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営業日本一に選ばれた "S1グランプリ王者" 笹田氏が教える「成果につながる正しい頑張り方」(全6記事)

自分もお客さんも疲れる「損する商談」が起きてしまう理由 S1グランプリ王者が語る、営業がしんどい人へのアドバイス

セールスギルド株式会社が運営する、日本最大級の営業の大会「S1グランプリ」。今回はそのS1グランプリの王者である株式会社営業ハック笹田裕嗣氏をゲストに迎えたイベント「成果につながる正しい頑張り方」の模様をお届けします。本記事では、商談がうまくいかない、目標が未達でしんどいなど、悩める営業へのアドバイスを語りました。

前回の記事はこちら

商談を成功させるためのポイント

笹田裕嗣氏(以下、笹田):ここに「商談の意図」と書きました。相手がこの商談で何を求めているのかをちゃんと整理して理解しておかなければ、結果的に相手も疲弊しますし、損をします。

どんな損する商談があるのか、一例を挙げました。6つのポイントを挙げていますが、比較検討したいなと思っているにもかかわらず、単に自社の自慢だけされた日には「いや。もう、そういうのわかってるから大丈夫」で終わっちゃうわけですよね。

むしろ先ほどのように、どこが違いがあるのか、どういった差別化のポイントがあるのかを丁寧に説明いただいたほうがいいんです。

みなさんの商品・サービスの営業資料の中で、最近よく比較表が使われるんですよね。比較表でダメなケースは、自社だけ全部「◎◎◎◎」で、ほかの会社は「A社:〇△×〇」「B社:〇〇△×」みたいなかたちになっていると、ちゃんと比較してるとは言えないじゃないですか。なので、自分たちの評価を押し付けない。

相手の価値判断基準に合わせて、必要な情報を整理して伝えることに取り組んでいかなければ、相手が求めている情報提供につながっていかないですし、「この商談をして良かったな」という気持ちにならないですよね。

一方で、商談の意図はほかにもあります。「とりあえず楽しそうだったから」「とりあえず『会って』と言われたから」「とりあえず評判どうなのかなって聞きたかったから」とかですね。

「ちょっと暇だから、時間があったから会いに来ました」「定期的に連絡をいただいてるから、いいよ」みたいに、そもそも自分が何を期待されているのか、どんな価値を求められてるのかをちゃんと整理して理解をしておかなければ、営業として前進しません。

営業がしんどいのはがんばっている証拠

笹田:お客さまが時間を費やしたり、疲弊しただけであればまだいいんです。ただ、最後の「お金を払う」というところは、いろんなものの積み重ねがお金なわけじゃないですか。仕事をがんばったり、これまでやってきたいろんな積み重ねがお金というかたちで形に残っているわけなので、自分の今までの集大成なんです。

自分のがんばりで積み上げてきたお金をわざわざ払ってまで、この人にお願いするのか。そういった時に、期待値を超えるコミュニケーションのコストやストレスが多いということは避けなければ、「やっぱりやめた」が起こってしまいます。ぜひそうならないように、お客さまとしっかり向き合って営業していただきたいなと思っております。

まだまだお伝えしたいことはたくさんあるんですが、いったん「営業がしんどいを乗り越えよう」でお話しさせていただいた内容は以上でございます。

ということで、今回の「営業がしんどい」のお話を通して、みなさんにあらためてお伝えしたかったことは、営業はしんどくていい。しんどい自分を否定しないで、むしろ肯定してあげてください。目標達成に向けてがんばってる自分がいるからしんどいんです。

「目標が未達でしんどいな」「目標まで遠くてしんどいな」と思っている方は、真剣に目標達成しようとしてる方です。

がんばり方を間違えると、しんどさが成果につながらない

笹田:「あのお客さんの期待になかなか応えられてないな」「ぜんぜん提案が通らなくてつらいな。しんどいな」「このお客さんをなんとかしたいな。提案を絶対に全力で通したいな」と思っているから、その差分でしんどいと感じているわけなので、がんばっている証拠です。めちゃくちゃいいと思いますし、素敵なことだと思います。

ただ、がんばり方を間違ってしまうと、そのしんどさが成果に返ってこないので、ぜひ成果に返っていくためのアクションにしていただけたらうれしいなと思っています。本(『営業がしんどい』)を読んでいただけてない方はぜひ手に取っていただいて、本屋で見つけたら目次だけでもいいので立ち読みしてください。

また今回、本の下に「今日やること」などいろいろ書かせてもらったので、それだけでもいいのでちらっと見ていただいて、「これだけはマネしてみようかな」「これだけやってみようかな」とか。

日々の小さな変化や改善が、明日の、来週の、来月の、来年の、3年後の自分を救うかもしれないので、ぜひ自分のためにも、これらのアクションに取り組んでいただけたらうれしいなと思っております。いったん私の話は以上とさせていただければと思います。ご清聴いただきまして、ありがとうございました。古瀬さん、以上でございます。

古瀬貴大氏(以下、古瀬):笹田さん、ありがとうございます。まず、話すのがめちゃくちゃうまいっていう(笑)。すばらしいですね。

笹田:ありがとうございます(笑)。

古瀬:S-1の時も思ってましたが、お話の内容も相手の立場に立った顧客思考の営業だなと、あらためて思いました。書籍でも、「もしかしたらお客さんはこう思ってるんじゃないか。だったらこうしておこう」みたいな、細かい配慮や仮説、ノウハウがかなりいっぱい書いてあります。

もうすでに買ったという方もいっぱいいるとは思いますが、まだの方はぜひ買っていただいたり。あとは、社内で営業に困っていて、「うまくいかない」「しんどい」と思ってる若手の人にプレゼントしてあげるといいかなと思いますので、よろしくお願いします。

営業活動にもつながる習慣化のコツ

古瀬:まだ時間はたっぷりありますので、パネルトークに移っていきたいと思います。聞きながら思ったことや質問はチャットに書いておいていただければ、あとで拾って答える時間をとりたいと思いますので、よろしくお願いします。

まず、パネルでお話ししたいことの1つ目です。書籍で、「営業で成果を出し続けるためのノウハウ、そしてそれを習慣化することが非常に重要である」ということが書かれているなと理解をしています。

そうは言っても、「そこまでやり切れないよね」「そこまではやり続けられない。しんどい」と思う方もいると思うんですよね。そこを習慣化するために、何かコツがあるのかなというのがちょっと気になったので、ぜひ答えていただきたいなと思います。

笹田:ありがとうございます。営業に限らず、習慣化って本当に難しいんですよね。例えば「痩せたいな」と思って、運動を習慣にしたい人が3日坊主で終わっちゃったとか。「今月からランニングを」「ジムを」とか思っている方も、なかなか続かなかったり。

X(旧Twitter)か何かで見ましたけど、「ジムに1年間行き続けられる人は4パーセントしかいない」というデータもあるとかないとか。前提として、習慣化するって難しいということは押さえておいていただきたいなと思います。その中で、まずはシンプルにやることを絞りましょう。

営業において、習慣化したいことってたくさんあるなと思っています。例えば「毎日30件は新規にアプローチをする」「商談の時には必ずヒアリングでこの質問をしよう」「プレゼンの中ではうんぬん」みたいなかたちで、営業って日々の活動を細かく分解すればするほど、やりたいことややるべきことが出てきてしまうなと思うんです。

そんなに人間は器用じゃないですし、基本的に惰性の生き物や忘れる生き物なので、まずは「そもそも我々は習慣化しづらい性質なんだ」という前提を持ちましょう。まずは1つ、「これだけはやる」というものを決めていただくところからスタートしてほしいなと思っています。

3日坊主も繰り返せば習慣になる

笹田:例えば新規開拓の営業をしている方であれば、「ずっと飛び込みでやってきたんだけど、毎日10件だけは新規で電話をかけよう」とか、小さな習慣化を1個ずつ積み重ねていく。もしくは小さな習慣を徐々に大きくしていくかたちでやってほしいなと思います。

いきなり大きな習慣や目標を立てないで、まずはスモールスタートを積み重ねて、スモールでできたら大きくする、もしくは追加していく。この繰り返しに取り組むことが習慣化するためのコツです。ちょっと抽象度は高いですが、アドバイスとさせていただきたいなと思います。

古瀬:じゃあ、まずは毎日できることに絞ってやり始めて、慣れてきてあんまり意識しなくてもできるなとなったら、次のものをプラスする。1個ずつ重ねていくというイメージになるんですかね。

笹田:まさに。本当にやりがちなことですが、古瀬さんが言ってくれたように、「できることを習慣化しよう」という発想じゃなくて、今までやってなかった、もしくは今できてないことを習慣にしようと思うので、だいたいできずに終わっちゃうんです。

古瀬:「あれもやったほうがいいよね」「これもやったほうがいいよね」「これだけやったほうがいいよね」みたいに、理想だけ盛り盛りに詰め合わせるとやり切れないんですね。

笹田:そう、やり切れない。最低限でできることをちっちゃく、できたらキャパを(増やしていく)。

古瀬:次へ、次へってことですね。(目標が)小さかったら達成できますものね。

笹田:数を増やしていく発想で取り組んでいただけると良いのかなと思います。

古瀬:なるほど。1日やって、「ぜんぜん余裕じゃん」みたいな感じで簡単だったら、ちょっとずつ増やしていくとか。それをキープしながら、他のことをちょっとだけやってみる。

笹田:まさに。

古瀬:その積み重ねですね。

笹田:これは私も同じくなんですが、「3日坊主でいい」という前提も持っておきたいなと思っています。3日できなかったけど、もう1回再開しましょう、みたいな。

よくある話ですが、「3日坊主になってしまったけど、3日坊主を3回繰り返したら、結果的に習慣と言えるよね」という話なので、「3日坊主でいいけど繰り返しやろう」ということを、ぜひやっていただきたいなと思っております。

古瀬:「チャレンジ習慣をつけよう」というのも1個ありなんですね。

笹田:まさにです。

古瀬:確かに。3日坊主になるのが怖くて、「体制が整ってからやろう」と後回しになってしまうんですが、まずはやってみる。やらないよりマシだから、最悪ダメだったらやめてもいい。また次もチャレンジする「チャレンジ習慣」をつけるというのはありかもしれないですね。

笹田:大事ですね。

古瀬:なるほど。ありがとうございます。僕もダイエットはやったりやらなかったりなので。

笹田:(笑)。

古瀬:ちょっとしたことからがんばりたいと思います。本当に腹筋10回、20回からやろうかなと(笑)。

笹田:寝る前の腹筋でいきましょう。

古瀬:そうですね。終わったらがんばってみます。ありがとうございます。

笹田:(笑)。

自分に自信が持てない営業へのアドバイス

古瀬:次がパネル②の話です。「まずはやってみる」というのが1個だと思うんですが、まずは何をやったんですか? というのも気になります。「(1つのことに)絞ってやる」という、ほぼ回答をいただいている気はするので、プラスアルファで(あれば教えてください)。状態にもよると思うんですが、「これはやったほうがいい」みたいなものがもしあれば。

笹田:そうですね。いくつか観点があるかなと思っていて。まず1つが、まだ自分の営業になかなか自信が持てていない人へアドバイスをさせていただくと、「自信はないんだけど、これはできているかな。他の人よりもうまいかな。ここはある程度やれている」と思えるポイントを自分の中で1個見つけて、それの出現頻度を上げてほしいです。

「自分はこれができているけど、やっている時とやってない時があるな」というものではなく、今の自分の営業活動の中で「これは自信があるから、必ず毎日やる」「商談の時には必ずやる」という、自分の中でできていることや自信があるものを多く出せば、その分成果につながる可能性は高いです。

自分に自信が持てない時に、「ないものを増やそう」ではなくて、「今ある良いものの回数を増やす」というところから、まずは取り組んでほしいと思っています。

しんどい時って、どうしても「自分の土俵に相手が乗ってくれた時しかうまくいかない」となりがちなんですが、そうじゃなくて。まずは自分の土俵でちゃんと戦えるように、自信があることをちゃんとやる。これが自信がない方向けです。

一方で、ある程度営業に自信がある人は逆の発想です。「これさえ解消できれば」「これを乗り越えられたらもっと伸びるのにな」「跳ねるのにな」「スケールできるのにな」ということを10個考えてください。

「改善インパクト」って私はよく言うんですが、その中で改善した時に成果への反映が一番大きそうなことに対して向き合っていただきたいなと思います。これが、ある程度営業に自信があったり、成果が出せている方に対してのアドバイスです。人によって取り組み方は変わってくるので、問いのヒントを少し考えていただければということでの回答でございます。

古瀬:ありがとうございます。

きちんと“お願いすること”の重要性

古瀬:では、パネルとして用意した質問はここまでになりますので、みなさんからいただいている質問に答えていきたいなと思います。私が読み上げて、笹田さんに答えていただくかたちでお願いしたいと思います。

まず一番最初ですね。「お願いをしてうまくいく営業は、相手が決裁者に限りませんか?」という質問が来ていますが、いかがでしょうか。

笹田:ありがとうございます。「限りません」というのが答えかなと思っています。というのも、担当者にお願いをしなきゃいけない項目って当然あると思っていて。

担当者の方が上司に上申して稟議を回してもらうとか、上長に相談をしてもらうとか、意思決定ができない方と営業する時にはその方が窓口になっているわけなので、その方にやってもらわなきゃいけない行動が出てくるはずですね。

なので、「稟議をぜひ上司の方に回してください」「この資料をこのように上司の方に伝えていただくと、興味を持っていただけるはずなので、ぜひお願いします」というかたちで、その担当の方にやっていただきたいことをお願いしなければ、こちらでコントロールできないその先の壁を乗り越えることができません。

まずは目の前の人の信頼を得ている状態で、ちゃんとお願いする。じゃあ何をお願いするのかというと、「契約してください」じゃなくて、契約していただくために「◯◯さんって興味を持ってもらっているんですかね? であれば、社内でちゃんと会社で通していただくために、これをこの方にちゃんと伝えてください」。

「『ちゃんと』というのは、この資料のこの部分をしっかりご説明いただいたり、費用対効果で『こういうところがメリットですよ』ということを伝えていただきたいので、今の内容をそのまま言ってくださいね。お願いします」というところまでやっていかなきゃいけないです。

相手に何を求めるかは変わってくるんですが、どの場面においても、どの相手にとっても、お願いすることは必要です。

古瀬:ありがとうございます。つまり(商談相手が)決裁者であれば「買ってください」と言うのはもちろんなんですが、決裁者じゃない担当者の方だったら、決裁者に上げる時に「ちゃんと上げてくださいね」とか、なんなら「僕と会わせてくださいね」と伝える。

笹田:そうですね。

古瀬:商談が決裁者につながっていく、決裁を取ってもらいやすくなるための行動を促して、約束してもらう。そこをお願いするということで合っていますか?

笹田:まさにです。

古瀬:ありがとうございます。

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