
2025.02.12
職員一人あたり52時間の残業削減に成功 kintone導入がもたらした富士吉田市の自治体DX“変革”ハウツー
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細野真悟氏(以下、細野):今回のテーマである建築思考みたいな、その建築にはすべてが詰まっているみたいなサブタイトルで始めたが故にですね、ちょっと今井さんの考えるその建築にいろんな要素があるという部分をちょっとお聞きしたいなと思うんですけども。
今井裕平氏(以下、今井):そうですよね、そこを回収しとかなきゃいけないですよね。
細野:そうそう。伏線回収せずに終わっちゃう、危ないなと思って今慌てて見直しました。
今井:もともとその言葉が出たのは、この「ビジネスセンスを鍛えるためには?」みたいなところから始まって。
細野:そうそう。なにをやれば身につきますかみたいな話をしましたね?。
今井:時間が許すんやったら、建築学科に行ったほうがいいですよという話をして盛り上がったというのがスタートですかね。
細野:ですよね。なんでですか、それは?
今井:そうですよね。まず建築に限らず、デザインとかそういう学科の良いところってあると思うんです。3つぐらいあるかな。まぁまず一番は価値観やと思うんです。文化かもしれないですけど、ユニークなものを作るというのが大前提なんですよ。
細野:なるほどね。
今井:これは僕、コンサルの時に衝撃やったんですけど、すごい僕は「すごい優秀な人やな」と思った人に「ユニークじゃなくても成果が出るんやったら、その解決策を提案します?」と言ったら「そらするやろ」って即答されて、カルチャーショックを受けたんですよ。「マジで?」と思って(笑)。
細野:(笑)。「そらするやろ」って即答されて(笑)。
今井:でもそうですよね。クライアントは成果が出たらいいんで。
細野:仕事としてはそうですね。
今井:というのが、価値観が1つですね。
今井:2つ目は機会ですね。セレクションなんです。設計課題というのがあって、優秀な人、規模によるんですけど5人とか10人だけみんなの前で発表できるというので、常に競争にさらされているんです。
それで良い成績を取っとかないと今度は有名な建築家の研究室に配属されないので、みんながんばるんですよね。という競争環境にさらされているというのがあって、あとは思考の部分ですかね。僕はその建築思考というのはもっと言いたいなと思っていて、そこのお話しをちょっとだけすると、普通にデザイン思考というのがそもそもあるじゃないですか。
細野:おっ、きましたね。デザイン思考に切り込んでいく。
今井:別にプロトタイピングするとか、付箋を使うとか、そんなのは表層の話だと思っていて、根本のところで僕がちょっとそれは違うんじゃないかと思うのは、人間中心デザイン、ヒューマン・セントリック・デザインを一番はじめに持ってきているんですね。
細野:もうそれを言われたら、普通みんなもう「そうだ、そうだ」って言いたくなりそうな人間中心デザインですよね。
今井:でも建築の課題で、人間中心に考えて「美術館作ってきました」と言ったら、たぶん「お前はアホか」って言われると思うんですよ。「そんな浅い考えで建物できると思うなよ」というが建築なんです。建築の場合はその土地がどんな土地で、その周りにはどんなものが建っていて、歴史的にはどういう位置づけがされていてとか。
あとは構造とか室内環境ってどうしなきゃいけないかとか、いろいろあるんです。それらを考えるというので、これはさっきの話のグッドアイデアのところにつながるんですけど、この変数いっぱいのやつを……。
細野:要件が多いんですね。
今井:そうです。あとはスケールですね、25万分の1というでかい地図で見ることもあれば、間取り図みたいな100分の1で考えることもあれば、原寸のスケールで考えることも。これも違和感なく同時に考えるのが当たり前だったのですが、今から考えるとけっこう大変やなと思うんです。
細野:それは具体と抽象ですよね、だからね。
今井:そうです。
細野:(視点を変えて)グワーって空まで飛んだりとか、虫の目で見たりみたいなのが当たり前にされると。
今井:そうです。あともちろん言葉とビジュアルとかもありますし、普通取り扱わないようなものを一緒くたにまず取り扱うのですが、取り扱う順番は教えてくれないんですよ、誰も。だからもうみんな同時に考えるんですよね。
細野:同時並行。
今井:さっき細野さんにご質問いただいた、いろんな課題をどういうふうに考えるのみたいなのも、もう同時に考えているんで、そもそも。そこは当たり前というか、そうでしかできなかったというのがあり。
今井:最後は統合力ですよね。これを最後1つの答えに……。
細野:打ち手としてね、固めると。
今井:というのは、建築を学ぶのが僕は一番いいんじゃないと思っていて、それとさっきの要件の話、いっぱいの変数を扱うというのが、僕の中では結びついているという。
細野:いやもう、めちゃくちゃおもしろいですね。村上さん、どうぞ。建築の村上さん。
村上静香氏(以下、村上):おもしろいですし、なんだろう、もともと得意だったわけではなく、学ぶことでそういう、同時並行みたいなところが身に付いていったんですか?
今井:そうですね。ただ絵は描けなかったんですけど、右脳っぽい要素は持っているなと思っていたんです。一方で一応コンサルタントとして働いていたので、ロジカルに考えるのもそれなりにできたので、絵は描けなかったけど、「両方やれるな」みたいなのはありました。
村上:あともう1点、たぶん要件だけじゃなくて建築の大事なポイントってそのユニークさ、ユニークなものを作ることが前提というのってけっこう大きいなと思っていて、その今井さんの中での自分らしいユニークさみたいなものというのはどんなふうに磨かれてきたんですか?
今井:いやでも、それで言うと濱口さんの話になるんじゃないですかね? バイアスブレイク(偏見の破壊)ですね。バイアスブレイクできたアイデアこそユニークみたいなのはけっこう衝撃でしたけどね。それまではぜんぜんわかっていなかったと思います。感覚では世の中に立っているものとを見て、「これがユニークか」ぐらいしかなかったんで、じゃないですかね。
村上:そこのところ、よければ細野さんから濱口さんとは誰なのか、みたいなところから解説を(笑)。
今井:説明ムズ(笑)。
細野:濱口秀司さんという方なんですけども、もともと松下電工に入られて、マイナスイオンドライヤーとか、USBとかを作った方ですね、USBフラッシュメモリを作ったと言うと「えっ、それって日本人が作ったの」みたいな感じですけども、あれを発明された方で、アメリカで一番時給の高いコンサルタントらしいですね、どの人種も含めて。
今活躍されているコンサルの方ですけども、今井さんと僕はその方を勝手に心の師匠と呼んで、いろんなものを吸収しているというのが後々わかって。「あぁ、生き別れの兄弟だった」みたいな話だったんですけども。
なんていうかな、その当たり前なもの、みんなが考えるものじゃないものを考えたいという、それってもうけっこう性格に近いものがあるなと思っていまして。
みんなと同じこと考えたいという人がいるじゃないですか、安心だから。否定されたくないとかという人たち。さっきのコンサルのね、「別にユニークじゃなくても別に通りゃいいじゃん」みたいなので、平気で、本気でそういう人っているわけですよ。
それと「いや、絶対に一緒じゃやだ」という人種もいて、ここでけっこう大きく世界って分かれるなという気はしていて。今井さんがその建築の中でいろいろセレクションがあってとか、とおっしゃったと思うんですけど。
そこの環境の中で諦めなかったというか、「ユニークネスを追求することこそ生きがいだ」みたいに思える人たちは、新しいものを生み出す素養があるのかなと。そっちのドライブが先で、結果的にユニークなものが出るという順番なのかなとは考えたりしていましたが、どうでしょうか?
今井:いやでも、そのとおりだと思いますね。環境って大事だなって思います。自分ではね、どうすることもできないというか、環境がそうやから、その環境に適応していくみたいなところがあるじゃないですか。
細野:そうですね。
今井:これは別に建築学科だけじゃないんですけど、デザインの学科とか、クリエイションとかアートをやっているところはどこもそうだと思いますね。ユニークこそ大事みたいな、一番みたいな。
細野:ですよね。ただ、単なるデザインのユニークネスみたいな話って建築は別だと思うんですけど、物のデザインとかだったらけっこうシンプルに、「見た目が違ったらユニークだ」みたいなので終わっちゃうんですけど。
おそらく今井さんはビジネス世界で、経営としての正解っていろんな変数があって、これを全部叶えて結果を出さなければ、ユニークだけどもおもしろくはない、良くはないという、さっきのトレードオフのところの感覚を身につけられているのがすごく僕は、それがユニークだと思いましたよ(笑)。
今井:(笑)。
細野:いや本当に。みんな新しいビジネスとかを考える時に、想定している変数が少なすぎるんですよね。認知が高まればOKだとかという変数だけがんばったりとか、多くの人が買ってくれればOKだとかじゃなくって。
さっき今井さんが言った商店街がもう廃れているとか、いろんなものをどれだけ目に全部入れて、これを丁寧に真面目な人って1個1個解決するんですけど、それじゃ日が暮れちゃうし、コストが合わないし、これを横串でバシッと貫くみたいなことがビジネスデザインなんだという感覚を持てる人が増えたらすごいいいのになと思って、こういう対談をずっと毎回やっているというそういう話なので。
今井:なるほど。
細野:今日はすごいそこらへんの話を一番、過去の対談の中で一番できたなと村上さん、思いますがどうでしょうか?
村上:すごい充実の時間でした。生き別れの兄弟なんだなというのはちょっと感じました。
細野:ちょっと時間がもうバンバンきちゃいまして。
村上:そうなんです。どうしましょう、Q&Aがもしあれば。
細野:そうですね。Q&Aがもしあれば書き込んでいただきながら。、ちょっとだけお話しをさせていただいて最後にQ&Aに戻りたいなと思うんですけども、まさに今言ったそういう複数のものを同時に貫くことってトレーニングが必要だと思うんですよ。
絶対トレーニングしなきゃ無理で、さっきの数っておっしゃっていた話だと思って、それをなんとかプログラムとしてご提供できないかということで、ローンディールで提供しているプログラムがありますというご紹介をさせてください。
引き出しも増やさなきゃいけないし、その貫く、貫こうとする経験も増やさなきゃいけないし、それに対してフィードバックも貰わなきゃいけないと。これをどうやって量稽古するかというのが必要な環境だなと思っています。
「outsight」というプログラムをローンディールの第2事業としてやっています。ベンチャー経営者にご登壇いただいて、ベンチャー経営者から事業紹介と課題。「今こんなことを困っている」という課題を提示いただいて、それを解決するアイデアを、最大100人のいろんな企業から参加している社員の方が解決策を提案して、ベンチャー企業が忌憚ないフィードバックをするというのを、毎週毎週行うという。オンラインの異業種天下一武道会的な戦いの場を提供しています。
まさに量稽古が必要で、その量稽古の場というのをですね、ご提供するという内容になっていますので、ご興味ある方はぜひご参加ください。
ここもですね、昔はけっこう詳しく説明していたんですよ、これ。そうしたら村上さんに怒られまして。「マニアックすぎて興味がない」と言われてですね、「チラ出しのほうがいいよ」って広報観点で言われて、今みたいにあえて飛ばすスライドを用意するという感じでやらせていただいているというね。
今井:いや、今のちょうど良かったですよ。
村上:よかった、今井さんのお墨付きですね(笑)。
今井:いやでも、これめっちゃいいですよね。いやこれ、いいなって思いました。
細野:なかなかね、こういう場がなくて、1日だけのデザイン研修とかは売れるんですよね、研修としてはわかりやすいから。今日の話を聞いていただいて、どういう力を付けなきゃいけないなってわかっていただいた方にはたぶん刺さるんじゃないかなということで、ご興味あれば来ていただければと思います。
残り時間はせっかくなんでQ&Aに使っていきたいなと思いまして、ちょっと走り気味にいきましたが、残り5分ぐらいですけどみなさん、せっかくなんで今井さんに。
村上:そうですね。もしご質問があればぜひお寄せください。
村上:ちょっとじゃあ時間がありそうなので私から1つ。さっき、そのユニークさの話から、ビジネスデザイナーの濱口秀司さんの話も出たんですけど、細野さんも濱口さんの心の師匠だと思うんです。
お二人が濱口さんから一番強く影響を受けていることとか、日常的にもうこんなことやっちゃうぐらい影響を受けたこととか、そういうのってあったりしますか? 習慣的に。
今井:習慣じゃないんですけど、僕は30代になってから「この人ヒーローや」と思っていました。なにが一番良かったかというと、僕ちょうど電通コンサルにいて、わりとロジカルに考えるとか、コンサルタントのアプローチははわかったんですけど、それとクリエイティブなこと、もっと言うとユニークなものを作るというのが、なかなか結びつかなかったんです。ロジカルに考えると正解を作るということなんで、ユニークとは離れていくんですよね。
細野:確かに。
今井:コンサルが多用する2×2のマトリックスとかってコンサルでは本当に当たり前に使っているような記述の仕方なんですけど、(濵田さんが)それを使ってユニークなものを作る、クリエイティブなものを作るというのを知ったのが衝撃でしたね。
そういうこと言っている人は本当にいなかったので、そこですかね。バイアスブレイクとかね、すごいシンプルな説明ですけど、あれをほんまにずっとやれる濱口さんはすごいなと。
細野:普通に言いますけどね。だいぶ変な人ですもんね、あれをずっとやっているとね。
今井:というところですかね、僕は。
村上:ありがとうございます。細野さんは?
細野:僕はどっちかというとクリエイティブに物を作るということよりも、発想の着眼点を多くの人が気づかないところに置く方法、まさにバイアスブレイクなんですけど、その方法がいったんみんなが考えそうなものを1回考えて、まずは考えるんだと。平凡なことを考えて、それじゃないところで考えるという強制発想という発想が、「こうやりゃできるじゃん」と。
イノベーティブなものは思いつかないけど、少なくとも平凡なものではないということが保証されるという安心感がめちゃくちゃ僕の中ではイノベーティブで、「これで平凡にならずに済む」と。外れかもしれないけど、平凡ではないというほうがいいなと思ったというのが一番の衝撃でしたね。
村上:よくおっしゃっている脱・平凡発想というところが……。
細野:とにかく平凡は嫌だという、そういうことにハマったというのが一番大きいですかね。
村上:ありがとうございます。ご質問はなさそうですかね?
細野:いったんいいですかね。みなさん今日は日中のお忙しい時間ですけども、我々の楽しい対談にご参加いただいてありがとうございました。
村上:ありがとうございました。
今井:ありがとうございました。
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