2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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徳永勝里氏:徳永勝里と申します。お願いします。今日はちょっと内容が多いので、最初のほうは足早にいかせてもらいます。
まず、ChatGPT、毎日めちゃくちゃ聞くと思うんですよ。ChatGPTの話を聞かない日はたぶんないと思うんですが、そのわりには使われていないですよね。
アメリカの調査によると、ChatGPTの存在を知っているのは今40パーセントくらい。だけど、業務で使っているのはまだ10パーセントくらいらしいんですよね。ということは、日本はもっと少ない。
これはなんでかというと、今ネット上に溢れているChatGPTに関する説明は、「要約できる」とか「文字の続きを予想したモデル」とか「例を出したらいいんだよ」といったもので、いわゆるiPhoneでできることの説明みたいなものですよね。「電話できるよ」「メールできるよ」「上スワイプで設定を開けるよ」レベルの話しか出ていない。
感度の高いみなさんが知りたいのは、おそらく「ビジネスにどうやって使えるのか」だと思うんです。
なんでこれがあんまり出てこないか。プロンプトってみなさんご存じだと思うんですが、あれを共有するだけで類似したことができると僕は思っています。ChatGPTのマネタイズ方法は、けっこう簡単に真似できちゃうので、応用事例があまり転がっていないのかなと思います。
なので、今回は結果からいろいろと逆算してどうすればよいかを考えた、僕なりの答えをここで発表したいと思います。
どうやって集めたのかという話ですが、僕は「日本ChatGPT研究所ノーベル」という4,000人ちょいくらいいるオープンチャットをやっています。そこの人たちがすごくおもしろい使い方をしていて、いろいろ教えてくれるんですよ。僕が世に出ているのを見たことがないような情報です。
実際、「こんな結果が出ているんだ」というのがいっぱいあるので、今日はそれをまとめて紹介したいと思います。
今日のアジェンダです。
みなさん忙しい方も多いと思うので、まずは「ChatGPTって社会的にどういう影響があるんやっけ?」というおさらい。
その次に、「ビジネスの成功者から逆算したChatGPTの最低限の知識」。僕は今、情報過多になっていると思うんです。ぜんぜん知らなくていい。成功している人は、「僕なんかぜんぜん詳しくないんですけど」ってけっこう言うんですよ。なので、「最低限ここだけできたらビジネスで使う分にはいいよ」というのをまとめました。
最後に、「リアルなユーザー調査で得た応用事例」で、ここが一番おもしろいのかなと思います。
まず、「ビジネス的ChatGPTの社会的影響のおさらい」です。まずは株価。Googleの「Bard」というChatGPTの類似品の発表がちょっと失敗しただけで、(Alphabetが)13兆円の時価総額を失った。もちろん株価なのですぐ変動するんですが、そのくらいの影響力がある。
Nvidiaも先日、一夜で時価総額を27兆円も増やし、次の日以降も伸びて、時価総額1兆ドル企業の仲間入りをしましたよね。
求人においては大量解雇や大幅な減収などが言われています。
「日本ではこんなことないだろう」と思うかもしれないですが、4人採用しようと思ったところ、「ChatGPTがあるから4人をやめて、ChatGPTを使える2人を雇ったらいいんじゃないか?」と思考を変えて、2人を雇ってぜんぜん回っているという知り合いの会社さんもあります。これからの雇用は、わりと不利になっているんじゃないかなと僕は思っています。
規制に関しては、イーロン・マスクが開発中止を求めたり、スティーブ・ジョブズの盟友ウォズ(スティーブ・ウォズニアック)も警告したり、イタリアでは一時的にChatGPTの使用が禁止になったり、足りるかわかりませんがAI失業者のために44億円の資金を確保したりしています。
最後にまとめとして、僕が思うのは、今は「使えるから得する」という状態なんですよ。でも、あと3ヶ月、半年もしたら「使えないから大損する」という状態になると思います。
これは「プログラミングができない」「Excelができない」「Instagramが使えない」とかそんなレベルじゃなくて、「iPhoneが使えないやつレベル」「車が運転できないレベル」「歩きしか(移動)手段がないレベル」なんですよ。
船には乗れなくてもよかったんです。プログラミングとかExcelは(船で)、とある一定箇所に行くために一定の人が乗れればよかったんですが、ChatGPTは完全に車なんですね。車は乗れないと相当差がつくじゃないですか。
「人を轢くかもしれないから」と、車があるのに歩き営業をさせないですよね。そんな感じで、リスクについて考えすぎている会社がけっこう多いのかなと僕は感じています。
逆に、サイバーエージェントとかソフトバンクとか、リスクを背負うベンチャーや大企業が最近は導入し、ガーンと結果を出しています。これが、社会的影響のおさらいでした。
次は、「ビジネス成功者から逆算した最低限の知識」ですね。僕はもともとエンジニアなんで、調べるのがけっこう好きです。日本語や英語で有名な資料はだいたい読んでいるんですが、その上で僕が思うのは「習うより、慣れろ」です。
自転車に乗る時に、「重心を意識して、左右に」って言われても、乗れないじゃないですか。ChatGPTも進むことだけを意識したらいいんです。「小さく試す」ことだと思います。
ChatGPTをちゃんと使っている人たちに「このやり方を知ってる?」「この論文は知ってる?」「この資料を見たことある?」みたいに質問してみたんです。もちろん知っている人はいますが、8割くらいはまったく知らない。ただただ自分でやりまくっていたらできるようになったという感じの人ばかりです。
学歴もまったく関係ないです。「僕は地域で一番バカな学校に行って」という人もけっこう多い。挑戦心とか、変にかしこまらないところが大事なのかなと思いました。
逆に使いこなせていない人の特徴は、習いすぎなんですね。いろんな資料をめちゃくちゃ読んでいて、ぜんぜん手を動かしていない。命令文、プロンプトを詰め込んでいる。
タスクに対して、2〜3回しか質問しない。例えば、メールの文章をChatGPTで作るという時は、最低でも10回くらいは質問していろいろ遊んだほうがいいと思います。20回、30回やっても数分しかかからないので。
タスクのやり方を覚えたら、2〜3回でできるようになると思うので、最初のコストをちょっとだけかける。
僕がよく説明で使うジョブズ問題というのがあるので、それを見ていただくと「こういうふうに答えを調整していくんだ」というのがわかると思います。意外とこのやり方を大々的に言っている人はいなくて。ご覧ください。
【動画開始】
ChatGPTを使いこなすコツは教育です。シンプルに「スティーブ・ジョブズが作りそうなことわざを作ってください」とChatGPTに言うと、しょうもない答えしか返ってこないんですね。
でも、ブワーっと教育したら、「アイデアはAppleのリンゴから落ちてくる」という、万有引力と掛けためっちゃうまいことわざを作ってくれたんですよ。
まずことわざの認識を強化するために「日本のことわざを10個教えてください」と言いました。「それを踏まえて、ジョブズが作りそうなことわざを作って」と言うと、「慣習に囚われず、自らの翼で飛べ」が返ってきた。
ちょいマシですけど、ジョブズ感がないですよね。ChatGPTは子どもと一緒で、怒っても意味ないんですよ。「もっとことわざ感を出してください」とか「長いし具体的すぎます」とダメ出しを繰り返したら、どんどんジョブズ感ゼロになりました。
次はジョブズ感を出させます。
「スティーブ・ジョブズにまつわる固有名詞を10個教えて。例えば、眼鏡 iPhone リンゴ みたいなものです」と入れたら、「Apple」「iPhone」「iPad」「Macintosh」……とか出てきたので、「上記の言葉を含めたことわざを作ってください」と、「空腹であれ、愚かであれ。異なることを考えろ。リンゴは木から遠くに落ちない」と返ってきた。
ちょっとマシにはなったんですけど、まだですね。「上記の固有名詞を含めたことわざを作ってください」と言います。
この命令がすっごく重要です。どの固有名詞を使うかも指定して、ことわざを考えろと。
ここからだいぶマシになりました。「リンゴは1日に1個、iPadは1日に一度」、これはけっこういいですよね。良かったので、10個出してもらったら、「iPodで音楽を聴く時、周囲の音を聴き逃すな」とか、ちょっと良い感じのことを言ってくれるんですよ。
次に「『花より団子』に似たことわざを」と、ことわざを1個だけ指定してみました。「iPodより音楽、iPhoneより通話、iPadより仕事」とか、中身のほうが大事みたいな、まあまあ良いことを言ってくるんですね。
そこで、抽象的に「うまい!と言わせるようなものを作ってください」と試してみました。
「iMacを見ている間に時間が過ぎる」。抽象的はダメですね。やはりそんなに変わんないです。
ことわざを構成する要素の中の何かを強調しないとあかんなと思ったので、「ことわざの特徴を教えてください」と指示しました。「簡潔な表現」とか「経験則から生まれた知恵」とか出てきたんですけど、僕が一番好きなのは「言葉遊び」とか「比喩表現」を含んだやつだなと思って。
これがクリティカルやったんですけど、「言葉遊びとか比喩表現を強調したことわざを作って」と言ったら10個出してきて、「アイデアというリンゴを噛みしめろ」とか、ちょっとうまいことを言ってきよるんですよ。
この10個の中で「3、7、8、10番は好きです。それ以外は言葉遊びがないです」と、自分が好きなやつを教育して、近いやつをいっぱい出させました。
さらに新しいパターンで、この中から1個気に入った「iPadでアイデアが芽生える」を「もう少し改善できませんか?」と聞いてみました。
「アイデアが芽生える、iPadでパッと見」というオヤジギャグみたいなのが出てきたんで、これは失敗ですわ。
1個だとわからないんで10個出させたら、「アイデアはAppleのリンゴから落ちてくる」という、まあまあ良いのが出てきたので、「これが良いと思うのはなぜだと思いますか?」と聞きました。
いろいろ聞いているうちに、「あ、俺はニュートンが掛かっているのが好きなんや」って気づいて。「このように二重の意味を持つことわざを作れますか?」と作らせたら、そこそこではあったんですけど、そこからまた絞って、「リンゴとニュートンの関係性を1つの要素として含むことわざに教えてください」と言った。
最終的にこれが一番好きやったんですけど、「リンゴを見つめているだけでは、ニュートンにはなれない」。
【動画終了】
ちょっと長くてわからなかったかもしれないのでまとめると、いろいろ言われていますが、僕は正直プロンプトエンジニアリングはあんまり意識しなくていいと思う派です。
(スライドの)「小さく試す」こと。
この動画以外でもいろいろ試したので、1個で50回以上はChatGPTとやり取りをやっています。
「ことわざというのはこういうものだよ」みたいに、「例を出す」ことが大事です。
「分解して言葉を理解する」。ここが一番大事だと僕は思っています。良いことわざの理解や、ジョブズ感はどうやって出すのかがものすごく大事なんですよ。
「ChatGPTは平均的な答えしか出せない」ということをみなさんはもうご存じだと思うんですが、自分自身が「良い◯◯」をわかっていたら、そのノウハウをChatGPTに詰め込むことができるんです。
ChatGPTは、知識は持っていてもノウハウは持っていないんですよ。なので、プロが使えばめちゃくちゃ使いこなせるんですが、一般人、専門的な用語とか専門的な答えを持っていない人間は、あまりうまく使いこなせないという特徴があります。
もう1回強調して説明します。「小さく試す」というのは、OpenAI公式も言っていまして、まずはゼロショットから。ゼロショットというのは、例なしでとりあえず進めようと。それって、子どもの時の気持ちに戻るものなのかなと思っています。
質問をまとめていませんか? 質問は1人1個までみたいに、規制を脳みそにかけていませんか? (画面を指して)こういう資料を書いてから聞くみたいな癖がついているんですよね。そうじゃなくて、僕は思いついたらぜんぶ聞くみたいな人がChatGPTの活用に成功していると思います。
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