2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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吉田拳氏(以下、吉田):Excelを使っているのに時間がかかったり、ミスをしてしまうといった問題があるんですけど、解決することはさほど難しくありません。これから話すことを、ざっくりまとめて冒頭にお伝えしたいと思います。
まず、Excel作業に時間を割くことは、一切あってはならないと心得ていただきたいと思っています。なぜかと言うと、Excel作業そのものは仕事の目的ではないからです。Excelで作られる資料、データ、ともに大事です。
ただし、一瞬で終わるものだから、それを作る作業に時間をかける価値はまったくないわけですね。作業の目的がそのまま仕事の目的ではないはずなんだけど、そこに膨大な時間が割かれているのが企業の現実です。
この解決策は難しくありません。わずかな勉強だけで、劇的な効率化が可能になります。「私、Excelの機能の1割も使っていません」という話をよく聞くんですけど、実はそれでいいんです。
知っておくべき機能や関数は、全体のわずか10パーセント以下です。関数はいっぱいありますが、それ以外の9割は、みなさんおそらく一生使いませんから、そんなものはまったく勉強しなくてもいいです。
よく選択と集中が重要だと言いますが、自分に必要なものだけを厳選して、選んで勉強すればいい。Excelの勉強時間は最小限に抑えて、とっととExcelを卒業して仕事してほしいと弊社では申し上げています。
1割だけとはどのくらいか、具体的にイメージを持ってほしくてこんなリストを作りました(「IF・SUMIFS・VLOOKUP関数」「絶対参照」「ピボットテーブル」「フィルター・並べ替え」「グラフ作成」の5項目)。
覚えなくてもいいです。ボリューム感として、だいたいこんなものだという話です。
Excel作業で使われている機能・関数の9割はこれだけで、ほとんどの業務が賄えます。なぜ弊社がこんなことを断言できるかというと、弊社では、いろいろな業種・業界の企業さまからExcelの作業を代行する仕事をしているからです。
効率化のお手伝いと言っていますが、セミナーとか研修もやっていて「このExcel、そもそも社内で俺たちが自分でやらなきゃダメですか?」という話も結構あって、「じゃあ、外注してしまえ」ということで、いろいろな企業さまのあらゆる業務を受注しています。
「そこで使っているのが、せいぜいこんなもの」という話です。これだけの機能・関数で、我々はあらゆる業種・職種のExcelをすべて賄っているのが現実です。ましてや、Excelが本業ではないみなさんが補助的に使うのであれば、十分だろうという話です。
もう1つ事例をご紹介したいと思います。あらゆるExcel作業は、ちゃんとやれば一瞬で終わるものばかりですので、ここではExcelを学びたい方が、非常に興味を持つテーマであるショートカットをご紹介したいと思います。
まず、小手先の小技を1つご紹介したいと思いますので、見てください。これも、「こんな事態に出くわしたら、自分ならどうするかな?」というイメージを持ちながら聞いていただければと思います。
これも実際の企業事例から作ったサンプルです。まず、このデータはB列にところどころ空白があります。
空白セルが3つや4つだったらいいんですけど、例えば、数百個、数千個、数万個あったとしましょうか。その大量の空白セルに、1個上のセルと同じ値を入力しておけ、という事態に追い込まれたら、みなさんはどうしますか?
先ほども言いましたが、発想としては、間違っても「1万個か。じゃあがんばろう」と言って、1個1個打っていたら絶対にいけない。こういう時は一括でやる。全部まとめて一瞬で終わらせる技を探すわけですね。
ここで、「ジャンプからの、『Ctrl+Enter』」だと思われた方はすばらしいです。それを知らなかった方は、「探す」という行動に移ればぜんぜんかまいません。あらかじめ技を全部知っておく必要はまったくありませんから、そこは安心してほしいと思います。
では、一瞬でやるにはどうすればいいか。実演してみたいと思います。こういう時は、データ範囲は全体を選びます。先ほども言ったショートカットですが、コントロールキーを押しながらAを押せば、データ全体を一発で選べます。
次に、空白セルを全部まとめて一瞬で選ぶ機能をご紹介したいと思います。ショートカット「Ctrl+G」と押して出てきた「ジャンプ」という機能の、セル選択から空白セルを選択する。
Excelにはいろんな属性のセルをまとめて選ぶ機能がちゃんとあるんです。これでOKを押せば、なんと、こうやってまとめて空白セルを選ぶことができたわけです。
数万個だろうが一瞬で終わります。今言ったことは、全部覚えなくてもいいですからね。
これらに1個上のセルと同じ値を打つには、ここで「=」を押します。すると、ここにまず式が入るんです。「=」のあとに矢印キーの上を押して、「1個上のセルを使いますよ」という式を入れました。
この状態で、コントロールキーを押しながらEnterを押すと、今選択中のセルすべてに同じ要領の式が入ります。まったく難しくないわけです。
よく、「うちのExcelはデータが多いので大変です」と聞きますが、Excelではデータ数はまったく関係ないんです。5行であろうが100万行であろうが、まったく変わりません。100万行だったら多少データが重かったりするんですけど、作業手順自体は一瞬ですべて終えられるイメージを持っていただきたくて、こんな事例をご紹介しました。
いよいよ本題に入っていこうと思います。実は、こういった小手先の技は今日の本題ではありません。特に起業直後の方が多いと伺っていますので、そういったみなさまに向けて、本質的な考え方をご紹介しておこうと思います。
Excelの効率化は大事ですけど、最も大事なポイントが1つあります。「なんでもかんでもExcelでやろうとしないほうがいい」と、みなさんには重々ご理解いただきたいと思います。
起業当初だと、「コストを下げよう。お金をかけずに済ませよう」と、さまざまな業務処理をすべてExcelで済まそうという方がけっこういらっしゃいます。個人事業とか弊社のような5人の零細企業であれば、Excelで済ませてもいい業務もありますが、人数が増えてきたり業務が複雑になってくると、Excelでやらないほうがいいことが多々出てきます。
あとでリストを紹介しますが、例えば、代表的なのがデータベースです。あとは給与計算、経費精算、人事評価とかですね。こういったものは、SaaSといったサブスク、毎月の継続課金で利用できるWebサービスを使ったほうがいいことが多々あります。
「Excelだったらタダじゃん」とExcelでがんばってしまう企業さまも結構いるんですけど、あまりいい結果になりませんから、そこの使い分けが大事だということです。
(スライドに)アプリと書いてありますが、アプリはソフトのことですね。そのソフト、システムやSaaSとExcelの使い分け、この大事な判断基準を今日はみなさんにご提示しようと思います。
最後に話題のAIです。後ほど大久保さんからも詳しい話がありますが、ExcelでもChatGPTがよく使われていて、間もなく「コパイロット」というAI機能がExcelに搭載されます。
「これが使えれば、今後Excelの勉強はいらないか?」とか「人間が作業することはなくなるか?」という質問をよく受けますが、残念ながら、未来永劫そんなことはありません。期待しすぎてはいけない。
先に結論を言うと、データ整形においては結構な威力を発揮します。ただし、分析や集計においては、おそらく使い物になりません。
AIや経営管理SaaSといった「うまい具合にデータ化、分析資料を作ります」というサービスがあるのですが、起業してがんばっているみなさんのように、主体的に仮説を持った人間が必要とするデータは、とてもではないけど他人や機械には任せられません。
どんな数字・KPI(重要業績評価指標)が見たいかをちゃんと自分で考えて、その数字を計算するためにExcel作業は残ります。これを自分でやるか、ちょっと営業すると弊社に外注するか(笑)。その選択肢はありますが、人間が作業することはなくならないとご理解いただきたいと思います。
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