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第842回 マイキャリ『論理的思考力を鍛える4つの方法』(全1記事)

言いたいことが相手に伝わらないのは理由がある 説得力がグンと増す、論理的思考力を鍛える4つの方法

日本最大のビジネススクール「グロービス経営大学院」が、ビジネスパーソンに向けて、予測不能な時代に活躍するチャンスを掴むヒントを配信するVoicyチャンネル「ちょっと差がつくビジネスサプリ」。本記事では、「本質的な問い」を押さえるためのコツや、主張を組み立てるための2つのアプローチ方法などが語られました。 ■音声コンテンツはこちら

相手に正しく伝わらないワケ

鈴木麻希氏:おはようございます、グロービス経営大学院の鈴木です。毎週土曜日は「グロービスキャリアノート」というメディアから、キャリアを考える際のヒントとなる記事をピックアップして紹介します。

今回は「論理的思考力を鍛える4つの方法」についてお話しします。論理的思考はいろいろなシーンで役に立つので、業種や職種・役職を問わず、すべての社会人にとって身につけておいて損はないスキルの1つかなと思います。

とはいえ思考力なので、なかなか鍛えるのが難しいとか、鍛えるといっても何から始めればいいのかわからないという方もいるのではないでしょうか。今日はそんな方に向けて、この論理的思考力を鍛えるためのおすすめの方法を4つご紹介します。

1つ目の方法は「言葉を具体的にする」ことです。日々の何気ない会話の中の抽象的な言葉を、具体的な言葉に変換することを意識してみてください。

例えば「やることに注力して、目標達成に向けてがんばります」という言葉。これは「具体的に何をやるのか」「何ができたら目標達成と言えるのか」といったところをもっと具体的にする余地があります。

「早めに提出します」といった言葉も、早めとは具体的にいつなのかを明確にしてみてください。時間や程度の感覚は、人によって本当に異なります。抽象度が高い言葉のまま伝えると、相手に正しく伝わらないことが多いです。誰が聞いても同じイメージを持って受け止めてもらえるように、具体的な言葉で相手に伝えることを意識してみてください。

2つ目の方法は「自分の思考のクセに気づく」ことです。自分の思考のクセに気づいて、それを改善するためには「クリティカルシンキング」、つまり自分の考えを意識的、批判的に捉える思考法、日本語でいう「批判的思考」を身につけることが有効です。

クリティカルシンキングを鍛えることで、自分の主観や先入観、隠れた前提などにとらわれずに物事を見ることができるようになります。

「本質的な問い」を押さえるためのコツ

3つ目の方法は「本質的な問いを押さえる」ことです。今、自分が取り組んでいるこの業務は、具体的にどのような課題を解決するためのものなのか、本質的な問いを常に押さえ続けることを意識してみてください。この本質的な問いをしっかりと押さえられず、結果的に仕事が効率的に進まないという例は多くあります。

問いを押さえるためのコツを2つ紹介します。1つ目は「問いを分解する」ことです。例えばみなさんが人事担当者だったとして、上司から「グローバル人材の育成施策を検討して欲しい」と言われたとします。

このままの状態だと、問いが漠然としすぎて、何から考えて良いかわかりません。グローバル人材といっても「どんな人材を」「いつまでに」「何人程度」「どれくらいの予算をかけて」といったように、検討すべき問いを分解してみてください。そうすることで本質的な問いにグッと近づくことができます。

2つ目のコツは「問いの背景を確認する」ことです。問いの背景には、どのような課題があるのか、どういった経緯でこの問いが出てきたのか。こういったことをきちんと把握することも重要です。

先ほどのグローバル人材で言うと、人事だけの問題なのか、全社的な問題なのかによって、考える範囲が大きく変わります。この背景を知ることが、具体的に何をどう解決すべきなのかを考えるヒントになります。

主張を組み立てるための2つのアプローチ方法

最後に、論理的思考力を鍛える4つ目の方法は「主張と根拠の骨格を作る」ことです。問いを押さえたら次に考えるべきは、その問いに対する自分なりの考え、要は主張です。

「グローバル人材育成のためには何をすべきか」が問いであれば、「そのためにはこれこれとこれこれにまず取り組むべきです」というのが主張になります。しかし主張をするためには、なぜそう言えるのかという根拠もセットにして主張する必要があります。この2つがしっかりと整合していれば、説得力がグンと増します。

主張を組み立てるための2つのアプローチ方法をご紹介します。1つ目のアプローチ方法は演繹法です。すでにある一般論やルールに具体的な事象を当てはめて、結論や主張を導く方法です。

私たちは主張をする際に、全てを1から考えているわけではありません。すでに一般論や知識、決まったルールがある場合は、それを引っ張ってきて主張を作ることができます。この演繹法を身につけるためには、一般的なルールや知識の引き出しを増やすこと、そしてその知識を使える状態にしておくことがポイントです。

2つ目のアプローチ方法は帰納法です。複数の事象から自分でルールを抽出して、無理なく言えそうな主張を導き出す方法です。帰納法のコツは、「思い込みを捨てること」「サンプルをしっかり集めること」そして「経験や事例の幅を増やして具体的に考える力を身につけること」です。こういったアプローチをとってみると、主張と根拠の骨格を作りやすくなるので、ぜひ試してみてください。

今日は論理的思考力を鍛える4つの方法についてお話ししました。論理的思考力を鍛えるのは、個人的には場数かなと思います。今日お伝えした4つの方法を頭の片隅に置きながら、問いを押さえて考えるということをぜひ繰り返してみてください。では、今日はここまでとします。

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