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“インプットの97%は意味がない。アウトプット前提で3つだけ覚える” あのベストセラーを著者が解説(全1記事)

人は目にした情報の97%を忘れる インプットを記憶に定着させるための、2週間に3回のある習慣

大人の学びに役立つ知識が無料で学べる生放送コミュニティ「Schoo(スクー)」。働き方やテクノロジー、ITスキルといった、最先端のノウハウが身につくオンライン授業を数多く配信しています。そんな「Schoo」で放送された授業に、『大全』シリーズが大ヒット中の精神科医で作家の樺沢紫苑氏が登壇。インプットのノウハウや観察力と共感力の高め方、そして樺沢氏独自の「脳内情報図書館」についてレクチャーしています。 ※このログはSchooの記事を転載したものに、ログミー編集部でタイトルなどを追加して作成しています。 ※動画コンテンツはこちら(※動画の閲覧には会員登録が必要です)

人は目にした情報の97パーセントを忘れる

花海志帆氏(以下、花海):さっそくですが先生、インプットの定義をどのようにお考えですか?

樺沢紫苑氏(以下、樺沢):インプットの定義は「見る」「読む」「聞く」。アウトプットの定義は「話す」「書く」「行動する」と考えています。

花海:なるほど。ちなみに本の中で普通の人のインプットは97パーセントが無駄だと書かれていましたが、これはどういうことなのでしょうか?

樺沢:これはおもしろいんですけど、みなさんここ1週間ネットで見たニュースや記事や動画のタイトルを書き出してみてください。どれくらい思い出せますか?これまで1,000人以上に同じ質問をしてきたんですけど、平均3.9個、つまり3、4個しか思い出せないんですね。

花海:私も3個くらいしか思い出せなかったです。

樺沢:7個以上思い出せる人は全体の5パーセントしかいないんです。

花海:タイムラインでもほとんどいらっしゃいませんね、多くて5〜6個でしょうか。

樺沢:1週間で100個の情報を見ていたとしたら、だいたい3個くらいしか覚えていないと97パーセントは忘れてることになりますよね。これを私は「ザル見」「ザル読み」「ザル聞き」と呼んでいます。私たちは1日、1〜2時間、少なくとも30分はネットの情報を見ているはずですが、ほとんど覚えていないんです。たった1週間で覚えていないってことは、1ヶ月するともっと忘れる訳です。

なんとなく分かったような気持ちになったり、なんとなく楽しいなっていう時間潰しにはなりますけど、それを知ることによって頭が良くなったり人生や仕事に役立つということは限りなく難しいです。

花海:確かにインプットした気になっているだけですね。

樺沢:それを「どうやったら身に付くように、記憶に残せますか」ということを書いたのが『学び効率が最大化するインプット大全』で、そのいくつかの方法を今日の最後にご紹介いたします。

インプット量=アウトプットできた量

花海:質問が届いています!「『ザル読み』というのは速読のことでしょうか?それともタイトルだけサッと見ているということでしょうか?」とのことです。

樺沢:例えば私の本を読んだとして「どこが良かったですか?一番良かったところを教えてください」と聞いても無言になっちゃう人がいるんです。私のインプットのもう1つの定義は「アウトプットできた量=インプット量」ということです。

みなさんが読んだ本について「その本で学んだことについて好きなだけ語ってください」といって、30分延々と語れる人は素晴らしいのですが、これができる人は相当少ないと思います。ほとんどの人は3分話せたらいい方だと思います。アウトプットできないということは、記憶として曖昧だということです。つまり、言葉で言えないということは実行することもできない訳です。

本を読む際は速読でも2時間かけても良いんですけど、友達にその本の内容を説明できなければダメです。私は「深読」、深く読むということを大事にしてるんですが、読んだ本の内容を、10〜15分くらい他の人に話せるとOKかなと思います。3分とかじゃ全然ダメです。これがいわゆる「ザル読み」です。

2時間かけて読んでいるのに3分しか話せなかったら、どれだけの時間をロスしているのかっていう話ですよね。

「あとで発表」が決まっていれば、インプットの必死さが変わる

花海:確かにそうですね。アウトプット前提でインプットするというのが何より大事なんですね。

樺沢:その通りです。インプットにおいて最も大事なことが、アウトプット前提という考え方ですね。例えば「海外視察に行って、その結果を発表してね」と言われた場合、写真をちゃんと撮っておかないといけないし、資料を集めておかないといけないし、インタビューを録音したり動画も回しておいたりすると思います。あとで発表しないといけないから一生懸命インプットしようと思うのが、アウトプット前提の考え方ですね。

他にも、ブログに書こうと思って本を読むのと、ただなんとなく読んでるのとではまったく読みの深さが違ってきます。アウトプット前提を意識するだけでインプット効率は10倍くらいよくなると思います。2週間に3回アウトプットすると記憶として定着するので、友達に話したり感想をまとめたりする。そうすると記憶にバッチリ残ります。

慣れてくるとアウトプット前提でインプットするだけで、「頭の中でアウトプットする」ような形になります。要するにメルマガでこう書こうという文章が、本を読み終わると同時にできあがるんです。

花海:それは効率的ですね。

樺沢:そこまでいくとあとは書くか書かないかだけで、頭の中の作業としてはほぼアウトプットしたのと同じような働きをしています。本当のアウトプット前提が身に付くと、そうじゃない人と10倍くらい差が出てくると思います。

インプットのコツは「3」を意識すること

花海:セミナーや講演会、本などからできるだけ多くのことを学ぶ時の、インプットのコツをご紹介いただけますか?

樺沢:私がおすすめしているのは、「気づきもしくはTo Doを3つ書きましょう」という方法です。どういうことかというと、みなさんお金を払って受講しているので、たくさんのことを学びたくなってしまうんですよ。ですが、欲張れば欲張るほど得られるものが無くなってくるという矛盾があるんです。

人間はだいたい一度に3つのことしか考えられないというのがわかっていて、普通の人は同時の案件が3つを超えるとパニックになってきます。逆に3つまでだったら覚えていられるので、今日聞いた話の中でこの3つは良い話だったなってとどめておくと効率よく学べます。

本を読んだ時も同じで、とりあえずその本の中から3つ気づきを抽出すれば良いです。「それだと少ない」という人がいるんですが、大事なことは3つ抽出して、アウトプットして行動に移すこと。

「身についたな」と思ったら次の3つをもう1回読み直したりして見つければ良いんです。「3+3+3+3...…」で何回でも学ぶことができます。1度に10個学ぼうとする人は1つも学べないんです。欲張らないというのがとても重要です。

花海:3つはどうやって選んだら良いのでしょうか? 気になる3つで良いんですか?

樺沢:はい、気になる3つで良いです。みなさんノートとかとっていると思うんですけど、その中から今日の気づきベスト3を書けば良いです。それをやるだけで大事なとことそうじゃないとこの、グラデーションができます。

ノートはたくさんとればとるほど、内容が薄くなってしまいます。なので大事なところをしっかり選んで、そこを覚えようと思うことが大事です。とにかくたくさんの情報に晒されていて、たくさんの情報を入れようとすればするほど脳はパンクしてしまうので、まずはグラデーションをつけるところからです。

花海:なるほど! とにかく欲張らないようにするんですね。

アウトプットを前提にすれば、観察力も磨かれる

加藤智行氏(以下、加藤):ふだん「学ぼう」「インプットしよう」という考えを前提にして生活を送っていないのですが、観察力を磨く方法はあるのでしょうか?

樺沢:アウトプットすることですね。アウトプットすることを前提にして物事を見ることが観察力を磨く方法です。私はその日の出来事を必ずメルマガに書くので、常にネタになりそうなものを探しています。「おもしろい!」と思うことがあったらすぐにメモしています。

加藤:なるほど。例えば道をただ歩いている時でも、そういう目で物事を見ているということですか?

樺沢:そうですね。電車の中でもおもしろい中づり広告はないかなど、私の場合はそういうふうに常に考えています。見て、記憶して、アウトプットすることで初めて観察していたことが証明されます。「アウトプットできた量=記憶量」です。なのでアウトプットしない限り観察力は磨かれません。

あとはグルメレポートを書くのもいいと思います。写真を何枚か撮って、どんな味だったのかを思い出して書きます。ほとんどの人は「おいしかった」の一言で終わってしまいます。それを400文字、800文字、2000文字と書けるようになれば、かなり観察力が身につくと思います。

加藤:なるほど、確かにそうですね。食事は誰しも必ずするので、グルメレポートならふだんの生活からできそうですよね。

樺沢:そうです。例えばラーメン1杯を食べた時に、「味の特徴を詳しく書こう」と思いながら食べていないと、詳しくは書けません。

花海:そういう意味では食レポ、おもしろいですね。

樺沢:食レポは観察力を身に付けるためのいい練習方法だと思います。

観察力と共感力のトレーニングになる映画鑑賞

加藤:樺沢先生は映画評論家としてもご活躍されていますが、映画を観てインプットするメリットはどういうものがありますか?

樺沢:映画が終わった後に調べることですね。ほとんどの人は映画を観終わって「あーおもしろかった」で終わると思いますが、それは違います。「映画を観る」という行為自体は、映画を楽しむ内の10パーセントでしかないんです。終わってからが楽しいのです。

例えば映画を友達やパートナーと観て、感想をアウトプットし合いますよね。その時に「自分はこういう観方をしたけど、そういう観方もあるんだ」という新しい発見があります。1人で観た場合は、ネットで他の人の感想を見てみると違う観方をする人を発見できます。あるいは歴史や人種などの複雑な問題を描いた作品であれば、少しそういう問題を調べてみるだけで、いろいろな学びが得られます。

加藤:映画を観るだけではなくて、観終わった後に感想をアウトプットしたり、他の人の感想に触れたりすることで、それがまたインプットになるということですね。

樺沢:みなさんただインプットしたままなんです。インプットだけではなくアウトプットをしたり、自分で少し調べたりすることが大切です。ネットで解説サイトを見るだけでも知識が深まります。たったの5分~10分でも少し調べてみるだけで映画の楽しさは格段に違ってきます。

1本の映画から1人の人間が得られる情報量は少ないです。他の人の感想を読んで自分では気づかなかった点があったとしたら、自分だけでは100パーセント観られているようで観られていないということです。私自身は8~9割は自分だけで情報を取りたいなと思っていますが、それでも映画を観終わった後に他の人の感想を観ると、気づかなかった点が出てきます。

なので映画を観ることは観察力の訓練にもなりますね。「なぜこのシーンでこういうことを言うのか」「なぜ主人公はこういう行動をとるのか」「自分だったらこういう行動を取らないのになぜこの人はこう動いたのだろうか」という「なぜ」を意識しながら観ると、観察力のトレーニングになります。

あるいは共感力のトレーニングにもなりますね。「なぜAさんはBさんを命がけで助けたのだろう」とか、映画を観ることでそういうことを考えるトレーニングもできますね。なんとなく観ているだけではダメです。わからなくてもいいので「わからない」ということを覚えておいて、観終わった後に少し調べてほしいです。

加藤:観終わってからが大事なのですね。

樺沢:観終わってからがすべてといっても過言ではないと思いますね。

感動を言語化することの重要性

加藤:樺沢先生も映画を観終わった後はアウトプットしたり、調べたりすることが多いのですか?

樺沢:そうですね。だいたいノートに書いています。いい映画はけっこう感想を書いていますね。すぐに忘れてしまうので、映画を観終わって、家に帰ったらすぐに感想を書き出すのが一番いいと思います。

加藤:確かにそうですね。観た直後の方が記憶が鮮明ですよね。

樺沢:そうです、そういうものをすかさずメモすることが大切です。

花海:ノートに書き記すまでは脳の中で覚えている状態なのですか?

樺沢:そうですね。記憶は時間が経てば経つほど薄れていきます。2〜3日経つともうほとんど覚えていません。なのですぐにメモすることが大事です。観終わった直後であれば大抵の人が覚えているので大丈夫だと思います。そんなに始めから終わりまで完璧に書かなくても、自分が感動したシーンや、印象に残ったセリフを思いつくままに書いていけばいいです。2〜3日してから感想をしっかり書くといいと思います。

花海:なるほど。全部覚えておかなくてはいけないわけではないということですね。

樺沢:そうです。感動したところや気になるシーンなど、そこだけを書きます。いい映画を観たと思ったのなら、その中でいいと思ったシーンが必ずありますよね。そこをいくつかメモしておくだけでも全然違います。1週間もすればどこで感動したのか忘れてしまいますからね。せっかく感動して心が動いているのに、もったいないです。

メモしておくと、そのメモを見返しただけで感動がよみがえるというメリットもあります。2度も3度も楽しめますよ。

花海:映画以外でもできそうですね。

樺沢:そうですね。映画以外でも、みなさんの好きなものでいいと思います。とにかく感動した経験をしたら、言語化しておくことが大切です。それが習慣化すると、インプットをする際に頭がアウトプット前提になるので、より情報を多く得ることができます。そうすると、その分感動がより大きく感じられるようになってきます。

加藤:なるほど。1つの作品をしっかりと楽しみ切ることが大切なのですね。

樺沢:そうですね。味わい尽くしてほしいです。せっかくお金を払って映画を観ているので、感想をメモして2倍も3倍も楽しめたほうがいいですよね。その方がお得だと思います。

必要な情報が目につくようになる「曼荼羅チャート」

加藤:樺沢先生は脳内に、脳内情報図書館をつくられているということですが、詳しくお話を伺ってもよろしいでしょうか?

樺沢:「曼荼羅チャート」というものを書きます。自分にとって必要な情報と必要ではない情報があります。自分にとって必要な情報は何なのかを一度紙に書き出してみるといいと思います。

いったん書き出しておくと、例えば書店に行った時に自分に必要な本がすぐに目につくようになります。あるいはネット上でもさまざまな情報がある中で自分に必要な情報が探し出せるようになります。

私の場合は「心理学」や「脳科学」「精神医学」というキーワードがあれば必ず見ます。自分に必要な情報がわかっていると、瞬間的に「この情報は見た方がいい」と察知できるのです。必要な情報は感情も動くので記憶にも残りやすいです。どうでもいい情報は、自分にとって不必要なのですぐに忘れてしまいます。

本当に必要な情報を選択的に集めていくことを「アンテナを張る」と言います。そのために必要なキーワードを整理しておくことを私は「脳内情報図書館」と呼んでいます。ぜひみなさんにも一度やってみて欲しいです。

加藤:自分に何が必要なのかを事前に把握しておくということですよね。

樺沢:そうです。例えば10個ニュースが流れたとしたら、その中で本当に自分が知っておかなければいけない情報ってせいぜい2つか3つです。10個中10個全部必要だという人はいないと思います。

それだったら事前に必要な2~3個のニュースだけを見ればいいわけで、そういう意味ではネットニュースの方が効率的ですよね。テレビでも自分がどうしても観たいテレビ番組は観てもいいと思いますが、そうでないものがほとんどです。

なんとなく惰性で観てしまうことが多いので、テレビはもったいないことをしてしまいやすいです。いい番組もありますし、私自身も観ている番組はありますが、本当に自分が観たいものだけを観るというのがいいテレビの観方です。

加藤:流れで観てしまうのが一番よくないということですね。

樺沢:ついついつけっぱなしにしてしまいますよね。1日24時間しかないわけですから、それをどう有効活用するのかを考えた時に、本当にあなたが必要な情報だけを集めるようにするだけで、インプットの効率が上がります。

花海:なるほど、インプットの効率が上がればその分アウトプットする時間も確保できますよね。先生、今日はありがとうございました!

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