2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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中川諒氏(以下、中川):こんにちは。中川諒です。
梅田悟司氏(以下、梅田):梅田といいます。よろしくお願いします。
中川:よろしくお願いします。今日は『いくつになっても恥をかける人になる』という本の出版記念イベントということで、梅田さんとお話をさせていただきます。
梅田:よく書き切りましたね。
中川:はい(笑)。ありがとうございます。今回梅田さんとお話しさせていただくことになった経緯をあらためてご説明すると、そもそもこの本を書くきっかけをいただいたのが梅田さんだったというところから始まっていて。忘れもしない2018年の1月に、ディスカヴァー・トゥエンティワンの編集者の千葉正幸さんをご紹介いただきまして。
梅田:(笑)。そういえば寒かったよね。
中川:僕の最初の企画書の日付は2018年1月になってたんですけど、そこでご紹介いただいたのがきっかけで、そこからだいたい2週間に1回ぐらいのペースで3人でずっと話しながら、ああでもない、こうでもないと時間をもらって……。
梅田:半年ぐらいかけて目次を決めましたね。
中川:(笑)。ようやく書き切ったという。
梅田:すばらしい。
中川:ほぼ梅田さんのおかげだと言っても過言ではないんですが。
梅田:いやいや。本当にすばらしい。
中川:僕と梅田さんの関係性からお話しできればと思うんですけれども。まず「これまでの2人」ということで、梅田さんのプロフィールを見ていきます。最初にレコード会社を起業して、電通入社後は最初にマーケティング局にいったと。それでコピーライターに転身して、電通を辞めたのが2018年?
梅田:2018年10月に辞めました。
中川:退社されて、ベンチャーキャピタルのインクルージョン・ジャパンに転職されたと。
僕が知っているのは、コピーライターになったあとの梅田さんなんですけど、そこからどんどん本を出されましたね。『「言葉にできる」は武器になる。』だったり『捨て猫に拾われた男』だったり、『やってもやっても終わらない名もなき家事に名前をつけたらその多さに驚いた。』という、もう長くて驚いちゃうっていうタイトルの本だったりとか。
梅田:完全に何者かわからない男ですよね。出版社の人々にもめちゃくちゃ怒られました。
中川:なんでですか? すごすぎて?
梅田:「言葉の本の著者なのに、猫の本書いて、家事の本書いて、何書きたいんですか?」って。
中川:確かに、一貫性がなく見えますよね。
梅田:そう、そう。すごく言われました。
中川:広告の仕事でいうと、今でもずっと使われている「世界は誰かの仕事でできている」というジョージアのコピーを書かれていると思いきや、ドラマの仕事もけっこうされていますよね。
梅田:そうですね。
中川:『99.9-刑事専門弁護士-』とか。今度、映画になりますよね。あとこないだ終わってみんな大豆田ロスになった『大豆田とわ子と三人の元夫』も、エンドロールのスタッフクレジットを見て、ツイートで「梅田悟司さんって、これコピーライターの!?」って呟かれていたりとか。こういう一見バラバラな仕事をやっていますよね。
梅田:しかも、今はベンチャーキャピタルをやっているので投資業もやっていますもんね。その話も出てこないぐらいよくわからない。
中川:そうですよね。その辺もお話ししたいなと思っています。
梅田:ぜひ。
中川:僕は2011年に電通に入社したんですけど、最初なぜか「絶対に希望の部署に行ける」って思っていて。
梅田:自己肯定感が高めですね。
中川:確かに高めですよね。それで希望の部署に配属されない7年間がありまして。最初の5年間いたプロモーションをやる部署で、実は梅田さんと一緒でした。それが僕の人生をいろいろ変えていくきっかけにもなるわけなんですけど、そして8年目でようやくコピーライターになって。
梅田:その瞬間、よく覚えてますよ。
中川:(笑)。そのあといろいろと海外で仕事したり、本を書き始めたりということです。
昨日の夜に、この写真を探し出したんですけど、たぶん初めて梅田さんと一緒にやった仕事の時ですよね。
梅田:懐かしい。
中川:「MIRAI DESIGN LAB.」という、電通と博報堂で一緒にアイデアコンペをやる仕事だったんですけど。
梅田:すごくいい企画でしたよね。
中川:この僕と梅田さんの距離感ですよね。ちっちゃくて見えないかもしれないんですけど、この距離感で仕事をしてましたね。たぶんこれが梅田さんとのファーストコンタクトで、遠くもなく近くもなくというか。
梅田:そうですね。当時は僕のほうが少し先輩みたいな感じだったかもしれないですね。
中川:別に同じ部署だったわけでもなく、直接の上司部下だったこともないんですけど。
梅田:同じ部署だったこともなかったっけ?
中川:部はないですね。でも、もはや10年以上お付き合いしてますね。僕の中ではお兄さんみたいな存在だけど、時には厳しい師匠でもあり、仲のいい友だちのような気もするというか。
梅田:あぁ、それはありがたい。
中川:すごく不思議な関係性です。なので、今日も会えるのが楽しみでした。
梅田:中川さんと会うのは、実は千葉さんに出会った日以来だもんね。
中川:リアルに会うのはそうですね。でも、その間何回打ち合わせしたんだっていう。
梅田:2週間に1回ぐらいミーティングしてたもんね。おもしろいなぁ。
中川:それも、梅田さんにとって直接得のあることじゃないじゃないですか。2週間に1回、時間を取って……。
梅田:中川くんのメンタリングをすることがですか? 普通に楽しかったですけどね。得か損かというと、まぁ得でも損でもないですけどね。
中川:時間でいうと損というくらい、めっちゃ時間を使ったので。
梅田:時間だけでいうとそうかもしれないね。でも、応援ということですよ。応援、応援。
中川:ありがたいです。今日は「キャリアを拓く『恥』のかき方」ということでお話をしたいなと思っています。みなさん、チャットでコメントだったり質問だったりドシドシいただければと思います。
梅田:質問あったらね!
中川:前回やった時に、最後にわーって質問いただいて、答えきれなくなっちゃったんで。早めにいただいて、僕らも時間の配分を考えながらお話しできればと思っています。
梅田:ここでもまさに質問するという「恥」を越えていく。大事ですよね。意外とみんな聞きたいこと近しかったりしますからね。
中川:顔も見えないので、逆に聞きやすいと思います。
「キャリアを拓く『恥』のかき方」という話なんですけど、この本を書くにいたった気持ちとしては、人生100年時代とか言われて、僕もまだあと30年とか働かなきゃいけない......「大変~っ」て思いますよね。
その時に、やっぱり今までやったことのないことにチャレンジする機会がいやでも増えてくるんじゃないかなって思いまして。「恥の免疫」という書き方をしてますけど、恥ずかしいからと言って新しいことを避けていくのではなくて、試しにやってみるという気持ちが大事かなと思ってました。
中川:僕が勝手に思っている梅田さん像が、「スキル拡張の名人」なんじゃないかなと思っていて。
梅田:なるほど。そう言っていただけるとうれしいね。
中川:広告コピーの仕事があれば、ドラマもあれば、本もあって。しかもその本も、いろんなカテゴリーの本を出している。一見するとバラバラなことをやってる人。しかも今はベンチャーキャピタル。
梅田:まぁ、よくわからない人間ですよね。
中川:僕からするとまったくわからない世界で仕事をされてるんですけど。でも、この10年付き合っていて、きっと梅田さんの真ん中にあるものは一緒なんだろうなという気がなんとなくしているんです。
梅田:そういう意味でいうと、入社時からなにも変わってないと思いますね。
中川:アウトプットだけを見ていると、そこが意外というか。その辺のお話もちょっと聞きたいです。「新しいことに挑戦する」と捉えるとなると、やっぱり不安じゃないですか。
梅田:不安はありますよね。
中川:でも「新しいこと」というのを、「今できることの拡張」みたいな捉え方にしていくと、一歩が踏み出しやすくなるんじゃないのかなと思っていて。
あらためて梅田さんの経歴を見ていると、一見バラバラだけど、キャリアはなんだかんだ地続きなんじゃないかと思っていて、それが今日の仮説であり結論なんですけど。
梅田:なるほどね。キャリアがなんだかんだ地続きなのは、そのとおりだと思いますね。人のマインド的には、いきなり変わるとか、非線形なものを望むじゃないですか。でもいきなり変わるって現実的にできないですよね。
もちろん変わりたいという願望はあるし、それをどうにか実現する方法はみんな考えるんだけど、実際はできない。じゃあ、一足飛びになにかできないんだったら、ここの中ではキャリアと書いてあるんだけれども、どうやって新しい自分の一歩を踏み出すのかということは、けっこう考えてましたね。
梅田:その中で僕が大事にしている2つのことがありまして。1つ目が、「できるはずなのにまだできてないこと」に着目するのはすごく大事なんじゃないかな、ということですね。
なにか新しいことを始める時って、今やってることとそうじゃないことという、大きく2つに分けて考えちゃうんです。
中川:線引いてってことですよね。
梅田:そう。自分が今いる領地に線を引いて、その領地から出るという話で考えちゃうんですけど、その解像度だとなかなかうまくいかないというのが僕の感想です。「できるはずなのに」というのが、まず1つ大事なんですよね。
なにかというと、自分ができるcanの部分。もしかしたらmustとして、やらないといけないことかもしれない。だけどそれだけじゃなくって、「本当はやりたいんだけどできてない」というwillの部分。その意志の部分まで持って自分の人生を切り開いていくのはけっこう大事で。
どうしても、今やらないといけないmustな部分と、今できることのcanとwillな部分って、地続きになってないように見えるんだけれども、そこを一貫した自分の人生というか、自分の物語として考えることはけっこう大事で、かなり意識的にやってましたね。
中川:なるほど。「できないこと」じゃなくて、「できていないこと」がポイントですよね。
梅田:そこはすごく大事ですよね。基本的に新しいことは失敗するんですよ。それはしょうがないですよね。最初のラッキーパンチでうまくいっちゃうこともあるんだけど、基本的にはうまくいかない。ビジネスでもよく仮説検証ってよく言いますけど、仮説は外れますよね。
梅田:「こうやったらうまくいくんじゃないかな」と思うんだけれども、ぜんぜんうまくいかない。それで辞めちゃう。でもそれはやっぱり「できなかった」ことじゃなくて、「まだできていないだけ」と理解することがけっこう大事で。「できる・できない」ではなくて、「できる状態かまだできていない状態か」という状態で見るのが大事なんじゃないかなと、ふだんから思っていますね。
中川:確かに。「できないこと」と、「やったことがないこと」もちょっと違いますもんね。
梅田:違いますよね。それこそ「一歩を踏み出すか、踏み出さないか」って、動作の1個1個を動詞的に考えることはすごく大事なんですけど、でも動詞で考えちゃうと、どうしても「うまくいった、うまくいかなかった」という話にしかならないじゃないですか。
でも本当は、やってみた状態だったり、できていない状態だったり、「状態」として捉えることも大事だと思うんですよね。書籍でよく言われる話かもしれないですけど、悪い状態とうまくなってる状態は、別々で考えないといけないという話があって。
基本的にまだできてないんだけどうまくいってない状態だと、人は「できてない」って思っちゃうんですよ。でも自分の中で、ちょっとずつ階段を上っていたり、進歩していたらいいはずで。
でき始めている状態でも、まだできていないからだめだということじゃなくて、その曖昧な部分ってあるじゃないですか。
中川:グラデーションになってる部分みたいなところ。
梅田:そうそう。できてる部分とできない部分があるとしたら、その曖昧な部分って、基本みんなそうだと思うんですよね。外から見て、「あぁ、あの人は何かに秀でてるな」とか。それこそなにかの第一人者なんじゃないかと思っている人も、実はそこのグラデーションの中にいるんですよね。
中川:できる人・できない人と、明確なものはないってことですね。
梅田:明確なものはなくて、みんな発展途上で、そこに到達している人っていないはずなんですよね。すごく大事なのが、例えば僕もコピーライターを15年やっているとするならば、僕がコピーライティングのすべてを知ってるかのように見られるわけですよ。実際に「コピーを書いててすごいですね」とか、「どうやるんですか」とか。
方法論は一応あるんですけど、でも本当のことを言うと、知れば知るほどわからなくなっていくのが現実ですよね。これはけっこう複雑で。瞬間的にわかるんですけど、しばらくしてそのわかったことが実はまやかしだったことに気づくという、すでにその連続で。知れば知るほどわからなくなってくるし、結局経験が邪魔をすることもけっこう出てくるんですよね。
だから、常に自分が何者かになってるとか、どこかの場所に到達していることは、基本的に僕はないし、みんなないんじゃないかなって思いますけどね。
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