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「0秒で動け」-即行動のための最強法- 仮説をたてる思考力(全1記事)

一歩踏み出せない理由は、性格ではなくスキル 伊藤羊一氏が教える、0秒で動ける人になる方法

「セミナーに参加したかったけど、時間が合わなくて行けなかった……」。株式会社イノベーションの調査によると、ビジネスパーソンの2.5人に1人はそんな経験をしているそうです。同社が運営する動画サービス「Seminar Shelf」は、オンライン配信を通して、いつでもどこでもセミナーに参加できる環境を提供しています。そんなSeminarShelfのオンライン動画に、ヤフー株式会社 Yahoo!アカデミア学長である伊藤羊一氏が登場。本記事では『1分で話せ』や『0秒で動け』などのベストセラーの著者である伊藤氏が、わかっていても動けない人に向けた、行動と成長を好循環させるコツを明かします。

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一歩踏み出すときに大切な2つの要素

伊藤羊一氏:みなさん、こんにちは。伊藤羊一でございます。今回は『0秒で動け』ということで、即動けるようになるための最強メソッドについてお話ししたいと思います。特に今回、仮説をたてる思考力ということで、頭をどうやって働かせるのかということをお話しさせていただければと思います。

1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術

昨年3月、2018年3月に発売された『1分で話せ』という本が、なんと今36万部まで突入しておりまして。これは主にプレゼン・コミュニケーションについて語っている本なんですけれども、今度は『1分で話せ』じゃなくて、アクションをしようと。そして、アクションをするときはもっと短くしようということで、すさまじいタイトルなんですけれども、『0秒で動け』という本を出しました。

0秒で動け 「わかってはいるけど動けない」人のための

こちらは8月に発売されまして、今、順調に売れております。こちらの本の内容の一部について、今日お話しさせていただければと思います。

「Do」と書いてありますけど、ここを動く瞬間と考えていただきますと、その前後と、動く瞬間というものがあるわけです。「0秒で動け」というと、この瞬間、気合を入れて清水の舞台から飛び降りるように踏み出せというふうに聞こえるかもしれないですけど、そうじゃなくて、実はその時(踏み出す前)までに勝負は決まっているということです。

本には、人とチームを組んでやっていくにはどうしたらいいかということについても書いてあるんですけれども、やっぱり重要なのは踏み出すまでの話です。

踏み出すまでに何が大事かというと、頭を動かすスキルの部分ですね。それから、自分の判断基準となる軸。この2つをしっかり鍛えておくことが大事だよということです。

今回は、要するに「その瞬間を迎えるまでに、どうやって頭を働かせて考えるか」「スキルをどのように鍛えるか」といったところをお話しさせていただきます。

結論と根拠のピラミッドが作れれば行動できる

実は、考えるスキルはいろいろあります。ロジカルシンキングの本も世の中にいっぱいありますし、いろいろなことを考える要素として、触れておいたほうがいいこともあるわけなんですけど。

とどのつまり、一番重要なのは、こちらの結論と根拠のピラミッド。これは、ピラミッドのような三角形のかたちをしているから、ピラミッドと言っているんですけれども。

この結論と根拠のピラミッドをしっかり、ささっと作れるようになる。それに尽きるということです。

この結論があって、根拠がしっかりしていて、これ(「結論と根拠のピラミッド」)がパッと頭の中に思い浮かべられれば、そのままそれを行動に移すことができるわけです。

なので、僕は「ちゃんと考えるスキルを鍛えようね」と。「そうしたらちゃんと動けるようになるから」「すぐ動けるようになるから」というふうによく言うんですけど、それは何かというと、この結論と3つくらいの根拠ですね。根拠が1つだと否定されたらすぐに終わっちゃうし、逆に5つ6つになると聞いているほうが覚えられないですよね。

自分も覚えられないし、「1つ目の理由は何、1つ目の理由は何、えーと3つ目の理由は何、4つ目、5つ目、最初の理由は何だっけ?」というふうに忘れちゃうので、まあ3つぐらいがいいですよね。そうすると、こんなかたちになります。これを常に、すぐに作れるようになることが大事であります。といっても大したことはなくて、こういうことです。

例えば「あの店で食べたいよね」と、ふだん会社の人と昼飯に行ったりするじゃないですか。そのときに「あの店へ行こうよ、以上」ではなくて「あの店に行こうよ」と思って、他の人に説明するときに「いや、なんでかというと、おいしいじゃない」「安いじゃない」。そうしたら、「店が清潔だよね」「きれいだよね」と説明すると、「そこまで言うんだったら行ってみようか」となりやすいと思うんですよね。

この日常生活の話から、例えば仕事の話で「この企画をやりましょう。なぜなら売り上げが伸びるし、誰もやっていないし、簡単にできるから」と。こういうかたちで、結論と根拠を3つ挙げることが簡単にすっとできたら、それに従ってひとまず動けばいいので。

「結論・根拠・事実」の三段階

これをさっと作れるようになることが大事で、それにはちょっとコツがあります。

通常、この結論と根拠のピラミッドには、下にそれを説明する事実・ファクト・事例などがあるんですけれども。こういうかたちですね。結論と根拠と、その根拠を説明する事実などがあったりします。

これはわかりやすく言えば、例えば牛丼屋さんに「あの牛丼屋さんに行こうよ。安くて早くてうまいから」。

安いというのは、例えば「牛丼は1杯380円です」といった事例。それから早いというところで言うと「注文してから出てくるまでで平均10秒」というような事例ですね。うまいというのは何かといったら、「山田君がうまいと言っていたよ」「田中君がうまいと言っていたよ」みたいなもの。数字じゃなくてもいいわけです。そういう事実があるわけなんです。

だから、結論と根拠と事実で3段になっているんですけれども、本来このツールは結論を出すツールとして使われています。

そうすると、結論ありきじゃなくて、事実を集めて、その事実からどうもこんなことが言えそうだと。「あそこは安いぞ」とか「あそこは早いぞ」というのが見えてくるということは「結論としてはこうだ」ということで、考える順番として、本来的には下から事実・根拠を積み上げて結論を出していくためのツールなんです。

結論は仮説ベース、根拠と事実は後付けでOK

なんですけど、私が申し上げているのは動くためにこのツールを使いましょうと。考える順番としては逆にしましょうと。上から下に考えましょう。つまり、自分の頭の中にある結論をさっと言いましょうと。

それを人呼んで「仮説」と言ったりするんですけれども、仮説ベースでもう結論を出しちゃおうよ、と。それで、その結論となる根拠を後付けで考えましょうよと。その根拠を説明する事実をまた後付けで出してみましょう。いろいろなところでこのピラミッドを作る練習をやるんですけれども、そうすると、ものの6~7分でだいたいのことは作れちゃうんですね。

すぐ作れるんですよ。なぜならば仮説で結論を出して、後付けで根拠を見つけ出すから。その根拠を説明する事実は後から付けるから。それは簡単にできますよね、ということです。こうするとすっとピラミッドができるということです。

ただ問題は、これは先入観まみれになるわけです。「だって俺はこう思うしなぁ」というところを結論にするし、その根拠を後付けすると、それも先入観が入っているし、先入観から逃れられないということがあります。本来、先入観なしに作るためには、事実から結論にいったほうがいいんですけれど、これを結論から根拠、事実へと作ったら、やっぱり先入観から逃れられないですよね。

そういうことをわかっていれば、「これは自分の先入観だったな」と思うことがあれば修正すればいいので、ひとまず早く作ることが大事。早く作れば人にすぐ渡せるわけですよ。「俺はこう思うんだけどな」「私はこう考えるんですよね」と。

それで、先入観にまみれていたとしても、本当にそれが違うのであれば他の人から「いや、それは違うよ」と言ってもらえる。すぐにフィードバックを受けられるので、ひとまず先入観は入っちゃうけど、仮説ベースで結論を出して後付けで根拠や事実を並べてみる。こういうふうにしてささっと作ってみることが大事です。

練習すれば、5~6分で結論と根拠が出せるようになる

わかりやすい練習問題として僕がよくやっているのは、このピラミッドを5~6分で作るために「あなたの好きなものは何ですか」「こんな題名で考えてみたらどうですか」というふうにお話をしています。

例えば、よくある店のフリースが好きだという結論。なぜならば安くてすぐ手に入って暖かいから。

安いというのは、フリース1着1,980円ですよとか。それから簡単に手に入るというのは、家に帰るまでにそのお店が2つあるとか。そして冬は暖かいというのは、去年私はそのフリースを着ていたけれども、ひと冬ぜんぜん寒さ知らずでした、というかたちにすると、すっとできるわけですね。

こんなふうに「あなたの好きなものは何ですか」というかたちで、「あなたがやりたいことは何ですか」とか、「あなたがこのサービスを提案したのはなぜですか」といったようなことで、日々、簡単なテーマでこれを作ってみるといいと思います。

このピラミッドがすっと作れると、人にふっと出してみて、フィードバックがすぐに受けられるということになります。すぐに動けるというメリットがあります。おすすめです。

でも、僕自身は結論と根拠のピラミッドを作る前に、実は勝負は決まっているということを、仕事をしたり生活をしている中で感じます。要するに、結論と根拠を作る前の準備として自分の中で頭を働かせているということ。どんなふうに頭を働かせているかをちょっとお話ししたいと思います。

情報や知識が頭に入ってこない時のコツ

まず、しっかりとした結論と根拠のピラミッドをささっと作るためには、やっぱりその結論と根拠の前提となる事実をいろいろな所で集めておくこと。いろいろなかたちで知識のインプットをしておく必要があります。

でも、知識や情報をインプットしようとしても、なかなか頭に入ってこないですよね。ここで大事なのが、インプットは「すげー!」「やべー!」ということなんですけど。

いろいろな情報に触れるときに、「このニュースやばくない!?」とか「このプロダクトすげー!」と声に出して言うと、自分の中で「いやこれはすごいわ」と催眠にかかったようにどんどんインプットできて、好奇心も増してどんどん自分の中に(情報が)入ってくると。

まあ、これは僕もやっているので、みなさんもちょっと試してみるといいと思うんですけれども、きっと言葉に出す前と出した後で好奇心がずいぶん違って、情報のインプット量も変わってくると思います。

なぜならば、そのニュースすごいなと思いつつ、そのまま受け入れるか、「すげー!」とか「やべー!」と声に出して言うことの違いは何かというと、音声として耳に入ってくることです。

耳に入ってきたときに、僕はこれを言っているので「僕が言っているんだ」とわかっているんだけれども、音として入ってくるときは誰が主語かはわからずに、耳は、つまり脳は受け入れるんです。

そうすると「このスライダーやべー!」と言ったら、「このスライダーはやべー、誰が言ったかはわからないけど」。それは「すげー!」とか「やべー!」というタグと共に、脳の中にインプットされる。そうすると、脳の中に「すげー」とか「やべー」ものだらけになっていくわけですね。

そうすると、他にいろいろなものを見たとき、自分が持っている「すげー」とか「やベー」の脳で見てみると、「これもやばい」「あれもすごいわ」ということになってくる。だから、どんどんインプットが増えていくということですね。これはおすすめです。

インプットした情報を、頭の中でかき混ぜながら妄想し続ける

その次。入ってきた情報を「すげー!」「やべー!」と入れるだけだったら、脳の中に入っているだけなんですよ。なので、大事なのは「ミキサーでシェイクする」というふうに言っているんですけれども。

例えば生コン車ですね。運転しながらずっとコンクリートを回している車があるじゃないですか。ああいう感じで、インプットした情報を頭の中で妄想し続けるんですよね。

つまり、僕が見た、5Gの世界になったらこうなるよ、世の中はこうなるよという動画と、今実際に5Gが出ようとしている中で、「これとこれが組み合わさるとこんな世界が生まれるのか」「あぁ、そうするとAR・VRって別のものだと思っていたけれども、この世界がどんどんめっちゃリアリティを持った話になっていくよな」とかね。

街を歩いていても、ぼーっとしているときでも、「あれ、この間学んだこれってこういうことか」というふうに、いろいろな話をずっとかき混ぜるように妄想しておくんですね。そうするといざ、何かについて考えなきゃいけないようなときに、そのピラミッドのプロトタイプみたいなものが、頭の中にいっぱいできているわけですよ。

だから、あることについて、「これからの科学技術はどうなの?」といったときに、「やっぱり5Gでしょう、なぜならこうでこうでこうでこうだから」というようなものがさっと出てくるということですね。

それで、このピラミッドがさっと出てくるようになったら、やっぱりアクションをするということですね。アクションする。これを繰り返すことが大事だと思います。「すげー!」「やべー!」で情報をインプットして、それを常に妄想しながらかき混ぜておいて、何か考えなきゃいけないことが出たら、その妄想を繰り返した結果に基づいて、さっとこのピラミッドを作って、結論が出たらすぐ動く。これを繰り返すと、頭の中がどんどん、すぐ行動できる脳になっていきます。

成長する人が実践している「振り返り・気づき・行動」のサイクル 

最後に、行動をどう自身の成長に結びつけるのかということですね。行動は繰り返すんだけど、どうしたら自分の成長に結びつけるかというところだけ、ちょっとお話をしておきたいと思います。

これは僕は、サイクルで成長させるということをよく言っています。何かというと、これ(スキルとマインド)は氷山だと思ってください。水面の上から出ているのが、みなさんの行動です。そして、水面下にあるのがみなさんのスキルやマインドです。

そのマインドから行動、行動からマインドへ向かうサイクルで成長させる。どういうことかというと、(順番に)「行動する、スキルを鍛える、マインドを鍛える」じゃなくて、サイクルでやる。

どうするかというと、まずこっち(マインドから行動に移すこと)は簡単です。これは、気づいたらもうすぐに行動するというだけですね。

今度は行動からマインド。行動したら、振り返りをする。自分で「これをやったけどどうだったの? うまくいったのはなぜだっけ?」というような振り返りをする。「ダメだったな、なぜだっけ?」と振り返りをする。

そうすると、「はっ! 自分はこのスキルがなかったからできなかったんだ」とか、「あ、たまたまここの部分でこの人と知り合いだったからうまくいったんだ。そうするとこうだよね」という気づきが必ず出てくるんですね。その気づきを元にまた行動する。この繰り返しをやると、人はどんどん成長していきます。

つまり逆に言うと、同じ行動をしていても成長する人としない人がいるんですけれど、成長していない人は、この振り返り・気づき・行動のサイクルを行っていない人ですね。

成長する人は、このサイクルをひたすらやっています。気づいたら行動する、行動したら振り返って気づく。これをやることによって、どんどん自身が成長していくと。こんなようなことが成長の要因であります。ぜひ意識してみてください。

0秒で動ける人になる

まとめです。主張と根拠のピラミッドですね。これは直感で、つまり仮説ベースで上から、結論から根拠、事実というかたちで軽く作っていくと。そして、人に話してみる。そうするとフィードバックがもらえます。そして、また変えていく。これを繰り返すためには、さっと上から作る、結論から作るということが大事です。

それからもう1つですね。情報をインプットして、その後、(頭の中の)ミキサー車でかき混ぜて、考えて行動するという順番で行動に至るんですけれども、これはひとまずインプットは「すげー!」「やべー!」を声に出してやってみる。それから、それについて常に妄想し続けると。そして、この主張と根拠のピラミッドを作って行動するということですね。

これをやってみると、さっと行動できるようになります。そして、自身が成長するためには、行動をした後に振り返って気づくことで、その行動が自分にとって本当に使えるスキルになってくるということですね。こういう頭の使い方をずっとしていて、こういう考え方を身につけると、どんどん成長していくし、どんどん0秒で動けるようになります。

ということでみなさん、こういった頭の使い方をしながら、0秒で動けるようになりましょう!

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