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トレンド経営学『時間泥棒な会議をなくすために』(全1記事)

グダグダで効率が悪い“時間泥棒な会議”をなくすには? 論点をブラさないコツや、時間切れを防ぐテクニック

日本最大のビジネススクール「グロービス経営大学院」が、ビジネスパーソンに向けて、予測不能な時代に活躍するチャンスを掴むヒントを配信するVoicyチャンネル『ちょっと差がつくビジネスサプリ』。本記事では、効率の悪い“時間泥棒な会議”をなくすコツや、会議の質を高めるためのポイントについて解説しています。 ■音声コンテンツはこちら

効率の悪い“時間泥棒”な会議をなくすために

加藤想氏:以前読んだニュースで、「会社員の会議時間は一生のうちで3万時間」とありました。約8年間という膨大な時間を会議に使っていると知り、私自身はかなり驚きました。日々の仕事の中で、「今日は会議がたくさんあるな。めんどくさいな」と感じる人も多いのではないでしょうか。

日々多くの会議に参加する中で、効率が悪く、参加者の時間を奪う「時間泥棒な会議」を目の当たりにしています。

私もより良い会議を模索するために、書籍を読んだり、グロービス経営大学院のファシリテーションの科目を受講し、クラスメートと議論することで、少しずつ納得できるミーティングの数も増えてきました。今日は、時間泥棒な会議をなくすために私自身が意識しているポイントを3つお伝えします。

1つ目は「会議の前に会議の終了要件を言語化する」です。当たり前と思われているかもしれませんが、けっこう意識できていなかったりもします。以前、火曜日の『ペライチ書評』の担当の本山(裕輔)さんが第320回 ペライチ書評『オンライン会議の教科書』で紹介されていた本にも、同様の記載がありました。

会議の目的を明確にすることが大事だというのは、いろんなミーティング関連の本でも言われています。しかし現場では「営業施策の方向性を検討するのが目的」など、具体性に欠けるものもよく見かけます。

この場合は「営業施策のネクストアクションを決める」など、具体的な行動を設定せざるを得ないようにしておくことがおすすめです。可能であれば、会議中に常に会議の終了要件を確認できるようにしておくと、話の脱線が起きにくくなるのでおすすめです。

会議の時間切れを防ぐために、論点を整理しておく

続いて2つ目が「論点の地図を作る」です。多くの会議で時間切れになってしまう原因として、「話がいろんなところに飛んでしまう」ということがあると思います。会議中に出てくる話題に右往左往しないように、出てきそうな論点をあらかじめ予想しておくことが大事です。

例えば、「営業担当のスキルアップ施策を考える」という話題であれば、訪問先に行く前、訪問中、訪問後のアフターフォローの3つに分けて、出そうな論点を考えます。施策を決める際には、「効果と費用の軸で考える」というふうにシミュレーションをしておくと、会議が始まった時に一つひとつの論点に右往左往せずに済みます。

『ファシリテーションの教科書』という本では、想像した論点には大きく4つのパターンがあるとされています。「議論すべきでない論点」「確認する論点」「置いておく論点」「議論すべき論点」です。議論すべき論点にしっかり時間をかけられるように、まずは論点の地図を作ってみてください。

そして最後に3つ目は、「参加者の前提を『環境』と『価値観』に分解して思いをはせる」ことです。「相手の目線に立ってコミュニケーションする」というのはどの本でも言われていますが、個人的に「相手の目線に立つとはどうすればいいのか」というのはイメージができていませんでした。

私も、相手の前提を把握していなかったためにうまく会議が進められない場面もあったんですが、前提を分解して考えることによって、少しだけ具体的なイメージができるようになりました。

会議に参加者を巻き込むためのコツ

相手の前提を把握するためには、「相手の環境」と「相手の価値観」、それぞれに分けて考える必要があります。まずは、今どんな場所でどんなことをしているのか、忙しいのか、何を重視しているチームかなど、「相手の環境」について考えることが大事です。

そして次に、その人は忙しいのが本当にダメなタイプなのか、それともある程度許容範囲があるのか、もしくは新しいチャレンジがしたいタイプなのか・そうでないのかなど、「相手の価値観」について考えるようにします。

この組み合わせを考えることで、その方の前提がどのように成り立っているかをざっくり把握することができます。堅実な部署にいる人で、新しいことが好きなタイプであれば、もしかしたら新しいチャレンジをしたくてうずうずしているかもしれません。

ざっくりとでも相手の前提を把握した上で会議に参加するのとしないのとでは、参加者の巻き込み度合いがまったく異なってきます。

もちろん、100パーセント相手の視点に立つことは不可能です。特に、価値観を把握するのは時間をかけて観察することが必要なので難しいです。なので、せめて相手の環境だけは把握しておきたいなと思います。

適切な会議時間は「1時間」ではなく「45分」

時間泥棒な会議をなくすために、「会議の終了要件の言語化」「論点の地図を作る」「参加者の前提を環境と価値観に分解して考える」、この3つをお話ししました。

会議のファシリテーターをされる方はもちろん、参加する立場の人も意識してもらえると、“裏ファシリテーター”としてスムーズに会議を進めることができると思います。

ちなみに話は変わるのですが、適切な会議時間がどれくらいか、あなたはご存知でしょうか。もちろん会議の内容によっても違いますが、ビデオ会議システムを提供しているZoomの調査では「45分」という結果が出たようです。だからZoomの無料版は40分までしか使えないようにしているそうです。

会議を1時間に設定している場合は、ぜひ一度45分にしてみて、伝えたいポイントを意識した会議ができるか試してもらえたらと思います。有意義な会議が増えることを願っております。

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