2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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東京・立川を拠点に起業に関連したさまざまなイベントを開催しているStartup Hub Tokyo TAMA。本記事では、『秒で使えるパワポ術』『秒で伝わるパワポ術』の著者で、シリョサク株式会社代表の豊間根青地氏が登壇したイベントの様子をお届けします。今回は、資料作成で重要な「問いの立て方」が語られました。
豊間根青地氏(以下、豊間根):今から3つのステップを6つに分解して、具体的にお話ししていきます。①「問いの立てる」と②「答えを整理する」と③「伝わりやすくする」ですね。問いを立てるを2つに分解して、答えを整理するは1個でシンプルにして、伝わりやすくするを3つにしています。
問いの立て方や答えの整理も、突き詰めるとめちゃくちゃ長い話になるんですけど、今日はけっこうさらっといきます。どっちかというと、伝わりやすくするに主眼を置いた時間だと思っていただければと思います。
問いを立てるの1個目は「聴き手とゴールを設定する」です。誰がどんな状態になればゴールなのかを明確にします。先ほどおっしゃっていただいたような「提案資料の聴き手にやってほしいことが明確に書いてある」というのも、ある意味、作るための準備と言えますね。
まず大前提で最初に覚えておきたい概念は、「プレゼンテーションはプレゼント」です。これは言葉が似ているだけではなくて、語源も一緒です。「プレ」は「前に」という意味、「セント」は「押し出す」という意味です。プレゼンテーションもプレゼントも、自分の目の前にあるものを、誰か別の人に対して「はい、どうぞ」と渡すというニュアンスを持つ言葉です。
みなさんが誰かにプレゼントをあげる時に、今日はオレンジ色の水玉の包装用紙で包もうかなとか、赤いリボンで結んでみようかなという感じで、ラッピングから考える人はいないですよね。相手がどういう人で、何をあげたら喜んでくれるかというところから考えるはずです。
プレゼンテーションも一緒です。結局、相手がどんな人で、何をあげたらどういう状態になってくれるかを明確にするところから始める必要があります。
それをするためには、聴き手とゴールを明確にする必要があります。例えば、桃太郎パワポであれば、野生動物たちが「ああ、良いサービスだな。よし、さっそく登録しよう」「さっそく『DombraCo 鬼退治』で検索しよう」と思ってもらう、だったりします。
例えばサービス説明資料であれば、「これはめっちゃ良い商品ですね。すぐにでも発注しましょうと考えて、行動してくれる」に置くことができます。聴き手のゴールを明確にするのが、とにかく大事です。
ゴールは、大きく3種類が存在します。「行動の変化」と「状態の変化」と「感情の変化」ですね。
行動の変化は、例えば予算を承認してほしい、はんこを押してほしい、使い始めてほしい、DombraCoに実際に登録してほしい、とかですね。
けっこう多いと思われる提案は、行動の変化を目的にします。相手が行動を起こすことを常にゴールにします。基本的にこれが一番難しいです。
一方で、状態の変化もあります。行動までいかなくても、納得してほしい、「なるほど」と思ってほしい。あるいは、内容を理解してほしい。マニュアルや報告書は、けっこう状態の変化をゴールにします。だから、行動は起こさない。わかってくれればオッケー。こっちのほうがどっちかと言うと簡単です。
あと、感情の変化もあります。喜んでほしいとか、感動してほしいですね。先ほど、一番最初の良い資料の定義でおっしゃっていた「ワクワクする」は、かなりこれに近いです。ここがゴールになることもあります。
例えば、イベントの始まりを示すプレゼンテーションで「なんかすごそう」と思ってもらうことがゴールになることもあるので、ここがゴールになることもあります。
さらに言うと、行動の変化を起こすための手段として、感情の変化を使うこともあるんです。ただ1個注意なのは、一番汎用性が高く、かつ難易度が高いのは、行動の変化です。どうしてほしいのかを明確にして、それを書くのが大事です。
最近、60社くらいで研修をして、いろんな方とお話ししてめっちゃ感じているのが、国語力なんですよね。パワポって突き詰めると国語です。文章化とか、文章を書くこととか、文章を読み取ることとか、言語化する、言葉を作ることから逃げると、良い資料は絶対に作れないです。
聴き手とゴールとサマリー。聴き手とゴールを明確に1行で書くことすら意外と難しいんですね。ちゃんと言葉にする。形にして、頭の中だけでとどめないのがすごく重要です。
ちゃんと言語化しておきましょうというのが、1発目の聴き手とゴールを設計するというお話でした。こんな感じで6ついきます。
2つ目は、「一連の問いを設計する」ですね。誰にどんな状態になってほしいのかが明確になった上で、問いの設計をやっていきたいと思います。
先ほど「問いは大事ですよね」とスッと言っちゃったんですけど、問いが大事だということをご理解いただくために、簡単なワークをしたいと思います。問いは、我々をすごく楽にしてくれる道具です。今からとあるスライドを出します。
5秒数えます。みなさん、これを見てください。
5、4、3、2、1、はい。じゃあ3がいくつあったかって、神田さんいかがですか?
神田達也氏(以下、神田):ぜんぜん、1と2までしか数えられなかった。5個くらいですか?
豊間根:1と2を数えている時点ですごいです。そういう問いが出てくるだろうなと予想されているのはすごいんですけど、意味わかんないですよね。
一方で、じゃあ次に「1がいくつあるか?」という問いを持った上で、もう1回同じスライドを見ていただきたいと思います。はい、いきます。5、4、3、2、1、はい。神田さん、何個でした?
神田:4つです。
豊間根:4つ、なるほど。すみません、僕、ミスっていることに気づいたんですけど、1が1個黒いんですね。
神田:えっ!?
(一同笑)
豊間根:すみません、これは我々のミスです。たぶん今、赤を追っていただいていたと思うんですけど、まさかの黒の1が紛れ込んでいるという運営側のミスによって、うまく進まなかった。
でも、いったん我々のミスは置いといて。みなさん、最初に見た時よりも、1が浮き上がって見えてくる感覚がたぶんあったと思うんですね。これが問いの力です。
問いとは、大量の情報の中からどこを見るべきかを浮かび上がらせてくれる効果を持っています。かつ、作り手側も問いが明確になっていれば、こんなにたくさんのカラフルな数字を全部書かなくても、1だけ書けばいいわけです。
というふうに、問いを持つと作り手は載せるべき情報が見えて作業が減るし、聴き手も見なきゃいけない、気にしなきゃいけない情報が明確になって、コミュニケーションコストがめちゃくちゃ減るんですね。作るコストも読み取るコストも減らしてくれる魔法の道具、それが問いです。だから、問いが大事なんです。
問いを持たずに、大量の情報にがっぷり四つで取り組むと、ただ時間だけが溶けていきます。必ず問いから始めてください。
問いを作る時のポイントは、「大きいところから分解する」という話です。先ほどの概念的な話をする際も、問いの重要性を話した時も、一番大きな問いをまず決めて、でもそれだと答えられないから分解していくという話をしました。
問いは、何回かの段階に分けて、大きなところから分解してください。今(スライドに)出している一種のロジックツリーは、桃太郎パワポを作る際の問いの分解の流れを示しています。
一番左の「なぜこのサービスに登録するべきか?」が、一番大きな問いですね。動物たちが「サービスの話をするのはわかったけど、なんで登録したほうがいいの?」(と問う)。それに答えるのが、先ほどのDombraCoの提案資料の全体の一番大きな問いです。
ポイントは、「なぜこのサービスに登録するべきなのか?」に答えるために、いきなり小っちゃな話をしないことです。
まずは、大きな問いを作ってください。これを我々は「章の問い」と呼んでいます。「どんな課題から生まれたんですか?」「具体的にどんなサービスなんですか?」「どうやったら登録できるんですか?」という大きな問いに、まず分解をしています。
最後に、章の問いをスライドの問いに分解します。「どんな課題から生まれたのか?」というと、「鬼退治はどんな問題を引き起こしているんですか?」「ピーチボーイはどんな事業を行っているんですか?」「ピーチボーイ社はどんな問題を抱えているんですか?」「餌の採集はどんな状態になるんですか?」のように、一番大きな問いを段階を踏んで分解することが、ここでの一番のポイントです。
一番右の小さな問いから断片的につなげてしまうと、全体を通して見た時に結局何が言いたいのかがわからないプレゼン資料ができてしまうので、今からざっくりこういう問いに答えますよ、と大きな問いを作る。
それをさらに小さく分解する。こういう問いと、こういう問いと、こういう問いがあるから、こういう答えになるんですよ、という階層構造を必ず作ってください。それが、問いの設計で一番お伝えしたかったことです。
一番大きな問いは先ほどのメインメッセージの設定で一定決まっているので、じゃあ章の問いの作り方を考えていきます。
先に言うと、章の問いはぶっちゃけなんでもいいです。いきなり細かいところにいかずに、いくつかの大きな塊に分けることが圧倒的に大事で、章の問いでそれぞれどんな問いに答えるかはそこまで重要じゃないです。塊に分けることが大事です。
なので、だいたいお決まりパターンがあるんですよね。営業資料だったらこうとか、企画書だったらこうとか、報告書だったらこういう章立てがいいよという、だいたいお決まりパターンがあります。
ググったらいいです。「営業資料 構成」とか「企画書 構成」とか「報告書 構成」でググると、こういう章立てで作るといいよというのがだいたい出てくるので、これをパクるのがよいです。
最近では、実はChatGPTは章立ての部分では、けっこう精度高くやってくれます。「こういう聴き手をこういうゴールに持っていきたいんだけど、どういう章立てにしたらいいですか?」と聞くと、意外とけっこう精度の高いものを出してくれる。ChatGPTを使うのはけっこうおすすめです。
こんな感じで、ここも言語化が大事です。なんとなくこういう章立てできるかなって頭の中で終わらせるのではなくて、今回はこういう章にするんだな、ということを言語化してください。
桃太郎パワポの場合であれば、今から「どんな課題から生まれたんですか?」に答えますよ、と。「具体的にどんなサービスなのか?」に答えますよ。「どうすれば登録できるのか?」に答えますよ、という大きな問いをちゃんと言語化していきましょう。
ということで、大きな塊が作れたところで、続いてそれをより小さな問いに分解していきます。
基本的には「具体的には」という問いによって、大きな問いをブレイクダウン、分解していきます。
企画であれば「ターゲットは誰なの?」とか「どんな価値提供をするの?」「どんな手法で届けるの?」「なぜこのタイミングで行うべきなの?」というところをぶつけて、より具体化していきます。
よく使うのは5W1Hですね。誰に、いつ、どこで、みたいなところをぶつけていくんですが、ここは一定、経験と勘が必要になるところではあります。
具体度を高めるって、例えば、私は50人に対して対面で行うパワポの研修の企画書を書くための問いは、けっこう一定の精度で書けます。だけど、薬剤師50人向けに薬の効果を説明する説明会における問いは、あんまり出てこないんですね。
薬剤師の人だったらたぶん薬のこういう効能を気にするだろうなとか、たぶんこういう使い方のあたりを気にするだろうな、という問いは出てこないところがどうしてもあります。
ここの具体化の部分は、やはりある程度、経験と勘がものを言う部分なので、聴き手目線になってQ&Aを作るところが大事なポイントになります。
ということで、最後、若干歯切れが悪かったんですが、Wordでスライドの問いを言語化していきます。
「どんな課題から生まれたんですか?」という問いに対して、「何が問題なんですか?」「どんな状況ですか?」「PB社はどんな事業を行っているんですか?」「村民はどういうことをしているんですか?」「それによってどんな問題が起きているんですか?」というふうに、はてなで終わる疑問文で書いていくのはけっこうおすすめです。
資料の構成は常にQ&Aです。Q&Aを作っていくと、資料の構成はわかりやすくなります。
みなさんに、「問いは、章を分解して大きな塊を作ってブレイクダウンしていくという順番で作っていますか?」という質問です。「A そうしている」「B どちらとも言えない」「C そうしていない」で教えていただきたいです。
「A そうしている」方。すばらしいですね。「B どちらとも言えない」方。ありがとうございます。「C そうしていない」方。ありがとうございます。けっこう割れましたね。ここはある意味、抽象的な部分から作っていくという話になります。
抽象的な部分から作っていったほうがいいのは、あらゆる仕事でそうです。よく「企業の戦略は戦術で取り返せない」という話があったりします。資料も会社も抽象的な部分からブレイクダウンして設計したほうがいいということですね。大きなところから作っていくことをイメージして作っていくとよいです。
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