なので、あくまでも与えられた数字であったとしても、それは目安であり、自分の挑戦をそこに加えられるかどうかが大事なんですよね。
もしその挑戦を達成できなかったら、再チャレンジすればいいんです。挑戦ですから負けじゃない。マイナスじゃないんですよ。また挑戦して取り返せばいい、それだけの話です。なので、挑戦に意味や意思を込めるだけでもずいぶん変わってきますので、ぜひやってみてください。
もともと僕も上司からは、「ノルマ意識を持つなよ」というふうにけっこうキツく教わっていましたので、営業目標に対するプレッシャーがなかったですね。もちろんプレッシャーはあるんですよ。「達成できなかったら嫌だな」とかはあるんですが、嫌なプレッシャーからは解放されます。
「達成しなかったら叱られる」と思ったことは、私は人生で1回もないです。社会人の最初に「ノルマ意識を持つなよ」って言われたんですよね。これはありがたいなと思いましたね。なので、社会人で「目標を外したら上司に叱られる」という感覚がないままに、今まで来ております。これはハッピーだったなと思いますので、ぜひノルマ意識をなくしてみてください。
「それで達成できなかったらどうするの?」と言う人がいたとしても、自分は挑戦だと思ってるので、説明すればいいんですね。「達成できるようにしたいと思っています」と言えばいいので、そんなに影響はないかなと思ってます。あと、目標がない場合はあえて自分の挑戦として掲げるとストレッチがかかりますので、ぜひやってみてください。
第1位が、「会社への所属意識」です。別に「会社を辞めましょう」ということではまったくありません。会社で仕事をしていきましょう。
キーワードは「所属」と「ジョイン」。これは私がよく言っている言葉なんですが、会社に所属している、組織に所属しているというのではなくて、その事業にジョインをしているという感覚を持つことをおすすめしたいです。
どういった違いがあるかというと、プロ契約意識があるかどうかの差かなと思っています。会社に所属、組織に所属といった場合、守られているという感覚になりませんか? 「会社が自分を守ってくれている」「自分はこの一員だからなんか許してもらえる」みたいなゆるさが出るんじゃないかなと、僕はいつも思っていたんですね。
僕自身、ある素敵な取引先の会社の部長さんから所属とジョインの違いを教えてもらって、若かりし伊庭は「うわー。俺はジョインになりたーい!」と思って、それ以来ジョインの思考でやっています。なので、所属という意識はあえて横に置くようにしていました。
結果的に何が変わったかというと、自分がその組織や事業にジョインをしているから、「果たして自分は今、役立っているのかどうか?」と、自分の提供価値に対してすごく敏感になります。
さらに、役立つために貢献度がアップします。普通のことをやっていたら「これは価値として低いんだろうな」と思うので、「プラスアルファの何かをできないかな?」ということを常に探っている感じになります。これが、所属とジョインの違いかなと思ってるんですね。貢献度に対する鋭敏さが増す。ぜひ参考になればうれしいです。
では、まとめていきましょう。今日は(やめてよかった習慣の)5位から1位を言いましたが、仕事や人生は努力で決まるものではないと思っています。今、50代になってわかりました。いろいろな方の話を聞くと、努力は誰もがしています。
そうではなく、「判断」で仕事の品質、結果や人生の満足は決まるんだなと思ってます。能力や努力ではないんですよ。その時々でどんな判断をするかです。今日はその判断として、やめたほうがいいこと5選を紹介しました。ぜひこの中から1つでも「あ、いいな」と思っていただければうれしいです。
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