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究極の質問力を身につける「はじめの3歩」(全4記事)

初対面の相手から本音を引き出す「核心質問」のやり方 営業のプロが教える、商談成功のカギを握る質問力アップのコツ

営業担当者にとって大切な、お客さまを理解する「質問力」。本セッションでは、質問力やヒアリングスキルにを引き上げるか具体的な方法について、営業のプロ・高橋浩一氏が語ります。本記事では、お客さまから本音を引き出すための“質問のコツ”について解説しました。

お客さまの本音を引き出す“質問の仕方”

高橋浩一氏:真の課題、真の期待、真の壁を理解していくために、どういうふうにするか。お客さまにも「あ、そういうことだったのか」という発見が生まれるようにするために、おすすめなのが「核心質問」というものでございます。

営業の前に姿を現している以上、お客さまはなんらかに困っているんですよね。なんですが、お客さまはストレートに「困っているんです」という悩みを話しづらい。なぜかというと、「売り込まれたくない」という防御反応が本能的に働いてしまうからです。

そこで変化球としては、あえて逆の聞き方をします。「ホームページなどを事前に拝見しましたが、御社はすでにこのあたりをしっかりと対策されて、もうあまり困っていないように見えるんです」と、暗に「本当に困っていることは何なんですか?」と聞いているんですよ。この聞き方をすると、お客さまとしてはなんと答えやすいでしょうかね。



「いやいや、そんなことないですよ。うちなんか課題だらけですよ」と、言いますよね。「今の、もう少し詳しく聞かせていただいてもよろしいでしょうか?」と聞いたら、いきなり課題の深堀りができるわけです。初対面からわずか3分でこれができます。

現状に対する不満を聞き出すコツ

あるいは他社と取引していることがわかっていれば、「他の会社さんからもいい答えを受けられていると思うんです。なんで今日はお時間をいただけたんですか?」と聞いているわけなんです。そうすると、他社に対する不満を素直に話しやすいですよね。

例えば「今、使われている会社さんに満足ですか?」と聞かれたら、売り込みに会社へのガードが働きますよね。「今、使われている会社さんに満足されていますか?」に対して、「不満です」と言うと、そのお客さんは売り込まれるんじゃないかと思うわけです。

だから、逆説的に聞いてあげるわけです。「他の会社さんからもけっこういい答えがきているんじゃないんですか? なんで当社に対して時間を割いてくださっているんですか?」と。そうしたら「いやいや、まだ我々がほしい提案が来ていないんですよ」というふうにお客さまは言いやすいわけですね。

同様に「御社ぐらいのクラスであれば、もう課題解決に向けて手を打ってこられているんじゃないでしょうか?」と、このようにあえて逆から聞いてあげることによって、お客さまが悩みを話してくださりやすくなります。

いきなり変化球を投げると、ちょっと刺激が強そうな場合は一言枕詞を添えて話をしていくのもいいでしょうということですね。



枕詞を添えてから核心質問を投げていきます。詳しくは『無敗営業』の本に書いております。

不安からしゃべり過ぎてしまう若手営業

序盤は枕詞+核心質問でやったとしたら、中盤でどうするかという話なんですが、不安からしゃべり過ぎてしまう若手の営業の方がよくいらっしゃるんですね。私がよくおすすめするのは、お客さまにしゃべっていただくことがすごく大事です。やはり深掘りしましょうということなんですよね。



お客さまが「思うことはいろいろありますが」と、おっしゃったら、営業が一方的にしゃべるのではなくて、「今の、もう少し詳しくおうかがいできますか?」というふうに、お客さまの裏側にある背景や事情、個人的な思いや感情を話していただくわけです。その上で、3つの「きく」を使い分けて会話を深めていきましょう。



なんとなく聞こえるというのは、英語で言うと「Hear」ですね。こちらから質問をせずとも、なんとなく聞こえてくる。これは普通の会話です。ヒアリングの意図を明確にすると、英語で言う「Listen to」ですね。丁寧に耳を傾ける、相手に意識を集中して聴く。これももちろん非常に重要です。

ただ、最終的には営業としてしっかり確かめたい点については「Ask」、尋ねる。具体的なポイントを特定したいんですよね。

ですので、これを上から下にざっくりと、なんとなくの会話からしっかりとした深掘りで、ちゃんとこちらが聞きたいことを解明したいわけなんです。けっこう営業の方が難しいとおっしゃるのが、「自分なりの会話のペースがつかめない」。

深堀りはすごく大事だというのはわかるんだけど、深掘りをしたあとに「すみません、話が戻ってしまうのですが……」と、強引に話を戻してしまいがち。これはどうですかね? お客さまとの商談の会話でこれがしょっちゅう出てきたら、なんかうまく噛みあっていない感が出てきますよね。営業が自分の都合で話を戻しているようにも取られてしまいます。



そこで私がおすすめする言い回しは、相手の発言を深掘りすることで寄り添うというアプローチなんですね。「今、おっしゃった○○のことについて、さらに理解を深めたいのでおうかがいしますが……」というふうに枕詞を付けたら、非常に親切な感じがしますよね。

ということで、中盤においては自分がしゃべり過ぎるのではなく、深堀り+特定質問を使っていきましょう。序盤は枕詞+核心質問でお客さまに対して突破口を開いていって、中盤はしゃべり過ぎず深掘りをメインにする。お客さまのちょっと気になる一言があったら、裏側の事情、背景、思いを聞いていく。

ただ、深掘りし過ぎたあとに強引に会話の展開を戻してしまうと、お客さまに違和感を感じられてしまうこともありますから、「先ほどおっしゃったこれをもう少し詳しくうかがいたいんですが……」という枕詞を添えて、自分の聞きたい話を展開していくということです。

商談の終盤には「勝負ポイント」が隠れている

じゃあ、序盤、中盤をうまく説明できたら終盤はどうするのかということなんですが、商談の終盤にはいろんな勝負ポイントが隠れています。



左から右に「前向き」「後ろ向き」とありますが、具体的に例を挙げますと、提案への感触を聞いた時に、お客さまから正直にいい感触を教えていただけたら、これはけっこう温度感が高いなという感じがしますよね。

でも、「いやぁ、私だけでは何とも。ちょっと社内のメンバーに聞いてみないと何とも言えませんわ」と言われたら、なんか温度感が高くなさそうな感じがしますよね。

予算感とか競合情報を聞いて正直に教えていただけたら、テーブルの上にちゃんと乗っているなという感じがしますが、はぐらかされたり、あるいは実際に決まっていないこともあったりします。こういうポイントを確認をしていくためのコミュニケーションを、私は「商談終盤の10ヶ条」と呼んでおります。

商談終盤の10ヶ条というのは、商談の終盤が近づいてきた時に、ちゃんとお客さまと合意・確認するべき項目を並べてみました。プレゼンや提案をする時って、自社の提案の最後のほうはお金の話になったりするじゃないですか。お金の話をされた瞬間に決められなくなっちゃうお客さまって、やはりいらっしゃいますよね。

ですので、お客さまにきちんと判断いただくためには、持ち帰って整理していただくのではなくて、営業がいるその場で整理をするのがおすすめです。

目の前のお客さまを味方につける方法

そのためには、そもそも今回のお時間をなんでいただいているかという、お客さまの目的とかやりたいことに立ち戻るわけですね。「それに対して今回こういうプレゼンをさせていただいたんですが、それはどうでしたか?」というふうに感触を尋ねる。

オープンクエスチョンでいきなり②(提案への感触)から尋ねてしまうと、お客さまとしては頭が整理されていないですから、「ちょっと考えます」とか「検討してからメールします」と言いたくなってしまうんですね。



なんですが、なぜ今回この場が設けられているのかをわざわざ確認して、「そこにこういうふうに応える提案をさせていただきました」と、まずはちゃんと検討ポイントをはっきりさせる。「その上でどうですか?」というふうにすると、提案の質が低くなければ「いいと思いますよ」という感じで答えられるわけです。

これは周りの方のご意見はいったん無視して、「○○さまご本人としては、どう進めていかれたいですか?」という、完全に個人の意向として聞いているわけです。それで味方につける。

①から③で、まずは目の前の方を味方につけます。次に、いわゆるBANTCH情報。予算、決裁者ニーズ、検討スケジュール、競合情報、お客さま体制といった大事な情報を確認します。その情報を確認して、すぐにネクストステップに行くのではなくて、まずは冷静に「この件はお客さまの中でちゃんと検討の機会が設けられているのかどうか」を聞くわけですね。

「社内の定例会でこのアジェンダを入れます」なのか、あるいはそのお客さまが「上司に掛け合ってみます」なのか、さまざまですが、それをちゃんと確かめた上でネックや判断基準というデリケートな情報を聞いていくわけです。

要件整理をするヒアリングの流れ

多くの営業の方は⑥(検討上のネックや判断基準)を早く聞き過ぎるんですね。どういうことかというと、プレゼンをしたら「いかがでしょう? 何か気になる点やご不安な点はありませんか?」と、いきなり聞いちゃうんです。

お客さまとしては、答え方次第で損したら嫌だなと思いますから、慎重になりますよね。そうすると「ちょっと考えます」と返ってくるわけです。だから私のおすすめは、⑥を聞く前に①から⑤までをしっかり詰めていれば、⑥で具体的なことが出てくるわけですね。

ということで、あえてこの⑥を真ん中のほうに持ってきています。そのあとにネクストステップを両者で話して、宿題をもらい、熱意を伝え、その直後のコミュニケーションをまた握っていきます。このような終盤の10ヶ条ができると、漏れとか、やるべきことの抜けを確実に減らしていくことができます。

商談の終盤10ヶ条ということで、このあたりをいくつかご紹介してまいりました。当社TORiX株式会社で、1つの営業の型として使っているサンプルをちょっとお見せします。例えば、こういう感じで「要件整理をするヒアリングの流れ」というものがございます。



ここはお客さまのセリフが合図になっているわけですね。冒頭のところは核心質問を使っていきましょう。例えばヒアリングの許可をして、研修の基本情報に話が入っていった時に最後まで全部聞き入ってしまうのではなくて、早めに核心質問をぶつける。核心質問をぶつけると、ニーズの深いところとかデリケートなところとかが話に出てきやすい。

そうすると、今度はひたすら深掘りをしていくわけですね。「N」というのは、いわゆるBANT情報のN、ニーズの話だと思ってください。ニーズの要素を探る。これをいろんなところから聞いていきます。そうすると、だいたい聞き尽くした感が出てくる。

「もう他にはないですね」となったら、そこで網羅感、優先順位、具体化というところで、お客さまの頭の中を整理していく。「頭が整理されました」となってから、いわゆるBANT情報の残りを確認していくわけです。大事な研修の概要とか、いろんなところを聞いていきます。

多くの営業の方は、このへんを聞くのがちょっと早過ぎるんですね。なんですが、これはデリケートな情報なので、しっかりとお客さまを味方につけて、ポジティブな気分になっていただいてから聞いたほうがいいわけじゃないですか。

ここまで聞いてから「ご提案をいただきたい」というお客さまの意思表示が出てきたら、ネクストステップについて、しっかりと確認をするという流れになっております。これは、初回訪問の時にこれをやりましょうという感じで、営業の型として使っているものです。

「10分電話商談」も効果的

また、課題解決質問+要件整理ということで、いわゆるSPINというものがあります。まずは現状を押さえて、Problem・悩みを深掘りし、Implication・示唆を発見。そして、Need・解決のために提案につないでいく。



この流れを通して、お客さまから聞けたことについて最後に必ず整理をしましょう。「キーワードとしてはこういうことですね」というふうに、お客さまと確認をしていきます。

大事なキーワードがお客さまとちゃんと握れていれば、そのあとのプロセスは当然進みやすくなりますね。さらに「10分の電話商談」ということで、お客さまとの間でコミュニケーションが途切れてしまうと、やっぱり受注率は落ちてしまいます。

コミュニケーションが途切れないように、「いつ頃ですと、画面の前にいらっしゃいますか?」と、30分なり60分なり時間をいただく。忙しいお客さまのスケジュールを圧迫してしまう場合は「10分のお電話でいいからお時間をください」というふうになると、10分間って意外と深掘りができるし、整理ができるんですよ。



そうしたら、お客さまからいろいろと聞いた情報に対して、情報の整理のメールを送っていったりするわけですね。「先ほどおっしゃっていた件について」と、電話の直後にメールを送ると非常に速いレスポンスになりますよね。お客さまとしては、当然レスポンスが速いことはうれしいことなんですが、現実問題は営業も忙しいじゃないですか。

お客さまから来たリクエストに対して、すべて素早く答えるのは難しいにしても、この10分電話商談というのは、ある程度時間の調整やコントロールが利きますから、10分電話商談の後の時間を少し空けておけば非常に速いレスポンスができます。

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