2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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集中力の向上のために、テアニンとカフェインを同時に摂取できる抹茶が効果的であるという研究結果が発表されています。世界を舞台に抹茶の飲用を拡げるスタートアップ「CUZEN MATCHA(空禅抹茶)」が開催した本イベントでは、スポーツドクターの辻秀一氏をゲストに迎え、自分の心を整え、パフォーマンスを発揮するための方法をお届けします。本記事では、これからの時代を生き抜くためのライフスキルについてお伝えします。
辻秀一氏(以下、辻):(不機嫌な状態になると)イマジネーションやクリエイティビティも落ちます。これからの時代はとにかくイマジネーションやクリエイティビティが大事なので、言われたことをただやってるだけでは駄目です。そして、これは実行力にもつながります。なのでビジネスや人生の根幹には、機嫌良くリラックスしているフローの状態が大事なんです。
ところが僕らは認知的で、結果や外側に対する対処能力だけは高いから、そっちばかりでやりくりしてるわけですよ。学校教育でそう習うので、PDCAサイクルを回しながら、やらなきゃいけないことをやって、ストレスを溜めていくわけです。
昭和のおじさんは、気合と根性でやりくりすれば、それなりに(仕事の成果も)右肩上がりだったわけです。でも今はもう、何をやったらいいのかが分かりにくくなっている時代ですよね。認知的な脳みそだけじゃなくて、非認知性を育んでいけるかどうかが、これからの時代で生き残るための鍵です。その思考のことを「ライフスキル」と呼んでいます。
辻:(ライフスキルでは)矢印のベクトルが内側に向いているんです。みなさん、外側のベクトルはすごく得意ですけど、自分に向き合うのは禅寺に行く時ぐらいなんですよ。最近はサウナに行って心を整えている人もいますけど、試合中はサウナへ行けないですよね。
甲子園で6万人の観客が入っていて、ツーアウト満塁で、ここで抑えなきゃいけないと。めちゃくちゃストレスがかかっている中で「タイムアウト。ちょっとサウナ行ってきます」ってできないです。
(会場笑)
辻:その時にどれだけ自分の脳みそを鍛えて、フローな状態を作っていられるかが、勝負の鍵なんですよね。だから私のところに来るアスリートたちがたくさんいますし、企業のビジネスパーソンも、これを学ぼうとしています。
僕だけ(非認知性が)優れてるわけじゃなくて、人間って本当はこれができていなきゃいけないんです。でも、学校教育がこれ(ノンフロー)にシフトしているから、私も30歳までこれでやりくりしてきたわけです。それでも医学部に行けたし、なんら問題なくいってましたけど、ストレスを抱えてました。
そこで初めてフローの大事さに気づいて、僕は学び始めたんです。30歳の時に長女が生まれたので、まず自分が学ばないと、子どもたちにも教えられないなと思ったんですね。まさにこれをやってる人の代表が大谷翔平くんで、これの権化みたいな人ですよね。
辻:では、どんなものがライフスキルになるのか。もっとたくさんありますが、基本中の基本として4つお話をしたいと思います。(私は)あるボートのチームで毎月メンタルトレー人ングをやっているんですけど、艇庫(ボートをしまっておく倉庫)にライフスキルを14個貼っています。
ついつい忘れちゃうので、常に意識するようにみんなに働きかけています。自分に向き合うベクトルを作らなきゃいけないから、まず1つ目に大事なことは、自分の感情に気づくこと。みんな自分の感情を言語化することが、めっちゃ苦手なんです。
ネガティブな感情を持ってもいいんですけど、(自分の感情に)気づかないから(不機嫌が)溜まります。ポジティブな感情に気づけば(自然体の状態が)増えます。だから自分の感情にアクセスして気づくことの訓練が、めちゃくちゃ重要なんです。
トレーニングだと「感情を30個書き出してください」とか言うんですが、みんなぜんぜんできないんですよ。脳の癖としてみなさんはこっち(ノンフロー)が強くて、利き脳なんです。右手が利き手だとすると、左手は使いにくいですよね。ドリブルはどうしても右手でしたくなるんですけど、やはり何回も左手の練習をしていくと、どっちのドリブルもできるようになるんです。
だけど、僕らはついこっち(ノンフロー)しか使わないので、こっち(フロー)を使っていかないといけない。昨日は感情の会話をどれくらいしましたか? 今日朝から自分の感情に気づきましたか? 「間に合わせなきゃ」「あと何分で電車だ」みたいなことばかり考えてますよね。油断するとそうなるんです。
その時、「今、俺は焦っているな」「ちょっとイラっとしてるな」と気づけるようにすることです。
辻:また、「機嫌の良い人は嫌なことがないんじゃない?」と言われることがありますが、機嫌が良い人は、ごきげんに価値がある(と思っている)んです。人は価値のあるものはなくしにくいから、機嫌が良いことの価値を重んじている人に、ごきげんが残るんです。
みなさん、なぜ携帯電話をなくさないんですか? 集めているからではなくて、大事だからなくさないんですよね。自分にとって大事なものはいつもチェックしてるし、なくさないようにしてるんです。
でも、自分のごきげんと携帯電話は、どっちが大事ですか? 「ごきげんのほうが大事」というぐらい、ごきげんの価値を高めていかないといけません。オリンピック選手やバイオリニストもみんな、ごきげんの価値を感じている人にごきげんが残るんです。大谷翔平には嫌なことがないんじゃなくて、(彼にとって)ごきげんでいることに価値があるから、嫌なことがあっても、簡単にごきげんを手放さないんです。
嫌な奴を良いように思うのは、ポジティブシンキングと言います。「嫌な奴も良いところがあるんだから、良いところを見て、嫌じゃないと思えばいいんだ」という人は、ずっと頭の中で相手に執着していますよね。
嫌な奴に対して「今(自分が)むかついたな」と気づいて、「機嫌が良いとどうなるのか」と自分にアクセスすることが大事なんです。そして、その面倒くさい奴と機嫌良く接するんです。
みなさん、仕事、プライベート、人生において、機嫌が良いとどうなりますか? 例えば「機嫌が良いとご飯がおいしくなるよね」とか、機嫌が良いことの価値をたくさん話し合ってみてください。
(ワークショップ開始)
辻:(ワークショップの時間は)終了です。今、みなさんの問題は何も解決してないのに、これだけで機嫌良くなってませんか? 今から僕がみんなに1万円を配ると言って、ごきげんになるんだったら分かりますよね。でも今、僕は何も与えてないし何も変わってないんです。
ただ自分にアクセスして、「機嫌良くなるとどうなるか」を話しているだけで、ごきげんになるんですから、もっとやらないと。それは甲子園のマウンドで、2アウト満塁でもできるんですよ。
「これを押さえないとやべえな」「俺『やべえな』と今感じてるよな」という時に、ポジティブに考えるんじゃなくて、「俺は機嫌が良かったら集中するし、球も速くなるよな」と考えると落ち着きますよね。
常にごきげんの価値を考えて人としゃべる習慣(が大事)なんです。その人にとってごきげんの価値があれば、その人の中にごきげんが残ります。その家のお父さんにとってごきげんの価値があれば、その家はごきげんが残ります。
アウトドアに価値がある(と考える)家にはテントがあって、週末キャンプに行きます。私にとっては価値がないから、うちにはテントがないし、週末に娘たちとアウトドアには行かないです。人は(自分にとって)価値のあるところに行き、価値のあるものを持つんです。
自分の人生の中で、ごきげんがどのくらい価値を持つのかが、勝負の分かれ目なんです。例えば栗山(英樹)監督のように、監督とコーチがごきげんでいることに価値を感じなければ、ごきげんなチームにはならないです。ですからぜひ、ごきげんの価値を高めてくださいね。
辻:次にいきます。僕らは勝ったり儲かったりうまくいったり、「いいね」の数が増えたら楽しいんです。認知は結果の楽しさで動いてるので、みんな結果を出すために「何をしなきゃいけないのか」というTo Doには、むちゃくちゃ関心があるわけです。
結果の「楽しい」に我々は魅了されています。私はスポーツやビジネスに関わってるから、もちろん勝ったり儲かったりしたら楽しいんですが、リスクがあるんです。「楽しさ」は不安定で、その時しか楽しくないんです。勝っても、儲かっても、うまくいっても、一度終わったらまた始まるんです。
結果の楽しさを否定してるんじゃなくて、これだと不安定ですよと。下手すると機嫌が悪くなって、「結果が出たら」と(こだわって)、不機嫌の海に溺れてる人がいっぱいいるんです。(これでは)余計に結果が出にくいです。人間の一番ピュアな楽しさは何かと言うと、一生懸命にやることです。子どもの頃はみんなそれができるから、子どもはごきげんなんです。
大人になると、どんどん「結果の楽しさ」でしか、がんばらなくなるんです。そもそも人間は一生懸命が楽しい生き物なので、「一生懸命を楽しもう」と自分に言い聞かせないといけません。
「一生懸命が楽しい」と思っている集合体は、ごきげんでパフォーマンスが良いので、結果の出る確率は確実に上がります。彼女はラクロスの元日本代表で、その時もメントレしてたんですけど、引退して乗馬を始めたんです。馬って、ちょっとでも(人間の)機嫌が悪いとすぐ分かるらしいんですよ。ごまかしがきかないので、メントレをして確実に自分で自分の機嫌をとって、馬を操らないといけない。
辻:人間もそうで、子どもって親の機嫌を必ず忖度してますから。「今日のお母さんは機嫌が悪いな」と思ったら、お母さんの機嫌をとるために動こうとするんですよ。
部下も上司の機嫌をうかがっていて、「今日の部長は機嫌悪いな。機嫌の良い頃を見計らって報告しよう」とやっています。仕事は人のごきげんを忖度することではないので、その労働力の損失は計り知れないです。やらなきゃいけないことに集中して、機嫌良くやることが大事なんですけど、不機嫌で人を動かしている人がいっぱいいるんです。
上司は権力で人を動かせるけど、人は権力で馬を動かせない。実は(親の)機嫌が良い状態のほうが、子どもも動くんです。親のほうが権限が大きいから子どもは従わざるを得ないんですが、それは本当の人間関係じゃないですよね。
あるサッカーチームも、「一生懸命が楽しい」ということを、全員が絶対的なルールにしてますね。もちろん、実戦ではいろいろ掘り下げていかなきゃいけないですけど、相手に先に3点取られても、残り時間が減っても、一生懸命の楽しさを徹底的に大事にしています。
辻:人間は認知的だから、課題を解決してごきげんであろうとするんですよ。だからいつも頭の中には課題が入っていて「どうやって解決するか」を考えていますよね。
課題が解決したらごきげんになるんです。何も間違えてないんですけど、(課題は)コントロールできないものが多いから、超認知的(な考え方)で全部解決できるとは限らないんです。そうすると、文句と愚痴と言い訳が増えます。
文句を言うから、また機嫌が悪くなります。機嫌が悪いから、また愚痴を言います。愚痴を言うから、また機嫌が悪くなります。機嫌が悪いから、言い訳をします。言い訳をしてまた機嫌が悪くなる。どんどんネガティブスパイラルに入っている人が山ほどいますよ。
分かりますか? 機嫌の良い人には嫌なことがないわけじゃないし、ユートピアに生きてるわけじゃないんですよ。人生もずっと、コントロールできないもの(に囲まれて)結果を求められて、いろんな課題に向き合わなきゃいけないんです。
辻:私たちは学校教育で「人に感謝しなさい」と教わります。「何々してくれたんだから、ありがとうって言いなさい」と、相手への感謝を先に教わるんですけど、違うんですよ。自分で「ありがたいな」とか感謝できることを見つけて、自分の心をフローにすることが大事なんです。
嫌なこともあるし、問題もあるし、コントロールできないことがあるけど、「ありがたいな」と思えることを見つける努力が重要なんです。自分のために感謝してごきげんになっているから、人にも感謝できます。だから別に(相手に)言いに行かなくていいんです。「今日は感謝できることがないかな」と思って、一日を生きてみてください。渋谷から原宿まで行く時に「ありがたいな」と思って電車に乗ってみたら、原宿で降りる頃は絶対ごきげんですよ。
(職場で)「あいつ、昨日言ったのにまだやってねぇな」とか考えているのは、超不機嫌ですよね。それ(嫌なこと)を「ありがたいと思え」というのではないんです。ぶん殴られたのにありがたいとは思えないし、試合に負けたのに「ありがとうと思いなさい」というのは違うんですよ。
負けたら悔しいけど、早く切り替えなきゃいけない。そのためにまずは一生懸命楽しもうとしたり、ごきげんの価値を考えたり、みんなと違う視点を持って「ありがとう」を見つけてください。
例えば、ここで誰か1人が寝ていたとするじゃないですか。絶対そこに目がいって、脳の認知的に「せっかく来てるのに、なんでこいつは寝てるんだ」となるんですよ。僕はそっちにいったらすぐ気づいて「いや、1人でも聞いてる人がいたらありがたいよな」と考えます。その人に「ありがとう」と言いに行くのではなく、自己完結する感謝が大事なんです。
オリンピック選手たちといろんな小学校に行って、「ごきげんでいることや感謝することや一生懸命やることが大事だよね」という話を子どもたちにしています。
辻:彼女は中学生のクライマーなんですが、ノンフローの海の中にいて、認知的にがんばるのが仕事だと思っています。でもそうじゃなくて、(フローの状態になって)結果を出すためにはリラックスと集中が必要なんです。
そのためには、非認知性がないとここ(フロー)にはいられないんですよ。みんなこれ(課題)が解決できたらこっち(フロー)に来ると思ってるでしょ? (その考えでは)永久に来ないですから。永久に嫌なことは起きるし、雨は降るし、自分の子どもや妻だって、思ったとおりに動かないですから。
「今日帰ったら、まずお風呂に入るから」「分かった」って言っておきながら、帰ったら風呂が沸いてなくて、「先にお風呂に入るはずだったのに」みたいな。「さっき言ったじゃん」とかってなりますけど、(妻は)僕の奴隷じゃないし、それぞれの都合もあるんだから、思ったとおりにいかないものです。
いろんなことがあるけど、自分の人生なんだから、ここ(フロー)にいくために(できることを)、自分でやらないと。それがライフスキル、生き残るスキルですよね。まずは非認知性を働かせて心をフローに整えて、リラックスしてごきげんでいる。そして認知的にやるべきことを考えて、実行していくほうが成果が出るんです。
みんな「どう対処するか」から始めているから、ストレスばかりかかっているんです。まず自分の心を整えることに全集中しましょう。ちゃんと心を整えている人ほど人に優しいですから、(まず自分の心を整えることは)自分勝手じゃないですよね。
認知と非認知の両方を同時に使って、心を整えてするべきことをするのを「バイブレイン」と言います。集中とリラックス(を使い分けて)、フローでやるべきことをやっていくのが格好いい生き方です。
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