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片付けパパ対談 #14 「自分を変える話し方」 ~「話す」をやめれば、人生は変わる ~(全4記事)

「そうそう、私も」は意外と会話相手に求められていない 仕事でもプライベートでも、相手の話が続く「いい質問」

『片付けパパの最強メソッド』の著者・大村信夫氏が旬なトピックでゲストと対談するシリーズ。第14回目は ベンチャー女優として活躍する寺田有希氏が登壇。堀江貴文氏のYouTubeチャンネルで約10年間MCを務めた寺田氏が、新刊のタイトルでもある『自分を変える話し方』をテーマに、話を聴くためのスタンスが語られました。

前回の記事はこちら

「伝わらないのが普通」ぐらいの気持ちでいる

寺田有希氏(以下、寺田):ここからは実践編と言いますか、私がふだんどうやっているかをお話していけたらと思います。

大村信夫氏(以下、大村):じゃあ、資料の共有をしながらのほうがいいですね。

寺田:ありがとうございます。(チャットで)「相手の人生を引き出す聴き方したいです」と。ありがとうございます。

万人に絶対使えるコミュニケーションの方法論がないことは、みなさんも重々承知の上だとは思います。「私が実際こうやっているよ」という方法をお話しして、何か1つでも持って帰ってもらったり、試してもらえたらいいかなと思っています。

まず「話をやめる」とは、どういうことを前提として考えているかについてです。「『話す』をやめる3ヶ条」の1つ目。「人には、『伝わらない』」。こう思うことはけっこう大事だなと思っていて。「伝わる」と思うから伝わらなかったことに疲弊するじゃないですか。

大村:はい。

寺田:例えば過去に「ありがとう」にめっちゃ嫌な思い出がある人がいたとしたら、「ありがとう」という言葉でさえも、「なんか嫌味を言われているのかな」と想像するかもしれないじゃないですか。

言葉って、意味だけではなく、その人自身の経験とか人生に裏づけされているものも、プラスされて解釈されると思うんですね。

大村:なるほど。

寺田:だから、いくらいい言葉や伝わりそうな意味の言葉を選んでも、相手がどう解釈するかは相手次第だから、解釈の方法までこっちはコントロールできないじゃないですか。いくら伝わりそうなワードをチョイスをしたところで、伝わることとは別なんだよ、と思う。「伝わる」を諦めておくとはそういう意味です。

大村:伝わらないのが普通ぐらいの気持ちでいるということですよね。

寺田:そう。何をやっても解釈が違って絶対に伝わることはないから、自分が伝えたいこととか、自分がこうだったら伝わるのではないかということに全力を出すだけでオッケー。伝わるというゴールはないと思うほうがいいかなと思っています。

大村:なるほど。

会話は7:3で相手に話してもらう

寺田:あと、2つ目。「人は、話を聴いてほしい」。

大村:はいはい、わかりますよ。

寺田:けっこう話を聴いてほしい人、聴くといろんなことをしゃべってくれる人が多いんですよ。なので「意外に人って、話を聴いてほしいから大丈夫」と思って、私はいつも聴くようにしています。

次は「話す分量」ですね。昔は逆で、7:3の7ぐらいしゃべらなきゃって思っていたんですよ。ぜんぜん逆で大丈夫でした。

大村:7:3で、相手に話していただくんですね。

寺田:はい。なので全部しゃべってもらうぐらいの勢いで、自分は質問をするくらいの分量でも成り立つよ、と最近は思っています。

大村:うんうん。なるほど。(次のスライド)「『聴く』には」のスタンス編です。

寺田:一応私がやっていることですね。

大村:(スライドの「見た目は勝手に『会話』を始める」を見て)あ、これ!

寺田:これ!(笑)

大村:(本の中で)「まさにそうだよね」と思って超二重丸を引いたんですよ。(見た目は)勝手に会話を始めているじゃないですか。(例えば)怖そうな人を見て、「なんか怖そう」って(相手の見た目が自分に)語りかけているじゃないですか。

この本を読んでいたのが日曜日の朝で、めっちゃ髪がボサボサだったんですけど、この一節を見て「あっ、やべぇ」と言ってその日に床屋へ行ったんです。

寺田:ありがとうございます。

大村:「ああ、そうだった」と思って。

寺田:そう。だらしない人と思われちゃったらダメですからね。

大村:そうです。これは本当に重要だなと思いました。

寺田:おっしゃる通りで、本当にこれはめっちゃ重要だと思っていて。見た目の清潔感もあると思うけど、顔の作りとかもあるじゃないですか。何もしなくても優しそうに見える人とか、はたまためっちゃ怖く見える人とか、印象を理解しておくだけで、自分が相手とどう向き合えばいいかという、スタートラインが変わるなと、すごく思っています。

大村:イケメンとかイケ女子じゃないとダメとか、そういうのではないですよね(笑)。ここは寺田さんは、あまり説得力がないかなとちょっと思ったんですけど、そういうことじゃないってことですね。

寺田:私、(大村氏のことを)第一印象で、すごく優しそうな印象を受けるんですよ。

大村:はい。

寺田:例えば「威厳を出してしゃべりたい」とか、「この人には自分の指示に従ってほしい」と思ったとするじゃないですか。でもファーストインプレッションで、優しい印象を与えるんだなと理解してると、たぶん伝え方が変わりませんか? ということです。

大村:ああ、なるほどね。優しくいたいなとは思っています。

相手に与える印象を理解しておく

寺田:優しいイメージを持たれるのに、「今日こそは威厳を出してしゃべりたいんだ」と思った時に、例えば威厳がある言葉を、ふだんみたいにニコニコして伝えてしまったとしても、それは威厳があると聴こえない可能性があるじゃないですか。

大村:そうです。

寺田:じゃあ、伝え方を考えたほうがいいよねと、たぶん思考を変えていけると思うんです。

大村:そうですね。威厳を持って話すことがあまりないので、例え話ですけどね。

寺田:大丈夫です。だから例えば、「怖い」と思われる人が、後輩と仲良くなりたいのに、不器用な感じでそのまましゃべっていたとする。自分が怖いんだったら、何か優しい言葉を掛けるなり、心に寄り添っていくなりしたほうがたぶん良くて。

大村:見た目は重要ですよね。

寺田:相手に与える印象を理解しておく感じ。それは大事かなとすごく思っています。(チャットを見て)おっしゃるとおり、見た目って勝手に判断してしまうんですよ。怖い見た目をしていて「この人怖い」と勝手にレッテルを貼られたりしたら、もったいないじゃないですか。そういう可能性があることを理解しておく。

大村:けっこう僕、街で道を尋ねられるんですよ。

寺田:だって優しそうだもん。

大村:僕も旅行で来たところだからわからないのに、尋ねられるんですよね。

寺田:優しそうだからですよ。

大村:道を尋ねられるようになったら、ちょっと表情が優しい感じになっているみたいな。

寺田:いや、表情よりも以前に、大村さんの顔の作りが優しそう。

大村:顔の作りが。

寺田:そう。

大村:なるほど。

寺田:あまり腑に落ちてないですよね(笑)。

大村:わからない(笑)。今、褒められているのか、どう受け取ればいいのか。(チャットを見て)あっ、褒められているんですね。じゃあオッケーだ(笑)みたいな感じで、見た目が勝手に、ということですね。

寺田:見た目が勝手に。

会話にも句読点がある

大村:(スライドの)「『間』を怖がらない」。僕、間が怖いんですけど、どうすればいいんですか。

寺田:私も、会話に間が空いてしまうことや沈黙の状況とか、間が怖かったんですよ。でも、だいたい大丈夫でした。いろんな人としゃべったんですけど、むしろ間が空くって、けっこういいこともあって。

大村:はい。

寺田:「この人真剣に考えているんだな」みたいに思われることって、けっこう多いんですよ。なので間を怖がって、意味のわからない言葉を立て続けに連呼するよりも、間をしっかり取ってしゃべったほうが、「あ、この人、真剣に考えているんだ。言葉を選んでくれているんだ」という印象を相手に与えるので。間を怖がって、言葉で埋めるほうがマイナスが多いかなと思っています。

大村:本では、「話にも句読点がある」という表現で合っていますか?

寺田:合っています。文章の時は句読点を打ったりとか、行間を改行したりするじゃないですか。でも、会話になると一気にその句読点とか……。

大村:句読点がなくなって、ガーっと話してしまう人がいますよね。

寺田:そう。ペラペラしゃべれるほうが、世の中では良しとされていたりして。でも、「会話にも句読点があっていいじゃないか」と、怖がらなくても大丈夫と思うようにして。

大村:会話にもね! 「沈黙は金」とか「雄弁は銀」でしたっけ。わからないですけど、そういう言葉もありますからね。たぶん。

寺田:わからないんだ(笑)。

大村:こう言うと、オンラインの人とかが調べて、チャットに投げてくれるんですよ。すごく便利ですよね。

寺田:うん。

リアクションは取ったほうがいい

大村:(次のスライドは)「リアクションしときゃなんとかなる」。お!

寺田:なんとかなります。

大村:なんとかなる。

寺田:もちろん、ある程度会話をスタートさせたあとの話ですけど。何回かこういう講演をやらせてもらったりする中で、「いい質問をしないと」とか、「いい返しをしないと」と思って、それがプレッシャーになる人が多いなと思ったりしています。

あと、過度なリアクションを取ってはダメなのではないかとか思う人もけっこういるんですけど、リアクションは取ったほうがいいと思っています。

「聴く」姿勢って本当に大事だと思っていて。それこそ相手に対してちゃんと体を向けるとか、目を見るとか、「あなたの話を聴いていますよ」と時には前のめりになるとか。これだけで「大丈夫。この人は私の話を聴いてくれる人なんだ」という印象を、相手に与えられることができるんですよね。

大村:なるほど。

寺田:この印象を与えられるかどうかが、私は、ファーストステップとしてめっちゃ大事だと思っています。「大丈夫。私は、あなたの話を聴いているよ」というスタンスを作って、そのあとはリアクションしておけばなんとかなります(笑)。

大村:あとはリアクションしておけばなんとかなる(笑)。

寺田:「そうなんですね。すごーい!」とか。

大村:(笑)。

(会場笑)

寺田:私、これでなんとかしてきました。しかも、「あ、そうなんだ。すごーい!」と言ったら、もう1個、勝手に何か話題を出してきてくれたりするんですよ。そしたらもう会話が成り立つんです。

大村:なるほど。

寺田:なんとかなります。ぜひ、リアクションは大きめに。

大村:「すごい」とか。さしすせそって言いますよね。「さすが」とか……これもたぶん誰か(調べて)言ってくれる(笑)。

寺田:めっちゃ(参加者の方に)頼るスタンスですね(笑)。

大村:はい。

寺田:「すごい」と思わなかった時は、「そういう考えもあるんですね」。

大村:なるほど! なんでも行けますね。

寺田:「そういうこともあるんですね」

大村:別に否定もしてないですね。

寺田:「知らなかった。気づいてなかった」と言って。

大村:なるほど、すごいですね。

寺田:あ、(チャット欄で先ほどの問いの)答えを出してくれています。

大村:出してくれていますね。「沈黙は金、雄弁は銀」ですよね。

寺田:これ(2つのフレーズ)で1つのことわざでしたね。あとで見ましょう。

大村:ありがとうございます。

寺田:ありがとうございます。

「はい」という相槌はもったいない

大村:次は、「相槌は『うん』」。

寺田:これ、すごく細かいことですけど、ビジネスで話をする時や、あとはすごく目上の人と話す時、みんなけっこう意識して「はい。はい」と相槌を打つ方がいるんですよ。でもこの「はい」という相槌は、私はもったいないと思っています。

大村:もったいない。

寺田:もったいないと思っていて。

大村:はい。あっごめんなさい(笑)。いや、普通に(はいと言ってしまった)。うんうん。はい。あー! すみません。みなさんも(「はい」のループに)はまると思います。

寺田:(笑)。この「はい、はい」って真面目には聞こえると思うんですけど。

大村:はい(笑)。

寺田:折り合っていくかどうかと言ったら、いかないことが多いのと、その話に興味なさそうな印象がつきやすいんです。

大村:なるほど。

寺田:「はい、そうですね」みたいな。

大村:ああ。「御意」みたいな感じ。

寺田:そうそう。近いかも。なんか指示っぽく聞こえるというか。もちろん「はい」じゃないとダメな時も、あるんですけど。

大村:はい。(笑)。ダメだ。ごめんなさい。

(会場笑)

大村:初対面とかで、「うん」はなかなか言いにくいですよ。「うんうん」。

寺田:「へえー、うんうん」って。

大村:うんうん。

寺田:むしろ「うん」と言ったほうが、相槌が「あなたの話を聴いているよ」と伝わることもあるのと、「はい」は意外に話が盛り上がっていきにくいというだけです。

大村:なるほど。頷きでもいいわけですね。「うんうん」のように。だから「うん」と言いにくい場合は、口を閉じて「ん」というと、「うん」みたいな。上司相手でも大丈夫そうな感じがしますよね。

寺田:そう。「うん」と書くからあれですけど、おっしゃるとおり「ん」とか(頷く動作)とか、もうぜんぜん「はい」だけにこだわらないほうが、私はいいことがありました。

大村:なるほど。はい(笑)。

(一同笑)

相手の「しゃべりたい」のサイン

大村:次が「相手の呼吸を見る」。これ、難しくないですか? ブルース・リーとかが得意そうだけど。

寺田:(笑)。相手の話を中断させてしまうことって、傾聴力というか「聴く」時には、やめたほうがいいとされているじゃないですか。私もそれはなるべくしたくないと思っていて、そういう時に使える技です。

当たり前ですけど、人って言葉をしゃべる前に、息を吸うじゃないですか。何かここぞとばかり言いたいことがあったりする時、「息を吸ったな」とわかるんですよ。

大村:あ、わかるんだ。

寺田:息を吸ったら絶対その人はしゃべるので。肩が上がったなとか、のけ反ったなとか思うと絶対その人はしゃべるから。これ、人数が多い時とかにけっこう使えるんです。大人数でワーワーなっている時とかに、「あ、のけ反った」と思ったら、たぶんその人はしゃべりたいから、しゃべるのを待つ。

大村:なるほど。

寺田:けっこう細かいことですけど、これを知っているだけでちょっと私は(相手の話を中断させてしまうことが)減ったので、ぜひ使ってほしいなと思います。

あるあるな質問は「その先」がない

大村:なるほど。次が、「『聴く』には」の質問編。

寺田:ここまでは、見た目の話などの大枠な話でしたが、実際に「『聴く』となったら質問は大事じゃん」と思われるかなと思うのと、私が質問する時に、気をつけていることをまとめてまいりました。

大村:(スライドの)「あるあるな質問」ってどんな感じですか?

寺田:例えば、「好きな食べ物は何ですか?」「趣味は何ですか?」「好きなお寿司のネタ何ですか?」とかです。

大村:あるあるね。

寺田:はい。一時的な場の盛り上がりは作れたりするので、それで十分な場合はこれでもいいんですけど。より関係値を深めていきたいと思った時に、これをしてしまうともったいないんです。だいたいこういうあるあるの質問は、その先がないんです。

大村:うん。そうですね。

寺田:「好きな食べ物は何ですか?」

大村:「ハンバーグです」。

寺田:「ハンバーグ、おいしいですよね」でだいたい終わるんですよ。

大村:そうですね。

寺田:聞いたはいいものの、「いや、次なんて質問しよう」と悩むことが多くないですか? 使いやすいし、思いつきやすいし、一時的にそのまま「ああ、私も好きです。ハンバーグ」とかなるかもしれないですけど、もう一歩先に行けないので、これに逃げてしまうともったいないと私は思っています。

「そうそう、私も」は意外と会話相手に求められていない

大村:じゃあどういう質問がいいですかね。

寺田:すばらしいフリ(笑)。次(のスライド)に行きましょう。

大村:はい。「相手が話したいことを聞く」。

寺田:私は、これが一番大事だと思っています。相手が話したいことを聞けたら最高ですよ。例えば、「最近怖いことがあってさ、最悪だったんだよ」と言われて、「あ、私も最近怖いことがあった」。これが自分が話したいこと。

大村:はい。

寺田:でも相手は、きっとその出来事を話したいじゃないですか。だから、「へえ、何があったの?」と聞く。それが、相手が話したいことを聴くこと。

大村:うん。はいはいはい。

寺田:(自分が)言いたいことを言うのではなく、相手が聴いてほしそうなことを、質問に変えて聞くのが一番大事かなと思っています。

大村:なるほどね。よく話を取ってしまう人、いますもんね。

寺田:はい。

大村:俺が話したかったのに、相手の話が長くなったり、盛り上がってしまう時とか。

寺田:まさにそれをしたらもったいないと思うし、話の流れ的に「この人は何が言いたいんだろう」と1回想像して、それを質問に変えて聞くのが一番いいかな。相手の関心があることを想像して、そこの関心に乗った質問をする。

「そうそう、私も」と言ってしまいがちですよね。私もずっと言っていたんですよ。「あ、わかります。そうそう」みたいな。でも、これって意外に求められていない。

大村:そうです(笑)。

寺田:なので、本当にいい質問は「相手が話したくなる質問」のことだなと私は思っています。そして、その人が何を言いたいのか想像することがいい質問の一歩かなと思います。

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