2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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日比谷尚武氏(以下、日比谷):今、Sli.doを見ていると……(質問が)増えてる。10問ぐらい来ているので、それは拾いますけれど、「あ、忘れてた」という方は、どんどん投稿をするなり“いいね!”を押してみてください。
一応先取りじゃないけど、集客なり告知の部分。(カンファレンスの)内容を作って、登壇者を決めて、スポンサーをどうするかというのを……。じゃあ、いよいよやるというときに集客の部分はどうするか、と。
知らない概念を伝えていこうとか、知らない人に知ってもらうということは、つまり知らない人になんとかしてその存在を知らせ、「イベント、カンファレンスをやるんです」って伝えなきゃいけないわけですよね。
そうするとやっぱり、それで1,000人規模を集めるのはなかなか苦労すると思うんですけれども、そこはどんな工夫をされていますか?
松林大輔氏(以下、松林):そうですね。これも時間軸で言うと、1年目はけっこう、知り合いって言うとちょっとおかしいですけど。自分たちで発信しようとか伝えたりとか、言葉を打ち出したりというカンファレンスに共感性が高い人が、Facebookのシェアとかをしてくれて参加が……。
日比谷:ベタだな(笑)。シェア。
松林:シェアしてもらって、それがバイラルで広がって。
日比谷:でも千何人でした? あのときって。
松林:あれは800ぐらいですね。800ぐらいだったんですけど、それぐらいの感じ。
日比谷:シェアだけで800人でしたっけ?
松林:いや、シェアだけではないんですけれども、割合的にですよ。
日比谷:口コミで。
松林:まぁ1年目から仕掛けてはいくんですけど、2〜3年目以降になってくると、日比谷さんがけっこうやってくれているメディアさんとの連携(が重要)。もちろん我々がメディアさんに出したい内容が、メディアさんにとってもメリットがあるように。「どんなことが聞きたいですか?」というのを、しっかりリレーションを取った上なんですけれども。
メディアさんが、メディアスポンサーというかたちで連携してくれて案内をしてくれたら、すごい(参加応募が)来ますよね。
日比谷:メディアスポンサーさんがすごいですよね。
松林:日経さんが案内してくれて、むちゃくちゃ何百人も集客がありましたね。
日比谷:ここであんまり手の内を明かしちゃうと、あれですけれど……。わりと社会性の高いテーマの場合は、(紹介してくれる)かもしれません。もしかしたらその特定の業界向けのテーマだったら、業界紙さんで共感してくれるかもしれないです。
メディアの中でテーマに近しいところで言うと、メディアスポンサーというかたちで入っていただいて。そのメディアスポンサーの定義はたぶんバラバラというか、定まったものがないと思うんですけれども。
at Will Workの場合だと、基本的にお金(謝礼)は払わない。共感していただいて取材いただくなり、事前の告知集客、当日のレポート、ないし事後に登壇した方やアワードプログラムの受賞者としての取材をしていただく。
我々主催者側からすると、お金を払わないが、我々のカンファレンスでメディアスポンサーとして、ロゴを出したり。場合によっては登壇の機会が提供できたり、販促物を置かせていただくとかね。お互いのWin-Winについて、「何がWinか」を、毎回カスタマイズしながら探るという。
松林:すごい具体的な(笑)。
日比谷:言っちゃだめ?
松林:言って(笑)。
日比谷:その結果、メディアさんによっては、例えば日経さんだと……そうですね。顧客データベースをいっぱい持っていて、メルマガとかでドカンと集客網を持っていらっしゃるとか。
かつ日経だと、働き方改革推進のSMARTWORKプロジェクトを3年前ぐらいからやっているんですけれども。そちらで大企業向けの働き方の情報発信はいっぱいやってるんだけど、イノベーター、NPO、ベンチャーなどへのリーチが弱かった。
我々が出しているデータとか、登壇者の方々の情報をそっちに出すと彼らもうれしいみたいなことがあったので、「じゃあ告知しよう」と。お互いWin-Winで助かる、みたいな。
松林:3年目とかになってくるとやっぱり、自社でも広告とかFacebookとかそういうのをやり始めて、そっちにどんどん(お金をかけ始める)。
やっぱり、より広いところにリーチをかけていくというところでいうと、広告によりお金をかけていって、広いところに広げるという感じで。
日比谷:だんだんその裾野になってきた感じ。
松林:なってきてる感じがしますね。
酒居潤平氏(以下、酒居):そうですね。僕らも集客は、けっこういろいろとチャネルを扱っていますけれども、そもそも自分たちが呼びたい対象がどこにいるのかという。
対象によっても変わるかなと思うので、「Facebookがいいですよ」とか「これがいいですよ」って一概に言えないんですけれども。
日比谷:それありきじゃないもんね。
酒居:はい。なので、例えばスタートアップとか、それこそIT系の方とかであればFacebookとかTwitterをやられている方もけっこう多いので。逆に言うとそういった方々にはSNS広告ってすごく有効だと思いますし、我々もけっこうFacebookとかTwitterの広告から集客をしているんですよね。
ただ、逆にエンタープライズとか、そういった方々になると、先ほどの日経さんであったりとか、そういったDMみたいな。もしくはもっと言えば紙媒体を使うとか、そういったいろいろな方法もあると思うんですよ。逆に、もうずっと前ですけれど、FAXでDMをしたりする、そんなこともありますし。
その方々がふだん接しているメディア媒体、デバイスって何なのか。その辺りからチャネルを考えるのが1つの方法かなと思います。
あともう1点、別の観点で言うと、僕らの場合は集客をする前にけっこう盛り上がりが重要だなと思っていて。盛り上がり施策を布石としてどんどん打っていったというのはあります。
例えばイベント自体は7月開催なんですけど、3月1日にティザーサイトをオープンして。まだぜんぜんコンテンツとかも何も決まってないですし、集客も開始していないんですけれども、ティザーサイトをオープンして、事前登録ができるようにした。
それに合わせてプレスリリースを打って、メディアにはアプローチを開始したというのがあって。
その後も「SaaSway」に向けてのイベントをいくつか用意して、そこで盛り上がりを醸成したりとか、僕がnoteを書いたりとか。いろんなユーザーさんに「SaaSway」のTシャツを着ていただいて、みんなで写真を撮ってシェアしていただいたりとか。
そういうみんなでお祭り感をどんどん作っていくというのを、すごく力を入れていました。
日比谷:やれることをなんでも、早め、前倒しでやっておくみたいな。
酒居:そうですね。とくに1回目ってなにが正解なのかもわからないですし。まずはできることをいっぱい考えてやってみるというのが、けっこう重要なのかなと。
なんか体育会系みたいなことを言いましたけど。
松林:今の酒居さんの話で、確かに集客はターゲットでぜんぜん違うでしょうね。ちょうど今僕は、大阪でスタートアップ系で上場している会社さんと大企業をつなぐようなイベントを、300人規模で(企画している)。
それこそ大手企業さんとかだったら、阪急阪神さん、南海電鉄さんとか、大阪の有名企業の役員・専務とかが来るようなイベントをやっているんですけど。大企業の人を呼ぶのにめっちゃ効果的なのは同友会とか。
日比谷、酒居:そうですよね。
松林:やっぱり、関西経済連合会。大阪では関経連。こっち(東京)で言ったら、経済同友会や経団連。あそこの影響力、やっぱりパワーが強いし。
そこにメリットがないとだめなんですけれども、そこと組んだら一発で集客が解決するみたいなこともけっこうあって。それは違うんでしょうね。やっぱり。
日比谷:たぶんそうなってくると、広報とかマーケティングのセオリーと一緒ですね。酒居さんがおっしゃっていたけど、ターゲットがふだん接するチャネルはどこか見つけて、そこにうまく落とすという。
ただ、一方で新しい概念を伝えようとすると、「このメディア使えばいいじゃん」とか、「ここにいるとみんなたまってるぜ」みたいな、業界団体や勉強会等のコミュニティがあるわけでもないじゃないですか。
そうすると、どうでしょう。難しいですよね。
酒居:僕らの場合は、要はニーズというところを切り口にして、ターゲットにしている方々が抱いているニーズという切り口でセグメントを切って、集客チャネルを探しに行くんですね。
ふだんのマーケティング施策をやっているときもそうなんですけれども、おっしゃるとおり、まだそのニーズは開拓されていないので、そういう集まりがないケースってあるじゃないですか。
日比谷:「SaaSやりたい」という集まりはないと。
酒居:ない。ですけど、ただ、そういう思いを抱くであろう方々が、“別で共通して持っている別のニーズ"ってあったりすると思うんですよ。
例えば、僕らだったら、なんて言ったらいいんだろうか。「SaaSとかクラウドシフトしたい」みたいな思いって、それで集まろうぜっていうのはなかなかないですけれども、「デジタルマーケティングをもっと強化していきたい」とか。
それとか、例えば「IT投資をもっと積極的にしていかないといけない」という課題があるとか、もっとコアなところで言うと「マーケティングオートメーションというツールをもっと有効活用していきたい」とか。
日比谷:ペーパーレス化したいとかね。1人でWeb策をなんとかしなきゃいけなくて、ITが効くらしいけど、どうなんだろうとか。
酒居:おっしゃるとおり。そういう別のニーズに転換すれば、意外とそれと同じ層の方々って、結局はそっちにもつながるよねっていう。
結局そっちのニーズも抱いてくださるよね、というところを横展開して、じゃあそっち側だったら、今のチャネルとしてはあるよねというところを見つけていって、そこを集客しにいくというのもあります。
日比谷:広報脳ですね。
ストレートに「SaaSやろうぜ」とか「働き方やろう」で集まる人は少なくても、ちょっと相手のニーズの言葉に変換してあげることで伝わったり、そういう既存のチャネルがある。
だからそこに働きかければ、興味を持ってもらって足を運ぼうかなと思ってもらえるのではないかという。
酒居:そうですね。本当におっしゃるとおりで。けっこう気をつけないといけないのが、カンファレンスってビジョンの共有だって言うと、自分たちが打ち出したいことだけ打ち出しちゃうじゃないですか。
でもそれだと、相手からすると新しすぎることってなおさら「何これ」となって、結局そもそもメールも開封されない、クリックもされないみたいなことって陥りがちで。
そうじゃなくて、それを、その方々目線で言語化をしてあげることってすごく重要かなと思っています。
日比谷:あともう1個、そうだ。前回の開催のときにも言ったんですが、僕がちょっと関わっていたPR Tableという会社の「PR3.0」というカンファレンスを、1年半ぐらい前にやったんですね。
それは虎ノ門ヒルズをお借りして、1,300人ぐらい来場しました。それはPR業界の人たちとか、広報担当者向けの業界カンファレンスということをスタートアップでやっていたんですけれども。
そのときは、第1回目だったから半年ぐらい前からミニセミナーとかミニイベントを毎月、それこそ3〜4回やってました。それは全部、最終のカンファレンスの前振りだということにして。CRM、顧客データベースを貯めるという目的で。
つまり、毎月1回は例えばオウンドメディアの書き方とか、イベントのやり方とか、メディアの話とか、広報の方々が気になるようなテーマだったりで、10~30人ぐらいの規模のセミナーをたくさんやって。
やっていくうちにだんだんリストがたまっていって、その人たちは、きっと本番のカンファレンスに来てくれるだろうと。加えて、「カンファレンスを一緒に作りましょう」というお声がけをして、実際に実行委員会みたいなものに入っていただく方を募っていった。
本番のときには100人近くのスタッフの方々が集まって、一緒に業界を盛り上げようみたいなかたちで。
酒居:すごいですよね。
日比谷:1発で1,000人ドーンは無理だけど、こつこつ、チリツモで。もしかしたら既存のお客様のデータベースを持っていて、その方々向けにやるんであれば、もう顧客データベースに「やりまっせ」って言えば、何割か来るっていうので見込めると思うけども。0からやるときにそれは作れないから、せめて前振りで、そのリストをコツコツ作っていくみたいな。
酒居:それこそ、コミュニティの考え方とすごく似ていると思っています。コミュニティで参加者が企画側になってもらうというのが、すごく重要ですよね。
日比谷:少なからずそのエネルギーが、助かるというか。逆にないと火種が作れないというのはありますよね。
酒居:ですし、その方々のモチベーションもぜんぜん違うし、発信してくださる情報の熱量もぜんぜん変わってくるという。
日比谷:結果的にその方々からの口コミで、「僕もスタッフでやってるこのカンファレンス、来てください!」とか「来たほうがいいよ!」とかね。
酒居:確かに。それはありますよね。
松林:やっぱりけっこう時間かかるんですね。だからね。
日比谷:(笑)。そうですね。
松林:半年か1年ぐらいはかかりますよね。
日比谷:なかなか1回目からそれは難しいかもしれませんけれど。例えば連続開催するようなものだと、1回目に参加した方、カンファレンスに出演した方に協賛していただいたりとか、登壇した方をコミュニティにして、2回目以降につないでいくみたいな。
松林:やっぱり1回目が一番しんどいですよね。2回目以降は同じテーマのやつじゃなくなりますもんね。
酒居:確かに。
日比谷:そうですね。スポンサー営業するときもね、実績があるのとないのとで、ぜんぜん違いますもんね。
松林:いや、もうぜんぜん違いますもんね。それね。
日比谷:じゃあ、ちょっとここら辺で……。がんばって後半巻いたつもりだけど、たぶん半分ぐらいしか(今回のトピックを)紹介していないな。
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