2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
リンクをコピー
記事をブックマーク
今井広夏氏(以下、今井):それでは、質疑応答を始めさせていただきます。今回も事前に多数のご質問をいただいていますので、暦本さまにお聞きしてまいります。
では1つ目のご質問です。「新規事業、アイデアの元となる妄想はいつ思い浮かびますか? 私はトイレや入浴中、1人で飲んでいる居酒屋など、1人で油断している時にアイデアが浮かぶ気がしますが、いかがでしょうか?」。
暦本純一氏(以下、暦本):それはたぶん、どこでもあり得ますね。こういう質問をされることが多いので考えてみたのですが、「考えている時間そのものが長い」ということだと思いました。
だから、居酒屋のみで考える人はいなくて、居酒屋でも、お風呂に入っていても、通勤時間も考えている。たまたま思いついたところが居酒屋だっただけで、なんとなくずっと考えているんですよね。「考えている時間そのものが長い」のがポイントだと思います。
要するに、先ほど言った「既知のものの未知の組み合わせ」なので、僕はいつも頭の中で、なんとなく組み合わせを探索しているんですね。探索時間が長いほうがアイデアが浮かぶのではないかと思っています。
今井:ありがとうございます。続いては、アイデア創出の次のフェーズに関するご質問ですね。
「新たな技術アイデアを創造してから、最終的に製品・サービスになるまでに、『特許の取得』『周囲の人間や経営陣への合意の取りつけ』など、越えなくてはいけない山があると思います。『製品になるか・ならないか』は、どのハードルが一番のポイントになると思いますか?」。
暦本:たまたまこの前プレステの夛良木(くたらぎ)(健)さんと対談する機会がありまして、まったく同じ意見になったんですが、「まずやっちゃう人が勝つ」ということですね。つまり、「企画が通ったらやる」とか「予算が付いたらやる」とか言っている人はやらないでしょう。どんなに小さくてもいいから、まず自分で始める人が最終的に成し遂げると。
というのも、新しいことって今まで誰もやれなかったから新しいわけで、だいたい問題があるんですよね。「予算がない」「上司に理解がない」「リソースがない」「仲間がいない」とか。
だから、やらない理由を数えだすと限りなく見つかります。「私のところにはこういうのがないんです」など、「ないです」と言っている人は、そう言っている間はやらないし、それが全部解決しても、また新しい「やらない理由」を見つけてくる。だから「とりあえず自分でやる」ことが大事ですね。
よく言っているんですが、人に蹴ってもらって勝てるサッカーなんてないでしょう? 自分で蹴らないとサッカーは始まらないということです。
今井:では続いての質問ですね。「天使度と悪魔度の望ましいバランスはありますか?」。
暦本:これは場数なので、半分天使・半分悪魔という答えにはならないと思いますね。アイデアは自分で「おもしろいな」と思う感覚がすごく大事で、その時に「何か足りないな」と感じることもあると思うんですね。
その時に、もう少しブレイクダウンしてみると、「技術的に難易度が高くて、やりたいことがきれいに出ていない」みたいなことが判明するかもしれない。そして、それを踏まえると、天使度と悪魔度のバランスが取れると思います。
今井:ありがとうございます。では続いての質問です。「妄想を、上司やスポンサーにプレゼンする時のコツと注意点は何でしょうか?」。
暦本:それがまさに、「天使度・悪魔度」や「Claim」ですね。「これができたらどんなにうれしいか」という天使的なことは明確に表現して、本当にできるようになった時には悪魔的な説明ができるようにする。この二段構えだと思いますね。
また、先ほどClaimのところでも言いましたが、「次世代」とか「人に優しい」とか、きれいな形容詞で飾りたくなっちゃうけれど、「そういうのを全部取り去った後にどんな魅力があるか」ということだと思います。
今井:では続いてのご質問です。「人工感覚器による人間拡張の取材を通して、実際にあるニーズを技術によって解決することの強さを再認識しました。妄想よりも、観察・共感のほうが重要ではないかと考えますがいかがでしょうか?」。
暦本:それは両方あると思いますね。要するに、課題というものは手段があってこそ解決します。そこで「新しい課題」と「解決手段」がマッチングしないということが、研究開発では起こり得る。というか、ここが一番アイデアが出やすい場面なんですね。だから、「新しいニーズ」があって、「新しい解決手段」があれば、今までできなかったことができるようになると思います。
今井:続いてのご質問です。「ふだん仕事もこなしながらアイデア創出も行うとなると、身体的にも思考的にも体力が必要だと感じています。暦本先生はふだん、活動し続けられるスタミナ作りやマネジメントなどはされていますでしょうか?」
暦本:しっかり寝ますね。当たり前なんですけれど、普通に食事をして、普通に睡眠時間を取りましょう。要するに人間の脳は、バイオロジカルに、動物としてきちんと機能させることが大事です。
体力はわからないですけどね。あと簡単に言うと、こういうのが大嫌いな人はやらないほうがいいです。新しいことを考えることが好きな人って、ずっと考えているわけなので、それが本質的に嫌いな人はやらないほうがいいと思います。
今井:ありがとうございます。では、ここからは本日いただいたご質問となります。まず1つ目。「1文にまとめる(Claim)だけでなく対話することの価値はどうでしょうか? それらは行ったり来たりして考えていくべきなのでしょうか?」。
暦本:それも大事だと思います。ただ、その時にもClaimは有効なんですね。
「私がやりたいことはこうなんですよ」と相談する時に、「こうなんですよ」というのがカチッとまとまっていると、「それっておもしろいけど、こういう技術もあるよ」と話が進むわけですね。これがまとまっていないと、ずっと聞いていても「それで、どうしたいの?」となっちゃって、対話があまり進まないんです。
あと、さっきから何度か言っていますが、Claimは一度に1個ということではないんです。「こういうこともあるし、こういうこともあるし、ちょっとバリエーションをつけてこういうのもあるでしょう?」と3~4つぐらいある時に、「3が一番おもしろいね」という言い方もできるわけです。だから会話を広げたり、ディスカッションするツールとしても、言語はすごく重要だと思います。
今井:では続いてのご質問ですね。「課題とソリューションが噛み合わない状況がよく生まれてしまいます。その解決法としては、Pivot(ピボット)を繰り返すということでしょうか? 他に留意する点があればぜひ教えてください」。
暦本:なかなか難しいところがありますね。ある問題を試行錯誤して、こうやろう、こうやろうといろいろがんばる時に、いくつかの山があるとして「どっちから登ったらいいのか」とさんざんトライアルすることがすごく大事なのがまず1つです。
もう1つはPivot的に「この山よりも別の山のほうが大きい」みたいにパッと思いつくこと。この両方があって、どっちがいいのかは極めて難しいのですが、「こっちだな」と思ってやるしかないと思いますね。
今、学生さんが聞いているかどうかわかりませんが、同じことをやるにしてもものすごいスピードで試行錯誤ができる人もいるんですね。「この山を登る時に、こっちの道はふさがったけどどうしよう?」などいろんな技術があるので、素早くトライアルをする人ほど、解決策と課題のミスマッチを試行錯誤によって解決できると。
他の人が諦めちゃっても、実はできる人はできちゃうこともあるので、引き出しをたくさん持つということかもしれません。ソリューションのポケットが多いほど、あるいはトライ&エラーのスピードが速い人ほど、難しい課題にもチャレンジできると思っています。
今井:ありがとうございます。では続いてのご質問ですね。「私は大学教員なのですが、雑用が多くてなかなか時間を取れず、アイデア創出のために集中することが難しいです。このような状況で、アイデアを創出するための秘訣はありますでしょうか?」
暦本:確かに大学は雑用が非常に多いので、難しそうですね。私は最近、リモートワークでの会議が増えてきたので、そういう意味では時間的な余裕は多少……。増えてないかもしれませんね。Zoomが増えただけですね。
ただ、研究をしている人って、たぶん食事をしていても何をしていても考えているんじゃないでしょうかね。あまり答えになっていないかもしれませんが、そんな感じがします。
あるいは、僕はなるべく午前中の早い時間には、会議など仕事を入れないようにしていますね。朝起きてからの何時間かは自分の時間にするようにしています。
今井:そうやって時間を少しブロックするみたいなことですよね。ありがとうございます。
2024.12.12
会議で発言しやすくなる「心理的安全性」を高めるには ファシリテーションがうまい人の3つの条件
2024.12.19
12万通りの「資格の組み合わせ」の中で厳選された60の項目 532の資格を持つ林雄次氏の新刊『資格のかけ算』の見所
2024.12.16
32歳で成績最下位から1年でトップ営業になれた理由 売るテクニックよりも大事な「あり方」
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.12.10
メールのラリー回数でわかる「評価されない人」の特徴 職場での評価を下げる行動5選
2024.12.13
ファシリテーターは「しゃべらないほうがいい」理由 入山章栄氏が語る、心理的安全性の高い場を作るポイント
PR | 2024.12.20
モンスター化したExcelが、ある日突然崩壊 昭和のガス工事会社を生まれ変わらせた、起死回生のノーコード活用術
2024.12.18
「社長以外みんな儲かる給与設計」にした理由 経営者たちが語る、優秀な人材集め・会社を発展させるためのヒント
2024.12.12
今までとこれからで、エンジニアに求められる「スキル」の違い AI時代のエンジニアの未来と生存戦略のカギとは
PR | 2024.11.26
なぜ電話営業はなくならない?その要因は「属人化」 通話内容をデータ化するZoomのクラウドサービス活用術
Climbers Startup JAPAN EXPO 2024 - 秋 -
2024.11.20 - 2024.11.21
『主体的なキャリア形成』を考える~資格のかけ算について〜
2024.12.07 - 2024.12.07
Startup CTO of the year 2024
2024.11.19 - 2024.11.19
社員の力を引き出す経営戦略〜ひとり一人が自ら成長する組織づくり〜
2024.11.20 - 2024.11.20
「確率思考」で未来を見通す 事業を成功に導く意思決定 ~エビデンス・ベースド・マーケティング思考の調査分析で事業に有効な予測手法とは~
2024.11.05 - 2024.11.05