2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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傳智之氏(以下、傳):時間になりましたので始めます。「社内を味方にする仕切り方~会社をよくする話題づくり&情報発信に協力してもらうには?」ということで、本日はご参加いただきありがとうございます。本日の進行は私、技術評論社の傳が担当します。よろしくお願いします。
本日のゲストの2人をお迎えしたいと思います。沢渡あまねさん、加藤恭子さん、よろしくお願いします。
沢渡あまね氏(以下、沢渡):よろしくお願いします。
加藤恭子氏(以下、加藤):よろしくお願いします。
傳:よろしくお願いします。お2人、対面でお話しするのは初めてですかね?
沢渡:そうですね、初めてです。
傳:沢渡さんと私はもう13冊、14冊の本をご一緒していて、加藤さんは1冊ということで、けっこうギャップがあるのですが、お2人の共通点もあります。まず、ぜんぜん意図していなかったんですけど、今回お2人が出した方が2冊とも「話」という字から始まる。あと販売時期も別に同じにしようとまったく思っていなかったんですけど、たまたまそうなってしまったという。
『話題にしてもらう技術~90.5%の会社が知らないPRのコツ』(技術評論社)
『話が進む仕切り方 ~会議/プロジェクト/イベントを成功させるファシリテーションの道具箱~』(技術評論社)
沢渡:偶然の出会いですね。
傳:偶然ですね。あともう1つは、お2人とも広報のバックグラウンドがあるということです。沢渡さんは社内広報ですね。
沢渡:そうですね。
傳:加藤さんはPRの専門家として全般的にいろいろご存知です。そのお2人の化学反応が今日うまく出るとうれしいかなと思っています。
加藤:楽しみにしています。
傳:はい、よろしくお願いします。今日は沢渡さんと加藤さん、それぞれにお話しいただいたあと、お2人の対談、スペシャルトークというかたちで進めていきたいと思います。よろしくお願いします。まず、加藤さんからお願いできますでしょうか?
加藤:はい、まず私から自己紹介と書籍の紹介をさせていただきたいと思います。株式会社ビーコミという、PRの支援の会社の代表をしている加藤です。2006年の6月から個人事業を始めて、2007年から法人としてサービスをやっています。
独立する前は、記者・編集者、BtoBのIT企業のマーケティングとPRのマネージャーの経験があります。書籍は『話題にしてもらう技術』のほかに、過去に共著で2冊ほどやらせていただいています。
弊社の特徴の1つに、「メディア側の視点を持っている」というのがあります。というのは、私自身が記事を書く側にいたからです。それからさまざまなお客さん向けに、気がついたらもう15年ぐらいサービスをやっていて、ありとあらゆる事例が社内に蓄積されてきています。
現在は蓄積された事例を活かしつつ、お客さまと私たちで一緒に作り上げることをやっています。もしかしたら「これやってください」とクライアントに依頼されたことをやるのがPR会社だと誤解されている方もいるかもしれないですが、そうではありません。何か言われても「いや、それだと結果につながらないですよね」「そこをこういうふうに変えましょうよ」と言ってしまう会社です。
続いて書籍の紹介です。記者として取材をする側と、企業の広報・PR担当者として取材をされる側、調整する側の両方の経験から得た、「話題にしてもらうためにこんなノウハウが必要なんだ」ということをまとめた本です。
情報は発信しないと伝わらないし、伝わらないと、忘れ去られて会社が消えてしまうようなこともありますので、伝えていきましょうよと。
「伝える」というのは全国区で有名になることではなくて、自分のビジネスに関わりのある人、知ってもらいたい相手の中で話題にしてもらうことです。
最初に「注目を集める情報の8つの法則」を紹介しています。続いて、話題になるために必要なPRの5つ道具を紹介しています。そのあとに疲弊しないで話題になり続けるための考え方と仕組みづくりを紹介しています。
PRをやろうと思って取り組んだものの、最初にがんばりすぎちゃって、豪華なプレスイベントを企画したりしてすごくお金もかけてしまって、疲れて続かないというケースがすごくあるんです。なので、そうならないためにどうしたらいいのかということを書いています。
続いて4章です。今「1人広報」とか話題になっていますけど、1人で仕事を抱え込んでしまうとか、担当者が1人でがんばらなきゃいけないみたいな事になってしまうと良くないんです。そうではなくて、社内でどうやって支援したらいいのか、どうやって社内の支援を求めたらいいのか、ということをこの章で書いています。必要に応じて外部の力も借りていきましょうと書いています。
5章は、最近いろいろ起きていますけども、炎上のリスクとどううまく付き合っていくか。そして最後に、付録として架空の人事のクラウド企業の広報ストーリーを紹介していて、ここで広報あるあるというか、初心者広報にありがちな出来事と解決策を提示しています。
「注目を集める情報の8つの法則」に出てくるのが、この一覧になっているものです。「距離・時間の近さ、自分ごと、ストーリー性、季節感/トレンド+新奇性、調査、ビジュアル、社会的意義、ギャップ」とあります。
例えば最近話題になっているコンビニスイーツの「メガ盛り」。コンビニだから「距離」とか「時間」ってすごい近いですよね。
自分でスイーツを食べる方だったら、本当に自分ごとになる。季節感もありますし、ビジュアル的なインパクトもすごい。今までのサイズのものと比べてすごく大きくなっているからギャップもすごくありますね。まさに法則の通りになっているわけです。
続いて「PR5つ道具」。「プレスリリース、メディアピッチ、記者説明会、公式ソーシャルメディア、オウンドメディア」を取り上げています。
ここで特に注目していただきたいのは、メディアピッチと記者説明会です。メディアピッチという言い方は、ほかの言い方もあるんですけども。例えば「こんな記事のネタがありますよ」というのをメディアの方に持っていくという行為です。これを、意外とみなさんやっていなかったりするんですよね。
「プレスリリースは知っているけども持ち込みしていませんでした」みたいなことがある。これも非常に大事なPR担当者の道具の1つになります。
それから記者説明会。メディアの単独の取材は受けているんですけど、何人ものメディアを集めて説明をするということを中小企業だとやっていないケースが多い。
一度の説明会で複数メディアに記事にしてもらうこともできますし、メディアの人も「説明会があるので来ませんか?」と伝えたほうが、「単独でインタビューしてください」というよりも敷居が低くなって、参加しやすくなるんですね。おすすめの読み方としては260ページ以上もあってけっこう分厚いので、まずは付録から。
先ほど紹介した架空のPRのストーリーから読み始めていただければと思います。「あっ、これすごくいいな」と思ったら、そこには「どの章を読んだらいいですよ」ということが書いてあるので、そこを読む。
刺さるところがあったら付箋をつけてもらって、手元に置いておき、実際に取り組む時に関係している箇所を調べてもらうような読み方がいいのかなと思っています。
それから、なぜ私がこの本を書きたかったかという話を少しさせてください。実は、「PRの認識」を変えたいと思っていました。
そのためには、広報/PRの担当者、当事者だけではなく、それを取り巻いている人たちの気持ちも含めて変えていかないといけないなということがあり、いろんな方々に手に取ってほしいと思って書きました。
まず最初にPRとか広報の重要性、つまり企業が適切に情報発信していくことの重要性がわかっている人とわかっていない人の格差が、すごく開いちゃっているんですね。
それによって「情報発信をしていない人」が出てきています。そういう人の話を聞くと、「うちの会社はすごいので、なんにもしなくても見つけてもらえるはず」とおっしゃるんです。でもそんなことはそうそうあるわけはなく、やはりすごい人であっても、情報発信は適切にして欲しいなという思いが強くあります。
そしてもう1つ、特に日本での現象ですが、PRの担当者や、外部のPR会社の専門性が正しく理解されていないなと思うんです。
なかなか長期的なキャリアを築きづらく、「雑用係だ」「誰でもできる」「若ければいい」「元気があればいい」みたいなことを言う方がすごく多くて。そうすると中堅になってきた人がやめてしまったり、そこから伸びなくなってしまうようなことが起きている。企業の中でも、担当者の仕事が理解されていなかったりしています。
ここを変えたいという気持ちがあって、それについて書かれている本はあるかなと調べてみたんですが、私の調べた範囲で見つけられなかったです。例えば「TVに出るための広報」「日経に載るためには」「記者とつながるための本」「お金をかけずにPRする方法」、このあたりは良い本がたくさん出ています。
ですが、「PRをどうやって仕組み化していくか」「PR会社の選び方」「お金を無駄遣いしないでやる方法」「広報の仕事の大事さを伝える方法」「取材の受け方」「世界に通じるPRの効果測定」……こういったものを書いた本がなかったのです。
ここを伝えないと、PRの認識が変わらない。誰かが出してくれたら応援するけど、誰も出してないから自分がやるしかない。そう思って今回出版に至りました。ここまでが私の自己紹介と本の紹介になります。
傳:加藤さん、ありがとうございます。まさに最初に加藤さんに企画のお話しをいただいた時も、このミッションというか、なにを実現したいかが本当に明確で、私もその熱意に共感して本を出したいなと思ったんです。
加藤:ありがとうございます。
傳:ありがとうございました。では次、沢渡さん、お願いします。
沢渡:みなさんこんにちは、沢渡あまねと申します。私のポリシーは「景色を変えて組織を変える」。加藤さんが先ほど「変えたい」と非常に力強いメッセージをご発信なさっていましたが、広報ってコミュニケーションの景色を変えることによって、組織を強くしていく、組織をエンパワーする。そんな魅力的な職種だと思っています。
今日のみなさんへのメッセージは、「自分の仕事のファンを増やす」です。
今日は広報の方も、そうでない方も、例えば人事や情報システム、部門のマネージャーなどさまざまな方がいらっしゃるので、みなさんへの期待・役割を2つ、まず示したいと思います。
1つ目が、広報のみなさんは今日の加藤さんと私のお話を聞いて、広報業務のファンを増やしていく、社内で仲間を増やしていく。そこを目指していただきたいです。
広報でない方、例えば情報システム部門とか経理とか、さまざまな部門の方がいらっしゃると思いますが、広報でない方は「広報視点」を組み込んで自分の仕事に対する、チーム、組織、会社、プロジェクトのファンを増やしていく。こんな耳で今日は聞いていただけたらうれしいです。
私の自己紹介は本に書いてあるので、そこを読んでいただくとして。今日のキーワードは、先ほど加藤さんが「共創」とおっしゃっていました。さまざまな立場の人とのコラボレーションが求められる時代において、「越境」、垣根を超えて対話をしていく力が今まで以上に組織としても個人としても求められていると思います。
私自身さまざまな越境をしていて、日産自動車、NTTデータ、大手製薬会社等も経て、現在自社も含めた複数のベンチャー企業の取締役顧問、さらには大手企業の人事部門の顧問などをしています。作家活動もしており、いわゆるパラレルキャリアです。
そして今日のテーマでもある広報ですが、私の職種の柱は「IT×社内広報」です。人事経験はゼロなんですけれど、この「IT×社内広報」の2つの柱で、人材開発・組織開発に広報、コミュニケーション、ITの視点で向き合う仕事をしています。
その他、多拠点生活をしています。今日も浜松からオンラインでお送りしています。さまざまな越境学習プログラムを運営していたり、まさに景色を変えることによって組織をエンパワーしていく、そのようなトライアンドエラーをしています。
1つ左下、ワーケーションでいうと、私はダムが好きでして。ダム際で越境学習プログラムを最近行っています。2月13日も、人材開発領域では知らない人はいない島田由香さんと私が、和歌山県で対談する越境学習ツアーをやります。
今日お話を聞いて「もっと沢渡の話を聞きたい」、「個別相談にのってほしい」という方は顧問契約をしていただくのが一番いいんですけれども、「続きはダム際で」というオプションもありますので、ぜひ和歌山にも来ていただけたらうれしいです。
私は、今日お話しするブランドマネジメント、ファンをつくる力、ブランドマネジメントを軸にした組織開発・組織変革を生業としています。
現在も、ヤマハ発動機さんとはもう8年間、全社員のブランド教育をしたり、インターナルブランディングで中の人たちのブランドを高めていく活動をしていたりと、「ブランド」というテーマに向き合っています。
「ブランドの話をすると、広報・マーケの人しか聞く耳を持たない」といったケースがよくあると思いますす。あるいはいわゆるエクスターナル、外向けの広告宣伝だけになりがちですが、そうではないです。
ブランドとはなにか。平たく言うと「また買いたい」「利用したい」と思わせる力。もっと言ってしまえば「この人たちとつながり続けたい力」と私は定義しています。
そうすると、企業広報の人たちは自社のファンをどう増やしていくか、または自社のファンを遠ざけないことが求められるわけです。さらに各部門のマネージャーであれば、自分の部門や、自分のプロジェクトのファン、共感者・理解者をいかに社内・社外に増やしていくか、あるいは無駄に遠ざけないか。
そのためにはコミュニケーションのやり方の工夫とか、広報マインドとか、もっと言ってしまえば足元の部分の業務改善が必要です。
大企業はよく、きれいなビジョン・ミッション・バリューを掲げますよね。「ITを使って世の中を幸せにしたい」と言っておきながら、紙、はんこの手続きで取引先を疲弊させる。こんな馬鹿な話はないわけです。これは無駄に自社のファンを遠ざけていますよね。
そういう意味では、業務改善、仕事のやり方をあらためることは、ファンを増やしていく、ブランドマネジメントにつながっていく。こういう考え方ができると思います。
私の考え方はすべてブランドマネジメントに照準を当てていて、働き方改革とか、今日のテーマであるコミュニケーションとか、あるいは広報も、ダイバーシティ&インクルージョンも、ブランドマネジメントを軸に論理展開をしています。
今回の書籍『話が進む仕切り方』は、そのようなファンを増やしていくための7つの行動として、会議やプロジェクト運営や商談など、さまざまなシーン別において使えるテクニックを散りばめています。単なるテクニック集にはしたくなくて、7つの「考え方」を書いています。
この7つを回していける人や組織を「ファシリーダー」と書きました。ファシリテーター+リーダーでファシリーダー。私の造語です。相手の強みを引き出し、対話を通じてエンパワーし、自己効力感をお互いに持ちながらビジョンやゴールに向けて牽引していける人や組織のことです。
これができる組織は、まずその部署、その仕事のファンが増えます。今日は広報の担当の方が多いので、例えば記者さんからインタビューを受けて、「自社では答えられないけれども、その代わりその課題感なら、ほかの会社の広報を紹介しますよ」とつなげる人っているじゃないですか。こういう人には「また相談したい」と思いますよね。
「またこの人とつながっていきたい」「またこの組織とつながっていたい」。これは組織としてもビジネスパーソンとしての価値も、間違いなく高まるわけです。こういう細かい行動でも、「観察」「期待」「役割」が非常に大事です。
例えば車のディーラーに私たちがお客さんとして行った時、できる営業担当者は、まず相手を観察しますよね。
「この人、冷やかしなのかどうなのか」と観察する。そして対話を仕掛ける。対話ですから一方的な伝達ではありません。対話をしながら「この人じゃなくて、実はこの人の配偶者の方が意思決定をしそうだな」ということであれば、「期待役割」を伝えてその場を終えます。
「では次回、ご家族も一緒に試乗の場を設けたいと思いますので...」と、あなたはこう振る舞ってください、私はこう振る舞うといったストーリーを作る。その車を持って幸せな生活をしてほしいと、ビジョンを実現していくような話をするわけです。
こういった7つを回せる人は、今の商談の例ような日々のビジネスコミュニケーションから、組織対組織でなにか物事を仕掛けていく上でも、すごく強い頼りがいのある人になれるんです。ファシリーダー的な役割を担う組織や職種や人が、私は日本にたくさん増えてほしいなと思います。
今日来たみなさんも、もうファシリーダー仲間と勝手に認定しますので、ぜひ細かいところは加藤さんの本、私の本を読んでいただきながら、ワイワイガヤガヤやっていただけたらなと思います。
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