2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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梶谷健人氏:「成功する生成AIプロダクトの作り方」というテーマでお話をさせていただきます。梶谷と申します。「POSTS」という、生成AIなどの技術活用やプロダクト戦略の顧問を行う会社の代表をしています。
キャリアとしては、プロダクトの体験設計や、サービスグロースを専門として、日本やインドで大手ブランドやスタートアップの支援に従事した後に、AR/VR領域のスタートアップの代表として5年間経営をしていました。
そういう少し変わった経歴ですが、AIやAR/VRといった先端テクノロジーとプロダクト戦略の2軸の掛け合わせで、いろんな企業さんを支援させていただいています。その中でエクサウィザーズさんをはじめとして、業種・企業サイズ幅広く、さまざまな企業の顧問もさせていただいています。
今日はそういった観点で、生成AIを技術だけで捉えるのではなくて、きちんと事業として、プロダクトとして優れたものを作るためにどうすればいいかという観点で、お話をさせていただければと思います。
生成AI領域がかなり盛り上がっている中で、この領域での事業作りに関心を持たれている企業さまは増えているかなと思います。しかし、ともすれば新しい技術領域の事業開発では、その技術を使うこと自体が目的になったり、表面的なトレンドを追いかけるだけになってしまって、なかなか本質的な価値あるサービスを作りづらいというトラップがあります。
こうした可能性と罠に満ちた生成AIの領域で、いかに成功するプロダクトを作るかというテーマにおける重要な考え方とフレームワークについて、今日はお話ししていきます。
まず前提となる全体観の話ですが、生成AIを自社のビジネスにうまく取り入れられるかが、大きな差になる時代になっています。
具体的には生成AIが急速に発展する中で、それを自社の事業にうまく取り入れて、新しい柱となるような事業を作れるか。あとは自社の業務効率を改善できるかというところに、企業によってかなり差がつき始めています。
実際に生成AI領域で、ユニコーン企業と呼ばれるような、上場前の企業評価額が10億ドル以上の企業がかなり増えています。また、今、開発者の方が多く使っている「GitHub Copilot」という生成AI機能を搭載したコーディングツールがありますが、その次期バージョンの「Github Copilot X」は「エンジニアの開発効率性を10倍にする」というコンセプトで作られています。
こういったサービスがどんどん増えていく中で、生成AIを活用する組織と活用していない組織で、生産性でゆうに10倍の差がつくというのがリアルに起き始めています。
そういった中で企業もしくは経営陣が、生成AIの領域で求めている2つのテーマがこちらです。
まずは「生成AIを活用して徹底的に自社の生産性を改善できるか」。2つ目が「生成AIネイティブな事業・プロダクトをきちんと立ち上げられるか」です。
前者に関してはまた別の機会でお話しできればと思いますし、こちらに関してはけっこういろんなセミナーが各所で開催されています。それに対して後者の事業・プロダクトづくりの話は、まだあまりされていないと思いますので、今日はこちらをメインのテーマとしてお話しします。
この生成AIネイティブな事業・プロダクトづくりにおいて、一番大切だと思う考え方が(スライドの)こちらです。「意義」と「意味」のデザインと私は呼んでいます。
意義はサービス自体の価値のことです。そもそもそのサービスで解決しようとしている顧客の課題が、実際に顧客が抱えているもので、かつその課題が顧客にとってものすごく大きなペインになっているかという、サービス自体の価値ですね。
一方の意味は、生成AIを使う必然性、必要性です。顧客の課題を解決する手段のオプションは無数にありますが、その中で選択する技術・ソリューションとして、本当に生成AI技術の活用がベストなのか。この2つの観点の掛け合わせが、非常に大事です。
これは縦軸が「意義」です。上にいくほどサービスが解決しようとしている課題の価値が高く、(横軸の)右にいけばいくほど生成AIを使う必要性、「意味」が高いという4象限です。
こういう新しい技術領域でありがち、生まれがちなのが、左上の象限と右下の象限のサービスです。
左上は、解決しようとしている課題の価値は高い一方で、ソリューションとして生成AIがベストフィットではないのに生成AIを使うことが目的化していて、生成AIを無理やりソリューションとして当ててしまって、なかなか価値が出ないプロダクトですね。
あと(右下)は生成AIの価値はきちんと活かせていて、見せ方としてもすばらしいんですが、アプローチしようとしている顧客の課題の価値が乏しいので、結果としてプロダクトの価値も乏しい。この2つの領域に陥ってしまうプロダクトがかなり多いかなと思っています。
作っていきたいのは右上の領域です。きちんと意義も意味もあって、プロダクトとしてきちんと伸びるポテンシャルを持った、この領域の生成AIサービスをいかに作っていくかが重要です。なのでこの「意義」と「意味」、「サービス自体の価値」と「生成AIである必要性」を、きちんとデザインしていくというところですね。
じゃあその2つを具体的に、どう作っていくか。
まず意義に関しては「徹底的な顧客理解」と、「本質的ユーザーニーズのあぶり出し」、そして「検証」が重要なアクションです。
意味のほうで言うと、生成AIのできることは無数にありますが、「本質的な価値」を抽出してあげると個人的には6つに集約されると思っています。それを踏まえた上で、解決しようとする課題との組み合わせでベストフィットなペアを作れているか。こういった考えの進め方、アクションが重要です。
なので意義のデザインのために徹底的な顧客理解と課題のあぶり出し、検証を行い、意味のデザインのために生成AIの本質的な価値をきちんと捉えて、それを組み合わせる。この2つをやることで、意義と意味のあるプロダクトが生まれると考えます。
アイデア出しのイメージとしては、こういったシートで行います。
サービスのコンセプトを考える中で、「ターゲット顧客」「誰のどんな問題を解決するのか」と、それに対して「生成AI技術の本質的な価値」が、きちんと掛け合わさっているか。
ここが新しい技術領域でサービスを作る際に実はとても重要なので、今日はここをいかに作っていくか、この組み合わせの精度をいかに上げていくかについてお話ししたいと思います。
まずどちらから手をつけるべきかと言うと、絶対的に「意義」のデザインから着手すべきです。そもそも顧客の課題をきちんと理解して、それをきちんと検証するところがプロダクトのコアになるからです。
今日のメインテーマは右側の「意味」のデザインかなと思うので、「意義」のほうは簡単に解説します。まず前提として99パーセントのプロダクトは課題解決型で、「誰のどんな問題をどうやって解決するか」、すなわち顧客課題解決法という構造になっています。
ほとんどのプロダクトが失敗する理由を考えると、最も多いケースが(スライドの)真ん中の課題を「実は顧客が持っていなかった」というケース。
また、課題としては感じているけれども、お金を払うほど、もしくは頻度高く使うほど困ってはいなかったというケースです。
この顧客と課題の「解像度」と「検証の精度」が、プロダクトの価値を作る上でとても重要です。
なので、まずはそこを作りにいきましょうというところですが、どう作るのか。ものすごく簡単に整理するとこんな流れです。まず自分たち自身、自社や担当自身が抱える一人称の課題を棚卸しする。あとは市場リサーチ、ユーザーインタビューを通して、いろんな事象を集める。
ユーザーがこんな回りくどい行為をしているとか、こういったところに不満を持っているとか。そういった事象を集めながら、その先にあるユーザーの真のニーズをあぶり出していく。
そうして設定した顧客と課題の1セットの仮説が、本当に正しいのかを再度、ユーザーとの対話を通して徹底的に検証する、というのが大まかな流れです。
このテーマについては何冊も本が書かれているぐらいなので、今日はここまでにとどめます。実際の検証は、例えばこういう「Javelin Board」というフレームワークを使って検証したりしますが、具体的な方法が気になる方は自分の著書でも詳しくまとめているので、ぜひ参照いただければ幸いです。
「意義」のデザインがまず土台として重要というのは、生成AIなどに関係なく、どの領域でもやるプロセスになります。
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