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コーチングによる社員の主体化と自律的な組織づくり(全1記事)

問題を外から観察する人は、解決策にたどり着けない コーチングの第一人者が語る、ソリューションを作れる人の条件

時代や社会の変化に合わせて成長し続けるために、企業の組織変革とその変革を推進できるリーダーが求められています。本記事では、20万部超のベストセラー『コーチングが人を活かす』の著者で、株式会社コーチ・エィの代表取締役の鈴木義幸氏が、組織の抜本的な変革に必要なことや、変革を実現するリーダーに求められる思考法などを解説しています。 ■動画コンテンツはこちら(※動画の閲覧には会員登録が必要です)

日本初のコーチング専門会社の創業者が登壇

鈴木義幸氏(以下、鈴木):本日はご視聴ありがとうございます。コーチ・エィの鈴木と申します。よろしくお願いします。今日は「コーチングによる社員の主体化と自律的な組織作り」と題して、お話をいたします。

我々は多くのお客さまからたくさんのご要望をいただいております。例えば組織変革を推進できるリーダーを増やしたい。現場から、いくつもの新しい提案や意見が生まれる組織を作りたい。以下、書かれているようなたくさんのご要望をいただき、そのソリューションを日々お客さまと一緒に考えさせていただいています。

今日はこの5つの項目にしたがって、お伝えしたいと思います。まず最初に簡単に会社の紹介をいたします。コーチ・エィという会社です。1997年に「日本で最初のコーチングの専門会社」といわれるコーチ・トゥエンティワンという前身の会社を立ち上げました。それから24年間コーチングを軸に組織変革をお手伝いする仕事をしています。

現在東京の他に、ニューヨーク、上海、香港、バンコクに拠点がありまして、世界中の日本企業をご支援したいと思っています。社員数は180人で、うち110名がコーチの仕事をしています。

拠点のある国以外にも、この世界地図で色が塗られている国にはお客さまがいます。今はZoom等を通して世界中どこにいらしてもオンラインでコーチングをご提供することができます。

また日本語以外にも英語やタイ語であったり、5つの言語でコーチングを提供していますので、例えば自分の部下のアメリカ人やブラジル人、中国人にコーチングを提供したいといったニーズにもお応えしています。

一番左側にコーチ・ユーとありますが、3年前にアメリカの会社を買収いたしました。今は我々の傘下に入っていただいて、アメリカ企業に対するコーチングのビジネスを展開しています。

〇〇が変わらないと、組織もルーティンも変わらない

鈴木:我々は組織を変革するお手伝いをしておりますので、組織変革とはどういうことかを、まずは共有したいと思います。どの組織にも前提とルーティンがあります。前提とはその組織の中にある暗黙知で、構成員が当たり前のように持つ考え方です。

ルールになっているわけでもなく、壁にポスターで貼ってあるわけでもないのに、その組織の多くの人が「そうだな」と思う考え方。例えば他部門については軽々しく口を出すべきではないという前提がある組織では、その前提を元にしたルーティン、反応的な行動が起きます。

例えば経営会議で執行役員がレポーティングをする。終わると、次の部門の執行役員がレポーティングをする。それが繰り返されるというルーティンが起こる。これが前提とルーティンの関係になります。

我々は「組織が変わる」とは、この前提とルーティンが変わるということに他ならないと思っています。ルーティンは日々のコミュニケーションで支えられ、維持存続しています。

例えば先ほどの、他部門のことには軽々しく口を出すべきではないという前提がある企業の例で言いますと、ルーティンとして経営会議で、執行役員が次々とレポーティングをしていく。執行役員が言ったことに対して違和感を持ったりそれは違うと思ったとしても、あえてそれを声に出して問いかけないというコミュニケーションによって、ルーティンが維持されることになるわけです。

ということは、コミュニケーションが変わらないとルーティンが変わらず、組織も変わらないと我々は思っています。そして、この日々のコミュニケーションで生み出されるルーティンが組織文化を作り上げます。

従業員エンゲージメントを左右する「2つの文化」の距離

鈴木:組織文化という言葉の他に、企業文化という表現もあります。企業文化は経営者や経営企画の方々など、企業のトップ層が言語化し、社内外に発信していくものです。ある意味でその企業の理想像です。

この企業文化と組織文化、つまり現場の行動やコミュニケーションが近いと、社員は経営者の言うことと現場で起こっていることが近いと感じ、エンゲージメントが高まると言われています。

逆にものすごく距離が開いてしまうと「社長の言っていることと現場で起こっていることが違うじゃないか」ということになり、会社に対してエンゲージがしにくくなるわけです。

我々は「クライアントとのコーチングを通じて、その組織が『変化する未来』に向けて、コミュニケーションを変え、ルーティンを変え、組織文化を変え、組織変革を実現することを支援します」と謳っていますが、なぜ「変化する未来」と言っているかと申しますと、前提とルーティンが変わらないと、その延長線上にある未来は繰り返されてしまいます。

そうではなく、前提とルーティンが変わることで、未来が変わっていく。コミュニケーションを変えることで、ルーティンが変わり組織文化が変わり、結果として組織変革が実現する。それを支援したいと考えて、仕事をさせていただいております。

組織変革を実現できるリーダーと、そうでないリーダーの違い

鈴木:我々は組織変革に取り組むリーダーのパートナーでありたいと思っています。この組織変革を実現するリーダーとは、いったいどういう人かについてお伝えしたいと思います。少しみなさんに考えていただきたいのですが、ここにいくつか問いかけが出ています。リーダーとは、そもそもどんなケイパビリティ、能力を有している方だと思われますか。

組織変革を実現するリーダーと、いわゆる一般的なリーダーとの間に違いはあるでしょうか。組織変革を実現するリーダーのマインドセット、心持ち・気持ちとはどんなものでしょうか。日々何を考えている人が、組織変革を実現するのでしょうか。みなさんの中にどんな答えが思い浮かぶでしょうか。

あなたが問題の一部でなければ、解決策、ソリューションの一部にはなり得ないという格言があります。つまり問題が外側にあって、リーダーが自分はその問題の一部ではないと思ってしまったら解決のしようがないのですね。自分も問題の一端を担っていると思わない限り、ソリューションを作る一部にはなり得ないということになります。

全体に向き合う際は、2つの立場があります。左側のシステム思考の場合は、考える人は観察者の立場をとりますので、視点、観点は外側にあります。つまり問題を外側から見て、「あそこに問題があるね」「君が問題だね」と。これをやってしまったら、ソリューション、解決策の一部にはもうなり得ません。

一方で右側のシステミック思考は、思考する人、つまりリーダーがシステムの一部であるという見方、捉え方です。ですから、観察者ではなく、参加者としての立場をとるんですね。自分もその問題を作っている、担っている1人だと考える人。我々はシステミック思考をとる方のみが問題を解決し得ると思っています。

真のリーダーが備えるべき、もう1つの考え方

鈴木:さらに、主体化という考え方があります。主体的ではなくて主体化。ミシェル・フーコー(Michel Foucault)という哲学者が唱えた言葉になります。個人には人生の意味やパーパスがありますが、組織にも「なぜ社会的に存在しているのか」という組織のパーパスがあるわけです。

この個人のパーパスと組織のパーパスを融合して、明確に目的意識を持つ人を「主体化した人」と呼んでいます。主体化した人は、精神的にも非常に強く組織に帰属していると考えられます。

会社で働くビジネスパーソンはたくさんいらっしゃいますが、例えば週末のサークル活動、ボランティア活動には主体化しているけれども会社には主体化していない。ToDo、やるべきことはたくさんあるけれど、会社に主体化していないという方が残念ながらたくさんいるように思います。

我々は主体化した人のみが真のリーダーとして組織を変えていくことができると考えています。組織変革を実現するリーダーは、今御社にどのくらいいらっしゃるでしょうか。ぜひ頭の中でイメージをしてみてください。

本物のリーダーは、さらに多くのリーダーを創る

鈴木:では、組織変革を実現するシステミック思考を持ち、主体化したリーダーをいかに増やすかについて、お話しします。我々は、「リーダーは、リーダーが開発していく」と考えています。

それはリーダー候補であったり、すでにリーダーのポジションについている方かもしれません。そのリーダーが次のリーダーを開発するプロセスの中で、リーダー自身も自分のリーダーシップがさらに洗練され、主体化が高まっていく。

もちろんリーダーを開発するわけなので、開発されたリーダーの方々もより主体化していく。そしてこの主体化した人同士の対話が、組織にとって意義のある変革に向けた有意義なアウトプットを打ち出していくのではないかと考えています。

ですから我々は、リーダー自身をコーチしますが、同時にリーダーが次のリーダーを開発するプロセスを強力にコーチしていきたいと考えています。「本物のリーダーは、フォロワーを創らない。彼らはさらに多くのリーダーを創る」という格言がありますが、非常に大事な観点だと思っています。

我々は組織変革の実現に必要な物理的なリーダーの数を増やしたい。この24年の体験から、1,000人の組織であれば、できれば過半にあたる500人以上の方が主体化したシステミック思考を持つリーダーになることで、組織が強力に変わっていくと思っています。

これからの時代のキーワード「Thinking Together」に必要な能力

鈴木:コーチングとは、問いを間においた共創、コ・クリエーションのコミュニケーションを行うことだと考えています。我々がコーチをする場合も、リーダーが次のリーダーを開発する場合も同じです。この組織を、この会社をどんなふうに変えようか。そんな問いを間において対話をし、考えをブラッシュアップしていく。その先に、組織の変革があると我々は思っています。

もはや1人で何かを考えてものを動かせる時代ではない。Thinking Aloneではなく、Thinking Together。どんな場面でも一緒に考えていく。外のコーチと考える中で、リーダー同士で考えるThinking Togetherがいろんな場面で求められている。そんな時代ではないかと思っています。

そしてこのThinking Togetherをするための能力を開発する。対話の能力を高めていくことが大変重要だと我々は考えています。

最後に我々のサービスの特徴をお伝えします。大きく3つの特徴があります。1つ目はオンゴーイングでリアリティを扱うこと。つまり現場から離れたところで研修や合宿をするのではなく、実際の組織の課題や変革の難問に対して、対話を交わしながら、ソリューションに向けた行動を生み出していくということです。

2つ目は、先ほどもお伝えしたように、リーダーを開発すると同時にリーダーが次のリーダーを同時並行で開発していくこと。この2つに光を当てて開発を進めることで、全体の変革に向けた動きが加速すると思っています。

3つ目は、組織全体に影響を与えようとすること。つまり「ここだけを変えよう」ではなく、組織全体の文化や前提・ルーティンを変える動きの中で、全体が変わっていく。最初からそこを狙ってお客さまと一緒に歩んでいきたいと考えています。

組織変革に必要な3つのコーチング

鈴木:これは、実際に我々のコーチングを活用いただき、一緒にプロジェクトで歩まれたお客さまの声です。代表的なものをご紹介しますと、業務課題中心のコミュニケーションから、今では相手のビジョンや踏みたいキャリアプランに紐付けたコミュニケーションを取れるようになったと語ってくださるリーダーの方がいます。

そして、以前と比較して他部門とのコミュニケーションの量が増えたという声は非常に多くいただきます。これは部長さんや経営会議のメンバーである役員の方々からも、他の役員とのコミュニケーションが増えたり、部長同士が部門を越えて話すようになったというお言葉もいただきます。

それから、以前よりも打ち合わせ時などに、メンバーからアイデアが出るようになり、気づきや視点を得られ、新しいアウトプットにつながっているという話もたくさんうかがっています。お仕事をさせていただいて、本当にうれしく思う瞬間です。

我々のご提供するサービスは大きく3つあります。1つ目が、経営層の方々に1対1でコーチングをご提供するエグゼクティブ・コーチング。これにより、経営者の方々がどのように会社を変えたいと思っているかがよくわかります。

2つ目がそれをベースにしたDriving Corporate Dynamism。略してDCDと呼んでいますが、先ほどからお伝えしている、より多くの変革リーダーを社内に生み出していくための開発プログラムです。

そして3つ目が、3分間コーチ。これはリーダー層だけでなく一般の社員の方に至るまで、変革に向けた対話の能力を向上させていただくためのものです。このエグゼクティブコーチ、DCD、3分間コーチ。この3つをメインでご提供しながら組織の変革をこれからも担っていきたいと考えております。本日はご視聴いただき、誠にありがとうございました。

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