2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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笹田裕嗣氏:営業ハックの笹田でございます。お昼明けの方だったり、お昼休みの時間を少しずらしてご参加いただいている方もいらっしゃるんじゃないかなと思いますが、本日は貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。
今日のテーマが「不健全な社内コミュニケーションがなぜ発生するのか」という、なかなかキャッチーなというか、大胆なタイトルを付けさせていただいております。
仕事をしていると、特に営業という仕事中心でコミュニケーションを取っていると、確実に発生するのが「報告・連絡・相談」ですよね。なので、この「報連相」というところを踏まえながら、社内のコミュニケーションを円滑に進めていくための考え方・進め方について、今日はみなさんと学びを深めていきたいなと思っております。
弊社営業ハックという会社は、フルリモートで勤務をしている会社でございます。「今どき増えてきたな」というところではありますが、私を含めて誰一人オフィスには出社はいたしません。
いつも(背景に)ホワイトボードがあるので勘違いいただくことがあるんですが、ここは自宅です。みんな自宅から仕事をしながら、商談をしたり、営業代行としてお客さまの代わりにお電話をかけたりしております。
なので、昔営業でやっていた「とにかく気合いだ。根性だ。もっと気合いを入れてやれ。もっと押しを強くやれ」みたいなコミュニケーションが取れない中で、どうやって我々は成果を出してきたのか。
どうやってメンバーの成長を促してきたのか、関わってきたのかというところで、さまざまなナレッジ・ノウハウがたまってきております。今日はこのあたりの具体的なノウハウというよりは、考え方の部分を中心にお話しします。
あらためて、みなさんの会社で円滑なコミュニケーションが広がるようにということで、今日はお話ができたらと思っております。
「報連相」と1つお伝えしました。私のX(旧Twitter)をご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、先日こんなポストをしました。「報告・連絡・相談のコツを思いつくままに26個挙げてみました」ということで、たくさんあるなと実感・体感いただけるんじゃないかなと思います。
まず1つ目が「悩んだらまずは報告・相談をする」。「タイミング・順番を意識する」「意見(主観)と事実(客観)を分けましょう」とか、こうやって報連相を見ていただくとわかるかと思うんですが、やはり(コミュニケーションって)難しいんですよね。
なので、社内のメンバーたちは、この難しいコミュニケーションをやっているんだということをぜひご理解いただきたいなと思います。
「コツ」という言葉でまとめると26個ですが、まだまだあると思います。他のこともいろいろと考えなきゃいけないんですが、何が言いたいのかというと、「報連相だけで、26個もやらなきゃいけないこと・意識しなければいけないことがあるんだ」ということを、まずはご理解いただきたいです。
つまり難しいんですよね。これだけ難しいこと・やらなきゃいけないことがたくさんある中で、じゃあどうやれば社内のコミュニケーション・関わりは円滑に進めることができるのか。
今、画面を共有させていただいた内容をいま一度ご確認をいただきながら、「確かに」「私だったらこう思う」と、社内の方同士でも議論していただけると、また円滑なコミュニケーションにつながってくるのかなと思います。
コミュニケーションは相手がいて初めて成立します。自分だけじゃ成立しません。自分と相手がいて、言葉のキャッチボールを交わしていくから成立するものです。
「言葉のキャッチボール」と表現はしましたが、その間に流れる空気感とかを含めて「日本人は空気をよく読む生き物だ」みたいなことを言ったりしますが、空気を読むってこれまた難しいんですよ。
ましてや「リモートワークで空気を読むってどういうことなの?」というところでいうと、いつもSlackやチャートツール、メールの文末がビックリマークだった人が、急に句読点も付かなくなったとか。「なんか機嫌悪いのかな?」みたいなかたちで、これもある意味空気を読んでいるわけですね。
だから、空気を読むことは「察する」ということなんですが、オンラインでコミュニケーションを円滑に進めるに当たって、「察してほしい」というコミュニケーションを取らないことがベストですというのが、基本的には大前提です。
こういったことを意識していく中で、どうすればみんなが気持ち良く仕事ができるのか。伝えたことがちゃんと伝わるのか。また、指示した内容をしっかりやってもらえるのか。このあたりをぜひ一緒に学んでいければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
では、今日の資料を共有しながらお話しをさせていただければと思います。気になることや聞きたいことがありましたら、スライド凝視というよりはQ&Aにご記入いただきながら、みなさんの実務に落とし込んでいただくかたちでこのウェビナーを使っていただきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、こちらの資料やウェビナーでお話しさせていただいた内容は、画面等すべて含めて、SNSで発信いただいたり、社内で「これを聞いたからみんなでやろう」みたいなかたちでスクショをばんばん撮っていただいて大丈夫です。
繰り返しになりますが、みなさんの実務、営業、社内のコミュニケーションを円滑に進めるために何ができるのか。このお時間をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、さっそく中身に入っていきたいと思います。「正しい会話」と書きましたが、どうすればコミュニケーションがうまくいくんだろうかというところを、1枚のスライドでまとめさせていただきました。
コミュニケーションをしっかり取っていくにあたっては、会話をすること、視点・基準を合わせること(がポイントです)。
「会話」と「コミュニケーション」は意図的に分けておりますが、言葉だけではないノンバーバルのコミュニケーションってありますよね。「メラビアンの法則」を聞いたことはありますでしょうか? 人は、目から入ってくる視覚情報に半数以上の印象の影響を受けています。
次(のポイント)は何なのかというと、内容じゃなくて「話し方」ですね。
私は、こういったウェビナーやYouTubeでお話をする時は、だいたい少し早口めでお話をさせてもらっています。これはなぜかというと、飽きちゃうからなんですよね。ずっと淡々と、つまらなそうに話をしていたら飽きます。
このスライドをつまらなく話そうと思えば、「それでは本日のテーマ『正しい会話のあり方』についてお伝えします。『3つのバランスを整える』ということで、会話、視点・基準、コミュニケーション。ここを意識いただくことによって……」みたいなかたちで、「話している側のお前が明らかにつまらないだろ。飽きてるだろ」みたいな話し方をしようと思えばできるんですよ。
そんな話し方をしたところで、受け手側からすれば「ねむ……」「だる……」「なんか電話が来たから電話しよう」「メールが来ているからメールの対応をしよう」というかたちで、気持ちがどんどん離れていってしまいます。なので、そういう状態を作らないでいただきたいなと思っています。
何が言いたいのかというと、3つのバランスを整えましょう。会話や基本的なコミュニケーションを取るにあたって、どんな言葉を選べばいいのかちゃんと考えていますか?
今日の営業ハックの朝会でちょっとしたワークをやったんですね。「9月の1ヶ月を振り返って、漢字1文字で表してください。そしてこの漢字1文字を選んだ理由を教えてください」というワークをやって、ペアを作って共有してもらったんです。
なんでそのワークをやったのかというと、意図は「自分が選んだ言葉の目的・意味・意図をちゃんと持っているかどうかを考えましょう」ということです。
多くの人は「最近、調子どう?」「ぼちぼちです」と、感覚的に聞かれたら答えるんですが、「なんで『ぼちぼち』って答えたんだろう?」ということに答えられる人がいないんですよね。
「とりあえずこれを言っときゃ大丈夫」というかたちで、「とりあえず」で言葉を選んでしまっている人が多いんです。なので、そうならないようにするためにも、意図・目的をちゃんと持ちましょう。
そして自分が伝えた言葉に対しては、ちゃんと受け取ってもらえるのかどうか、視点・基準合わせをしておく必要もあります。
視点や基準を合わせるって何なのかというと、例えばマーケティングの専門用語でいけば、みなさんも聞き慣れている言葉もあるかもしれませんが、「CVR」「LTV」「CPA」とか、アルファベット3文字はけっこう多いんです。
マーケターの方からすれば当たり前かもしれないんだけれども、例えば弊社で営業のご支援をさせていただいている中小企業の社長さんでいくと、「『CPA』って何?」みたいな会話が起こるわけです。
「獲得単価が」「1件当たりのお問い合わせいただくに当たるコスト・費用がこれぐらいかかります」というかたちで、言っている意味合いは同じだとしても、相手の基準やレベル感に合わせて言葉のチョイスを考える必要があります。じゃあそのチョイスをするためには、視点・基準をちゃんと合わせなきゃいけないですよね。
そしてもう1つは「コミュニケーション」です。これも「自分がどう伝えるか」ということだけではなくて、相手がどういう背景・バックボーンで会話をしているのかを意識しなければ会話は成立しません。
デキるビジネスパーソンって相手を疲れさせないんですよね。やっかいなビジネスパーソンだと何が起こるのかというと、会話をしていて疲れます。
ざっくりしたイメージでいくと異業種交流会みたいなかたちで、昨日、100人の営業パーソンたちが集まるイベントに久しぶりに参加させてもらったんです。
本当に何年ぶりだろうというぐらいで、10年は行きすぎかもしれませんが、本当にそれに近いぐらい大規模な交流会にまったく出ていなかったので、私はめちゃくちゃ疲れました。
(主な疲れた理由は)人が多かったからなんですが、1対1のコミュニケーションでも相手を疲れさせてしまう人がいるんですね。それはなぜ起こるのかというと、「疲れる」というところは、あくまで事実ではありません。会話において肉体的に疲れるわけではなくて、精神的に疲れるんですよね。
「精神的に疲れる」って何なのか。「やりとりや会話の中でストレスを感じる」「理解するのがめんどくさい」「言っている意味がわからないから、自分で調べながら会話をしなければいけない」ということが起こってしまって、ストレスやコストが発生します。
そしてもう1つ。相手にストレスを感じさせてしまうコミュニケーションが、「温度感がズレている時」なんですよね。
営業が「めちゃくちゃやりたい」「売りたい」と思っていても、「ぜひやりましょう。買ってください。すぐ使ってください」みたいなことを言われると、まだ検討中で情報収集段階のお客さまは「こいつ、売りたいだけだな」とストレスを感じてしまう。これは温度感がズレているからです。
なので、事象や目的や目標に対して、自分がどういう思い、気持ち、熱量、モチベーション、解決意欲を持っているのかによって、相手との距離感が決まってきます。なので、営業する側の方々は温度感を(相手に)合わせなきゃいけないです。
そして社内のコミュニケーションにおいても、温度感合わせって大事なんです。「この問題解決は、会社にとって絶対に必要だからやらなきゃいけない」と思っている役員と、一方で仕事で上司から言われているからやっている部下、みたいなことが起こると一番やっかいですよね。
部下からすれば、その作業をやれと言われているからやっている。温度感は冷めている状態です。一方で役員陣・上司の方々からすれば、「これは会社的に一大プロジェクトだ。絶対達成するぞ」という気持ちでいる。
部下からすれば「なんかやっているよ。まためんどくさいことが起こってるな」と思ってしまう。また、上司からすれば「これだけ大事なプロジェクトなのに、なんでこいつは主体性もなく仕事をしているんだろう」と思ってしまうのは、温度感を合わせるコミュニケーションを行っていないからです。
人の関わり方において、「自燃型」「他燃型」「可燃型」「不燃型」という4つがあります。「燃える」というのは、やる気になるものがあることです。理想は自燃型で、自分でモチベーションのコントロールができて、自分でやる気を高められる人。
ただ、すべてがすべてそういった人たちではないので、人の影響を受けてやる気が上がる人(多燃型)もいれば、一時的にテンションが上がる可燃型もいます。
「今日はいいことがあったから」「『めざましテレビ』の占いで1位だったから、今日は絶対にいいことがあるはずだ」と思って勝手にテンションが上がる人とか。これはモチベーションじゃなくてテンションですが、一時的にやる気になる人もいます。
一方で、まったくやる気にならない人もいます。今、みなさんの社内で関わっている人はどういったタイプなのか、ぜひ意識していただきたいです。
そしてもう1つが、この「自燃型」「他燃型」「可燃型」「不燃型」というのは、お題・テーマによって変わります。
例えば弊社・営業ハックという会社の中でも、自社の営業をする人、お客さまの支援をするカスタマーサクセス部門、人事、労務、財務、経理、バックヤードの部門というかたちで、部署はいくつかあるわけです。
「私は営業という業務に対してはモチベーションが上がるけれども、請求書を作るとか、そういった作業はなかなかモチベーションが上がらないんだよね」とか。
一方で逆もいるわけです。「事務作業が大好きだし、誰かのサポート・支援をすることに対してモチベーションは上がるんだけど、表に立ってやることに対してはあんまりモチベーションが上がりません。やる気になれません。自分にできるとは思えません」という人もいます。
「自燃型」「他燃型」「可燃型」「不燃型」といった時に、全部の問題や取り組みに対してモチベーションが寄与するわけではなくて、お題・テーマによっては変わってくるということを、ぜひ意識いただきたいなと思います。
営業ハックのビジョンとして「適材適所を創り出す」を掲げています。この「適材適所」というのはメンバーの能力だけではなくて、どういった業務・課題に対してモチベーション・やる気が上がるのかも考えていくことが、私は「適材適所」だと思っています。
もちろん、会社や組織としてモチベーションが上がらない業務でもやらなきゃいけないものが発生するケースはありますが、会話をしながらそういったものを発見をして、やる気を高めていく・温度感を合わせていくことができれば、みんな楽しく働ける状態って作れますよね。
なんでこういった考え方が広まってきたのかというと、まさにダイバーシティの文脈です。ダイバーシティ(の意味)って、「多様な価値観を受け入れて組織を前に進めていきましょう、成長させていきましょう」なんです。
ダイバーシティの本質を間違えてしまうと、「多様な人が働ける環境を作れたからオッケー」というかたちで捉えてしまいがちなんですが、温度感や価値感をしっかり合わせることによって、コミュニケーションが成立する。成立するから、良いものが生まれてくる。この循環をぜひ作っていただきたいなと思います。
あらためて繰り返しになりますが、温度感を合わせないとお互いにとってストレスなので、温度感を合わせることを意識いただきたいなと思います。マトリックスで表すと、こんなかたちで表現ができるかなと思います。
「温度感が合わないストレス」というのは、「あの人、ちょっと熱すぎじゃね?」「あいつ、冷めてるよね」「あいつ、なんかぜんぜんやっていることが違うんだけど。ズレてる」ということで、「熱すぎ」「冷めすぎ」「ズレている」の3つが、温度感がズレている時に発生している部分です。
なので、「あいつとは合わないな」というところを言語化してあげると、こちらから歩み寄れるポイントが生まれてきませんか。ということで、ここを意識していただきたいなと思います。
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