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第887回 仕事に役立つABC『リーダーの言葉の力』(全1記事)

リーダーになって気づいた、かつての上司の効果的な伝え方 自分の言葉・考えをメンバーに届けるコツ

日本最大のビジネススクール「グロービス経営大学院」が、ビジネスパーソンに向けて、予測不能な時代に活躍するチャンスを掴むヒントを配信するVoicyチャンネル「ちょっと差がつくビジネスサプリ」。本記事では、リーダーの言葉の力について語られました。 ■音声コンテンツはこちら

リーダーになって気づいた、かつての上司の効果的な伝え方

熊谷翔大氏(以下、熊谷):今日は「リーダーの言葉の力」がテーマです。先週に続いて、今週もマネジメント、リーダーシップを題材にお話ししたいと思います。

この放送を聞いておられる方の中には、チームを率いる立場で、部下、チームメンバーをかかえて仕事をされている方がたくさんおられるかと思います。

チームを率いる中で、「チームとのコミュニケーションがなぜかうまくいっていない」とか、「自分は伝えているつもりなんだけど、どうもメンバーにうまく意図が伝わっていない」と感じた経験が一度はあるのではないでしょうか?

広く捉えると、後輩を育成する立場の方も、ある意味で似た経験があるはずです。もちろん、私自身もリーダーの立場で「なんだか、うまくいっていないな」と感じる場面を、これまでに何度も経験しています。

そういう時、気持ちとしては「けっこう辛い」と感じるのではないでしょうか。誰かが近くで見て、すぐに状況をひもといてアドバイスをくれるわけでもないですし、相談できる相手がたくさんいるわけでもありません。そんな状況の中では、正直なところ、自分でなんとかするしかないと感じています。

「では、どうやって自分でなんとかするんだ」という方法が気になるのではないでしょうか? 正直私も、何が正解なのか、まだわかりません。だからこそ、いろいろな人の話を聞いたり、本を読んだり、過去に一緒に仕事をさせてもらった先輩や上司のことを思い返しながら、日々いろいろ試行錯誤をしています。

ということで、今日は私が実際に試してみて、「これは効果があった、もしくは効果がありそうだな」と思っている方法をご紹介します。

私は前職のメーカーで人事の仕事をしていましたが、その時の上司は伝え方が非常にうまい人でした。その上司は会社の方針を踏まえて、自分の言葉でいろいろハッキリと伝えてくれる方でしたが、ただ単にミーティングの場で話すだけではなく、ちゃんと文字に落として伝えてくれる方でした。

具体的には、「会社の方針はこうだよね」「それを踏まえて我々のチームはこれを大切にしていこう」「リーダーの自分はこう考えているよ」という感じで、リーダーとして自分の考え方を文字にして伝えてくれました。

当時の私は、「書き出してくれたんだ。ありがたいな」くらいに感じていたのですが、今思い返すと、会社の方針をしっかりと理解できたり、その上司の考えていることがハッキリわかったりと、気がつかないプラスの要素が多かったと思います。

自分の言葉・考えをメンバーに届けるコツ

私も今、こうしてグロービスで働くようになり、リーダーの立場で仕事をさせてもらっています。もちろん、うまくいかない時もあるのですが、そんな時に、今お話しした前職の上司のことを思い返して、書き出して、伝えることを時々やっています。

やっていることとしては、会社の方針について自分の言葉で書いて話したり、メンバーに「こんな姿になってほしい」と、けっこう青臭く伝えるようにしています。方法としては、単純な文字だけのドキュメントを作る時もありますし、本気でスライドを作って話すこともあります。

実際にやってみてどうなのかというお話ですが、「書いて伝えるのはいいな」と思っています。

「やっていいな」と感じる理由は2つあります。1つ目は、メンバーに対して自分の考えと思いがしっかり伝わるところです。やはり言葉にしないと、自分が思っている以上に伝わらないと感じます。だからこそ、考えていることを正面から言葉にするのが大切です。

何より、文字や資料にして伝えることで、リーダーの本気度が伝わると感じます。メンバーの心をしっかりと動かす。これが大切ではないでしょうか?

2つ目の理由は、リーダーである自分自身が何を考え、何を伝えたいのかがより明確になります。本気でメンバーに伝えようと思ったら、書くことも話すこともどちらもですが、必死に考えるんですよね。頭で考えるだけではダメで、人に伝えようとするからこそ、自分の思考が整理されていくと感じます。

さて、これを聞いたあなたはどのように感じたでしょうか? もしあなたがリーダーを担っていて、チーム内のコミュニケーションに課題を感じていたり、自分の考えが伝わっていないなと感じているのであれば、ぜひ一度、文字にして、資料に落として伝えるというアクションをやってみてほしいと思います。

もちろん、正直なところを書き出して伝えるアクションは、けっこうパワーがいるんですよね。大変なんですけど、他の仕事を少し止めてでも、ちょっと時間をかければ誰でもできるアクションだと私は考えています。

リーダーの言葉には、思っている以上に力があります。本気で書いて、本気で伝えてあげれば、必ずメンバーに届くはずです。

先週の放送では、リーダーの聞くことの大切さをお話ししましたが、それと同じくらい伝えることも大切だと私は考えています。ぜひリーダーの言葉の力を信じて、部下、そしてメンバーの方に語りかけてほしいと思います。

それでは、今回はここまでです。いつも聞いてくださり、本当にありがとうございます。本日も素敵な1日をお過ごしください。

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