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「なぜ、いま『内省』が必要なのか?」熊平美香×伊藤羊一『リフレクション』刊行記念対談(全5記事)

“どうしたらできるか”ではなく、“やったらどうなるか”を想像する 「内省」の第一人者が語る、習慣化のコツ

自分の内面を客観的、批判的に振り返る「リフレクション」(内省)。経済産業省が提唱する「人生100年時代の社会人基礎力」としても注目を集めています。本記事では『リフレクション(REFLECTION) 自分とチームの成長を加速させる内省の技術』の刊行記念イベントとして行われた、著者の熊平美香氏とZアカデミア学長・伊藤羊一氏の対談の模様をお届けします。内省を「習慣化」させる方法について、両氏からのアドバイスが語られました。

モチベーションに頼らず、習慣を続けるには

伊藤羊一氏(以下、伊藤):ここで9つのテーマの中で話しておきたいところってありますか。

司会者:すいません。実は事前にいただいた質問で5番の習慣化について気にされている方が多くて。

熊平美香氏(以下、熊平):習慣化ね。

伊藤:習慣化ね。

司会者:伊藤さんの習慣のお話もぜひ。『1行書くだけ日記』の方法も少しご説明いただけるとうれしいです。

1行書くだけ日記 やるべきこと、やりたいことが見つかる

伊藤:習慣って、めっちゃやりたいからやるのと、やんなきゃいけないからやるというのがありますよね。

例えば、歯を磨くのって習慣じゃないですか。僕は、「モチベーションに頼るな」とよく言うんですけど、モチベーションがめっちゃ高くて、それに対する思い入れがめちゃある時は習慣になるんだけど、でも歯を磨くのって別にモチベーションないっすよね。

日々やんなきゃいけないからやっているだけで、「今日は歯の磨き方が変わるぜ」なんて盛り上がることは一切ないわけですよ。なんで歯を磨くようになったかというと、お母さんから日々厳しく「歯を磨きなさい!」と言われているからで、やはり強制力って重要なのかなと思うんですよね。

じゃあ自分にどう強制力を効かせるのかというと、すごく身も蓋もないんだけど、予定に入れることかな。1日続くと2日目ができて、2日続くと3日目ができるようになるみたいに、僕、新年から1日1万歩歩いているんですよね。

1日1日ずつ積み上げていくと、だんだんできるようになってきて、もう今だと1万歩歩かないと気持ち悪くなって、習慣になっているよねと。最初に「俺は1日1万歩歩くぞ!」と宣言しました。あと、1万歩歩いて健康になろう。健康に不安に感じることが出てきたという動機もありました。僕の場合は、いろんなことの組み合わせですね。

熊平:なるほど。

大事な習慣は小さい時からやった方が良い

熊平:歯磨きの話でいえば、やはり小さい時に習慣化してもらうのが一番ですよね。

伊藤:本当にそうですよ。よくモチベーションがないものは続かないと言われてたけど、歯磨きとか別にモチベーションも何もないんで。

熊平:そうなんですよね。本当の意味で習慣ですよね。もし保護者の方がいらしたら、「絶対小さい時からやってあげたらいいよ」と言います(笑)。

伊藤:そう、そう、そう。強制するのはよくないみたいな風潮もないではないんだけど。でも、いいことは淡々とやって、やっているうちにできるようになって、それこそあとからリフレクションして、「これはいったいなんなんだ」「あ、こういうことか!」となればいいわけなんで。

熊平:そうですね。海外の教育の内容を見ると、「habit of ○○」という「なんとかの習慣」がすごく出てくるんですよ。21世紀に向けのマインドの習慣とか、システム思考の習慣とか。やはり体の一部になる大事なものだったら、小さい時にやったほうがいいですよね。

伊藤:そうですよね。

内省を習慣化させるには、「目的を作る」こと

熊平:習慣化したい方に、私がもしアドバイスを伝えるとしたら、2つあって。1つは「内省をやろうとしなくていいよ」だと思っています。伊藤さんがおっしゃったことに近いんですけど、「内省をする理由」を作ったほうがいいと思う。内省しないと結果が出ないとか、内省しないと困った状態から抜け出せないとか。そうなったら内省しますよね(笑)。

伊藤:確かに。

熊平:私たちの現状に対するギャップを埋めるプロセスは、常に内省を伴うと思っている。やりたいことがあって、それに向かって行動したら、絶対振り返らざるを得ないから。「目的を作ろうよ」と言いたいかな。

伊藤:僕が日記を書きながら内省のサイクルを回せるようになったきっかけの一番最初は、夜、「今日、朝何食べたんだろう?」と思い出せなかったことがめちゃめちゃ怖くなったんですよね。

俺、こんな感じで人生終わっちゃうんだろうか、それはないだろうと思って、「今日食べたものだけでも記録するって大事だよな」と、サイクルを回すために「記録をしておく」ことをプロセスに入れたんです。だから日記と言っているんですけど、結局リフレクションのサイクルを回していることなんです。それはすごく自分の動機になりましたよね。 

熊平:ああ、やはり。

伊藤:「ええ!? 本当に思い出せないんだけど」みたいな。怖くて怖くて、「俺はこうやって一生終わるんだ」と自分にすごく言いましたよね。

熊平:(笑)。

伊藤:目的を持つってそういうことですよね。

「自分の幸せにつながる」と思い込めば、習慣にできる

熊平:アドバイスのもう1つは、4点セットを使って内省をして、すごくよかった経験を心のなかで100倍くらいに大きくしちゃう(笑)。

それから、やらないことで失うものを考えて、それも大きくしちゃう(笑)。恐怖でいくかポジティブでいくかどっちでもいいんだけど、結局、人間はポジティブな経験を繰り返そうとする。私がこの4点セットをやりながら確信しているのは、人間は常に幸せになるために生きているんだなって。

伊藤:まあそうですよね。

熊平:どんなにそれが間違ったことだったとしても、その行動を自分が幸せになるために選んでいる感じを、4点セットで話を聞いてすごく感じることがあって。

伊藤:なるほど。

熊平:4点セットで「幸せにつながることだ」と確信できて刷り込みが入ってくると、やりますよね。

伊藤:そうですね。明らかに僕もやっていますね。

熊平:やはり(笑)。

伊藤:自分の頭を騙くらかしてでもしていますよね。

熊平:ですよね。

「どうしたらできるか」ではなく「やったらどうなるか」を想像する

熊平:人間の脳は想像する力を持っているので、疑似体験できちゃうんですよ。だから、どうしたらできるようになるかを考えるよりも、やったことによって得るものにイマジネーションを膨らませたほうが手っ取り早いと思う。

伊藤:そうですね。僕は自分でもそこら辺が達人だと思っているんです。

熊平:(笑)。

伊藤:とにかく「ウオー!」と言うんですよ。「ウオー!」と声に出して、「ウオー!」と手を動かすと、盛り上がるんですよね。

熊平:(笑)。

伊藤:盛り上がってそれが動機としてターボがかかってくる感じがする。茂木健一郎さんに「伊藤くん、声に出すのはめっちゃ良いんだよ。耳に入ってきて脳が騙されるから、声に出すといいよ」と言われたけど、そういうことですよね。

熊平:ああ、そうですね。私は声に出してなかったから、今日からやります(笑)。

伊藤:グワーッとターボをかけて感情をデカくするには、声に出して「悔しい!」とか。「これおもしろい!」と言う。そうすると明らかに2倍くらいになるんですよね。

熊平:(笑)。確かに。どうしましょう。みんなが声を出していろいろ始まっちゃったら(笑)。

伊藤:「ウオー!」みたいな、でもすごく大事ですよね(笑)。

熊平:大事。大事。いいと思います。

司会者:ありがとうございます。

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