2024.10.10
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株式会社主体的なキャリア形成が主催した本イベントでは、『資格が教えてくれたこと 400の資格をもつ社労士がみつけた学び方・活かし方・選び方』著者の林雄次氏がゲストに登壇。「資格の活かし方」の観点から、「主体的なキャリア形成」のポイントを解き明かしていきます。本記事では、難関資格を取得した人ほど注意すべきことや、資格を仕事に活かすためのブランディングの重要性についてお話しします。
林雄次氏(以下、林):あと最初に使う教材は、テキストじゃなくて、本試験の問題を最初に見ます。学校の勉強は最初教科書から始まるので、みなさんその勉強の癖がついちゃってるんですけれども。
学校の勉強は最初にテストをやるわけにはいかないですから、それでいいんです。でも資格の勉強は、いきなりテストを受けてもいいんです。いきなりテストを受けて合格するんだったら逆に勉強する時間が無駄です。さっさとテストを受けちゃったほうがいいですね。
ということで最初に試験問題を見ます。いつかは退治する必要があるラスボスです。ラスボスに最初に会えるんですが、会ってもたぶん一瞬でやられるんです。ただやられるとしても、会えるんだったら会っといたほうがいいじゃないですか。
最初に目標地点を確認すると、現在地がわかります。Googleマップでも、行き先がわかっても現在地がわからなかったらどの方向かわかりませんね。現在値を確認する意味でも、また目標値を確認する意味でも、最初に試験問題にあたるのをおすすめしております。
そして点数を気にせず、ちゃんと確認をすることで現在地がわかります。これによってどっちに歩いていけばいいか、どれぐらい(距離を)埋めればいいのかがわかるんですね。
林:最短距離で勉強するということです。そして学ぶ時は、ジグソーパズルのイメージだと私はお話をしています。右上から順番に1・2・3・4ってパズルを作っていく人はいませんよね。
パズルはまず角を発見して、枠を作って、内側を埋めていきますが、同様に順番は意味ないんですよね。私も本を書きますが、ああいうテキストのページの順番なんて、書いてる人が勝手に決めてるんです。別にどこから勉強しようとルールはありません。
逆に最初に書かれている基本的な内容は理解しづらく、後のほうに書かれている細かい枝葉の内容は意外と簡単です。ですので、順番にこだわる必要はなくて、途中で止まっちゃうのが一番良くないんですね。
まずは大枠を作って、徐々に具体化していきます。例えばみなさん、自分の記憶から桃太郎のお話を思い浮かべて、子どもに話してあげられますよね。桃太郎を台本で覚えてるわけじゃなく、大枠のストーリーの展開を覚えていて、そこから台本を再生しているんだと思います。根本的なところがわかれば、枝葉の細かい部分を再生することができます。
なので、基本を押さえるつもりで勉強するのがコツだったりします。そして、これも大事なのですが、欠けてる部分が残ってもいいと思うんです。1,000ピースのジグソーパズルで何個かピースが欠けてても、ほぼ何かわかりますね。
勉強もそんなもんで、欠けてる部分が残っててもいいんですよ。苦手な部分があっても別に大丈夫。そういう気楽な感じで勉強していくといいと思います。
林:そして資格の取得を支援する制度作り。やっぱり社員に資格を取らせると実業務に活かしてもらえるので、社員の方にリスキリングさせる時とか。
社員さんにとっては報酬が増え、成功体験になったり、将来を考えるきっかけや、ダブルワーク(もできる)。会社としてもとてもメリットがあるんです。例えば情報処理とかDX、AI絡みとか。あと直接的に業務に関する基礎的なビジネススキル系。幅広く対象資格を会社さんの事情でピックアップして良いと思っています。
その時に資格取得の支援制度を作るのであれば、社員のリスキリングのビジョンがまず必要です。
「他がやっているからうちもやる」というのが、一番良くないですね。ぜんぜん意味がないです。うちの会社としてどういうふうにしていくのかというリスキリングのビジョンが大事。そしてリスキリングだけでは、意味が広すぎます。
「自社のリスキリングはこういうことだ」「これまでこういうスキルを推奨していたものをこういうふうに変換する。またはプラスする」。こんなふうに自社のリスキリングの定義をしっかりしないといけない。
そしてどんな人物を育てたいのか。どういう補助の範囲にするか。そして資格を取った人はどんなふうに良くしてあげるか。こういった具体的な設計をしていきます。
見逃しがちですが、一定程度人数がいると不公平感も生まれてきます。追いつけない人も残念ながら出てきますので、そういった人をどうフォローするかも、非常に重要です。そういったところをやって、資格を取りましたと。でも活かせないと意味がない。
林:大事なところなんですけど、資格で生まれ変わろうとしちゃう人がよくいます。難関資格ほど要注意なんですが、(資格は)あくまで追加要素です。私が社労士を取った時、中小企業診断士を取った時、異世界転生ものみたいに今の世界から離れて別の世界に行ったわけじゃないんですよ。
これまでのキャリアがあって、昨日までの私にプラスアルファで新しいラベルがついただけ。これは、取る前からビジョンを持っておくといいと思います。これまでの私の上に何かが乗っかるというだけですので、ちょっと気をつけたいところです。
そして私自身の工夫としては、資格だけで名乗ることはあまりありません。私の場合は(保有資格が)500個ありますので、1つ5秒でも小1時間かかりますという物理的な問題もあるんですけれども(笑)。
それはさておき、資格の枠にはめられないためというのもあります。「社労士の林です」と言った瞬間に、「この人はどれくらいの時間単価で仕事をしてくれる人か」がなんとなくわかっちゃうんですね。
「あぁ、こんなもんね」と見られてしまうのを回避するためには、自分なりの価値を言葉にまとめることが大事だと思います。私の場合は、資格ソムリエって実は商標も取っております。商標は別に取っても取らなくてもいいんですが。自分なりの価値を短くわかりやすい言葉にまとめる、ネーミングも大事かなと思ってます。
林:そして見た目も大事ですよ。人は見かけによらないというのは、戦後の貧しい社会の中で生まれた言葉です。これはこれで、その時は正しかったんだと思います。でも今は、ものすごく豊かじゃなかったとしても、ある程度は自分の見た目も選べる時代です。
となると、この見た目は自分が作っているものということになりますので、自分をその1つのコンテンツとして出していく上では意識をしたほうがいいと思っています。これはやりすぎもやらなすぎもいけないんですが、印象ってある程度作れるものだと思うので。
例えば脳科学者の茂木(健一郎)さんは、チリチリパーマですよね。あれはビジネスパーマだと公言されてらっしゃいます。わざとやっているんですね。私の頭がピンと尖ってるのは、別に昔からずっとやってたわけじゃなくて、副業をしだしてからやり始めました。
考えてみれば士業という仕事の人たちは、中年・おじさん・メガネ、だいたいこの3拍子が揃っております。そうすると、私が何もしていないと、中年おじさんメガネになっちゃうんですね。なかなか覚えてもらうことが難しいので、意識をしていろいろとやっている部分がございます。
資格があればなんでもいいのかっていうことでは決してなくて、ブランディング、マーケティング、いろんな目線が必要ということです。
林:そして実益として、資格をお仕事につなげるということであれば、まずは知ってもらうこと。「社労士になりました」ってSNSとかで言う人はいますけど、(その資格を)よく知らない人にとっては「で? 何それ」って人がけっこう多いと思うんですよね。周りの人は、本当にわかってくれてるのでしょうか。ちゃんと伝えるのはけっこう難しいことです。
どうしてもプロダクトアウトと言いますか、自分軸になってしまうので、周りの人にわかる言葉で伝えるのは意外とできていないかもしれません。こういったことをやるテストの場としてSNSが非常に有効だと思います。プロフィールでもなんでも、どんどんただでテストしたらいいんです。
あとは名刺や最低限のツールを整理するのも必要だと思います。そして、最初の一歩は小さく始めましょう。家族、友人、知人に試して話を聞いてもらう。またはSNS上でもけっこうです。「ただでいいからね」というのでも最悪けっこうです。モニターになってくれる人を募集して、お客さんの声をもらうとか、スキルシェアサービスみたいなところで、最初は低額にして副業することも考えられます。
また、もう少し実績を積めば、ホームページを作ってWebメディア等の執筆とか。事前の準備は必要ですけれども、お話もくると思います。これは執筆料とかをいただきながら宣伝してもらえる、とてもありがたい仕事です。
林:あとは資格学校の講師。私も、執筆や講師をやってますけれども、PVの非常に多いメディアに自分が掲載されたりして、お金をもらいながら宣伝してもらえる、こんないい仕事はなかなかありません。
そうすると講演とか非常に単価の高い仕事が舞い込んでくることも、おそらくあると思います。
私は資格学校にも絡んでるのであんまり大きな声では言いづらいですが、「資格があなたを輝かせる」みたいな言い方があるんですが、そんなことはないです。資格は自分を輝かせてはくれません。みなさんが、自分が持った資格をいかに輝かせるかってことだと思います。
例えば「世界で最も影響力のある100人」に選出された片付けコンサルタントの近藤麻理恵さん。整理収納アドバイザーは2級なら1日でとれるんです。でも活かし方によってはあそこまでいっちゃうってことですね。ですから、どれだけ花を咲かせられるかは、持ってる人次第です。
資格が自分を食わせてくれるってわけじゃなくて、自分が資格をどう活かしていくかだと思います。このあたりも本で詳しく書いていますので、もしよろしければご覧いただけたらと思っております。ありがとうございました。
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