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「議事録」で鍛えられる5つの能力(全1記事)

議事録を見ればその人の「ビジネス力」がひと目でわかる 「焦点と決定事項」が明確な議事録を書ける人の特徴

日本最大のビジネススクール「グロービス経営大学院」が、ビジネスパーソンに向けて、予測不能な時代に活躍するチャンスを掴むヒントを配信するVoicyチャンネル「ちょっと差がつくビジネスサプリ」。本記事では、議事録の品質を左右する5つの能力について語られました。 ■音声コンテンツはこちら

議事録は執筆者の「ビジネス力」を測る物差し

本山裕輔氏(以下、本山):グロービス経営大学院の本山です。今日は議事録をテーマにお話ししたいと思います。

ミーティングや会議、ファシリテーションの技術に関連する書籍を読んでいくと、「議事録の大切さ」について触れられているものをよく見かけます。また若手の方だと、「〇〇さん、この会議の議事録、ちょっとお願いしてもいいかな」という依頼をされることも多いのではないでしょうか。

一見すると、「議事録って、ちょっと面倒くさいなぁ」と思うこともあると思います。しかし、この議事録を甘く見ていると、足元をすくわれかねません。実は、議事録は、その人の能力や優秀さがひと目でわかってしまうという側面をもっています。

ということで、今回は「議事録の品質を左右する5つの能力」についてお話ししたいと思います。

まず1つ目が、「文章力」です。議事録というのは、会議をそのまま文章に落としたものなので、この文章力が品質を大きく左右します。

やっぱり文章力が低い人が書いたものを見ると、「何度読んでもぜんぜん頭に入ってこない」とか「一文が長すぎて、どこからどこまでが何を指しているのかよくわからなくて、読む気がなくなる」といった印象を与えかねないんですね。

もし文章力に不安がある場合は、例えば次の3つを心掛けるだけでも、文章の読みやすさはずいぶん変わりますので、意識してみてください。

1つ目は、一文をすべて80字以内にする。2つ目は、「〜し、」「〜して、」「〜ですが、」といった、接続詞を多用しない。3つ目は、主語と述語をなるべく近くに書く。これだけでも、議事録の品質をぐんと上げることができます。

他にも工夫の仕方はいくつもあると思うので、「文章力」に関する書籍を何か1冊でも読んでみて試してみることをお勧めします。

「意味のかたまり」ごとに整理する

2つ目は、「構造化する力」です。「構造化力」とは、全体像を示すことだったり、全体像の中の一個一個のパーツの位置づけをちゃんと示すことだったりします。

例えば、組織の「仕組み」の話をしているのか、組織の「文化」の話をしているのか、あるいはマーケティングのプロモーションの話をしているのか、それともPlace=流通経路について話しているのか。あとは戦略面の話をしているのか、実行のアクションプランの話をしているのか。

このように、「意味のかたまり」ごとに文章を整理しておくと、何の話をした会議なのか、読まなくても議事録を見ただけでわかる状態になります。

3つ目の能力は、「話のキャッチアップ力」です。どの企業、どの会議に属していても、専門用語や社内用語が出てきます。これを知っているか知っていないかで、会議の理解度は180度変わりますよね。

例えば、「何が主語で何が述語かはわかるけど、専門用語が多すぎてぜんぜんわからない」みたいなことがあると思います。ですので、少しでもわからない用語が会議で出てきたら、まずは自分で調べる。それでもわからなければ、誰かを捕まえて聞く。こういう動作をきちんとやっておかないと、議事録というのは書けません。

「議事録を書く」というのは、このキャッチアップ力も求められていると考えておくと良いでしょう。

「焦点と決定事項」が明確な議事録を書ける人の特徴

4つ目の能力は、会議での「当事者意識」です。やはり当事者意識が高い人と低い人とで、書いた議事録の品質は大きく変わります。当事者意識の高い人が議事録を書くと、議論の焦点が明確なだけでなく、決定事項の重みまで伝わってくるんですね。

当事者意識の高い人は、議事録担当として会議に参加しながらも「結局、誰が何をするんでしたっけ?」「いつまでにやるんでしたっけ?」「これってYESですか、NOですか?」というように、会議の詳細を具体化する努力をしています。

このような当事者意識がない議事録は、「なんか決まってそうで決まってないような。どっちなんだっけ?」みたいな、どっちとも取れるあいまいな記述が残っていたりします。

議事録があいまいなままだと、会議に参加しなかった人が行動に移せなかったり、後々言った言わないといったトラブルをまねくことにもつながります。ぜひ「当事者意識」をもって議事録に取り組んでみてください。

そして最後の能力は「スピード」です。やっぱり仕事が早い人とそうでない人で、大きく差がつく部分かなと思います。

私の周りにいる仕事の早い人を見てみると、会議が終わると同時に議事録の初版ができ上がっているんですね。会議が終了して5分以内に「議事録の確認、お願いしまーす」という連絡が会議の参加者全員に飛んでいる。これくらいのスピード感で仕事を進めている人がいます。こんなスピード感で仕事を進めてくれる人って、安心できますよね。

会議が終わって何分後に議事録を展開しているかって、実は誰も見ていなさそうで、ちゃんと見られています。ですので、たかが議事録といえど、見られているという意識をもって取り組んでください。

ここまで駆け足で5つの能力についてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか? 雑務のようにも見える議事録ですが、その正体はその人の能力、総合力を測る物差しだったりします。

ですので、「議事録よろしくね」と言われた時は、この5つの能力を意識しながら書くといいかなと思います。今日はここまでにします。

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