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営業パーソンのキャリア本『なぜか声がかかる人の習慣』|著者TORiX高橋氏が解説!(全1記事)

仕事の依頼は、「身近な人」→「知人の知人」→「世間の人」の順で来る 信頼の輪を「世間」まで広げた人がやっていること

「セミナーに参加したかったけど、時間が合わなくて行けなかった……」。株式会社イノベーションの調査によると、ビジネスパーソンの2.5人に1人はそんな経験をしているそうです。同社が運営する動画サービス「bizplay」は、オンライン配信を通して、いつでもどこでもセミナーに参加できる環境を提供しています。そんなbizplayのオンライン動画に、営業パーソンのキャリア本『なぜか声がかかる人の習慣』の著者・高橋浩一氏が登場。「身近な人」「知人の知人」「世間の人」という声がかかる3つのステージの上がり方や、声がかかる人の4つのワークスタイルを語っています。 ■動画コンテンツはこちら(※動画の閲覧には会員登録が必要です)

「声がかかる人」とは、社内からもお客からも必要とされる人

高橋浩一氏:2021年4月に出版した『なぜか声がかかる人の習慣』は、コロナの影響でいろんな人が自分の身の処し方を考える中で、何か役立てるメッセージを出したいなと思ったんですね。

コロナ前までは、例えば「個人の時代」とかそういうメッセージが世の中にどんどん流れていて、本屋さんに行くとめちゃくちゃ儲かりましたみたいな人が「すごいでしょ」という本を出していたりして(笑)。独立しようとかいろんな話があったと思うんですけれども。

でもコロナで、みんながそう簡単に独立しなくなった。「会社にいられるんだったらいよう」とかですね。あと、副業の解禁の動きが広がってきて、「上司も見ていないし、副業をしようかな。でもどうしたらいいんだろう?」みたいな人が増えたりとか。いろんな人が「自分はどうしたらいいんだろう?」とキャリアの問題を悩んでいるんじゃないかと思ったんですね。

ただ、冷静に考えると目の前の仕事をちゃんとやらないでひたすらコツコツと副業をやる人って、たぶんあんまり世の中から必要とされづらくなるんじゃないかなと思ったんです。本屋さんとかインターネットを見れば、副業ブームみたいなのがあったりして、特に営業に携わる人たちがどうすれば幸せなキャリアを築けるかについて書きたいと思いました。

「声がかかる」をコンセプトの中心に据えた理由は、営業で成果を出している人はお客さまから必要とされ、お客さまから声がかかる。でもお客さまから声がかかる人って、会社の中でも必要とされたり頼りにされて声がかかると思うんですよ。

そうするとその延長線上に、例えばFacebookやTwitterなんかのSNS経由で「ちょっと〇〇さんの話を聞きまして」と声がかかったり、それが積み重なっていくと世の中から声がかかったり。特にイベントがオンラインになったりすると、登壇の機会がすごく増えると思うんです。

そういう時にスピーカーとして呼ばれる人が出てくると思うんですけど、じゃあどうするとその道のりやステップができるのかを体系的にまとめたいというのが、この本を書いた背景です。

まずは日常の仕事で自分の得意技を発揮し、周囲の信頼を築く

声がかかるようになるまでの3つのステージの1つ目は、「自分の身近な人、周囲から声がかかる」です。2つ目が「知人の知人から声がかかる」。3つ目は「世の中から声がかかる」となっています。影響範囲で言うと、自分のごく周辺の数人からだんだん広がっていくイメージですね。

私がこの3つのステージでお伝えしたいことは、例えば「インフルエンサー」という言葉があります。世の中である程度知られている人ですね。今は個人の時代のように言われ、インフルエンサーがどんどん生まれていく中で、一足飛びにそういう人を目指しているけど「空回りしている」と悩む方々から相談されたりするんですけれども。

まずはいい仕事をして、目の前の人たちから評価されて、「これをお願いします」と頼まれるようになる。そして、「自分はこういうことで人の役に立てるんだ」と確信し、その確信が深まると自分の強みの発揮のしどころを意識できるようになる。世の中から声がかかるというのは、この延長線上にあるんですね。

例えば、几帳面で細かい人は自分で意識していなくても、人から喜ばれるところがあると思うんですよ。「みんながやることを、ちゃんとメモに残してくれるの、すごく助かる」とか「ちょっとこれ、ファイルを整理しておきました」「えー! ぐちゃぐちゃだったからすごく助かる」とか。本人は無意識にやっているんですけれども、周りの人からすると「え? そんなことをやってくれるの。めちゃくちゃうれしいよね」みたいな。

これに対して自覚的になると、「そうか、あんまり意識がなかったけど、これってわりと自分が得意なことかもしれない。自分の強みかもしれない。そうしたら、日常的な仕事のいろんな場面でちょっと自分の得意技を出してみようかな」となる。

「自分がここのメモを取りましょうか」とか「ここをちょっと整理しましょうか」とかやっていくと、周りの人から「ねえねえ、ちょっとこれをお願い」と声がかかってくると思うんですね。まず周りの人たちから頼りにされる。そうすると、「こうやると人に喜ばれる」というポイントを自覚し、自信がつくと思うんです。

「信頼の輪」を少しずつ広げることで、紹介案件が入り始める

その活躍の範囲を広げていく時に、例えば、知り合いではあるけど、辛うじてFacebookでつながっているみたいな薄い知り合いっていると思うんですね。そういう人と会ったり、話したり、やりとりしてみる。

あるいはセミナーとかイベントとか、今だったらオンラインで学べる場があります。例えば3ヶ月間プロジェクトみたいな感じで、20人の人たちと3ヶ月間濃密な時間を過ごす学びの場もあったりして、「そういう人たちともっと仲良くなっていこうか」みたいな。

世界が広がっていくと、今度は知人の知人から声がかかるステージに入りますが、自分の付き合いの範囲が広がると、最初は自分の居場所に不安を感じると思うんですね。慣れ親しんだ知人とか職場の同僚じゃなくて初めて会った人とかなので。

そんな時に、一番最初の身近なステージの人から声がかかった時の感触があると、「自分は会社でもお客さまからもきちんとすることで頼りにされていたから、新しくつながった人たちの中で、みんながやりたがらないところに自分が手を挙げてきちんとやると喜ばれるかもしれない」と。

行動をした結果、「けっこう世界を広げても通用する」という感覚を持てると、強みの再現性が上がります。そうすると、ステージ1の身近な人との間で自分の強みを発揮して頼りにされるというところから、今度は極端な話、自分がぜんぜん関わったことのない50人、100人の集団の中に入っても、自分の居場所やポジションを作れるようになります。

そこまでいくと、話を聞きつけた人から「ねえねえ、ちょっと話を聞いたんだけど、あなたはこういうことが得意らしいから、こんなお願いはできるかな」という相談が来始める。これが「知人の知人から声がかかる」、いわゆる紹介が生まれるというステージですね。

共通点のある他の領域の人と絡んで、コンテンツを磨く

そうすると、「自分の強みはこうやって育ってきた」という体験プロセスを文章に書きたくなる人も出ると思うんですよ。よくnoteで、「私が~の成果を出せた理由」とか「自分がこういう成果を出せたポイント」みたい文章を出す人がいますよね。そういうのってすごく親近感も湧きますし、具体的だから参考になって、いいねが付いたりシェアされたり拡散されたりすると思うんですね。

自分の強みを言語化するというのが、ステージ3の「世の中から声がかかる」の入り口になります。自分のことをまったく知らない人が自分の強みを発揮するまでの体験プロセスを読んで「まねしてみようかな」と参考にできるようなレベルです。

そこまでいくと、いわゆるコンテンツが個人に紐付いてきますので、SNSで情報発信するネタもはっきりしてきますし、それを例えばnoteとかブログの記事に書くことでいろんな人に読まれやすくなると。その時にお薦めなのが、自分と少し領域は異なるけれども、共通する要素がある人と話やディスカッションをしにいくということですね。

例えば私の知人の営業を極めた人は、ビジネスの世界だけでなく、イベントでアスリートの方と対談をしています。スポーツの世界とビジネスの世界は違うところもありますが、成果が求められる中でシビアな競争をするところは共通しています。そうすると、けっこうおもしろいコンテンツができたりするんですね。そういうふうに異分野の人と対談をするとか議論するっていうことを繰り返していくとコンテンツが磨かれていくと。

そうすると、だんだん軸が定まってきて、そのうち世の中がそれに注目をして「ちょっと話してくれませんか」「書いてくれませんか」と声がかかり始めると。それが世の中から声がかかるということです。まとめると、まず自分の身近な人から声がかかる。そして強みのレベルが上がっていくと、知人の知人から声がかかる。さらにそれが再現性を増してくると、世の中から声がかかるということになります。

声がかかる人の4つのワークスタイル

声がかかる人の4つのワークスタイルの1つ目は「プロフェッショナルな組織人」。会社に在籍しつつも個人としてのタレント性や強みでけっこう名前が出ている方っていらっしゃいますよね。どこどこ会社の誰々さんみたいな。

例えばヤフーの伊藤羊一さんの『1分で話せ』が有名になった時も、けっこう会社名とセットで紹介されるケースが多かったと思うんですね。個人としてすごく強みがあって尖っているんだけど、組織にもすごく恩恵というかメリットをしっかり返しながら個人として自由に活動している。そういうタイプの方がプロフェッショナルな組織人。

2つ目は「売れっ子副業ワーカー」。世の中で話題になった『転職と副業のかけ算』を出されたmotoさんは、今では本名や会社名を明らかにされていますが、本が出た当初はどの会社に勤めているかも明らかにされていなかった。会社には在籍しているけれども個人のブランドを前面に出して、本業よりも副業のほうでレバレッジを効かせる方が売れっ子副業ワーカーになります。

プロフェッショナルな組織人も売れっ子副業ワーカーも一応組織に所属していますが、組織の所属がないのが3つ目の「仕事を選ぶフリーランス」。例えばフリーランスとして独立したみなさんが最初に気にすることって、独立前の組織でもらっていた年収を稼げるかとか、食べられるかどうかということだと思うんです。

でも声がかかるレベルまで上がるとたくさん依頼が来るので、その中から自分がやりたい仕事を選ぶという段階に行った人が出てくるわけです。それが仕事を選ぶフリーランスになります。

4つ目が「身軽な経営者」。プロフェッショナルな人たち同士で少数精鋭の会社をやっている人っていると思うんですよ。「上場するぞ」とか「とにかく大きくするぞ」というスタートアップじゃなくて、いろんなワークスタイルや価値観を大事にしながら、会社を大きくするつもりはないんだけど、価値のある活動を組織でやろうという人がけっこう増えてきたというのがあります。それが4つ目の身軽な経営者になります。

なんでこの4つのワークスタイルを提唱したかと言うと、例えば会社勤めをしている人が自分の自己実現をしたいと考えた時に、会社にいながらできるルートってどういうものがあるのかを考えたり。仮に独立するとしても、「最初は個人でスタートして、そのうち法人化するのかな」とかビジョンを考える時に、4つのワークスタイルの考え方があると考えやすいんじゃないかなと思いました。

営業パーソンは、まず「目の前の仕事」で成果を出して、影響範囲を広げていく

営業パーソンがキャリアを考える上ではいくつかのポイントがあると思いますが、絶対に押さえなければいけないのが「目の前の仕事で成果を出す」ということですね。なぜかと言うと、『なぜか声がかかる人の習慣』の中でもたびたび触れていますが、自分の影響範囲が大きくなっていくというのは段階的だからです。

まず身近な人から必要とされて、感触を得る。次に知人の知人から声がかかる。そのプロセスを経て、初めて世の中のいろいろなところから声がかかるようになります。実際にお客さまから必要とされる。売上が上がる。そうして、チームのみんなから必要とされる。いきなり「あなたにお願いします」という話じゃなく、目の前のことで成果を出すから声がかかるようになる。この大事な前提があります。

ただ、今は世の中で「働き方」とか「個人の時代」というのがすごくクローズアップされ過ぎているので、「自分にはどんな手段があるのかな」と迷うこともあると思うんですけれども。いろんな人と話をして感じるのは、目の前のことですごく成果を出している人は必要とされます。そして、その「必要とされる流れ」に乗っていくとだんだん影響範囲が大きくなるし、そこにある程度自覚的になると、スピードや再現性が上がります。

『なぜか声がかかる人の習慣』にいろいろ書かせていただきましたが、営業の人が他の職種と違って恵まれているのは、日常的に人からフィードバックを受けることだと思うんですね。例えばお客さまにまた会ってもらえるというのはポジティブなフィードバックですし、お客さまが本音を話してくださるのも、ポジティブなフィードバックと捉えていくと、やっぱり営業が一番日常的にフィードバックをもらえる仕事だと思うんです。

他の人からのフィードバックで自分の強みを知ることが最もやりやすい職業の1つが営業です。そこで目の前の人に貢献して成果を出すことがベースになるかどうかで、将来の可能性が広がるかどうかが決まると思います。

『なぜか声がかかる人の習慣』で一番ポイントに置いているのは「フィードバックの重要性」です。自分の強みは、他人の声によってはっきり知ることができます。そして、意外と自分の知らないところで相手の心は動いていることを実感できます。それが私がこの本でお伝えしたいところです。

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