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Withコロナ時代のPRについて話そう(全6記事)

誰もが「発信者としての自覚」を持つべし GO三浦氏らが説く、個人の"メディアスタンス"

新型コロナウイルスの蔓延により、企業と個人のコミュニケーションのあり方に再編が求められる、昨今。テレワークを始めとする日常生活のオンライン化、企業のDX推進などが加速するなかで、PRパーソンには今後どのような役割が求められるのでしょうか。4月27日に開催された、PR Table Community主宰のイベント「Withコロナ時代のPRについて話そう」にて、4名の有識者が「コロナ禍真っ只中の今こそ考える、Withコロナ時代のパブリックリレーションズとは」についての考えを語りました。本パートでは登壇者が、それぞれの経歴とイベント参加の経緯などについて話します。

「アフターコロナ」ではなく「Withコロナ」だからこそ

菅原弘暁氏(以下、菅原):本日、このようなイベントを主催させていただいたのですが、まずご挨拶をさせてください。この新型コロナウイルスに罹患されたみなさま、また感染拡大により生活に影響を受けられている地域のみなさま、心よりお見舞いを申し上げます。

さらに、感染の危険がありながら最前線で働いている方々、もしかしたら本日ご覧いただいているかもしれませんが、その方々に心から感謝の気持ちをお伝えさせてください、本当にありがとうございます。

我々はこうしてインターネット上で仕事ができる職種でございますので、その人間ならではの責任を果たしたいと思い、我々に何ができるのかという話をできればなと思っております。……という、まじめなご挨拶もさせていただいた一方で、楽しくお話しできればと思っておりますので本日よろしくお願いします。

一同:お願いします。

菅原:本日はいろんな方にお越しいただいているんですが、東京、広島、さらにポートランドとおつなぎさせていただいています。松原さんは朝の4時?

松原佳代氏(以下、松原):はい、朝の4時です。一人だけテンション違うかも(笑)。

菅原:東京は夜の8時なんですが。それでは、お一人ずつ自己紹介をしていただければと思っているんですが、まず松原さんからご紹介をしていただいてもよろしいでしょうか?

松原:はい、よろしくお願いします。松原です、よろしくお願いします。

三浦崇宏氏(以下、三浦):あっ、ちょっと待って。今ね、ちょっとハウってるっぽいよ。確認してもらえる?

松原:なんだろう?

三浦:いま、専門家各位から(Twitterに)コメントがすげぇ来てる(笑)。

菅原:うわぁ、僕の方にもすごい連絡来てますね。

三浦:日テレのアナウンサーだった方とか、博報堂のPRの先輩とか、やっぱり玄人が見てる感じがすごい。「ハウってるぞ!」みたいな(笑)。

松原:うーん。

河炅珍氏(以下、河):スピーカー以外はミュートにしたほうがいいですかね?

菅原:そうですね。ちょっと松原さん以外ミュートにしてみましょうか。

:そうですね。

松原:大丈夫そうですか? はい、じゃあ私の自己紹介から、仕切り直していきましょう。米国のポートランドから松原です。よろしくお願いします。

私はカヤックLivingという会社の代表と、PRのコンサルの仕事をしています。昨年8月に米国のポートランドに移住して、それから半年ぐらい、こちらでやっと暮らしが落ち着いてきたと思った頃に、この事態が起こりました。

私の今日の気持ちなんですけれども「アフターコロナ」というテーマだったらここには私はいなかったなと思っていて。「Withコロナ」というテーマだからこそ、ここに参加しようと思いました。

というのは、米国は日本よりもちょっと先に行っていて、おそらく今ちょうど私の住んでいるオレゴンは感染者が少しずつ落ち着き始めているという状況です。一斉休校になってからもう1ヶ月半が経ち、さらに外出自粛になってからも1ヶ月。毎日やっぱり失業率がすごく多くて、失業なさった方が街じゅうにたくさんいらっしゃる状況です。

その中で見ている、体感していることから考える「PRのこれから」というものを、今日はお話しできればいいなと思っています。よろしくお願いします。

不可逆な変化が、コロナをきっかけに加速する

菅原:それでは三浦さんも自己紹介よろしくお願いします。

三浦:はい。俺ねぇ、こういうのもできるぜっていう。

(三浦氏が背景を変える)

菅原:おぉ〜! すごい。

三浦:はい、今までやってきた仕事のパネルです。はじめましての方も多いと思うんですけれども、The Breakthrough Company GOという会社の代表でPR/クリエイティブディレクターの三浦です。

もともと2007年に博報堂に入社して、2017年に独立、今はGOという会社で、クライアントさんと一緒に事業を作ったり、あるいはPR・クリエイティブ周りの仕事をさせていただいております。

今日ご一緒させていただいている博報堂の執行役員で博報堂ケトルのファウンダーである嶋さんにも、いろいろなことを教えていただきながらPRの修行をした上で、現在はクリエイティブディレクターとしての仕事をしています。

まさに松原さんから「アフターコロナ」ではなく「Withコロナ」とおっしゃっていただいたと思うんですけれども、一過性の変化というよりは、もう本当に不可逆な変化が今回のコロナをきっかけに、ものすごく加速していると思っています。

現実的に今とても苦労されている、苦しんでいらっしゃる方々がいる中でこういう言い方をするのも不謹慎だとは思うんですけれども、この変化をどううまく受け止めていければいいのかということを、一緒に考えるきっかけになればいいなと思っています。

奇しくも今日は、東京、こういう言い方はよくわからないですけど、地方都市、そして日本よりも先にこの体制を整えていらっしゃる海外のお話。それぞれの分野でお話しできることが、僕にとってもすごくためになるんじゃないかなと思って。僕自身もリスナーと同じように、ヒントを探るような気持ちでワクワクしながらここに参加しております。

今日は玄人筋も多いと思うので(笑)。思いっきりいろんな踏み込んだ議論ができればなと思っています。よろしくお願いします。

菅原:お願いします。すごいですね、三浦さんの自己紹介用の背景。

三浦:そうでしょう? いろいろあるんですよ。

菅原:いいですね。これもこの時代における自己紹介の仕方ということで、よいのではないでしょうか。

パブリックリレーションズに求められる「新しい何か」

菅原:続きまして河さん、自己紹介をよろしくお願いします。

:はい、みなさんこんばんは。広島市立大学広島平和研究所の河炅珍と申します。

私は、パブリックリレーションズの歴史社会学というテーマで、PRを研究の対象として見てきたんですけれども、このコロナ禍でこれからのパブリックリレーションズに新しい何かが求められる、もしくは内部から新しい試みが生まれるようなきっかけになるのではないかと思って、今日のこの座談会をすごく楽しみにしておりました。

歴史の話とか、あとは研究者の視点から、三浦さん、松原さん、嶋さんと話をしていこうと思うんですけれども。自分自身にとっても、とても勉強になるのではないかと思って期待しています。よろしくお願いします。

菅原:お願いします。ありがとうございます。では最後に嶋さん、よろしくお願いします。

嶋浩一郎氏(以下、嶋):みなさんこんばんは。(松原氏に向けて)一人だけおはようございます、という感じで(笑)。でも、海外で見てる人、もっといるかもね。今日はすごい人数のPRパーソンがこれを見てるということで、すごくうれしいなと思ってます。

僕は1993年に博報堂という会社に入って、当時コーポレートコミュニケーション局というところに入りました。当時のPRっていうのは、やっぱりコミュニケーションの世界では「パブリシティをする人たち」みたいな感じでした。

本来パブリックリレーションズっていうのは、新しい社会的合意を作っていくっていう仕事なんだけど、そこにちょっと解離がありましたよね。

でも、当時からPRはコミュニケーションの中でかなり強力なテクノロジーだと思っていて。それで2006年に博報堂ケトルという会社を作って今に至り、PR歴27年になります。三浦が入ってきたのは何年だっけ?

三浦:自分が博報堂に入ったのは2007年で、ケトルができた翌年に入ってます。

:だから僕が入社した14年後に三浦が入ってきたっていう感じです。本当に今のコロナの状況で、僕も4週間ずっと在宅勤務をしていて。ほとんど家から出てないんですけども、価値観が塗り替えられていくなと思ってます。

PRパーソンの仕事って、新しい価値観を世の中で合意形成して、広めていく仕事です。今回のこの「STAY HOME」の状況で、いるものといらないものって、けっこう明確にみんな認識していると思っていて。いろんな価値観、人づきあい、働き方、恋愛、家族とかがどんどん変わっていくと思っていて、まさにこのあとどういう世界が訪れるかを描くのは、PRパーソンの仕事だと思っています。

なので、今日、ポートランドがどうなっているかを聞くのも本当に楽しみですし、学術的観点から河さんのお話を聞くのも楽しみだし。あと、三浦はファンドを作ったりしてスタートアップの支援とかをやっていますよね。

今このタイミングで、スタートアップの人たちのアイデアが縮こまっちゃうのは、すごくもったいないと思っていて。なんとかそういう人たちのアイデアが、ちゃんと生きる世の中にしていかなきゃいけないと思うので、そこらへんをどう考えてるかとか、いろいろ聞きたいと思います。

菅原:ということでみなさん、改めてよろしくお願いします。

一同:お願いします。

PRという仕事がどう変わるか

菅原:今日は「#withコロナ時代のPR」というハッシュタグで、質問、ご意見、また気づきや学びのメモなどをTwitterにぜひ投稿してください。よろしくお願いします。

三浦:お願いします。これ本当に、僕もZoomトークライブを何回かやってるんですけど、一個だけやっぱり寂しいのが、笑い声とか、拍手とかが聞こえてこないんで、そこはぜひタイムラインを盛り上げて、反応を生で感じさせていただきたいと思ってます。ぜひみなさん、よろしくお願いします。

菅原:それでは今日のアジェンダです。ちょっともう20分ぐらい時間が過ぎていますが、大きく前半後半に分けて、PRという仕事がどう変わるのかというところと、PRという概念がどう変わるのかを、お話ししたいと思います。

さっそく、PRという仕事がどう変わるのか。今回、4名の登壇者の方に「事前に気になっていることを教えてください」というかたちで、テーマをもらっているんですね。まず、この6つが果たしてどう変わっていくのかについて、お話しいただければと思うんですが。

まず多くの方が気になっているであろう「メディア及び情報リテラシー」ですね。おそらく嶋さんからいただいたと思うんですが、このテーマを設定されたのはなぜでしょうか?

:自分も4週間も家に篭ってると、メディアの接触態度がめちゃくちゃ変わったなと感じていて。みなさんもそうじゃないですか? 1つは、読書量がすごく増えました。

三浦:日頃から嶋さんは異常に本を読んでるという噂も。

菅原:さらに読まれている…?

:いや、さらに増えましたね。文学全集と、日本史と世界史の全集とかも、もう大量に持ち込んで(笑)。端から読破するみたいなこともやりつつ。あと、ラジオをすごく聴くようになりました。「ながら」で聴けるので、音声メディアの重要度もさらに理解するようになったし。

IoTとか5Gとかが進むと、車もメディアになって、家もスマートホームでメディアになって、あらゆるものがメディアになっていく。音声というコンテンツをインターフェースにするメディアがいっぱい出てくる中で、ラジオにすごいヒントがあるんじゃないかなと思っていたりもします。

メディア自体がどう変わっていくかも考えるんですけども、ほかにもいろいろ思うところがあって。まず今テレビって撮影ができなくて、ドラマとかが再放送になっちゃったりとか。ワイドショーやニュースも人と人が離れて撮影していたりして、コンテンツを作る側もどうやって作るか悩んでると思うんですよね。

PRパーソンってメディアリレーションがあるから「今こそメディアはこういうことをやるべき」みたいな、もっとメディアと一緒になっていろんな企画を考えていったほうがいいかなぁとは思っていて。

まぁ、三浦とか、朝日新聞とそういうことをやっていたりするけど。よりもっとメディアの企画を、メディアでコンテンツを作る人たちとPRパーソンが一緒に作るようになるべきじゃないかな、というのが2つ目の思っていることです。

あと3つ目は、パンデミックと同時に「インフォデミック」っていう言葉もWHOの人たちが使っていますよね。とくにアメリカだとフェイクニュースがかなり問題になっているでしょ。日本でも「トイレットペーパーがなくなる」みたいなデマもすごく、ねぇ……。

三浦:ははは(笑)。

:あれも、なんでそういう情報を信じちゃうのかな。それから、マスメディアとソーシャルの関係性が、バランスが変わってきているじゃないですか、今。

テレビで言っていることの中でも、ワイドショーとか「本当にこれ、信憑性があるのかな?」みたいな指摘をする人もいるし。ソーシャルメディアで感染症の専門家の人が言ってることの方が価値があるみたいな意識もありつつも、でもソーシャルメディアではフェイクニュースも流れてくるみたいな……。

ここは今、日本人のメディアリテラシーを高めるチャンスだなと思うんですよね。そういうことについてみなさんどう思われてるのかを、話したいなと。でも、このペースでやっていくと、このテーマだけで終わっちゃいそうだよね(笑)。

菅原:まぁ、もしかしたらワイドショーとかは関連する部分が。

三浦:そうですね。

「メディアリテラシー」ではなく「メディアスタンス」という捉え方

菅原:三浦さん、このあいだあれですよね。「メディアリテラシー」じゃなくて「メディアスタンス」だとおっしゃっていました。

三浦:今の嶋さんの話、超おもしろくて。メディアリテラシーというだけではもう弱いということだと思ってるんですよね。

「メディアリテラシー」というと「多くの人が情報の受信者である」といった前提で語られてきた言葉だと思うんですよ。そのメディアがどういうスタンスを持って発信されてるのか、あるいはその情報の真偽を判断する能力、という意味で使われてきたことが多いと思うんです。でも今って「(誰もが)発信者であること」がもう前提じゃないですか。

すべての生活者が情報発信できて、いわゆるインフルエンサーと言われている人とそうじゃない人の発言力が、実はそんなに差がない。ある一人の無意識の発言が、爆発的に拡散していくこともあるという状況があって。

例えばコロナに関してだと、日本では「私がコロナにかかって、私の親戚三人がコロナで亡くなってしまいました」みたいなコピペがTwitterで拡散された。あれって、すごく危険だったのは、デマだったことがわかったあとに「それはデマなんだけど、コロナの危険性を伝えられるからいいデマだった」みたいな、とぼけた議論もあって。ふざけるなよと。

つまり、情報の真偽の確証をするための労力がかかってしまうとか、混乱を掻き立ててしまうとか、情報の発信者のモラルとか、情報の発信者としてのセンスみたいなものも、極めて今問われてくる時代になってると思うんですよ。

そういう意味では、受信者であることが前提のメディアリテラシーから、受信者であり同時に発信者であることが前提の「メディアスタンス」。自分自身は何をどういう立場で発言していく人間なのかっていうことを、ある程度誰もが定義していくことが必要な時代になってくるんだろうなと思っています。

:今の三浦の話はすごくおもしろくて、自分の影響力に無自覚な人もいっぱいいるということだよね。

三浦:そうです。これはコロナが起きる前から、ある種ダイバーシティの文脈などでもそうだったと思うんですけど。例えば男性、あるいは社会的に上の立場である人間の発言。本人はすごくフラットな意識を持ってたとしても、その発言のスタンスとか、発言する人間の重みによって、必要以上の圧力や想定できない変化を生んでしまう可能性がある。

今回改めてこうしたことを考えるきっかけになったんじゃないかなと思ってますね。

全員が「発信者である」という意識を持つ必要性

菅原:よく「影響力のある人は発言に気をつけなきゃいけない」ってあるじゃないですか。それこそ三浦さんとかもよく言われると思うんですよ。

三浦:僕はね、もう日々会社の人に怒られ、たしなめられ(笑)。

菅原:それはマジで気をつけたほうがいいと思うんですけど(笑)。そうじゃなくても、影響力が強いから気をつけなきゃいけないというのは当たり前の話。

三浦:それだけじゃダメなんだよ。

菅原:例えばフォロワー100人であっても、いち主婦の意見が参考になると思う人もいるわけじゃないですか。だからやっぱり全員が発信者であるという意識を持つのが、今おっしゃった主旨だと思うんですね。

:確かにニューヨークタイムスとか読むとさ、要はフェイクニュースをよりアンプリファイ(増幅)させたい人たちは、「良かれと思ってリツイートする」みたいな心理を狙ったフェイクニュースを出すことがよくあるわけで。こことかは、ある意味自分のフォロワーが100人だとしても、自分の影響力の無自覚さみたいなことがすごく大事になる気がしますよね。

三浦:その通りなんですよ。人間って、自分がいいことをしてると思っている時に、一番残酷なことをするんで。善意のパンデミックとか、すごくリスキーだと思うんですよ。

それこそ小学校とか中学校の義務教育の時点で、メディアに対して向き合うと同時に、自分自身がメディアであるということを教えることを、最低限やらなきゃいけない時代になってるのかなと思ってます。

:そうですね。

:いいことほどそうなっちゃうの、あるよね。

メディアリテラシーを語るうえでの「3つのC」

菅原:河さんや松原さんにもご意見を聞きたいんですど、河さんはSNSからあえて離れられているじゃないですか。

:ははは(笑)。そうですね。

菅原:今言った話みたいなことにムカつくから、離れているんと思うんですけど……。

:(笑)。

菅原:河さんの目から見て、アカデミックに見て、この現象をどういうふうに説明できるものなのかなと。

:私自身はパブリックリレーションズの歴史社会学が専門で、メディアリテラシーについてどこまで言えるかなんですけれども、大学で学生たちに話すとき、メディアリテラシーはやっぱり今の時代に欠かせないテーマなんですよね。すごく実践的でもあり、アカデミックにも、もっともっと探求されるべき領域だと思うんです。

その時に「3つのC」をよく切り口にしていて。まず、この「リテラシー」というものは、もともとは“読み書きできる能力”のことなんですよね。これが「メディアリテラシー」になるというのは、要は新しいテクノロジーをうまく駆使できるよう、まずは教育をしましょうということが前提なんですけど、実はこれだけじゃないんですね。

三浦さんや嶋さんがおっしゃったように、そこからが大事で、その上で文化や多様性を考えなければならない。だから、最初のCは「カルチャー」。文化ですね。

次のCは、批判的になること。「クリティカル」に考えなければならない。当然なんですけど、三浦さんもおっしゃったように、私たちは情報の単なる受給者ではないこと。情報の生産・消費に対し、常に監視をしなければならないという意味も含めて批判的になる。

そして最後のCは「クリエイティブ」なんですよね。クリエイティブになってる時点で、もう私たちは情報の循環の中に自ら参加しています。これがとても大事であることを意識しなければならないと思うんですよね。

お二人がおっしゃったように私も、マスメディアとソーシャルメディアの関係性がものすごく変わっていく中で、このコロナ問題も重なって進んでいくようなイメージを受けてるんですけれども、メディアが変わると、メディアの主体というか世論の担い手も変わっていきます。

これはセットなので、今までマスメディア、つまりテレビ局とか新聞社がアジェンダを提示して、それによって世論や合意を作ってきたものが、ソーシャルメディアを通じて各個人へシフトし、分散していく。

世論の担い手が今度は個人になっていて、権力がこっち側に移ってきている。当然ながら責任が伴い、常に自覚していることが私たち個々人にとってすごく大事になっている。嶋さんと三浦さんが今おっしゃったのを研究者の観点から見ると、こういうことが言えます。

だから、私たち個人がフリーライダーではなく、情報の循環の中に位置づけられている存在であることをしっかり認識してソーシャルメディアにあたっていったほうが、今求められているのではないかと思います。

三浦:電車の乗り方みたいなもので。それこそWithコロナの時代に電車ってどうなんだっけ? という議論はあるんだけれども……。SNSって電車くらい普通のものになっているじゃん。

わけわかんないヤバいやつが電車に乗ったら不安だし、子どもはお母さんから「切符を買うんですよ」とか「人が降りてから乗るんですよ」みたいなことを教わるじゃないですか。ああいうかたちで、1つの公共の常識とかマナーがあって、メディア論と向き合わないといけないなって。

菅原:授業になっちゃったほうがいいんじゃないですか?

三浦:だから河先生も、大学だけじゃなくて、小学校の先生として、小学生向けの本を嶋さんと一緒に書いてほしいと思ってるんですよ。

:(笑)。確かに。

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