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無駄な会議の削減と「質の高い会議」実践の秘訣(全4記事)

トップ5%社員がファシリテートする「会議」の特徴 参加者に決定事項を「実行」してもらうために必要なこと

働き方が多様化した時代にも柔軟に対応し、最短距離で成果を最大化する「チームマネジメント」について、3回にわけて特集した株式会社SmartMeeting株式会社SmartHRのセミナー。 本記事では、「成果を上げるための会議」をテーマに、『超・会議術~テレワーク時代の新しい働き方』の著者・越川慎司氏が登壇した、3回目のセミナーの模様をお届けします。一番成功しやすい社内会議の時間設定や、オンライン会議の内職率、そして会議で参加者の記憶に残る時間帯など、さまざまなトピックが語られました。

数値でわかる、会議冒頭の「雑談」の効果

越川慎司氏:先ほど、一般的な企業800社の社内会議は「①情報共有」「②意思決定」「③アイデア出し」の3種類と言いましたね。

これらが実際にどれくらいの比率で行われているかというと、①番の共有会議が65パーセント、②番の意思決定が13パーセント、③番のアイデア出しが22パーセントです。

みなさんは事業を成長させたいんですよね。質を高めるために、売上も業務効率も高めていきたい。そこに影響があるのは②番と③番なんです。

それにもかかわらず、①番が断トツで多い。やっぱりここを見直す必要があります。せっかく体重計に乗ったのですから、「ここに脂肪がある」と考えるのがスマートですよね。

実際に300社以上で会議改革を行いました。具体的にはファシリテーターを育成させたり、会議の事前設計をみんなで考えたり、「こういうアジェンダがない会議は開催しない」などのルールを決めたりしました。

改善前はスライド左側のとおり「①共有」65パーセント、「③アイデア出し」22パーセント、「②決定」13パーセントです。ここから、質を良くするために②番と③番の比率を増やしていきます。情報共有を少なくして、さらに全体の会議時間を少なくしていくんですね。

今回成功した218社は、スライド右側のようになりました。「①共有」が31パーセント、「②決定」が18パーセントです。「決定」が増えたことで、現場の「実行力」も増えています。

「決定」をするための「アイデア出し」も37パーセントに増えますね。それによって腹を割って話すことができるので、空気を読まずに意見が出るようになる。過剰な気遣いが一番生産性を落とすので、こうしてアイデアをしっかり出す。

そして雑談。けっこうポイントです。ぜひみなさん、今日の午後から社内会議の冒頭2分、だまされたと思って雑談してみてください。雑談というのは、くだらない話をすることではなくて、「感情共有」が目的です。相手との共通点を見つけるコミュニケーション術が「雑談・アイスブレイク」なんですね。

冒頭2分の雑談を入れた会議4,000時間と、入れなかった4,000時間を、同じチームで比較したところ、雑談を入れたほうが発言者が1.9倍、発言数は1.7倍になりました。それにもかかわらず、会議が早く終わる確率は+45パーセントとなりました。最初に温めることが必要なんですね。

右側のうまくいった218社は、雑談を入れました。2分で終わらず長引いてしまったこともありましたが、それにもかかわらず総会議時間が1週間で24パーセント減ったんです。

「共有」が減って、「決定」と「アイデア出し」が増えた。これ、量と質の改善ですよね。

なぜ総会議時間が24%減ったのか?

ではみなさんに質問です。間違ってもいいのでチャットに書いてみてください。さて、この成功企業はなぜ総会議時間が24パーセント減ったのでしょうか? ある決定的な取り組みをしたら、会議時間が24パーセント減りました。どうやって時間短縮をしたのか、チャットに書いてみてください。

「立ったままの会議」、いいですね。こういう回答です。他にいかがでしょうか? 「予定時間を減らした」、定例会議をなくしたわけですね。

右から左に情報共有をするだけの定例会議は、実はアウトプットは出ませんからね。テレワークで部下が目の届く所にいないから、みんなで集まって「健康確認」や「サボっていないかの確認」がしたいという。こういった上司の気持ちによって、会議が増えているのもあると思います。

「資料共有」「30分で終了する会議にした」「共有は会議以外にした」「情報を事前に配布して共有する」、どれもいいですね。「共有自体は事前に終わっちゃっている」いいですね。そういうやつです。会議は、本当に準備で決まります。

「資料を減らした」いいですね。資料を減らすのもポイントです。スライド1枚にかける時間は多くて1分です。一番いいのは、発表者の持ち時間に0.75を掛けること。15分だったら0.75を掛けて10枚くらい、20分なら15枚くらいです。このように会議資料を短くするのもポイントですね。

「事前にQ&A」もいいですね。「絶対に延長しない」。その気持ちがいいですね。「司会者・仕切り役」、重要です。成功企業はファシリテーター・仕切り役を必ず作ります。ファシリテーターは「時間」と「空気」と「アイデア」を管理する人。部門に1人いると、確かに時間どおりに終えることができます。みなさんご回答ありがとうございました。

一番成功しやすい、社内会議の時間設定

では、答え合わせをしていきましょうか。答えは簡単ですよ。みなさんの社内会議、デフォルトは60分なんです。日本で行われている社内会議の91パーセントが60分設定です。本当に60分必要なんでしょうか? 60分に設定しちゃうから、60分使い切っちゃうんですよね。そうすると次の会議に遅れてしまいます。だって、予定通りに始まる会議は27パーセントしかないんですから。

だから、「会議は60分ではなく、45分にしませんか」と。ファシリテーターを立てれば、45分でできます。この会議実験を、週に1回だけやったんですね。そうしたら「なんとかできた」「じゃあ続けていこう」となって、気づいたら、会議時間が24パーセント減っていたんです。

でもね、いきなり「45分にしましょう」と提案すると、みなさんの上司が「無理だ」と言うんですね。でも、1回やってみたら、抵抗勢力として反対していた管理職ほど「意外と良かった」と言うんですよ。

ぜひみなさんにやっていただきたいのは、「小さな行動実験」です。「218社で成功した45分会議、うちのチームでも1回だけやってみませんか?」「うまくいったら続けましょうよ」と、ハードルを下げてみる。そうして、ぜひ周りを巻き込んでください。45分会議はかなり成功しやすいです。

残り15分のバッファができるので、トイレに行ったり、コーヒーを飲んだり、タバコを吸ったりできます。会議が延長したとしても、せいぜい5分ぐらいですから、それでも10分のバッファがあります。この10分には他の会議は入らないですから、次の会議にも遅れずに入れますよね。

精神的な余裕もできます。60分の会議は45分、30分の会議は25分にする。218社の行動実験により、この社内会議の時間設定が一番成功しやすいということがわかりました。

このように、会議は事前準備で7割決まるんですね。「アジェンダは何ですか?」「会議の目的は何ですか?」「3種類の会議のうちのどれですか?」「参加者はちゃんと参加していますか?」「本当に60分必要ですか?」「当事者意識を持って来ていますか?」などの準備で7割決まるんですね。だから先ほどの「5つの要素」と「会議設定」は、今一度見直して、設定し直していただきたいと思います。

オンライン会議の内職率

次に、実際にどう進めていくか、具体的な会議の運営に参ります。みなさんが会議の仕切り役、主催者もしくはファシリテーターになったと思ってください。みなさんが、がんばってもがんばっても成果が出にくいのは、参加者のやる気をあてにしちゃっているからなんです。

オンライン会議って、みんなしっかり聞いてくれているんでしょうか? いえいえ、そんなことないんです。こういうのも匿名アンケートやITツールを使うと、おおよその予測ができるんですね。みなさん、怖いですよ。オンライン会議の内職率って何パーセントぐらいだと思いますか? チャットでお答えください。

匿名アンケートなので、けっこう正確な数字だと思います。ご回答をいただきました。「70(パーセント)」内職するってすごいですね。「90」「30」「60」「50」。意外と多いですね。みなさんが今、内職していないことを祈ります。「20」「40」、ご回答ありがとうございます。

みなさん「内職はマルチタスクだからいい」と言うんですよ。でも、聞いていないのなら会議に参加する必要はないですよね。内職を肯定的に捉える方々は、「会議改革をする必要がない」と捨ててしまっているということです。

答えは「41パーセント」です。

刻んできました。みなさんの答えからすると、もっといるのかもしれませんね。だから、やる気はあてにしちゃいけないんです。

会議で参加者の記憶に残る時間帯

例えば、みなさんが45分会議をやる前に、60分の社内会議をやったとします。スライドの①~⑥まで60分で、だいたい10分刻みくらいだと思ってください。

①から始まって⑥までやって、会議が終わってから90分後、2万3,000人にアンケートを取りました。「あなたは、①~⑥のパートのうち、どれを覚えていましたか?」と聞いたら、1位と2位が突出していたんですね。

1番目に記憶に残っていたパートと、2番目に記憶に残っていたパートは何でしょうか? チャットに順番に数字を書き込んでください。

1番目に記憶に残っていたのが⑤、2番目に記憶に残っていたのが②だとしたら、⑤②と入れてください。続々ときました。⑥①、②④、⑥①、⑥⑤。競馬の実況中継みたいになってきました。⑥が多いですね。でも、②や③もあります。⑥⑤①が多いですかね。

やる気をあてにしないほうがいいのですから、これは重要ですよ。これは調査データでもあると同時に、脳の構造でもあるんですね。脳、ブレインの構造です。

では答え合わせをしていきます。これもAI分析をかけました。記憶定着率をヒアリングするだけではなく、モチベーションやテンションの高さを調査するため、フェイストゥーフェイスで映像の記録を取りました。それを、AIが8つの感情に分析したものをお見せしたいと思います。

答えとしては、一番記憶に残ったのが⑥、2番目が①です。だから、⑥①が正解ですね。①⑥ではなくて。

AI分析をグラフにプロットするとこんな感じです。

縦軸が記憶定着率です。途中は2割も覚えてないんですよ。すごくないですか? 内職をするならここですよね。聞いていないっていう。

聞いていないのに、本当に決定や行動につながるんですかね? 行動量を増やすのが社内会議の究極のアウトプットです。聞いていない人が行動してくれるのでしょうか? してくれませんよね。

唯一記憶定着率が40パーセントを超えているのが、①と⑥ですよね。厳密に言うと、「最後の5分」と「最初の1分」です。スライドの表のこの色は、AIのコグニティブAPIの感情分析を入れていまして。明るい色だと、よりモチベーションが高いんですね。

モチベーションが高いほうが、アクションを起こしてくれるからいいですよね。そうすると、やっぱり最初の1分、最後の5分は明るい色が多いですよね。

みなさん、これでわかったんじゃないですか? やる気をあてにしてはいけません。でも、逆に言うと「最初の1分」と「最後の5分」にエネルギーを注げばいいんですよ。

他は聞いていないんですから。大谷君のメジャーリーグを観ていますから。

トップ5%社員がファシリテートする「会議」の特徴

ではみなさん、最後の5分って何をやります? 「まとめスライド」を作ってください。私は『トップ5%社員の習慣』という書籍を出しているんですけれども、彼らは最後に「まとめスライド」を作ります。成果を出していない人に比べて、1.8倍「まとめスライド」を作ります。

「まとめスライド」はまとめることが目的じゃないですよ。相手に求めるアクションを「まとめスライド」に入れるんです。だって、アクションを起こしてもらわないといけないから。

「まとめスライド」で求めるアクションは3つです。動かすこと、視覚を考慮すること、伝わること。「これがあなたに求めるアクションです、やってくださいね」と言うと、4割の人がやってくれます。

でも、たった4割です。まだ、4割しかやってくれない。やる気をあてにしちゃダメです。「まとめスライド」に書いてもやってくれないんです。

実践する人を1.5倍増やしたいんです。どうしたらいいと思いますか? 「まとめスライド」を作る。相手に求めるアクションを入れる。もう1つです。たった1行を加えると、1.5倍動くんですよ。

たった1行というのは、期日です。期日・期限を入れて、「7月29日、今週の金曜日までにその3つをやってくださいね」と、「まとめスライド」に入れたら、そこは記憶定着率が高いですから、テンションも高まり、77パーセントの人が従ってくれます。

「まとめスライド」は、相手に求めるアクション、期日を入れる。そうすると、77パーセントが動いてくれる。これはぜひやってください。

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