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今年こそ「やめる」!悪習慣を断ち切り方り、自分の時間を増やして目標を実現する為の方法!認知行動療法の専門家 中島美鈴先生新刊『脱ダラダラ習慣! 1日3分やめるノート』発売記念(全4記事)

どうしても遅刻してしまう人が引っかかる「4つの罠」 脳との関係で考える「時間管理」ができない原因

認知行動療法の専門家、中島美鈴氏の新刊『脱ダラダラ習慣! 1日3分やめるノート』の刊行記念イベントの模様を公開します。SNSやゲーム、お酒など、やめたいのにやめられない「ダラダラ習慣」から抜け出す方法について、認知行動に基づいた理論で解説します。本記事では、なぜ人はダラダラして時間を消費してしまうのか、その4つの原因を解説しました。

認知行動療法の専門家が説く「ダラダラ」からの抜け出し方

中島美鈴氏(以下、中島):みなさん、こんばんは。今日はたくさんお集まりいただき、ありがとうございます。これから、8時半までの時間をみなさんとご一緒させていただきます、中島美鈴と申します。

今日はこの『1日3分やめるノート』の中身について、特に理論的背景について、たくさんご紹介できたらと思っています。事前にかなりいっぱい質問をお寄せいただきましたので、多かった質問をまとめてお答えしようかなと思っています。では、よろしくお願いします。

『脱ダラダラ習慣! 1日3分やめるノート』(すばる舎)

まず、私のことを知らない方も多いと思いますので、ちょっとだけ自己紹介をさせてください。九州大学大学院人間環境学府で学術研究協力員をしています。

それから、肥前精神医療センターという佐賀県の精神科の病院では非常勤研究員、北九州市の「かなめクリニック」でも勤めています。

研究テーマは「認知行動療法」という、カウンセリングの一種が専門になります。中でも、今回のテーマ「時間管理」とか「ダラダラ習慣をなくす」みたいな、イヤな行動をやめていくところが専門になります。

今、えらそうにそんなことを言っている私も、学生時代は、書類はいつも提出締切を過ぎて出す始末で、学生課から目をつけられていたどうしようもない学生でした。

ゼミの時間もすっぽかし、なんと大学入学手続きの書類も忘れていて、1つの大学に入学できなかったという苦い過去がございます。

そんなダラダラを絵に書いたような私が、なんとか今、大人になってやっている。そして、今回38冊目の書籍だったんですが、小学生時代からずっと本を書くのが夢だったんです。それが叶った。

じゃあ、「なんで、あんなにダラダラだった子が、そんな大人になれたの?」みたいな。ダラダラだったからこそ、抜け出し方がキツいのもわかる。そういう私でも抜け出せる方法があるということで、今日はいろいろご紹介しようかなと思っています。

時間が消えるのは「時間管理」ができていないから

今日、お話しすることです。まず、「どうしてダラダラすると時間は消えていくんだろう?」ということ。それから2番目、「認知行動療法を用いた、ダラダラ習慣・悪い習慣のやめ方」をご説明します。そして3番目、悪い習慣のやめ方の具体的方法として、「やめるノートの書き方」をご紹介します。

ここから先、4、5、6はかなり実践例です。どんなふうに動画を減らしていったかとか、お酒を減らしていったかとか。実際、もうすでに読者で実践を開始してくれた方々もいらっしゃいますので、4番以降は、実例をご紹介していきます。

さっそく、1つ目からです。「どうして時間は消えていくのか」ですね。このイラストを見て、ギクッと思われた方はいらっしゃいませんか? これ、けっこう私はやっちゃうというか、冬寒いと、特にこうなっちゃうんですけど。

朝の場面ですね。休みの日の朝を思い出してください。「あー、起きて洗濯しなきゃなんだけど、やだーやだー。眠いような、いや、眠くはないけど寝ちゃえ!」とか「布団の中でずっとゲームをやっちゃえ! YouTubeだ! スマホ廃人だ!」みたいなことをしながら、あっという間に休みの日が消えていくという方です。

こういう「時間が消える問題」というのは、時間管理ができないからそうなるんじゃないかと言われています。「時間管理」という言葉、あまり聞かないかもしれませんね。「タスク管理」というほうがビジネスの業界ではよく知られている概念ですが、心理学的な研究の場面では「時間管理」といいます。

例えば、「約束の時間に遅刻せず、間に合えるかな」とか「複数やることがあっても、パニックにならずに順序立ててやれるかな」とか。「約束の日時をちゃんと覚えていられるかな」とか「〆切ギリギリか遅れることなく、計画立てて物事が進められるかな」とか。

「忙しすぎて回らない」なんてことがなく、上司が持ってきたすごい仕事量を交渉して断ったり、「もうちょっと後にしてくれ」と言ったり。そういうふうに計画を立てられているかなとか。「やるべきことを先延ばしせずにやれているかな」とか。これらが全部やれていると、私たちは時間をうまく使えて、人生を自分の好きなことに使えるようになるわけです。

精神的な健康と時間管理の関係

時間管理という研究分野では、実は精神的な健康と時間管理が関係すると言われています。時間管理を学術的に定義すると、「目標を達成するために時間を効果的に使用する行動」とされています。

料理の場面は、まさにそうなんですね。「今からカレーを作るぞ!」といった時に、カレーの材料を買う。買ってきたら、それを切る、炒める、煮込む、「あ、ごはんも炊こう」みたいな感じでしょうか。

料理の過程の中で、私たちは「カレーを作るぞ!」という目標を忘れずに、それに向かって段取りを決めて、効果的に行動しているわけですね。こういった、平たくいえば「計画立て」のようなことを時間管理と呼んでいます。

この時間管理ができると、仕事や学業上の成績がよいこと、職業満足感が高くてストレスが低いことが、いろんな研究で指摘されています。じゃあ、なるべく時間管理ができたほうがいいですよね。

今回、「自分が時間管理できません」だけじゃなくて、「子どもが時間管理できないんですけど」というお悩みもたくさん寄せられていました。

実は時間管理というのは、子どもの頃、小学生の頃から必要だと私は思っています。そうすると、もちろん学業も成績も上がるでしょうし、その後の自分の進路選択、人生の進め方も変わってくるわけです。

脳と深い関係がある、時間管理ができない4つの原因

じゃあ、時間管理ってどうやってやるんでしょうか。実は脳とかなり深い関係があります。時間管理のできない原因を、今から4つご紹介します。

1つ目、計画が不正確で、実行途中で挫折しちゃう。例えばこの絵を見てください。一生懸命働いている会社員が言っています。「やばい! 焦りすぎて気づかなかったけど、この仕事よく見たらエクセルでやれば簡単だったじゃないか」。そばで見ている上司が、「今どれくらい終わりました?」と進捗状況を尋ねても、「急いでます!」みたいな。

行き当たりばったりで効率が悪くなったり、そもそも計画を立てていなくて、仕事が何割終わったか全体像が不明確なので、「急いでます」としか言えませんよね。周りから見ると、「あの人、マネジメントできないな」ということで、非常にヒヤヒヤさせられる存在になるわけですね。

計画立てができない・やっていないのは、脳の前頭葉のところと深い関係があります。

私たちは、前頭葉のいくつかの部位を連動させながら計画立てをしていくんですけど、その働きのことを「実行機能」と呼んでいます。これは脳の中でもかなり高度な働きの1つです。この実行機能がほとんどうまく働いていないと、なかなか計画ができないと言われています。

ただ、この実行機能は生まれてすぐからずっとできるわけじゃなくて、だいたい大学生くらいまでの年齢にかけて、いろんな経験をもとに、どんどんトレーニングを積んで、計画がうまくなることがあります。だから、小学生とか大学生くらいまでの経験がとても大事になるわけです。

ただ、今日ご視聴のみなさまの年齢を拝見しましたところ、40代前後の方がかなり多かったんですね。40代、50代の方が多かったです。

「私たちは手遅れなのか」と言われるかもしれませんが、大丈夫です。今からでも十分取り戻せます。ここは、どんどん伸びるところですので、今日はその秘訣も学んでいただきたいなと思います。

時間の見積もりが不正確なのは、小脳に関係している

もう1つ、こういう方もいらっしゃいます。時間管理ができない原因のその2は、「時間の見積もりが不正確」ということです。

「みなさまが朝起きてから最寄り駅にたどり着くまで、何分かかりますか?」と言われると、どうでしょうか。実際の時間と見積もりが、かなりズレる人がたまにいるんです。

このズレは、小脳と関係すると言われています。小脳は、体の中の時間感覚をつかさどるところです。「タイミング」くらいの数ミリ秒の単位から、「何時間」という単位まで変わったりします。

なので、「この仕事、10分で終わる」と思ったものが30分かかる。「1時間で終わる」と思ったものが3時間かかるんだったら、どんどん計画倒れになっていきますよね。そうすると、最初から「計画なんか立てたくない。立てても無駄だ」ということになるわけです。なので、この「時間の見積もり不正確問題」というのは、大変大事なところです。

みなさん、ご存じでしょうか? 今ご紹介した前頭葉の実行機能のこと。それから小脳の時間処理障害と言われる時間感覚のズレは、ADHDと呼ばれる発達障害ともかなりかかわりが深い部分です。ADHDの診断を受けている人、もしくはその傾向のある方は、この計画立てが苦手で、時間がズレやすいことがわかっています。

仕事の要点がわかっている人は、「圧縮」がうまい

時間管理ができない原因3つ目は、「急ぎます」「がんばります」の精神論としました。この絵をご覧ください。上司がたっぷりの書類を持ってきて、「この仕事、絶対に明日までにやって!」と言っています。

この方自身もいっぱい仕事を抱えていて、かなり大変そうなんですが、この自分の状況を無視して、「がんばれば、なんとか!」という体育会系の精神論で引き受けちゃう。だとしたらこれは完全に時間軸を無視した精神論で、交渉ができていなかったりするわけですね。

ただ、私たちが仕事や日常生活を送っていると、それでもがんばらなきゃいけない局面ってありますよね。「絶対に明日までにこれをやんなきゃ!」みたいな。そういう時は、私たちって無意識のうちに、仕事やタスクを圧縮する。省略するといいますか、本当は丁寧にやれば3時間のものを、ギュッと1時間に圧縮するなんてことをやります。

仕事の要点がわかっている人は、その圧縮がとても上手です。カレーで例えますと、「カレーの具を小さく切れば早くできあがるかな」とか「圧力鍋を使えば大丈夫かな」なんていうのだって、カレーの材料とかルーとか、大事なところを外さなければ、味はそんなに変わらないことがわかっているからこそ、短縮できるんですよね。

でも、この要点をつかむ能力がちょっと苦手な人たちがいるかもしれません。ASDと呼ばれる自閉スペクトラム症の傾向を持つ方は、特にこれが苦手だと言われています。自己流が好きな方、完璧主義な方も、「こだわりが強い」という点では、仕事の省略をイヤがるので、できないかもしれません。

「ギリギリ」は、時間管理を邪魔する見せかけの達成感

最後、質問でも多かった4番目の原因は「ギリギリ癖の誘惑」です。「先延ばし」とかですね。こういう方はいませんか? 「俺って〆切当日の0時をまわらないと、やる気の神様が降りてこないんだよね!」みたいな。「ギリギリにならないと燃えないんだ。それまでは思いきり先延ばししちゃうんだ」という方が、一定数いらっしゃいます。

このギリギリって、快楽なんですね。何か脳内で物質が出ちゃっているらしいです。でもそれって、本人にとっては快楽でしょうけれども、仕事相手とかご家族のような周囲の人たちは、ハラハラするわけです。毎回「あの人間に合うかな?」と思って見ているわけです。そこで信頼を失っているかもしれません。

また、ギリギリにやったほうがダーっとやれて......試験も、一夜づけだった方の中には、「なんだ、前の日にやったほうが効率がいいじゃん」と思っている方もいるかもしれません。

でも、あれは見せかけの達成感です。効率がよく見えちゃうんだけど、実はあまりできがよくない。質がよくないこともよくある話です。ですから先延ばし癖も、時間管理をかなり邪魔しています。

どうしても遅刻しちゃう人がかかっている、4つのトラップ

今お伝えしたような時間管理は、こういう時間軸の順番でやられるということをご紹介したいと思います。

遅刻せずに待ち合わせに間に合うというのは、できちゃう方は、「がんばれば間に合うでしょう」と簡単に言うんですけれども、遅刻しちゃう人のプロセスを、4段階でご紹介しようと思います。

まず遅刻しないためには、「とりかかり」。これはどういうことかというと、まずは布団スマホの状態から立ち上がって、起き上がらないと間に合わないわけですよね。でも、そもそも起き上がれない。

「あー、起きるの面倒。身支度面倒。まだ1時間もあるし大丈夫かな」みたいに、布団の中でウダウダしちゃう。とりかかりに問題がある人も大勢いらっしゃるかもしれません。

でも、いよいよ時間が迫ってきたので朝の準備を開始しようと思います。ここが「計画立て」のところです。しかし、朝布団から出て、身支度を整えて、玄関を出るまでの間、みなさん何をどの順番でやるか意識されていますか?

だいたいのルーチンが決まっている方も多いかもしれませんが、遅刻しちゃう人の中には、「ヤバい。ちょっと時間がないわ。とにかく急げばなんとかなる!」と、何も考えず計画なんて立てずに、バタバタととりかかるかもしれません。

「進捗を気にして」というプロセスですが、バタバタ急いでいるんだけれども、メイクをしていて、「この眉毛をどうしてもカットしたい。今を逃すとカットなんかしないんだよ。ちょっとだけやっちゃおう」みたいに、やっているメイクの一部にこだわりだして、深みにハマっちゃう。これがまた、時間がかかっちゃうんですよね。

さらに「脱線」する方もいらっしゃいます。「眉毛をカットしていたら、鏡の汚れに気づいた。今のうちに拭いておこう」みたいに掃除が始まっちゃうと、これまた遅刻になっちゃうわけです。

私たちが時間どおりに身支度を整えて外に出るまでに、4つのトラップがあるわけなんです。

意外と多い「とりかかり」でつまづいている人

こう見ていくと、時間管理って、計画立ての概念もとても大事なんですけれども、そもそも「とりかかり」。「あー、起きらんない」「あー、イヤだ」「先延ばし」「ギリギリスリル」ということですね。

今、確定申告とかの時期なので、必要なものが見つからないからやる気が出ないみたいな。そもそもスタートラインに立てない人が、かなり多いことに気づきました。

「計画立て」から先にトレーニングしたら意外と早いんです。計画立てのトレーニングとか、集中を切らさないためのトレーニングはいっぱいあるんですけれども、とりかかりの問題でつまずいている人が多いので、今回の本を書いたということです。

どういうことか? 「スマホを見ちゃうから、やらなきゃならない洗濯とか掃除とか、いろんな仕事とか資格の勉強に手がつかない」という人が、世の中非常に多いんです。

YouTubeとかの動画、ゲームかもしれませんね。スマホをずっと見ちゃう人って増えましたよね。なので、今日はこの「とりかかり」を中心に時間管理の概念をお伝えできたらと思います。

時間管理は、実は脳の高度な機能

ずっと時間管理って繰り返しているんですけど、めちゃくちゃ高度な機能です。脳でいうと、少なくとも3ヶ所くらい、いろいろ使ってやっているらしいです。

「実行機能」と呼ばれる高度な機能。これ1つでもすごいのに、小脳から時間の情報を受け取りながら、「今何時かな。間に合うかな」なんて言いながら、計画を実行している。

さらには、この「抑制制御」ってあまり聞かない言葉かもしれませんけれども、例えば、カレーを作る計画実行中に「ピンポーン」ってチャイムが鳴ったと。集中を削ぐような刺激があった時に、私たちはそっちに1回飛びつきます。

ピンポーンって鳴ったら、出たほうがいいですよね。出て、自分が買っていた商品がAmazonから届きました。「開封したい」「そうそう、やっとこれが来た。この本読みたかったんだよね」と言って読み始めちゃうと、カレーができないわけです。この料理は中断になっちゃうんですね。

じゃなくて、私たちは1回Amazonからの荷物を受け取ったら、そのダンボールを1回置いて、今すぐ本を読みたい気持ちにブレーキをかけて、カレーの調理に戻らなきゃいけないわけですね。このブレーキをかける力を、「抑制制御」といいます。なので、そのブレーキをかける脳にもアクセスしながら計画を実行しなきゃいけないという、なかなか高度なプロセスです。

先ほど申しましたとおり、実行機能というのは4つのプロセスであるんだけれども、やっぱり「とりかかり」が難しい。ことごとく、とりかかりでつまずく人が多かったわけです。

『1日3分やめるノート』は、とりかかりに効く、邪魔な行動をやめることを目指しています。「あー、起きるのイヤだ」とか「スマホを見ていて抜けられない」ということを、どうにか改善したいわけです。

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