2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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清水邑氏(以下、清水):では、続いてのパートですね。熊平さん、お願いできますでしょうか。
熊平美香氏(以下、熊平):石丸さん、ありがとうございました。
石丸晋平氏(以下、石丸):ありがとうございました。
熊平:私のほうからもお話をさせていただきます。熊平美香です。よろしくお願いいたします。まず私が理事を務める「21世紀学び研究所」について紹介いたします。本日のテーマの中心にあります「リフレクション(内省)」は、この研究所で取り組んでいる活動です。
私たちは「自分と世界を幸せにするために学び続ける自律型人材を増やしたい」と考えています。自律型人材が増えると、その結果自律型チームや組織が増えていくと考え、そのために「OS21プログラム」を開発して提供いたしております。
中でも実績としては、経済産業省の「社会人基礎力」が改定された際に、「リフレクション」を盛り込む提案をさせていただいて、見事受け入れていただいきました。
みなさんも「リフレクション」という言葉を最近ではたくさん聞かれるようになってるのではないかと思いますけれども。経済産業省がお話ししてくださると世の中に広まるんだなと、その影響力を実感しています。リフレクションが日本の当たり前になったらいいなと思いながら活動をいたしております。
まず今日は私のほうからその概要をお話ししたいと思います。
熊平:まず「自律型人材」と石丸さんが言ってしまいましたけれども、その定義を私たちはこう定めています。「自ら定めた目的を実現するために学び続ける人」。それをもう少し噛み砕いて申し上げますと、ありたい姿と現実のギャップを埋めるために、自分と向き合い、境界線を越える学びを通して、自己とチームの潜在的な力を開花させる人です。
要は自分が目指しているゴールを実現できる人。そのためには、やはりリフレクションを通して学んでいかなきゃいけないですね。そこで、リフレクションは自律型人材にとって必須アイテムと考えています。そこで、リフレクションの実践を広めるために、私も本(『リフレクション 自分とチームの成長を加速させる内省の技術』)を書かせていただきました。
リフレクションには基本的に5つのスキルセットがあります。そのために必要な5つのメソッドをご紹介しています。この図にあるとおり、真ん中に「OSのアップデート」があり、そのために「リフレクション」と「対話」が大前提になります。
リフレクションは、自分を客観的かつ批判的に振り返る行為。そして対話は、自己を内省し、評価判断を保留にして、他者に共感する聴き方と話し方です。
リフレクションは自分の内に向く思考でが、自分の内面だけを見ていてもそれだけでは発展がないので、自分の外の世界も取り込んでいかなきゃいけない。そうなると、対話が必要になる。リフレクションと対話を繰り返すことによって、どんどん自分の世界が広がっていくと考えています。
熊平:ただこの(リフレクションと対話の)2つを上手にやるために、もう1つ大事なスキルが必要で。それが「メタ認知」になります。
メタ認知というのは、自分の内面を客観視する、俯瞰する。そういうことをイメージしていただければと思いますけれども、自分が考えていることだったり感じていることだったり、それを俯瞰できる力がないと、自分のリフレクションが正しいのか正しくないのか「よくわからないなぁ」と感じてしまうことがあると思うんです。
そこで認知の4点セットを使って、メタ認知をしていただくというのを奨励しています。
ここにあるとおり、まず「意見」があります。その意見の背景には、その意見に関連する過去の「経験」から、何か知っていることがあります。経験の記憶は「感情」がつかさどっているので、その「経験」には「感情」が必ず紐付いています。そして意見の背景には、必ず判断の尺度となる「価値観」が存在しているということです。
自分の意見を見つめ直したときに、ただ意見だけを持って納得するんではなくて、「なぜ自分はそう考えるんだろうか」というところを深く考えられるのが、この認知の4点セットのよい点だと思います。
熊平:事例を見てみたいと思います。みなさんの中にも犬が好きな方、嫌いな方、両方いらっしゃると思いますけれども、おそらくそれぞれこんな経験をされてるんじゃないでしょうか。
好きな方は、おそらく犬を飼った経験や犬をかわいがった経験があって、犬は「喜び」とか「安心」という感情に紐付いていて、そして犬は「かわいくて癒やしてくれる存在だ」と自分の中では思っている。なので、「犬が近づくとすごくうれしい」。あるいは犬を見つけると自分から近づいてしまう。
でも犬が嫌いな方は、犬に噛まれたとか吠えられたとか、いろんな残念な経験があって。なので、犬は「怖い」と感じていて、そして「犬に近づくと危険である」というように、犬は危険な存在だと自分の中で理解している状況ではないでしょうか。
こんなふうに、実は私たちの持っている意見は、経験によって支配されているというか、影響を大きく受けているということです。自分の意見の背景をこんなふうに俯瞰することによって、「あ、こういう理由から自分はこう考えるんだ」とか、「自分はどういう判断の尺度を持って犬を眺めているのか」とか、そういうことが簡単にわかるようになります。
これをふだんの生活の中でも使っていただきたいというのが、私からのご提案になります。ということで、まずOSのアップデートの方法についてご紹介させていただきました。OSのアップデートができるようになって、メタ認知ができるようになると、冒頭に申し上げたような5つのリフレクションが、簡単にできるようになります。
熊平:今日はその中の2つのパートを中心にご紹介したいと思います。就職活動をされてる方もいらっしゃるとうかがっているので、自分を知ったり活かしたりという、そのあたりの話になります。
まず最初にみなさんに知ってほしい言葉が「クリエイティブテンション」です。こちらの絵にあるとおりなんですけれども、クリエイティブテンションは、ビジョンあるいはありたい姿と現状とのギャップを埋めたいと思う、強い内発的動機のことです。
「どうしてもこれを実現したい」と思う時は、みなさんの中にこのクリエイティブテンションが存在しているかを確認してください。ちょうどゴムがぐっと伸ばされたら縮みたいと思うような、そんな感じです。
「どうしてもこの現状とありたい姿を一致させたいんだ」という強い気持ちを持っている時、クリエイティブテンションがあると言われています。そういう状態はどんな状態か。
この図の3つの丸の1つに「動機の源」と書いてあります。自分の内発的動機の源泉になるような、自分のモチベーションがすごく上がること。あるいはパッションがすごく高まること。そういった「動機の源」が、ありたい姿と紐付いていて、そこからエネルギーが出ているというそんな状態です。
こんな状態になると、創造性もどんどん高まっていきますので、問題解決力も高まっていきます。結果的には学ぶ力も上がるし、成長もするし、いいことばっかりだと思います。こんな状態で自律型人材は活躍しているというイメージを持っています。
熊平:「動機の源」と先ほど申し上げましたけれども、少し補足させていただきます。「動機の源」は、やりがいを感じる理由だったり、自分を突き動かす大切な価値観です。なので自律型人材は、この動機の源を知って活かしていることになります。
この事例ではプロジェクトが成功してみんなが喜んでいます。みんながうれしいとか喜んでいるというのは共通なんですけれども。なぜうれしいのかっていうところに違いがある。これが動機の源になります。
ある人は「みんなでがんばった」という、共創したり協働したりしたことがうれしかったと喜んでいるし、ある人はクリエイティブなアイデアが生まれてうれしいという創造性で満足している。あるいは、他のチームに勝てたことがうれしいと、競争に勝ったことに喜んでいるという人もいるかもしれません。
このように、人はそれぞれ自分の動機の源に基づいて喜んでいるということなんです。実は私たちは、うれしくなったり、すごくハッピーな気持ちになったりしている時も、「なぜなのか」とは自分に聞かない。この動機の源がなにかって、意外に気づいていないのですが、みなさんの感情は常にそれを知っているんです。そういう魅力的な話でもあります。
熊平:さて、では動機の源につながる「目的を持つ」というのは、どういうことなのかということを少し事例でご紹介してみたいと思います。先ほどご紹介したメタ認知をツールを使って確認していきたいと思います。
真ん中は「意見」で、「何を実現したいんですか?」と聞いています。そして「経験」を聞いていますが、それはその実現したいことに関連する過去の経験です。そして左下に「感情」に関する問いがあります。そして大切にしている「価値観」の問いがあるという構図になっています。
事例を見てみたいと思います。これは私の事例なんですけれども、「何を実現したいですか?」と言われれば、冒頭申し上げたように、リフレクションを日本の当たり前にしたいと思っています。
なんでそんなことを思ったんだろうというのは、100個ぐらい事例があるんですけど、その中の1つを選んでお話ししてみたいと思います。私は昔、海外で研究開発プロジェクトの責任者をやったことがあるんです。これが私の人生の中で、最も不確実性が高かった経験です。技術開発では不確実なことがいっぱいあって、なかなか計画どおりにいかなくて、何度も行き詰まったという経験だったんです。
その時に、実はこのリフレクションに救われたんですね。リフレクションで過去を振り返って、計画を振り返って、自分たちの仮説を振り返って、なにが当たってなにが外れたのかをずーっと追いかけてみたら、自分たちの現状がよく理解できるようになり、かつ次になにをしてみればいいか、次にどんな仮説を持って行動していけばいいのかが、すごく見えてきたんです。
熊平:先が見えない時には、失敗の背景にある仮説をリフレクションすることがすごく大事だと確信した経験だったんです。今みたいに不確実な時代で、答えがないのにどうしようという時。ほぼみんなそういう状況になりつつあるのかなと思うと、そういう時だからこそ、リフレクションは、みんなに使えるツールじゃないかって思うようになりました。
感情としては、行き詰まった時にはストレスだったんですけれども、先が見えてうれしかったという経験です。
なぜ私がそれにこだわってるのかなと思うと、自分の動機の源は「潜在能力の開花」っていうのが大好きで。教育のことにこだわってるのもここなんですけれども。先ほどの石丸さんのお話でいうと、まさに会社名ですよね。ZENKIGEN(全機現:「人が持つ能力の全てを発揮する」という禅の言葉)っていうお話があったんですが、もう同じだなと思ってうれしくなったんです。
私も潜在能力が開花される状況が、一番人が幸せになれる状況だと思っているので。潜在的な能力が開花するために、リフレクションが欠かせないと思ったんです。
こんなふうにリフレクションをしてみながら、自分はなんでこのことにこだわりを持ってるのかなとか、なんでこれが自分にとって大事なのかなということを、俯瞰できるようになりました。いつもいろんな時に、こんなふうにリフレクションをしています。
熊平:最近やはり「VUCA時代」という言葉が当たり前になったと思うんですけれども、VUCA時代の主体性ということに、私はすごく意識が向いています。
こちらに2つ主体性の絵がありますけれども、今までの主体性というのは、この右の図だったんだなと思っています。
例えば子どもであれば「勉強しなさい」と言われる前に勉強するとか、会社であれば上司がなにか言う前に上司の期待に応えるとか。なにか自分以外の意思が別にあって、それに対して主体的であるということを、なんとなく「主体性があるよね」と言ってきたのかなと思うんです。
21世紀のVUCA時代の主体性は、左の図だと思います。冒頭からお話ししているように、自分が大事にしていることと、自分がやりたいことがつながっている状態。これはもちろん会社だったりすると、いつもすべてが自分が思いどおりになるわけでもなくて、仕事が与えられるということもありますよね。
でも与えられた仕事であっても、いったんやると引き受けた時には、自分なりの目的をそこに持つということが、「主体的な人材」の要件ではないかと思っています。だから、今日のようなリフレクションが、主体的に生きる人材にとって不可欠ではないかと思っています。
ということで今日はリフレクションの基本の5つのメソッドの中で、特に「自分を知る」ということと、ビジョンを形成するに関連した内容についてお話をさせていただきました。私からはいったん以上でございます。ご清聴ありがとうございました。
清水:ありがとうございます。私も発売直後に『リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術』を読ませていただいて、この「アンラーンする(脱学習)」というのに僕自身は一番戸惑ったというか、壁に当たったところでもあったんですが。
またリセットされるようなかたちで、いい気づきをたくさん得させていただきました。ぜひ今日もそのあたりをお聞きしたいなと思っております。熊平さん、ありがとうございます。
熊平:ありがとうございます。
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