2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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田上嘉一氏(以下、田上):本セッションをご視聴のみなさん、こんにちは。弁護士ドットコムの田上と申します。今日は深津さんをお招きしてAIアシスタントの活用方法というテーマでお話ししていきたいと思います。
深津さんに関してはもうご紹介する必要もないかなと思いますが、クリエイター集団THE GUILDの代表とnoteのCXOをやりながら、昨年の夏ぐらいからは生成AIで有名に。
深津貴之氏(以下、深津):正式には今年の4月ぐらいからですけど、夏にStable Diffusion(画像生成AI)が出てから、Stability AIのジャパンチーム立ち上げなどをアドバイザリーとしてお手伝いしています。
田上:そうですよね。そちらもやりながら、昨年の夏ぐらいからはnoteのブログのほうで。
深津:「これからAIが来るぞ」というのですね。
田上:「世界変革の前夜は思ったより静か」というブログを書かれていて、何を言っているのかなと思っていたんですけども。ひたすら生成AIで絵を描いていらして、「深津さんがなんか遊んでるぞ」と界隈ではちょっと話題になって。そこから一気にStable Diffusionとかあのようなものが出てきて、そしてChatGPTが出た。
深津:ChatGPT。
田上:今、世の中で一番バズっているワードですけど。あちこちで講演とかされてお忙しいですよね。
深津:おかげさまで、いろいろ仕事をしたりアドバイザーしたり、会議に呼ばれたり。
田上:すっかり時の人となった深津さんです。
深津:どうなんでしょう。
田上:実は10年ほど前に、深津さんに、当社サービスのクラウドサインの開発に一緒に携わっていただいたという経緯があります。
深津:立ち上げの時の基礎設計でお手伝いさせていただいて。
田上:10年ぶりに、あまりにも有名になっちゃったんですごく緊張しながら連絡したんですけども、快く引き受けていただきました。ありがとうございます。
田上:さっそくですが、深津さんといえばChatGPTの深津式プロンプトが話題になっています。
深津:ChatGPTの最初の使い方をわかりやすくするために作成しました。
田上:ChatGPTが出た時に、僕もどうやって使うのかがわからなくて、みんな自分の名前を入れて、「出てきた情報が間違ってるぞ」とか、いろんなことを言って何をしているのかわからなかったんですよね。あの時に使い倒したからあのようなプロンプトが出せたんですよね。
深津:そうですね。基本的には海外にベストプラクティスがあったのと。もう1つは、学習データ上、そういうマークダウンデータとかをChatGPTも学習しているので、ChatGPTが基本的なマークダウン、すなわち記号をつけて階層構造でデータ構造化することはわかっていました。
それをベースに何か使い勝手のいい書き方のルールが作れないかということで作ったものですね。
田上:お金のほうも個人的に相当突っ込まれていたので、「お金がかかった」っておっしゃってましたね。
深津:今でもたぶん月5万円~6万円ぐらいを個人的にChatGPT代に回していますね。
田上:そんなにですか。その後、GPT-3.5が出て、GPT-4が出て、今度は画像が認識できるとか、話しかけることができるというようにどんどん変わってきています。
深津:今週から画像が認識できていますね。
田上:そうですよね。そういったことができるようになっていくかたちですけども、それ以外で、今どういった使い方がおもしろいとか、ご自身として楽しいなと感じることとかありますか?
深津:僕はもう仕事全般で使っていますけれども、ChatGPTを作業者にするんじゃなくて、ChatGPTを上司とか先生とか監督にして使って自分をシャンとさせるやり方はわりと役に立ちます。
田上:シャンとさせる。具体的にはどんなかたちになるんですか?
深津:すごくわかりやすいのだと、企画書とか作るじゃないですか。
田上:ビジネスマンが出しますよね。新規事業の企画。
深津:ChatGPTに「あなたは鋭くて厳しくて突っ込みが激しい上司です。私がこの企画をプレゼンした時に、どのような点について突っ込みを入れてくるでしょうか?」とかでやって。
田上:なるほど。
深津:その想定される突っ込みポイントを全部洗い出して、それに全部答えられるようにしてから本当のプレゼンに行くとか。
田上:なるほど。そうするとやはり的確な突っ込みをしてくれるんですか?
深津:「弱いところを突っ込め」のように命令しておけば、弱いところをボンボン突いてくれるので。
田上:なるほど。それをひたすら直して、また突っ込んでもらってというのを繰り返すと。
深津:例えばそういうのですね。ChatGPTに「原稿を書いて」と言うよりは、そういうやり方のほうが最近個人的に流行っていますね。なんでかと言うと、ChatGPTに原稿を書かせても、作業としてやってくれるだけで、僕はあまり成長できない。けど、企画設計の弱いところに対して想定問答とかをやると、ChatGPTの活用と自分のスキルアップを結合しやすくなります。
田上:なるほど。まさにChatGPTと伴走する。
深津:そう、伴走型。みんなに「ChatGPTに仕事をやらせていると本人が伸びなくなるんじゃないか」と言われるんですけども、たぶん使い方次第です。ちゃんと本人を伸ばすような設計でプロンプトを組めば、むしろいろんなことができる。
田上:ChatGPTは正しい知識を答えることが難しいって言われているじゃないですか。
深津:言われています。
田上:先生や指導役として使うにしても、何かの学問・体系を学ぶというよりは、散文的に突っ込んでもらう役割が多いですかね。
深津:そう、そう。例えば他に、同じように文章を書いて、ChatGPTに「あなたは小学5年生です。小学5年生としてこの文章を読まされたら、チンプンカンプンなところはどこですか?」のように聞く。
こういう聞き方だとChatGPTが専門知識がないとか嘘をつくとかはあんまり関係なく、「読んだんだけど『トランスフォーマー』が何だかわかりません」と言われたら、「じゃあトランスフォーマーの説明をもうちょいやるか」という。
田上:そうですよね。小学5年生だと、トランスフォーマーはロボットが変形するアニメだと思いますもんね。なるほど、そういう使い方ができるんですね。それをやっていくと、今まで新規事業の企画書に怒っていた上司の人はやることがなくなってきますね。
深津:やることなくなってきますね。
田上:どんどんみんなの精度が上っていく。当社は法律のサービスをやっていますが、弁護士向けにChatGPTを使ってこんなのができるのかなと思ったのは、裁判って争うじゃないですか。自分の主張を出す時に「この主張の論理的に弱いところを教えて」とかってできます?
深津:できます、できます。基本的にはさっきの「プレゼンの弱いところを教えて」と構造上は一緒なんで。ただ、両陣営がそれをやったらえげつない裁判になると思いますけどね。
田上:そうですよね。どんどん穴がない議論になっていって、まさにサウザンド・ウォーじゃないけど、もう動かない千日手になっちゃう。
深津:お互いが一番エグい角度から、相手がどれだけ人でなしかを陪審員にアピールするようになったりするのでね。
田上:でも、多角的にものを見ることができる。自分でやっていたら誰か壁打ち相手が必要なんだけども、ChatGPTが壁打ち相手をやってくれるのは非常にいいですよね。
深津:いいです。結局最後は、裁判官も2人の論述から感情論や操作しようとしているところを抜き出して外して、両者に「ファクトだけでまとめてください」ということをやって。
田上:そうですね。
深津:弁護士の熱いトークを打ち消してくると思うんで。
田上:なるほど。
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