2024.10.10
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第855回 トレンド経営学『ぎりぎりに手を付けないための対処法』(全1記事)
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加藤想氏(以下、加藤):グロービス経営大学院の加藤です。月曜日はトレンド経営学というタイトルで、よく聞くニュースをいろんな視点から切り取った場合に何が見えてくるのかについて、お話をしていきます。
今日は、ぎりぎりにならないと動けない場合の対処法について考えていきます。書店に行くと、仕事を後回しにしないための方法論や素早く行動するための心得といったコーナーがあって、同じ悩みを持つ人がたくさんいることがわかります。
先日、職場の若手社員からも「後回しにしないための方法を知りたい」という相談を受けました。私自身もまだまだ未熟者ではあるのですが、MBAを勉強しながら仕事や育児を両立させていく中で、計画的に仕事を片付けるために自分なりに工夫してきた部分があるので、その内容をお話しさせていただきます。
シンプルに意識することは1つです。「まず3分間手を動かすこと」これだと思います。ペライチ書評の本山さんも何度かこの話題に触れていますが、まず少しだけ手を動かすことで仕事の概要が理解できて、場合によってはあらかじめ他の部署に依頼をするなど、段取り良く仕事を進めやすくなります。また、少し手をつけることで本格的に着手する時に重い腰を上げやすくなります。
マーケティングノウハウによる企業支援を行なっている株式会社刀(かたな)の創業者である森岡(毅)さんも「慣性の法則」の重要性を説いています。動くまではエネルギーが必要ですが、1度動き始めるとむしろ動かし続けるほうが楽になる。こんな法則です。
手を動かす内容自体は何でもいいと思います。何かを依頼されたのであれば、依頼された添付資料を確認する。パワーポイントを作るのであれば、まずはパワーポイントファイルを開く。これだけでも効果があると思います。
余談になりますが、この3分間手を動かして中途半端な状態にするということは仕事以外の場面でも活用できます。私は昔あまり本を読むことに慣れていなかったのですが、読書を習慣化するために常に積読本を複数用意して、本を読み切る状態を作らないようにしました。
慣れないうちは1冊読むと満足して、次の1冊を読み始めるのにハードルを感じてしまいます。1冊読んだあとに、次の本の目次だけを見て、あえて読み残しておくことで続きが読みたくなる状況を作っていました。
ただ、ここで1つ考えていただきたいのが、そもそも後回しはダメなのか? という問いです。もちろん締め切りに間に合わずに誰かに迷惑をかけてしまうのはNGですが、クオリティと締め切りを守っていればギリギリ直前に対応しても問題ないんじゃないかと、個人的には思います。
私自身、昔から夏休みの宿題は比較的早めに終わらせるタイプではあるのですが、社会人になってからは必ずしも早めに終わらせることにこだわらないようになりました。これは決して不真面目になったというわけではなく、戦略的に後回しにしている部分もあります。
最近私が意識しているのは、締め切りの早い順に仕事を進めるのではなくて、1日の中で自分のご機嫌を取り続けられるように仕事を組むということです。
例えば、2日後に締め切りがくる作業中心の仕事と、4日後のVoicyでパーソナリティとして話す内容を考えるという2つの仕事があった時に、私は朝一に4日後のVoicyの仕事のほうから手を付けます。Voicyの原稿を考える仕事は私にとっては体力のいる仕事で、頭が疲れる前に原稿を書いておかないと時間がかかってしまうわけです。
よくクリエイティブな仕事は午前中にした方がいいと言われますが、私も午前の仕事は答えの決まっていない、思考を投入するような時間に充てたほうが効率的だと思います。そしてお昼から夕方にかけてはちょっと頭も疲れているので作業的な仕事を入れるようにしています。
また、これは前のチームの上司から教えてもらったのですが、その日にやらなくてもいいタスクを1つ入れておくこと。これもおすすめです。突発的に作業時間が奪われることというのはしばしばあると思いますが、調整球として別のタスクを予定に入れておくと対応しやすいです。
人によって、仕事のスタートは作業的なタスクを入れて、気分を乗らせてから難しいタスクに挑む人や、夕方のコーヒーを飲んだ後が一番頭が冴える人などそれぞれあると思います。まずは一番自分をご機嫌にできるタスクの組み方を考えてみてください。
そうすればぎりぎりに手を付けてしまう悩みからも解放されますし、「思ったよりも今日は仕事がはかどったな」と感じる日も増えると思います。
最後に、明日の仕事の段取りは必ず前日までにしておくと、翌日仕事がスムーズに進むと思いますので参考にしてもらえればと思います。
今日のお話はここまでとします。
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