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マーケティング戦略講座① 基礎編(全2回シリーズ)~なぜか売れる営業の思考法とは?~(全3記事)

売上と利益を上げることはビジネスの「目的」ではない ドラッカーが語る、リピート顧客を生み出すマーケティングの必要性

世の中で流行する商品や店舗には、どんな秘密があるのか。本イベントでは、新たなビジネスを始める起業家や自社商品の売上に行き詰まりを感じている経営者に向けて、商品を売るための仕組みやマーケティング施策が語られました。本記事では、外資系企業などマーケティングの最前線で活躍された理央 周(りおうめぐる)氏が、人によって解釈が異なる「マーケティング」の定義について解説します。

マーケティングコンサルタントの理央氏が登壇

理央周氏:じゃあさっそく始めさせていただきます。あらためまして、みなさんどうもこんばんは。マーケティングアイズの理央と申します。今日はこういった講演の場をいただいて、本当にありがとうございます。

実はこういう講演をよく頼まれるんですけど、だいたい1時間半とか2時間ぐらいなんですよね。でも(今回は)前後合わせて1時間20分ぐらいなので、ちょっと濃縮版みたいなのをお届けするので、楽しんで一緒にやってみていただければと思います。

今日は2回あるうちの1回目なんですけど、まず自己紹介をさせていただきます。その後に、「なぜか売れる営業の思考法」なんですけど、メインの話がマーケティングなので、「そもそもマーケティングって何なんだろう?」ということを確認させていただきます。

起業される方、あるいはしている方が多いと聞いているので、「起業前後に大事なマーケティングってこういう感じですよね」ということ。その中でも特に、自社の強みをどうやって考えていくかを今日はお話ししていきます。そして最後に次回についてもお話しします。

外資系企業とMBAに学んだマーケティング理論

まず「はじめに」ということで、YouTubeで僕の自己紹介をしていきます。

(動画再生)

あなたの会社は、集客や新規顧客の獲得で悩んでいませんか? 「新しい手法を採り入れているのに、なかなかうまくいかない」と悩む企業さんは、今でもかなり多いです。申し遅れましたけれども、私はマーケティングアイズの理央周です。ここで自己紹介をさせていただきます。

私は15年前にマーケティングアイズを作りましたが、その前の約20年ほど、11社の異なる企業の中でマーケティングマネジメントをしました。まずは、フィリップモリスという会社でマーケティングに出会い、そこで「マーケティングっておもしろいな」と思い、会社を辞めてアメリカのビジネススクールにMBAを取りにいきました。

そこで多くの仲間たちと一緒に、社会人の学びの重要性と、多様性の大事さを目の当たりにしたんですね。そしてその後に、アメリカとブラジルで仕事をしてきました。特にブラジルではアメリカと違って、さらに多様なラテンの文化の中で楽しく、「よく働き、よく遊ぶ」という体験をしてきています。

そして日本に帰ってきた後は、JCOMやAmazonといったIT企業のベンチャー企業でマーケティング部を立ち上げるという、マーケティングマネジャーとしての最大の醍醐味を味わってきたんです。こういった経験を基に、今は起業してコンサルティング、そして企業研修を主に提供しています。

さらに、今まで20冊以上のマーケティングのビジネス書を書いてきました。加えて、関西学院大学のビジネススクールで、約10年間にわたって教授として教鞭も執ってきました。マーケティングを社内に入れるということは、企業文化を変えることです。ぜひ手法だけじゃなくて、本物のマーケティングを私と一緒に学びませんか?

(動画終了)

マーケティングに「絶対売れる」方法はない

ありがとうございます。今見ていただいたように、僕は10回会社を変わっていて、だから(今は)11社ですね。いろんなところでマーケティングをやってきた。ちょっとなかなか珍しいキャリアだと思います。そこを活かして、2つ会社を立ち上げて、マーケティングアイズと、社団法人も立ち上げたんですね。

あと、関西学院大学というちょっと遠い関西のほうで、ビジネススクールで2023年の3月まで教授をやっていました。5~6教科を教えていて、大学院生とすごく楽しくやっていたんですけど。

そして本も書いています。今まで23冊出していますけど、そのうち16冊がマーケティングの本です。時間術の本も出しているんですけどね。今日はその中でも、一番新しく2023年の1月に出した『売れない問題 解決の公式』。ここからいろんなお話をしていけたらと思っています。

みなさん起業の準備、あるいは起業をしているからわかっていると思うんですけど、「売る」ことに魔法の解決策ってないんですよね。たまに「どうやったら売れるか教えてください」とか、「いろいろあって、来年の売上を3倍にしたいんです」と聞いてくる方がいなくもないんですよね。

でも、そんなのあったら誰でもやっているので、私は35年マーケティングをやっていますけど、「これをやったら絶対売れる」というのはないと思ったほうがいいです。「じゃあどうすればいいの? 運任せ?」。そういうことでもないんですよね。まず、解決策はたくさんあります。でも魔法がないということです。

僕の特徴はわかっていただけたと思うんですけど、MBAで大学教授もやっていましたということで、理論とかフレームワーク、枠組みのいいやつだけ厳選して、今日はお話しします。

でもそれだけだと、特に起業の時とかは使えないので、ピンとこないですよね。なので、企業の成功とか失敗の事例を併せてお話しします。これで応用の仕方をちょっとつかみ取ってほしいなと。

「いや、いい話を聞いたな」で終わりだとめちゃくちゃもったいないので、資料はまたいつかのタイミングでお渡ししますけど、学んだことを棚卸しして、自分で見える化したほうがいいですね。なので今日は、短い時間ですけどツボをインプットしていただいて、当てはめて工夫する知恵をつけていただきたいんですね。

マーケティングとは「自然に売れる仕組み」

事例をいっぱい出しますけど、みなさんの事業と同じ事例が出てくるとは限りませんし、間違いなく出てこないですよね。

でも「いやいや、うちの会社は関係ないよね」と思ってしまうととてももったいないので、「うちの会社に当てはめたらどうなるんだろう?」とか、「自分の起業プランに当てはめたらどうなるんだろう?」という考え方、視点で聞いてもらうといいと思います。

それでアウトプットしていつでも応用できるようにしていただけたらいいんじゃないかなと思いますね。そんなことで、じゃあ「マーケティングとは?」というところから行きたいと思います。ちょっと禅問答みたいなことを今から聞きますけど、「マーケティングを一言で言うと、どんな言葉が思い浮かびますか?」。

これは対面のセミナーとかだとみなさんにお聞きするんですけど、こんなのが出てくるんですね。「リサーチですよね」「お客さまのことを考えることですか?」とか「Webマーケティングですよね」とかって出てくるんですけど。会社の中でマーケティングの担当者とかマネジャーをやっていると、これはだいたいざっくり全部やるんですよね。

10人に聞いたらやはり10個出てくると。マーケティングってみなさん解釈がいろいろなんです。よく、「じゃあ一言で言うとどういうことなんですか?」と聞かれるんですよね。なんでこう聞かれるかって言うと、例えばセールスだったら「営業」とか、アカウンティングだったら「経理」とか、バチって当てはまる日本語の単語がありますけど、マーケティングはないんです。

「じゃあマーケティングを一言で言うとどうなんですか?」とよく聞かれます。でも「いや、ないんですよ」では、僕は仕事上許されないので(笑)、「自然に売れる仕組みです」と言っています。

ちょっと抽象的なので、「売れる仕組みって何?」ってなると思うから、もうちょっと言うと、「売れる仕組みが入っている計画」ですね。売上と利益をちゃんと出せる計画を作って、やることです。ちょっと長いから、「ぜんぜん一言じゃないじゃん」みたいなのはありますけど。

売り込まなくても済む状態が、究極のマーケティング

じゃあ、なぜ売れる仕組みなのか? 経営の大家と言われている(ピーター・F・)ドラッカーさんですね。僕はドラッカーさんの本が好きでとてもたくさん読んでいるんですけど、ドラッカーが「ビジネスをやる目的というのは、顧客の創造だ」と言っているんです。お客さまになっていただくことだと。

これを言うと、「え、そうなんですか? ビジネスの目的って、売上と利益を上げることじゃないんですか?」と、よく聞き返されるんです。だけどドラッカーは顧客の創造だと言っています。

お客さまって2種類あって、1種類はまだみなさんの商品やサービスを買ってない人。英語で言うと「コンシューマー」ですね。もう1種類のお客さまは1回以上買ったことがある人。英語で言うと「カスタマー」と。前者は日本語で言うと「一見さん」、後者は「おなじみさん」ですね。ドラッカーは「おなじみさん」をどんどん作ることを目的にしようよと、言っています。深い言葉ですよね。

それで、「そのために必要なものは2つある」と言っているんですね。それがマーケティングとイノベーション。またイノベーションとかについては、いつか別の機会があればお話ししますけど、新しい価値を作るのがイノベーションですね。

じゃあ、究極のマーケティングはどういうものか、ドラッカーはこんなことを言っているんですね。「究極のマーケティングとは、セリングを要らなくすることだ」と。

どういうことかと言うと、「営業部を廃止しましょう」とか「営業部員の数を減らしましょう」と言っているわけじゃなくて、英語で言うと「ダイレクトセリングがないほうがいいよね。売らなくても済むように仕掛けていこうよ」と言っているんだと、僕は解釈しているんですね。

ダイレクトセリングというのは直接売り込むことなので、「買ってね、買ってね」と言わなくても、さっき書いてあったようなリサーチとか戦略をいっぱい立てて、戦わずして勝つというか、「自然に売れる仕組みを作ること」と言っています。

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