2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
『取材・執筆・推敲』(ダイヤモンド社)刊行記念トークイベント「取材・執筆・推敲、そして「発表」!! ——生きるための教科書『取材・執筆・推敲』を使いこなすために——」(全7記事)
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柳瀬博一氏(以下、柳瀬):ついでに言うと、ポスターの代わりに、この本の間に、特別ワークのこの漫画が。漫画というか絵本ですね。
古賀史健氏(以下、古賀):絵本ですね。
柳瀬:僕は一応大学でメディア論という、よくあるタイトルの授業を教えているんですけど。古賀さんは、『取材・執筆・推敲』の中で絵本というメディアについて書いています。
古賀:はい。
柳瀬:絵本と漫画の違いってなんでしょうね。
古賀:漫画はやっぱりコマ割りで。僕の感覚からすると、もともと映画って「活動写真」と言われてましたよね。それこそ黒澤明さんの世代の監督って、映画のこと自体を「写真」と。「僕の写真はこうなんだよ」という言い方をされたりするぐらい、写真の要素が強くって。
その写真をどう並べるかというのが映画で、その映画を目指して作られたのが、手塚治虫に始まる日本の漫画だと思うんですよね。でも絵本はやっぱり絵が先にあるんじゃなくて、あくまでも物語なんですよね。
柳瀬:先に物語なんですね。
古賀:もともと口承で伝えられていた昔話みたいな物語に、話をわかりやすくするため、あるいは子どもの注目をひきつけておくために、紙芝居屋さんが10枚なら10枚の紙を持ってきてくれた。
いろんな解釈はあると思うんですけど、僕の中では、絵本は紙芝居の延長で。紙芝居というのはもともと物語が先にあるもの。
柳瀬:ここに紙芝居屋のおっちゃんがしゃべるわけですよね。
古賀:そうです、そうです。その違いが大きくて、原点にあるものの違いかなという気がします。
柳瀬:漫画はむしろ映画の翻訳。翻訳というか、映画なんですね。
古賀:だから、いかにして映画的なスピード感を表すかとか、音をどう表すかという、漫画の中でいろんな試行錯誤がなされているわけじゃないですか。書き文字で擬音を書いていくのも、絵本の中で書き文字って使わないですよね。
柳瀬:絵本はカットがなくって、基本は1ページ1枚ですね。
古賀:その1つのイラストレーションの中で、その絵を記憶に定着させたまま、物語を持っていくのが絵本やら紙芝居の基本で。漫画というのは、それよりも絵の流れそのものを追いかけていく。スピード感がぜんぜん違うものだと思います。
柳瀬:『取材・執筆・推敲』をわりと早めにいただいて、最初パッと見た時に、「あ、古賀さん、前に漫画の話をしていたから、漫画を描くのかな」と思ったら、「あ、漫画じゃなくて絵本なんだ」と。物語のための構造を書かせるのに、漫画じゃダメなんですね。絵本じゃないとダメなんですね。
古賀:そうですね。厳密にやれば漫画でもできるんですけど、ちょっと高度過ぎるんですよね。日本の漫画って発展し過ぎちゃっているので、あれを分解するのは、また別の学問になっちゃう。構造の編集作業の練習は、それよりも直感的に理解できる絵本が一番だろうなと思いました。
柳瀬:ちょっと拙いながら、せっかくなので僕もトライしてみました。
古賀:はい(笑)。
柳瀬:視聴者のみなさんは全員本を買っている前提としますけど、これ(特別ワークの桃太郎のシーン)は30カットあるんですよね。ここから何枚選ぶんでしたっけ。
古賀:30カットの中から10枚です。
柳瀬:誰もが知っている、桃太郎さん。本の中に古賀さんの答えがあるんですけど、答えを見ないで、絶対に自分で10枚を選んでから、答え合わせしてほしいと思うんです。
柿内芳文氏(以下、柿内):そのために本のこんなところに入れたんですから。
柳瀬:これですよね。
柿内:そんなところに入れるのは超大変で、苦労しました。
柳瀬:いきなり話が脱線しますけど、これがいかに編集者として大変かという苦労話を。
柿内:泣いちゃいます。
柳瀬:一番苦労したのはどこですか?
柿内:いや、別に全部苦労したといえば苦労しましたが、この「桃太郎ワーク」のところは特に大変でした。普通本の途中には入れないじゃないですか。
柳瀬:入れません。
柿内:やはりこの桃太郎のワークは、やってほしいですよ。古賀さんの答えを見たら正解に見えちゃって、そこからやっても絶対引きずられちゃうんで。
柳瀬:まずここのページからですね。
柿内:そのページで考えてほしい。
柳瀬:なにも言わずに10枚選んで。
柿内:本を買った方の先を読みたい気持ちもわかるけど、そこでなんとか、ワークのページをキリトリ線で切り取ってやってみてほしい。じゃないと、本当に泣いちゃう。
柳瀬:みなさん、わかりましたか。具体的に言うと、ホチキスで留めておいてほしいのがですね......。
柿内:ちょうど本の真ん中なんですよね。
柳瀬:250、251ページはホチキスで留めておいてください。
古賀:(笑)。
柿内:ワークのページは本の真ん中に開いているんですね。
柳瀬:いかに造本コストが上がるか。
古賀:そうです。
柳瀬:たぶん値段に反映されているので、みなさん、この本で損をしたくなかったら、ぜひ251~252ページはホチキスで留めてください。僕もやってみました。
古賀:ありがとうございます。
柳瀬:実際に描いてみたんですよ。ちょっと薄いんで見えないと思うんですけど。
古賀:それはすごいな。
柳瀬:(笑)。10枚を僕なりに選んでみたんですね。先に言っておきますけど、古賀さんとけっこう違うんです。
これは正解、不正解があるかないかの話はちょっとおいておくけど。何を選ぶかって、けっこうその人の個性が出ますね。
古賀:出ますね。今まで自分が、映画なら映画をどう見てきたのかとか、物語をどう見てきたとか、自分が話をする時にどこから話し始めるとか、どのポイントに力を入れて話すとか、そういう癖が如実に出るものだと思います。
柳瀬:本の中には出てなかった話だと思うんですけど、今日の柿内さんとの話で映画の予告編がおもしろいという話がありました。今度は桃太郎の物語のカードを10枚選んで、予告編として編集してみろという応用編をやったらおもしろいですね。
柿内:確かに。
古賀:そうですね。
柳瀬:柿内さん、これが桃太郎の予告編だとすると、あえて1枚選ぶならばどこからスタートしますか?
柿内:そうですね。僕はやはり、打ち合わせの時も話しましたけど、この鬼ヶ島の絵が。
柳瀬:いきなり。
柿内:インパクトあるんですよね。
柳瀬:いい絵ですよね。
柿内:だって、鬼のかたちをしている島ですよ。わかりやすいじゃないですか! 子ども心をくすぐる、自分の中の“中二”マインドがくすぐられるんで、これを10枚全部にはめたいくらいですよね。
柳瀬:予告編のBGMはなんですか。
柿内:BGMはなんでしょうね。やはりなんかKISSとかじゃないですか。
(会場笑)
柳瀬:KISSか!
柿内:どうなのかなぁ(笑)。(『Detroit Rock City』にあわせて)デーデデーデデーデデーデデーデデーデデーデデーデデーデデーデデーデデーデジャジャジャジャジャジャジャンといって、最後パッカーーンという感じでこう。
柳瀬:ジャジャーン!
(会場笑)
柿内:いきなりパッカンと桃が割れるかもしれない。
古賀:(笑)。お笑いだな。
柿内:でも、お笑いっぽくしちゃうかもしれない。例えば子どもにやるんだったら、やはりそういうふうにしないと入ってくれないなという感覚があるんですよね。
柳瀬:確かに!
柿内:音を入れて、デーデデーデデーデデーデ、鬼ヶ島、パッカーン!
柳瀬:鬼ヶ島! ジャジャーン!
柿内:デトロイトロックシティのジャジャーンのところで生まれる(笑)。「誰がー!」というナレーションが入る感じで。
柳瀬:それ、いいですね。
古賀:(笑)。
柳瀬:これ(予告編)はこの本に描いていないから、ぜひ応用編として、ここにいる柿内さんにプレゼンするつもりで。
(一同笑)
柳瀬:10枚だと多すぎるから、7枚くらいですね。
柿内:そうですね。予告編だとちょうどいいかもしれないですね。
柳瀬:じゃあみなさん、ぜひ予告編を7枚で。
古賀:予告編いいですね。
柿内:予告編って本当にやったらおもしろいと思います。僕もつくったことないけど。めちゃめちゃおもしろい。
柳瀬:予告編バージョンもあるといいですね。古賀さんだったら予告編はどこからいきます?
古賀:僕もやはり鬼ヶ島になると思うんです。でも、鬼たちが暴れているところかな。
柳瀬:悪さをしているところから。
古賀:そこからドーンと鬼ヶ島のカットにいって、音楽を変えておばあさんが川で洗濯をして。たぶん鬼ヶ島の時はドヨーンと曇り空で、絵が少し暗いですよね。そこでドラムの音、ティンパニみたいな音が響いていて。
それがパッと切り替わってすごく明るい昼間に、おばあさんが川で洗濯している、平和そのものの場面に切り替わってというふうにしていくんじゃないのかな。
柿内:いやあ、おもしろいですね。人によってやはりぜんぜん変わりますよね。
柳瀬:さらに話は脱線していくんですけど、さっき古賀さんが絵本の物語は1枚1枚だと言ったんですけど、今のWebの漫画って、実はそうなっていますよね。
古賀:ああ、そうですね。
柳瀬:Webの漫画って画面をスクロールしてみるから。そう考えるとスクロール漫画って、絵本化していませんか?
古賀:ああ、確かにそうですね。コマ割りのおもしろさとかって、今もうどんどん変わっていっていますよね。
柳瀬:Webのスクロール漫画もそうですし、例えば、手塚治虫さんの頃でいうと、めちゃくちゃ変なコマ割りをやったりするじゃないですか。
柳瀬:そう。三角形がグサッと刺さっていたりとか。飛び出たりとか。
古賀:そう。縦にドーンとすごいのが入ったりとか。
柳瀬:隣のコマを蹴破って入ってきたりしますよね。
古賀:ああいうふうに、いろんな可能性を模索していった中で、今はわりとシンプルなコマ割りに落ち着いていっていますよね。それは恐らく、ブラウザとかスマホの画面で見た時にどうなるのか。その代わり、セリフの応酬でやり合うものが増えていって。
古賀:『嫌われる勇気』を読んだ人たちの中から、「これ、漫画だよね」という声がけっこう聞こえるんですよ。
柳瀬:おお。
古賀:セリフの応酬は、やはり今の読者から読むと漫画的に見える。
柳瀬:そっか。あれ(『嫌われる勇気』)は昔でいう哲学者とその弟子の対話だって、なんとなく思っちゃうじゃないですか。今は、あれは漫画なんですね。
古賀:「漫画に見える」というのを聞いて、ああ、なるほどなと。確かに今の漫画ってけっこう顔のアップが多かったりして、いかに効果的なセリフをそこに配置するかという、ネームの美学みたいなところが重要視されている気がしますね。
柳瀬:うーん。なるほど。ということで、話はまたポンと変わって、次は最後。せっかく進行用の紙を用意したのに、ぜんぜん使わなかったですね。
(会場笑)
柳瀬:ま、いいや(笑)。本当は「パート1 生きる人の教科書」から、「パート2 働く人の教科書」という順番だったんですが、どんどん聞いちゃったんで、いきなりですがパート3から行きますね。
古賀:(笑)。
柳瀬:この本を読んで思ったのは、実際は取材、執筆、推敲の「前」と「後」が、本をつくる仕事も含めてあらゆる仕事にあるなと。ここ(取材)に至る前に、まずこの本を書く「依頼」だとか、すなわちなにかをつくる時のする側・される側の仕事がある。推敲した後は、発表して売って、儲けないといけなかったりするわけじゃないですか。
古賀:はい。
柳瀬:書く人に関わらず、実際は生きる人にも働く人にも重要ですよね。まず、「依頼」のところを聞きたいと思います。先に柿内さんかな。本を書く人にどうやって依頼しますか?
柿内:まあ普通に依頼の連絡をして、とにかく会う算段を付ける感じですかね。企画書はつくらないんですけど、手紙は書きます。
柳瀬:本当に聞きたいのはその前になると思います。依頼のプレの部分ですね。誰に依頼しよう、誰に書かせようというのは、さっきの企画的なものと一緒でグシャッとなったりしません?
柿内:僕はさっき言った「裏側になにかある」感じで、日々不思議に思っている問題意識にこの人は答えてくれそうだなという時に、答えを聞きに行く場合もあるし、あと単純になにかの縁でたまたま出会った人に、「この人はなんなんだろう? この人の裏側に何があるんだろう」みたいな。
もともと自分が「裏側が見たい」と思っていたところにたまたま縁でハマるか、たまたま会った人の「この人の裏には何があるんだろう」という、逆にその2つしかないですね。
柳瀬:つまり、テーマドリブンか人ドリブンかということですね。
柿内:結果それが多いですね。多いというか、それしかないですね。
柳瀬:古賀さん、あえて言うならば、ライターって依頼される側ですよね。
古賀:そうですね。
柳瀬:今の古賀さんだとされっぱなしだと思うんですけど。
古賀:いやいやいや。
柳瀬:正直な話、売れていない時って、じっと待っていてもなかなか(依頼が)ないんじゃないですか?
古賀:そうですね。
柳瀬:そうすると、売り込みも含めていろいろあると思うんですけど、古賀さんはどうされていますか?
古賀:僕は売り込みって実際にしたことがないんですよね。
柳瀬:おお!
古賀:どんなに小さくても、がんばって1つのいい仕事をやれば、必ずその評判で、仕事相手がもう1回似たような仕事を振ってくるかもしれないし、それを見ていた誰か別の人が振ってくるかもしれない。やはり僕の基本的な考えって、ライターは見つけてもらう人。編集者は見つける人、見つけるプロなんですよ。
柳瀬:そうきたか!
古賀:見つけられるプロとしてまず自分がやらなきゃいけないのは、見つけるプロがいると信じることなんですよね。
柳瀬:僕のことを必ず見つけてくれる人がいると。
古賀:絶対に、本気で探しているプロの編集者がいて、自分が真面目にしっかり仕事をしていたら、その人は見つけてくれるはずだという、ビートルズでいう(マネージャーの)ブライアン・エプスタインみたいなものを信じて、ライブハウスでやっているしかないとは思うんですよ。
古賀:見つけるプロの編集者に、恥じない仕事。自分はもっといい編集者とか、もっとおもしろい企画に出会いたいと思っているので、それに恥じない仕事を毎回しっかりやっている。そうすれば、必ず見つけてくれるはずだという信念を揺らさないで。
そこがぶれちゃったり迷ったりすると、変な小細工をしてウケようとしたりするので、そうじゃなくて自分はここにいて、これを書いている。これを見てくれる人は絶対にいるというのは、僕の経験上からも間違いがないものなので。例えば、佐渡島庸平さん。
柳瀬:コルクの。
古賀:佐渡島さんが講談社で、まだ漫画の編集者として『ドラゴン桜』をやってた頃なんですけど。僕が書いたぜんぜん関係ないビジネス書を読んで、出版社に電話をしてきて「これ書いたライターさん、誰ですか?」「連絡先を教えて下さい」と言って。僕の携帯にいきなり「モーニングの佐渡島と言いますけど、今度会ってくれませんか?」と電話がかかってきたんですよね。
柳瀬:佐渡島さんとは、そこからだったんですね。
古賀:そういうふうに、絶対に本気で見つけようとしているプロはいる。ましてや、その当時はSNSとかなかったけど、今の時代だったらもっと見つけやすくなっているじゃないですか。
柳瀬:圧倒的に見つけやすくなっている。
古賀:だから、まず大事なのは「信じる」。信じて、小細工をせずに1個1個の仕事を実直にやっていくのが、見つけられる側の大事な心構えだと思っています。
柳瀬:柿内さんは見つける側ですよね。
柿内:僕はそんなじゃないですけどね(笑)。
柳瀬:でも、けっこう見つけるわけですよね。
柿内:結果として見つける感じです。なんかちょっと汗かいちゃいましたけど……。
(一同笑)
柿内:正確にいうと、見つけると言えば見つけるんでしょうけど、見つけようという意識がなくなった時に見つかるようになったんですよね。
柳瀬:禅問答みたいになってますね。
(一同笑)
柿内:そうそう。禅問答なんですけど、昔はやはり見つけようという意識が強すぎて、自分の視野だけで見ちゃうんですよね。自分のメガネで見ちゃうんです。
柳瀬:ああ。
柿内:出会った人のなにかを見ようという視点にすると、自分の狭い視野じゃない、もっといいところとか、その人の才能とかが見えてくる感覚で。そっちのほうが結果うまくいくという実感と実績もだんだんと貯まっていって。
柳瀬:うんうんうん。
柿内:昔とだいぶ変わりましたね。最初は「見つけなきゃ見つけなきゃ」という焦りがあって。企画会議があるんですよ。
古賀:(笑)。
柳瀬:わかる。
柿内:企画会議があるなら企画を出せ。企画を出すためには見つけないといけない。見つける。え? どこにあるんだろう。どっかにないかな、企画。
柳瀬:こうやって。(紙をめくる仕草)
(一同笑)
柿内:見つけようと思っている時って、見つからないですね。そうやると見つけようという視点でしか見えないんですけど、じゃなくて、ありのままをちゃんと見た時に見つかる。見つけようという視点で見ていると、目の前にあるものを見逃してしまうんですよね。
柳瀬:すごくよくわかるけど、その域に行くまでにちょっと時間かかりますよね。
柿内:そうですね。やはり20代かけてですね。20代前半はもう企画企画で。よく後輩とかに言うんですけど、企画会議が月曜日だったので、日曜日の夜はだいたい書店にいたんですよね。
柳瀬:はい。
柿内:一番行っていたのは、まさにこの会場になっている蔦屋書店さんと、もう今はなき渋谷の山下書店。24時間やっているんですよ。
夜中の2時にバイクを飛ばして、「企画ないか、企画、企画」って。本当なんです。夜中とか、山下書店しかやっていないですよね。
柳瀬:ですね。
柿内:本当、上から「企画ないかな」「この人は企画に合いそうだな」って。それで企画を書いて、企画会議に出るんですよ。そうやった本はあるんですけど、なんか、こっち(自分自身)もおもしろくないですよね。
柳瀬:(笑)。
柿内:メガネに当てはめちゃう。自分の天井に。才能のあるタケノコに「絶対に床破るなよ」みたいな感じなんですよね。
柳瀬:それはむしろ、床を破るタケノコをつくらない仕組みですよね。
柿内:そうなんです。それ以下になってしまう。例えば枠組みが「ナントカの10の方法」になってしまったら、10の方法以上のものは出ないじゃないですか。
柳瀬:12にはならないですよね。
柿内:絶対ならないですね。そこで1万の方法は出てこない。
柳瀬:(笑)。
柿内:10と言われたから10、みたいになっちゃうわけですよね。
柳瀬:これは本だけじゃなくて、たぶんいろんな商品から何から同じでしょうね。
古賀:そうですね。探したら見つからないと思うんですよね。出会ったら、出会ってしまうのがやはり大事で。取材もけっこう近いんですけど、結局どれだけ歩いて周りを見て、いろんな物を仕入れているかによって、出会うか出会わないかが決まるわけです。探そうと思って電話帳をめくるみたいなことをやってても、出会うはずがないんですよね。
柳瀬:この本の中身に戻りますけど、乱読をやっておくと、けっこう出会ったりしますよね。
古賀:そうですね。
柿内:まさに。
柳瀬:探すんじゃなくて、「そう言えばあの時たまたま見たやつが」というほうが、ありますよね。
古賀:本当にそうです。こういう雑談の中でも、実は乱読の中で仕入れたなにかおもしろい話が役に立ったりして。
柳瀬:ポンと出てくる。
古賀:例えば、編集について雑談している時も、編集じゃない本の中にあるテーマがおもしろかったりするじゃないですか。
柳瀬:確かに確かに。
古賀:そういうもんだと思いますね。
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