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『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』(日本実業出版社)、『あらゆる悩みを自分で解決!因数分解思考』(あさ出版) 刊行記念 山口拓朗×深沢真太郎 トークイベント 『理解を深める【因数分解思考】と論理を強固にする【理解力】』(全5記事)

あらゆる悩みは「分ける」と「わかる」ようになる 人生の選択肢を広げる「因数分解思考」のススメ

代官山 蔦屋書店にて開催された『あらゆる悩みを自分で解決! 因数分解思考』著者・深沢真太郎氏と『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』著者・山口拓朗氏の対談イベントの模様をお届けします。数学の専門家と文章の専門家という異なる立場から「理解力」について語られた本イベント。今回は、お互いの本の感想や、問題を「分解」して理解することの重要性について語られました。

数学の専門家と文章の専門家が対談

荒尾宏治郎氏(以下、荒尾):みなさま、本日はお忙しい中お集まりくださいましてありがとうございます。本日司会を務めさせていただきます、日本実業出版社編集部の荒尾と申します。よろしくお願いします。

今日は5月12日に朝日出版から発売された『あらゆる悩みを自分で解決! 因数分解思考』と、5月20日に日本実業出版社から発売された『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』の発売記念イベントということで、著者のお二方にお越しいただいております。まずは深沢さんから自己紹介をよろしくお願いします。

深沢真太郎氏(以下、深沢):みなさん、こんばんは。ビジネス数学教育家の深沢真太郎でございます。はじめましての方もたくさんいらっしゃると思います。楽しい時間にしたいなと思います。こんな感じで大丈夫でしょうか?

荒尾:大丈夫です。山口さん、お願いします。

山口拓朗氏(以下、山口):みなさん、こんばんは。文章の専門家の山口拓朗と申します。リモートのみなさんもよろしくお願いいたします。文章の書き方を中心に、執筆活動、研修、講演活動などを行っております。

今回は文章の書き方の本ではなくて「理解力」ということですが、アウトプットに直結するノウハウ・スキルですので、そのあたりもみなさんに何かお持ち帰りいただきたいなと思っております。楽しい90分にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

荒尾:お二方ともありがとうございました。発売時期がほぼ同じで、見ていただくとわかるのですが、使っている文字の書体もたまたま似ているということで、そういったいろいろなご縁もあると思います。お互いの本に関する感想や評価はどうでしょうか?

山口:緊張感がみなぎっていますね。

荒尾:すみません。

深沢:緊張感がヒシヒシと伝わってまいりますが、我々が主役でやっていきますので大丈夫です。お水でも飲んで(笑)。

「理解する」とは何か?

深沢:(山口拓朗さんとは)だいぶ前から友人としてお付き合いさせていただいています。ちょうどビジネス数学の教育家としてキャリアをスタートする時に出会ったかな。だから10年、11年、12年というお付き合いです。

大変恐縮で大変光栄に思っていますが、今回山口拓朗さんが出された御本のイベントの対談相手ということでお声掛けをいただきまして、今日この場に座っています。

『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』(日本実業出版)

『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』を読ませていただいたのですが、どんな感想を持ったかというと、「このコンセプト、キーワードに拍手」ですかね。

私たちは「理解する」「理解しましょう」「理解できた?」と当たり前のように毎日言うじゃないですか。だけど、「理解するって何?」ということを説明できる人は、世の中にどれくらいいるんだろうとずっと思っていたんですよ。

「理解するとはこういうことなんだよ」と、ちゃんと説明するのはすごくいいなと思いました。だから、このキーワード、このタイトルは素晴らしいなと思ったのが私の第一印象です。

山口:ありがとうございます。うれしいですね。僕は深沢さんのことをいつも「真ちゃん」と呼んでいるので、今日も真ちゃんと呼ばせていただきます。

深沢:ぜひ。真ちゃん、拓朗さん。

山口:真ちゃんとはデビューがだいたい一緒の時期で、書いてきた本の冊数も僕は今25冊で、真ちゃんもおそらく……。

深沢:27冊とか。

山口:ですよね。ペースもすごく似ています。お互いに軸を持って、僕は文章の専門家としてそういう本を書いてきましたし、真ちゃんはビジネス数学や論理的思考あたりのテーマで書いてきて、今まで接点はそんなになかったんですけど、常にリスペクトして、専門性を発揮して書いている著者さんだなと思っていました。

世の中の悩みを解決する「因数分解思考」のアプローチ

山口:これまでの本もたくさん読んできましたが、今回の本はまた真ちゃんの変態ぶりが炸裂している本でして(笑)。

『あらゆる悩みを自分で解決! 因数分解思考』(あさ出版)

深沢:褒めてます?

山口:めっちゃ褒めています。だって、悩みですよ。「悩みの解決を因数分解でしよう」というテーマは、「誰が考えたんですか?」というくらいすごい切り口だと思うんですよ。考えたとしても、それを書ける人はほとんどいない。

だけど、これを読んでいただいた方はわかると思いますが、悩み事と漠然と捉えているのに、その解決方法がちゃんとわかる。因数分解という方法ですが、僕の中ではビジネス数学の真ちゃんとはまた違って、世の中の悩みを解決する1つのアプローチを提示した本として、すごく有益な本だなと思いました。

深沢:ありがとうございます。なんでしょうね。ただおじさんが褒め合っただけの……。

山口:ちょっと気持ち悪いかな。大丈夫ですか? オンラインの方、引いてないですか?

荒尾:大丈夫です(笑)。

山口:みなさん、まずい空気の時は突っ込まなきゃ駄目ですよ。

深沢:(笑)。

山口:置いてけぼりにしないでください。お願いしますよ。

深沢:でもありがとうございます。昔から変態と言われてきましたので、ここまできたら変態っぽさをどんどん表現したほうがいいかなと。こういう仕事をする人間としてはね。

山口:やっぱり本は世の中に問うことですから、変態じゃないといけないと思うんです。変態は褒め言葉として使っていますが、その道の変態じゃない人の本は読みたくないですよね。

深沢:なるほどね。

山口:その分野を究極的に突き詰めて、日々考えているんですよね。朝起きてから数学的思考で物事を見たり、考えたり、「これは因数分解するとどうなるんだろうか」と、たぶん考えているんだと思います。

深沢:はい。そうです。

山口:僕からすると、めちゃめちゃ「愛すべき変態」です。

深沢:ああ、ありがとうございます。最大限の褒め言葉ですね。というのが、お互いの本を読ませていただいた上での感想ですかね。

「問題解決」を自分ごととして捉えられるキーワード選定

山口:そうですね。これまでの真ちゃんの本はビジネス数学という切り口が非常に多かったので、どうしても数字や数学にちょっと弱い方が手に取ったり、あるいはアレルギー的な拒否反応で手に取らなかった方もいると思います。

この本に関しては、「あらゆる悩みを自分で解決」というキーワードがすごく効いている。悩みのない人は、ほとんどいないと思うんですよね。だけど、みなさんその悩みにけっこう翻弄されているし、解決方法がわからなくて何年も同じことで悩むケースがあると思うので、ビジネス書の枠を超えてもっと手に取ってもらいたいなと思います。

深沢:そうですね。今回「悩み」という言葉を使ったのが1つのポイントだったなと思います。今日もいらっしゃっていますが、編集の方とも相談して「悩み」という言葉にしたんですよ。こういうところに来られる方は当然ご理解いただけると思いますが、悩み解決は「問題解決」の話なんですよね。

私はいろいろなビジネスパーソンの前に立ってお話ししたり、指導するのが本業ですが、例えば研修の場で、「今、あなたが問題解決したいことはどんなことですか?」と聞くと「いや、まあ別に」「いろいろありますね」という感じなんですね。

ところが、「ちなみにあなた、今悩みはありますか?」と聞くと、「あります」と言うんです。同じことを聞いているんだけど、反応が違う。ということは、多くの人は「問題解決」をちょっと遠いところに感じている。

だけど、「自分の悩みを解決する」のは自分ごとにできるんです。本当にちょっとしたことですが、私たちはこういうちょっとした機微を捉えないといけないのかな、それをちゃんと表現して届けないといけないのかなと思います。

山口:まさにそのとおりですね。「問題解決」と「悩み」は言っていることは一緒ですが、みなさんに響くのはきっと「悩み」ですよね。

本を書く時はそのキーワード選びがすごく大事ですし、読む人からしてもすごく大事で、そういう捉えやすい言葉や自分に向けられているような言葉はすごく刺さります。真ちゃんはその使い方とかがすごく上手い。上手いと言ったら本当に失礼ですけど。

深沢:いえいえ。

山口:どの本を読んでも刺さってきますね。そういうキーワードは、自分ごととして捉えられるということですかね。

深沢:そうですね。日々仕事をする中でも同じことを言っていますが、伝わる時と伝わらない時はあると思うので、やっぱりその表現や言葉にはすごく敏感でいたいなと思います。

山口:そうですよね。

行動するために大切なのは、問題を分解して理解すること

深沢:今日はせっかく拓朗さんとご一緒しているので、この2つの本の共通点と言いますか……。

山口:はいはい。「理解力」と「因数分解思考」ですね。

深沢:たぶんみなさんは「どっちも大事だよ」と思っているから今日この場にいらっしゃっているし、オンラインでも参加していただいていると思うので、せっかくだったらここから会話することによって見えてくるものを届けられたらいいかなと思います。

山口:そうですね。これは本当にたまたまなんですが、僕は本の中で因数分解という言葉を1ヶ所使っていて、それが小見出しになっています。

物事を理解する時に大きな塊で理解しようとすると、理解できたつもりでもその先のアウトプットにつながっていかないことがけっこう多いです。大きな塊は認識はできるんですが、行動に移せないことがあるんですよね。

例えば、みなさんが結婚披露宴の2次会の幹事を任されたとしましょう。2次会の幹事という大きな塊だと、「2次会の幹事か。何をすればいいんだろう。すごく重要な役割を担わされたな」と翻弄されちゃいます。

でも、「2次会の幹事って何?」というところを、まさに「因数分解思考」で因数分解していくと、例えばお店の手配や司会者の選定、参加者へのメールの送信とか、やるべきことが細かく分かれてきます。

細かく分かれてくると、「今日はこれをすればいいな」「ここは自分がやる。こっちは得意な人がいるから任せちゃおう」と分解して、アレンジが可能になってくるんですよね。

大きな塊だと何もアレンジできないし、何か大きなものに翻弄されてしまうところがあるので、行動するためにはとにかく細かく理解していくことがすごく大事だという話を少し盛り込んでいます。

因数分解という言葉の使い方が合っているかどうか、ちょっと怖くて真ちゃんには聞けないんですけど……。

深沢;合っていますよ。3×7とか、そういう話を入れて。

山口:そうです。合っていますかね。なので、大きな塊から分解していくのは、まさに1つ共通ポイントかなと思います。

分けることで、自分のアウトプットの行動を可視化できる

深沢:分解する。つまり分ける?

山口:そうですね。

深沢:分けていくと理解できる。

山口:そう。理解できる、プラス行動できる。大きな塊を分けないと行動ができない。「幹事を任された」だけだと行動ができない。

深沢:ああ、なるほどね。具体的に何をやったらいいかがわからない。

山口:たぶんこれは、「幹事を任された」を悩みと捉えてもいいと思います。「任されちゃったけどどうしよう」という悩みだとしたら、それを分解して1個1個見ていくと、どこをやればいいのか、どこを任せればいいのか、どこを今日やってどこを明日やればいいのかがすべて見えてくるので、自分のアウトプットの行動を可視化するためには、とにかく分ける。

真ちゃんの本にもよく「分ける」とか「つなぐ」という言葉が出てきますが、やっぱりその思考が、僕たちだけじゃなくて、ビジネスパーソン、あるいはビジネスパーソンじゃなくても、みなさんが生活を送る上で重要かなと思います。

深沢:そうですね。拓朗さんも本の中で因数分解という言葉を使っていたし、私も自分の本の中で「わかる」「理解する」という言葉を当然使うので、やっぱり「近いよな。似ているよな」と読みながら感じました。

「解」の意味から考える、両氏が伝えたいこと

深沢:そう思ったので、この2つのタイトルを見て気付いたことがあります。共通する漢字が1つあるんですよ。

山口:ああ、けっこう目立つところにありますね。

深沢:「解」という字。「似ているよな。共通点があるよな」となんとなく思っていましたが、こうやってあらためて見ると(共通の文字が)1個あるんですよね。だから、この字はどういう意味なんだろうと昨日調べてみたんです。

山口:おお。聞きたいですね。

深沢:「解」という字は、バラバラにするという意味があるそうです。例えば、蛙の「解剖をする」。

山口:いきなりすごいのが来ましたね(笑)。

深沢:(笑)。不適切な事例だったことをお詫び申し上げます。

アイドルグループが「解散する」。バラバラに散らばるというニュアンスの言葉だと書いてありました。つまり、分けていくということですね。細かくしていくという意味がある漢字で、同時に「わかる」という意味も書いてあったんですよ。「図解」はまさにそうですよね。あとは「了解しました」の「了解」。「わかりました」という意味なんですよ。

私たちがこれを使って伝えたいことは、この漢字の大事さや意味なんだろうなと昨日の夜に感じました。

山口:「わかる」と「分ける」「分解する」が、違う言葉のようで実はすごく共通点があるということですね。だから、「分ける」ことがもしかしたら「わかる」ことなのかもしれない。

深沢:そうですね。

山口:すごく深いですね。

「理解する」ことは人生の選択肢を広げること

深沢:そういうことを、拓朗さんの話を聞いてちょっと思った。だから、やっぱり近い。似ている。表現は少し違うけど、ということですよね。

山口:そうですよね。

深沢:人間が生きていく上で大事な行為はいくつもあると思いますが、例えば「食べる」「寝る」は絶対に必要だと思います。たぶん、この字も私たちに絶対に必要なものなんですよ。

山口:そうですね。おそらく多くの方は必要だとはあまり思っていないと思いますが、実は必要な言葉というか、ここがわかっている方は見えている世界が違うのかもしれないですね。

深沢:はい。だから、それこそここを「理解する」「ちゃんとできるようになる」ことは、ビジネスの小さなスケールの話じゃなくて、すごく大きなスケールで大事なことなんじゃないかなと思っています。

だから、ビジネス数学や数字の大事さを伝えていますが、もっと大きなスケールで人生に大事なことだから身につけようぜという感じなんですよね。

山口:そうですね。ビジネスパーソンだけではなくて、あらゆる人に読んでいただきたい本です。人生全般の豊かさというか、クオリティが上がっていくと僕は思っています。

『1%の本質を最速でつかむ「理解力」』という本を書く上で、すごく大事にしたことがあります。さっきも「物事を分解しないと行動できない」という話はしましたが、「理解していなければ、そもそも行動できない」とも言えます。

深沢:おっしゃっていましたね。

山口:まさにそれが「因数分解思考」だと思うんです。「因数分解思考」を知らない限り、因数分解しようとはほとんどの人が考えないわけです。だけど、私たちはこの本で「数字だけじゃなくて、いろんなものが(因数分解)できるんだ」ということを理解できます。

理解できた瞬間に、応用可能です。そういう問題が起きた時に、「物事を因数分解して考えてみよう」と思えるので、「理解する」ことは人生の選択肢を広げることだと思っています。

深沢:おお。

「理解力」が必要なのは、ビジネスパーソンだけではない

山口:進学で自分の進路を決める時もそうじゃないですか。高校に行ったら大学に行くという進路しか見えていない人は、その道しか理解していない。だけど、今の時代はいろんな選択肢があります。例えば、YouTuberになってもいいし、海外に留学してバックパッカーで生きるという選択肢だってあっていいわけですよね。

だけど、そういう人生があることをそもそも知らないとか理解していないと、その選択をすることはないので、物事を理解する力を付けることは、結果的には人生全般を豊かにする。

つまり、判断や決断する材料を増やしたり、それに対して自分がどれを選ぶかという行動につなげられることを知っていただきたいなということを、この本を書く時にすごく大事にしました。こんな感じでよろしいでしょうか。

深沢:格好いいなぁ。素敵な著者さんは、人生とかそういう言葉が出てきますね。

山口:そうですか(笑)。

深沢:だって、これは「理解力」というよりビジネススキルの話ですよ。だけど、こうやってしゃべっていくと最後はやっぱり「人生は……」とか「世の中をこういうふうに変えたいな」という言葉が出てくる。いい意味で言っているんですよ。

山口:わかります。

深沢:著者はそうあるべきだという話だと思いますが、やっぱりそうだなと思って、うっとりして聞いていました。

山口:きっと真ちゃんもそうですよね。

深沢:どうかな。

山口:(笑)。たぶんビジネスパーソンだけじゃないと思うんですよね。

深沢:そうですね。当然「こういう世の中になったらいいな」と思って私は活動しています。

人間は「考える」と「しゃべる」しかしていない

山口:真ちゃんの本を見ると恋愛を取り扱ったり、この本だと片付けや読書も取り扱ったりしているじゃないですか。一見ビジネススキルには見えないというか、すごく幅広いですよね。

深沢:ああ、そうですね。

山口:読んでいるみなさんの生活の中で、応用できるものがたくさんあるんだよということを知らせたい意図もあるのかなと思います。

深沢:そうですね。こういう言い方は少し乱暴かもしれないですが、ビジネスシーンでもオフの日常のシーンでも、やること・していることはあまり変わらないという感覚があります。

山口:ああ、それはわかります。

深沢:究極までシンプルに言うと、人間は「考える」と「しゃべる」しかしていないんです。例えば、今も「考える」と「しゃべる」しかしていませんよね。お仕事の時に電話がかかってきたら、考えながらしゃべります。素敵な彼女との最初のデートの時も、考えながらしゃべるわけです。つまり、人間はふだん「考える」と「しゃべる」しかしていないんです。

山口:なるほど(笑)。

深沢:だから、ビジネスシーンでも日常のおうちの片付けでも、実は頭の動かし方は同じです。だったら「ビジネスが……」という固い話じゃなくて、日常生活のデートや片付け、ご飯のシーンで語ってあげたほうが伝わりやすいんじゃないかな。そんな感覚が僕にはあります。

山口:確かにそうですね。

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