2024.12.24
ビジネスが急速に変化する現代は「OODAサイクル」と親和性が高い 流通卸売業界を取り巻く5つの課題と打開策
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高松康平氏(以下、高松):さあ、こんな感じでいきましょうかね。2つ目のポイント、さっそくいきたいと思います。
「ここに気をつけろ!」ポイントその②でございます。「『とりあえず自分の知っている部分を調べてみるか!』と得意領域に逃げるな」と。これもありがちなんですよね。
逃げるという感覚はないのかもしれないですが、今は、何か世の中が大きく変わっているとき、また事業全体が何か異変が起きているときですね。そのときに、自分の得意領域、言い換えると自分の担当領域で何か原因が発生しているとは限らないわけですよね。
特に世の中全体が変化していると、事業全体の構造自体が変わってくる。そうなると、自分の知っていることにすぐに逃げ込んでもそもそもそこに本質的な課題がないかもしれないので、自分に経験がない領域だとしても視野を広げていかないといけない。これが大切なポイント②でございます。
でも、言うは易し行うはナンチャラという話でございまして。どういうことなのかちょっと考えてみたいのですが、これは、問題解決とは何かを整理した図表です。
縦軸には、取り組むテーマを書いています。例えば、営業さんだったら営業の仕事とか、マーケティングの人だったらマーケティングの仕事、物流の人だったら物流の仕事というのが自分の仕事。
でも、事業全体が変わっているときは、一事業全体に対してやらないといけないわけですね。事業全体で何が違ったところに異変があるのに「いや、俺は営業だからどう売るかだけで解決しよう」と思っても、まあうまくいかないわけです。
なので、担当としてすぐ自分の責任をまっとうしようというだけではなくて、どんな方であっても視野を広げて事業全体を見なきゃいけない。ここが大切になるのかなと。
高松:さらに目線を広げるのであれば、経営者という立場で複数事業をどうマネジメントするかとか、もしくはM&Aをどうするかという話もありますが、まずは自分の仕事だけじゃなくて1つの事業全体を見なきゃいけない。
さらに、横軸に思考力について整理をしていますが、演繹法・帰納法とありますが、うこれは、A=B、B=C、イコールA=Cとか。A・B・Cという事実があったらこういうことが言えるよね、という話があったりするわけなんですが。
でもこれって、「演繹法はA=B、B=Cという前提があるから、A=Cと言えるよね」つまり、事実がまずあるわけですね。帰納法に関しても、こういう事実がある、こういう事実がある、こういう事実がある、だからこういうことが言えるよねと。でも、今はわからないこともたくさんあるわけですね。
なので、必要となるのはその右側の推論です。“仮説”と言っていますが、こういう事象が起きている背景には、こんなことが起きているんじゃないかなとか、先がわからないけれども、こういうことをやるともしかしたらうまくいくんじゃないかなと。こういう推論を働かせる力が必要になってくるので、事業全体を推論しながら考えることが必要になるかなと思います。
さらにその右側にいくと構想とありますが、これは「現実は複雑に絡み合っているけど、こんな未来が描けたらいいよね」という部分まで考える力です。私の本では、まず濃いピンク色のところまで(事業全体×推論まで)をテーマにしています。
ただ、事業全体を考えるってどういうことかと言われても困っちゃうわけですよね。よく聞く言葉なんですが、よくわからないなと正直思ったので、なんとかマップにできないかなと思って作ったのがこちらです。
高松:強引かもしれませんが、1つの事業を1枚のマップでまとめました。いろいろなフレームワークがあるわけじゃないですか。でも、そういうものがぐじゃぐじゃしてつながらなくなってしまうんじゃなくて、1枚のマップにまとめてみたんです。
自分たちが戦っている市場があって、その中で自分たちが特に狙っている対象市場があって、さらに自社が狙っているターゲットセグメントがあって、そこにはお客様がいて、BtoCだったら一個人の方がいて、その個人の方にお応えする。
また、チャネルも大切なので、購入・利用してもらうためにはどうしたらいいか。自社の商品サービスのほかに、競合もあるわけです。それに勝たなくちゃいけない。
じゃあ、それをどう実現するかというのが一連の流れ、バリューチェーンがあって、バリューチェーンをどう強化するか、そして組織がどういう状態を作るべきか、その結果、会計数値としてどう利益を出すか、コストはどれぐらいかかるのか、その結果、利益がどう残るのか。
そして競争力として、シェアが取れたのか取れないのか。これを1枚のマップで常に俯瞰することによって、「こういう問題が起きているということは、こういうところが怪しいんじゃないか」と俯瞰して考えられます。
それによって、自分の仕事が事業全体にどう影響を及ぼせるのかということも考えられますし、競合に勝ち続けるためには、「こういう循環を作ると競合さんをうまくブロックできるな」という思考ができるんじゃないかなというところです。
こういう図はあったようでなかったんじゃないかなというところで、1枚にまとめました。
高松:さらに、事業部長の視点を超えて経営者の視点についても、まとめてみました。事業部長は1つの事業を見ていますが、それだけじゃなくて、複数の事業を見なきゃいけないので、A事業・B事業・C事業・D事業を伸ばそうと、全部にお金を突っ込むというのはなかなか難しい。どれに力を入れてどれに力を入れないのかということも考えなきゃいけないかなと思います。
さらに最近だと、キャッシュをどれくらい持つかという話があります。右側にバランスシートを書いていますが、銀行さんからいかにお金を借りるか、また株主からいかに出資をしてもらうか。また場合によってはM&Aして、自社に取り込むか。
こういうかたちでいかに経営資源を獲得するかまで含めて考えて、理想的な事業ポートフォリオを作っていき、最終的には企業価値を最大化する。
経営者の立場だとこんな感じの俯瞰図になるのかなと思います。これを1枚に描くことによって、会社全体がどうやってうまくいくのかなとか、自分の仕事が会社全体にどう貢献できるかを考えられるようになると思います。
いろいろなフレームワークがあるんですが、こういうものがあったら役に立つかなというところで……谷中さん、いろいろなフレームワークがありますもんね。
谷中修吾氏(以下、谷中):そうですね。実は今のこの高松さんの解説では、とても重要なことを言っていて。いろいろなフレームワークがあるんですけど、1個前のスライドって出せます?
高松:はい。
谷中:これですよね。ここって実はすごく大事で。ビジネススクールで私が教えているマーケティングというのは、この一番左から、特に商品、サービスあたりまでで。そのあとのバリューチェーンやこの会計の数値とか競争力のあたりも統合的に考える必要があるわけですが、意外にみんな視点として落ちがちですよね、高松さん。そんなことはないです?
高松:そうですね。
谷中:さらに言うと、今の解説のとおり、その上の目線となると、まさにこのP/Lのみならず、キャッシュフローや事業ポートフォリオ、企業価値をしっかり見る必要がある。個別のフレームワークは新聞とかで図表として出てくるんだけれども、全体としては因果関係がよくわからない。なんだか大事そうなことを言っているんだけど、どうつながっているかわからないと感じている人も多いと思います。これをうまく接続している図だと思うんですね。
コンサルティングファームは、みんな暗黙知として、この辺について自分で文脈を紡いでいるんですけれども、ビジネスパーソンの中では、けっこうつながっていないケースが多いかなと思います。
高松:そうですね。つながりってけっこう大切で。自分のストーリーとか自分の言いたいことは、自分で資料を作っているときには1枚1枚を力作として作っていくので、「けっこういいな」と思って出したとしても、相手から見たときに「なんでこういうストーリーで勝てると思っているのか」とか「なんでこのストーリーで売れると思っているのか」ということが意外とつながっていないことがあるので。
例えば、ここの部分に力を入れると、この部分に良い影響があってお客様が喜んでくれるとか、競合はこれができないとか、私はこの図を使って、関係性を描くことによって、自分の言っていることがつながっているとか、つながっていないということが見えてきます。
けっこうこれは便利で、自分で一番使っているんじゃないかなと思います。この考え方に基づいて、企業研修も提供させていただくことが多いんです。
高松:今チャットでもコメントをいただいていますが、「つながりが悪いと、話が途中でよくわからなくなる」。こういうことありますよね。資料がページバイページでつながっていないと、そういうことが起こりうるので、こういうことに気をつけていただきたい。
できる人とかすごい人は物事の全体感が分かっちゃうのだと思うんですが、私のコンサルティングファーム時代を思い出すと、めちゃくちゃつらかった。「そんなのわからないよ」って。でも、誰も教えてくれなかったので、もう自分で作ってみた感じです。
企業研修でも年間100日くらい登壇させていただいて、この考え方を現場で活用していただけると実感を持っていて、今はいろいろなかたちでみなさんにもお伝えさせていただいています。
谷中:これはとても良いと思います。高松さんの気合がとても伝わってきて、マイクでガサガサ聞こえますって(笑)。
高松:ああ、そうですか。ちょっとマイクを離しますね(笑)。気合入りすぎました。失礼いたしました。
高松:はい、ちょっと、鼻息が(笑)。失礼いたしました。では、続いてポイント③にいきましょうかね。
こんな感じで、「気合入りすぎ」と社内のチャットも今入ってきていますが。鼻息荒くこの後もいきたいと思います。
高松:3番目はこちらでございます。「ここに気をつけろ!」。「とりあえず『言われたからと…』。納得していない自分がいる…」、こんなことはありませんかね。
「なんか新しいことをやろうよ」「なんかうちもDXやろうぜ」みたいな声が聞こえてくるわけですね。「ああ、わかりました。とりあえずDXを検討します」「あれ、でも、DXってなんだ?」というようなことですね。また、「サブスクをうちも導入するぞ」「はい! サブスクやります!」「え、でも、なんでうちサブスクやるんだっけ?」というようなことが起きてしまうわけです。
でも、やっぱり問題解決は、自分が納得せずに進めてしまうと、あとあとうまくいきません。心も大切だと思います。自分の心が動いていないと、実は問題解決もうまくいかないので。
そういう意味で、自分の心が動いているか。最初の現状理解のところで、現状分析をしたあとで問題認識、「ここが問題だ」というところがとても大切だと思っています。
どういうことかと言いますと、現状があって、あるべき姿、例えば「こういうふうにしたいよね」と。そこで本当に自分がイライラしているのか、キラキラしているのかをちゃんと探すのが大切だと思っています。
イライラは「本当はこうなんだけど今ちゃんとできていないんだよ」「悔しいな」「だから自分はこうしたいんだ」という思い。例えば、何か上司から「これをやって」と言われたときにも、そこが何か重なり合っていないと、やっぱり最後の最後に「なんだかやりたくないな」となってしまうと思います。
また、問題解決といっても、現状はそこそこいい調子ということもありますが、そういう場合は、さらに良くしたいんだと「こんなキラキラした未来を実現したいな」と思えるかどうか。
ちゃんと自分と向き合っておかないと、後々やりたくない問題解決をやってもうまくいきませんし、「なんか幸せじゃないな」と思ったりするので、やっぱり自分自身の心との接合点は探しながらやるのです。どこかしらはぶつかるという点があると思うので。
「自分がなんでこれをやるのかな」と思ったら、ちょっと深呼吸してみる。ここは大切ですね。イライラ・キラキラ。
やっぱり心が動くことはとてもいいことですし、問題解決というのは、冷徹な男がやっていて心がないようなイメージがあるかもしれませんが、現場の問題解決というのはとてもウェットなものだと思いますので、心を動かしながら問題解決をすると。
そうしないと、やっぱりチームメンバーもついてこないと思いますし、なにより楽しくないかなというところです。
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