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第980回 トレンド経営学「仕事を任せてもらえる状態を作るために」(全1記事)

「がんばっているアピール」には、実はメリットの側面もある “仕事を任せてもらえる人”が意識している3つのポイント

日本最大のビジネススクール「グロービス経営大学院」が、ビジネスパーソンに向けて、予測不能な時代に活躍するチャンスを掴むヒントを配信するVoicyチャンネル『ちょっと差がつくビジネスサプリ』。本記事では、「仕事を任せてもらえる状態」を作るためのポイントをご紹介します。 ■音声コンテンツはこちら

「仕事を任せてもらえる人」の共通点

加藤想氏:今日は「仕事で裁量を持つためにできること」をテーマに考えていきます。転職理由のランキングを見ると、「仕事の内容」という理由が挙げられていることがあります。自分なりにやりがいを感じられる仕事ができれば、生産性も上がって、何より楽しく仕事ができるようになりますよね。

一方で、「裁量の大きな仕事を任せてもらえない」という悩みを持つ人がいたり、いろんな仕事を任せてもらえる人とか、いわゆる大抜擢人事をされる人などさまざまです。

もちろん、仕事の裁量が与えられるかどうかは、才能や能力、時の運などいろんな要因があります。ただ、若いうちから仕事を任せてもらえる人には共通の行動特性もあります。

私はふだん、グロービス経営大学院に通う受講生の方と1on1をする機会が多いんですが、やはり仕事を任せてもらえる人には、共通点があります。今日は、任せてもらえる人の共通点と、その人たちが日々どんなことを意識しているかについて、1on1からわかったことをもとにお伝えしていきます。

まず任せてもらえる人に共通しているのは、「よしなにお願いします」と言われる機会が多いということです。細かい指示もなく雑に丸投げでお願いをしても、大きくズレずに仕事をしてくれる。このように思われているわけです。

信頼感があると仕事を任せてもらえるというのは当たり前のことなんですが、信頼は、一朝一夕で得られるものではありません。実績を作ったり、日常のコミュニケーションの中で地道に少しずつ積み上げていくしかありません。

デキる人の“上司への質問の仕方”

ここからは、(仕事を)任せてもらえる人が信頼を積み上げるために、日々意識している行動を3つお伝えしていきます。

1つめは、常に自分ができる限りの付加価値を模索するということです。私が働くグロービスのある受講生は実務で「自分が召集された会議に向けて、必ず事前に自分なりにどんな発言ができそうか10分間時間を作る」と言っていました。あらかじめ資料を読み込んでいたり、参加者にとって有益な情報がないか、事前に調べるそうです。

会議中に発言をしない人もいますが、これは参加をしていないのと同じです。仮に発言ができなかったとしても、次の会議のミーティングをカレンダーでおさえるとか、そんな小さなことでもいいので、率先して行うことが信頼感の醸成につながります。

「付加価値」と聞くと、何か新しいアイデアを出すというイメージで捉える人もいますが、そこまでハードルが高いわけではありません。誰かが助かる仕事をすれば、それは立派な付加価値になります。このように考えると、会議以外でもいくらでも付加価値を出せる場面があることに気がつきます。

例えば、上司にわからないことを質問する時に「○○についてわからないので教えてください」と聞くのと、「○○については私はAだと思いますが、いいですか?」と聞くのとでは、相手の時間はもちろん、考える手間も減らすことができます。

さらに良い聞き方としては、「○○についてはAとBという選択肢があり、こういう理由でAが良いと思いますが、いいですか?」。このように聞くほうがより良いですね。日常の中で工夫できるポイントを探してみてください。

選ばれるのは、役職の高い人ではなく「最も考え抜いた人間」

2つめは、まだ誰も手をつけていないめんどくさい課題を言語化しておくことです。これもグロービスの受講生の話ですが、役職が上の人と雑談をする時のために、組織の課題を常に言語化していると言っていました。

私自身も過去に、ふとした雑談のタイミングで重役の方とした課題の話を覚えてくださっていて、時間が経ってからそのプロジェクトにアサインをされたことが何度かありました。

おそらく役職が上になればなるほど、組織の大きな課題について常日頃から悩むことになると思います。そんな難しい課題に対して、誰をアサインをするのかも、課題解決同様に悩ましいことだと思います。それを想定すると、同じ課題意識を持っているメンバーにアサインしたくなる気持ちがわかります。

私が勤務しているグロービスの責任者も、重要な案件に誰をアサインするかを考える際に、「役職ではなくて、最も考え抜いた人間をアサインする」と言っていました。

日常業務を回すだけでも忙しい人がほとんどだとは思うんですが、仕事を任されるためにも、少し引いた目線で解決した方が良い課題や重たい課題について、考える習慣を持つことが重要だと思います。

「がんばっているアピール」に抵抗のある人へのアドバイス

そして最後に3つめですが、能力開発など、自分が業務以外で取り組んでいることを周りに公言するということです。多くのグロービスの受講生が、グロービスに通っていることを社内でも公言し、体系的に学んだものを実務に活かそうとしています。

このことがきっかけで、希望の部署への異動が叶ったり、これまでよりも裁量の大きな仕事にアサインをされる。このような方が多くいます。周りに公言することは、副次的効果として、自分自身も学ぶモチベーションが上がって、最後までがんばりきれる。こんなメリットもあります。

「がんばっているアピールはあんまりしたくないなぁ」という人もいますが、能力開発していることをそのまま実務に活かすことができれば、自分にとってもモチベーションが上がりますし、組織にとってもプラスになります。

気にせずアピールしつつ、周りでアピールしている人がいたら、それを応援するぐらいの器量を持ちたいなと私自身も思います。

というわけで、今日は「仕事を任せてもらう状態を作るために」をテーマに考えてみました。自分なりの付加価値を積み重ね、めんどくさい課題を言語化し、努力していることを公言する。これら3つをお伝えしました。

もちろん、裁量のある仕事を求めて転職をするという選択肢もありますが、少なくとも自分なりに努力をした上で転職をしないと、新しい組織に移っても同じことの繰り返しになりかねないので注意が必要です。

また、根本的な話にはなりますが、そもそも最も重要なことは、裁量のある価値のある仕事を作り出すことが大前提になります。環境変化に合わせて柔軟に仕事のやり方をブラッシュアップしたり、新たな価値のある仕事を生み出すことがリーダーには求められています。

今日のお話はここまでといたします。

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