2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会者:本セッションでは、「社内外問わず一発OK! どんな状況でも秒で伝わるプレゼン」と題して、講師から、ここでしか聞けない貴重なお話を存分にお届けしたいと思います。
それでは講師の方をご紹介いたします。株式会社固 代表取締役、一般社団法人プレゼンテーション協会 代表理事、プレゼンテーションクリエイター、そして書家の前田鎌利さん。シリョサク株式会社 代表取締役、そしてパワポ芸人の豊間根青地さんです。
前田さん、豊間根さん、よろしくお願いいたします。みなさん、大きな拍手でお迎えください。
(会場拍手)
前田鎌利氏(以下、前田):よろしくお願いいたします。
豊間根青地氏(以下、豊間根):よろしくお願いします。
前田:すごい。いっぱい入ってる。
豊間根:本当にお待たせしました。
前田:いや、本当にすみません。お待たせいたしました。ありがとうございます。
豊間根:ありがとうございます。
前田:さっそくですか? 座りましょうか。
豊間根:そうですね。これ、フリーセッションですからね。
前田:そうです。でも、時間がそんなにないんですよね。30分ぐらいですか? たっぷりとお伝えしていきたいと思います。
豊間根:そうですね。本当にみなさん、お集まりいただきありがとうございます。
前田:ありがとうございます。
豊間根:我々が、パワポ・プレゼンの人間なので、「プレゼン資料を使ってがっつりセミナーをしていただけるんじゃないか」と、想像いただいている方も多いんじゃないかなと思うんですが、すみません。今日の資料はこれだけでございます。
前田:(笑)。
豊間根:これで30分しゃべり倒そう、という企画です。
前田:豊間根さんは「パワポ芸人」という肩書を付けているから、もしかしたら「お笑いライブかな?」ということで来られている方もいるかもしれない。
豊間根:違います(笑)。お笑いライブではないですね。トークセッションです。
前田:ないですね。プレゼンテーションのトークセッションです。
前田:今日は、「社内」と「社外」と「オンライン」の3つのお題があります。最初に聞きたいんですけど、いいですか?
「ふだんプレゼンテーションをやっています」という方、手を挙げてもらっていいですか。けっこういらっしゃいますね。8割ぐらいですか。ありがとうございます。
じゃあ、「プレゼンは苦手だ」という方は手を挙げてください。あ、ぐっと減って3割ぐらいですね。その人だけ残っていただいていいんじゃないですか?
豊間根:すみません、(ふだんからプレゼンをしている方は)お帰りいただいて。
前田:いやいや(笑)。でもね、今日は何かしらお持ち帰りいただきたいなと思います。
豊間根:そうですね。
前田:さっそくですが、今回は「シチュエーション別 秒で伝わるプレゼン」ということで、「社内」「社外」「オンライン」と(テーマを)切ったんですが、豊間根さんは以前サントリーにお勤めでしたね。
豊間根:はい、そうですね。
前田:サントリーで、プレゼンってけっこうやられましたか?
豊間根:けっこうしてましたね。僕のいたセクションはサントリーウエルネスといって、サントリーの中でも健康食品のセクションだったんです。今、ちょうどそこ(別のブース)でサンプリングしています(笑)。
前田:さっきね。元同僚の方がね。
豊間根:そうです。「VARON」という男性化粧品があるんですが、若手の僕みたいな人間にも、重役に対して定例で報告をする機会をけっこういただいていました。
僕は、いわゆるお客様センターの部署を担当していたんですが、KPIの目標に対する進捗の報告とか、あとは施策、これからの企画や計画をプレゼンする機会はけっこうありましたね。
前田:なるほど。
前田:僕もいろんな会社さんで、講演、研修、コンサルティングをさせていただくんですが、会社によってけっこう企業文化が違うと思うんですよ。
豊間根さんもいろんなクライアントさんとお仕事をされていて、社内のプレゼンで「この企業文化は合わせづらいな」「こういうのは難しいな」「すっごく特徴的だな」みたいなことは、何かありましたか?
豊間根:ありますね。具体的な社名は伏せますけど、「どこまで書くか」は、すごく社風に影響されると思うんですね。「社内」といえば前田鎌利さんですけれども、『社内プレゼンの資料作成術』が有名です。
前田:いやいや。
豊間根:情報を削ぎ落とすことに重きを置かれていると思うんですが、情報を削ぎ落とすと、どうしても、「なんでここを書いてないんだ」「ここはどうなんだ」みたいなツッコミがいろんなところに入ってしまう。
書かないと怒られるけど、書くとわかりづらくなるというジレンマが難しい、というお話はよくありますね。
前田:そうですね。僕もよく、文字で埋まっているプレゼンを多く見ます。「文字は減らしたほうがいいですよ」と言っても、やはり企業文化があるので、「減らせません」と言われるんですよ。そういう時、豊間根さんだったらどうアドバイスをしますか?
豊間根:僕は「減らさなくていいから、メリハリをつけたほういいですよ」と言いますね。
前田:メリハリ。具体的に、どんなメリハリが有効ですか?
豊間根:僕がよく言うのは、「文字は太さと大きさでメリハリをつける」ですね。
前田:おっしゃる通りです。
豊間根:同じ情報が載っているとしても、太く・大きく・濃く書いてある文字と、細く・小さく・薄く書いてある文字は、ぱっと見た時の印象がまったく違うと思うんですね。
豊間根:ちょうど今、(スライドに)出ている文字も、「社外」と「オンライン」が少し薄く・小さくなっていることによって、「社内」が今のトピックだということが、みなさんもおわかりだと思います。
情報としては(スライドに記載して)あるけど、差がついていることによって、今は「社内」に目が行くようになりますよね。
前田:こういう視覚効果って、すごく大事ですよね。
豊間根:そうですね。なので、削ぎ落とすだけではなくて、情報としては残すんだけれども、細く・小さく・薄く差をつけてあげると、わかりやすくなるのではないかなと思います。
前田:テクニックとして、減らすのはすごく重要ですけれども、僕もよくクライアントさんに、例えば「13文字以内にしましょう」「追加でもプラス40文字ぐらいがいいですよ」と、お伝えするんです。
しかし、大事なのはたぶんチューニング力だと思うんですよ。自分の会社でいきなり「今日から13文字」とやると、だいたい上司に「何だこれ?」と怒られるじゃないですか。
豊間根:(笑)。なりますね。
前田:「どうやったらうまく会社のトップを説得できますか?」と、よく聞かれるので、「とりあえず僕の研修を受けてください」と言う。
豊間根:そこに落ち着くんですね(笑)。
前田:だけど、なかなか「いや、社長に研修を受けさせるのは」という返答なので。
最初からドラスティックに変えるのではなくて、ちょっとチューニングして、「この人の資料は見やすいね」というところから、少しずつ見慣れてくるといいプレゼンになっていきますよ、というお話を、よく社内(用のプレゼン)では言っていますね。
豊間根:そうですね。
豊間根:よく、「社内は社外と違って共感を積み重ねろ」とか言いますものね。新しい話をどーんとしていくのではなくて、「こういうのに困っているよね」「そうだよね、そうだよね」で、最後にぐっとつかむプレゼンがいいと言いますよね。
前田:そうですね。「この部長はこう言われると喜ぶな」とか、上司のタイプは、この後に出てくる(テーマの)「社外」よりもわかるじゃないですか。
僕も孫(正義)さんとのプレゼンは……いろいろインプットする時に、(孫さんは)テクノロジーの話が大好きなので、テクノロジーのお話をすると、だいたい「うん、うん」という感じになるんです。
だけどそうではない話をすると、「いや、それはどうでもいいから」と、ぱっと切り替えられるので、なるべく興味関心を持つような内容をぎゅっと絞り込んでやっていくといい。
豊間根:そうですね。
前田:社内だと、聞き手を知ることができるのでいいですね。
豊間根:そうですね。社内外・オンラインを問わず、聞き手をよく知るのはやはり大事ですよね。
前田:ありがとうございます。
前田:今、時計が出ていないので、どれぐらい進んでいるかよくわからないんですけれども。
豊間根:そうですね。「社外」のほうにいきますか? どうですかね。
前田:社外のプレゼン。僕は、株主総会や営業プレゼンが多かったんですけれども、豊間根さんは社外プレゼンはどうですか?
豊間根:そうですね。それこそ、後ろ(の画面)に入っている私の(「DombraCo」のプレゼンスライド)。
前田:これ、みなさん見たことあります? 「あるある」って。たぶん、今日は9割方豊間根さんファンだと思うので。
豊間根:いやいや、違う違う。そんなことないです。
前田:豊間根さんの「DombraCo」のプレゼン、むちゃくちゃいいですよね。「DombraCo」のプレゼンを見られた方、手を挙げてください。ありがとうございます。
豊間根:ぽつらぽつらと(いらっしゃる)。すみません、恐縮です。
前田:せっかくなので紹介しましょうか。これ、桃太郎ですよね。
豊間根:そうですね。桃太郎をテーマにした、架空のきびだんご定期給付サービス「DombraCo」のプレゼン資料です。村民のアセット強奪の被害とか、アジャイルな鬼退治とかが出てくるスライドです。
前田:最高。
豊間根:こういうのを作って、飯を食っている人間でございます。
前田:すごい。
前田:これをTwitterで最初に公開されたのは、実際はどれぐらい前だったんですか?
豊間根:ちょうど2年前くらいですね。
前田:2年前ぐらい。その時、むちゃくちゃバズったと思うんですけど。
豊間根:そうですね(笑)。
前田:どれぐらいバズったんですか?
豊間根:これ自体はそんなに。1.8万いいねぐらいでした。
前田:すげえ。1.8万いいね。
豊間根:今日が「Twitterでバズを作る会」だったら、この桃太郎のことを深掘りしたいんですが。やはり、社外は社内と1つ違うところがあると思います。特にデザイン的にも「おっ」と思わせるのは、社内よりもより重要になってくると思うんですよね。
桃太郎は桃がテーマなので、全体的にピンク色をテーマカラーにして、グレーをベースにして、重要な部分にピンクを使う表現をしているんです。
前田:いいですよね。ワンカラーでトーン&マナーがすごく合っていて、統一感があるのがすごく見やすいし、それ以上に中身がすごくおもしろいんです。
豊間根:(笑)。そうですね。きびだんごの専門の製造業者がいたり。
前田:すごい。
前田:何パターンかスライドを見ていくと、図解されているところがけっこう多いんですが、豊間根さんは図解するのにこだわりみたいなものはありますか?
豊間根:文字よりも、図解や構造が見えると、人間はわかりやすいと思うんですね。
前田:構造。
豊間根:例えば、我々が小説を読む時って、カフェとかで本をじっくり時間をかけて読んで、頭の中に想像を巡らせるところが楽しいんです。
だけど(スライドの場合)、文章でずらっと書かれると(理解に時間がかかるので)、短い時間で難しい・複雑な情報をぱっと伝えたい時には、文字という道具はちょっと使いづらいんですよね。
前田:確かに。
豊間根:なので、例えば「何か4つ要素があるんだな。左から右に4つ順番があって、一番右が一番大事なんだな」と、目で見てわかると、頭の中で4つの動きを描かなくてもぱっとわかる。
文字という道具をビジュアルの道具に変換するほうがわかりやすい時に、図解を使うといいのかな思いますね。
前田:なるほど。目線の動きもこだわっていらっしゃる感じですね。
豊間根:そうですね。例えば、これは左から右に流れているんですけど、我々日本人は「左から右」「上から下」へ目線を動かすので、これを「下から上」とか「右から左」にしたら、すごく気持ち悪い。
前田:いや、気持ち悪いですよね。
豊間根:ですよね。
前田:一回、逆にしてすごく怒られている社員を見かけて、「かわいそうに」と思いながら僕の資料をすぐ直しましたね。
豊間根:(笑)。そうですね。でも、それもあんまり難しい話じゃないですものね。自然にやればいいだけですからね。
前田:そうですね。
前田:さっきのアプリもそうですけど、豊間根さんはどういう時に、こういった設定やアイデアがぽんと出てくるんですか?
豊間根:でも、本当にいつもですね。昔から常にネタを探している人間なので、「なんかこれ、おもしろいな」と思ったら、すぐスマホにメモる。
前田:スマホにメモるんですね。
豊間根:すぐにメモりますね。
前田:コンペとかをやられる方もいらっしゃると思うんですけど、コンペをやる時って、キーメッセージやキャッチーなワードから、ある程度詰めていくといいと思う。
例えば、日常の中でいろんなものを目にすると思うんです。豊間根さんは、雑誌だったり、中吊り(広告)だったり、テレビだったり、「よくこういう時にこういうネタをベースにしています」というのは、何かありますか?
豊間根:でも、本当にあらゆるもの。僕は万物はパワポだと思っているので。
前田:おお。「万物はパワポ」。名言ですね。
豊間根:例えば、今日の会場の地図だと、イベント会場が端っこにあって、そこが大きい四角になっていて、それ以外のところはグリッドで仕切られていますよね。それって、ある意味パワポにも通ずるものがあると思っていて。
豊間根:それこそ(画面に映っている)スライドは、田の字に区切られていますよね。右側のほうが言いたい話なので大きくしてあるわけですが、左側と右側とで、重要度が大きいもののほうが四角が大きくなる。
四角によって四角が構成されているのも、ある意味、今日の会場のビッグサイトとパワポはアナロジー(類推)があるわけですよね。
前田:すげえ。
豊間根:このように、物事を一段抽象化して考えて捉えていると、あらゆるものがつながったり、掛け合わさったりして、いろんなアイデアが浮かんでくると思っています。
一段抽象化して考えることは、1個重要だなと思っています。今日はアイデア術の話でしたっけ(笑)?
前田:それも含めて、みなさんけっこう知りたいんじゃないかなと思います。
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