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事業を正しい改善に向かわせる -本当に解決すべき課題を明らかにする-(全4記事)

その10分が問題設定の質を決める Kaizen須藤氏が説く、「事業構造の図示」からはじめる課題解決術

大人の学びに役立つ知識が無料で学べる生放送コミュニティ「Schoo(スクー)」。働き方やテクノロジー、ITスキルといった、最先端のノウハウが身につくオンライン授業を数多く配信しています。そんな「Schoo」で放送されている人気授業の書き起こし企画の第2回は、Kaizen Platform CEOの須藤憲司氏が講師を務める「事業を正しい改善に向かわせる戦略と計画のつくりかた」をお届け。本パートでは、ユーザーとのワークショップ形式で、企業が本当に解決すべき課題を明らかにしていきます。本パートで須藤氏は、正しい問題設定をするために、まずは自社の事業構造を10分で図示してみようと語ります。

事業構造と中期的なゴールを書いてみよう

花海志帆氏(以下、花海):はい。こちら、「ワークショップ~現在地と目的地の確認~」ということで。どのような進め方でやっていきましょうか。

須藤憲司氏(以下、須藤):まず、今日使うのがこの「90日改善計画戦略マップ」なんですけど、これの1、2、3、4だけを使います。逆にそれ以外は今日使わないんですけど、ほかの2回目、3回目でちょっと使おうかなと思ってますので。今日はこの4つだけ、やっていきたいなと思ってます。

最初にみなさんにお願いしたいのが、この「事業構造」と「中期的なゴール」というのを、みなさんに書いてもらいたいです。もしお手元にノートとか紙があるとすごい便利なんで、ちょっと紙とかペンを用意いただいて。これを、「自分たちの事業構造はどういうものなのか」ということを図で描いてもらう。もしくは言葉で書いてもらっても構わないですけど。

花海:ほぉー。

須藤:次、一番上にありますけど「中期的なゴール」、目的地を定めるという、この二つをやっていきたいなと思っております。

花海:はい、お願いします。ではみなさん、一緒に考えていきましょう。お手元にペンや紙、ご用意していただいて。1と2、「事業構造」と「中期的なゴール」を一緒に考えていきましょう。可能な方は、タイムラインにその内容を投稿して頂ければと思います。

こちら、経営者・マーケターの方向けの授業にはなりますが、実際に事業責任者でない方も。

須藤:はい、ぜんぜん構わないです。

花海:責任者になったつもりで。

須藤:そうです、そうです。

花海:はい、書いていただければと思います。

Eコマースのサイトを事例に考えてみる

須藤:これけっこう難しいんですよ、そもそも。例えばこうやって、Eコマースのサイトだったらこんな感じです、という事例を持って来たんですけど。

花海:はい、事例ですね。

須藤:要はサイトに訪問してもらって、なにかを販売して。平均単価が、5万件のコンバージョンがあったらそれぞれ、1個あたり5,000円だとすると、2.5億円ぐらいの売上です。粗利が50%の事業だったら粗利が1.2億です、みたいな。例えばこんなかたちの描き方もありますし。

ぜんぜんみなさん、事業にそんなに深く携わってなくても、自分が担当してるサービスとかの絵って描けるんですよね。例えば……よいしょ。スクーさんのですね。

花海:おー! ありがとうございます(笑)。

須藤:はい、事業構造をちょっと描いてみました。

こっちからですね。新規とか既存のユーザーが入ってきて、たぶん「授業を受けたい」って言って、フリートライアルで入ってこられて。この後「もっとたくさん見たい」とか「過去の動画を見たい」ってなるとたぶん、980円の月額の講座に入られて。毎月使っていただければそのまま残るし、もし満足いかないって退会されると、退会率というのが出てくる、というような。こんな描き方もできますし。

例えば、ぜんぜん別の描き方もできるんですね。

花海:おっ、もう一つ用意していただきました。

須藤:はい。これは、今のスクーさんのサービスを、授業単位にして切ってみた時ですね。

花海:おぉー。

須藤:例えば今、僕授業してますけど、要は受講数というのがありますよね。新規の受講者の方もいれば、既存の受講者の方もいらっしゃる。既存の会員の方ですよね。受講してるとたぶん、途中でなんか「もうつまんないし金曜日だから、お腹すいたしご飯行っちゃおうかな」とか「飲んじゃおうかな」とかって、離脱する人もいると思うんですよ。

花海:(笑)。はい。

須藤:みなさん、そういうことないようにお願いしたいんですけど(笑)。

花海:えー! 離脱しないでくださーい(笑)。

須藤:完了して、じゃあほかの授業も受けてみたいなって思う人もいれば、例えば完了して有料会員になろうと思う人もいるはずなんですよね。これはだから、一つの授業とかで切って、さっきの「事業構造」を説明するというかたちなんですけど。要はこうやって描くと、さっきとちょっと違うんですよね。

花海:確かに事業単位で見ると、なんか……おもしろいですね。

須藤:そうなんです。

こっち側(画像右)で見てる時は……。

花海:全体の、というか。

須藤:そう、全体のになっちゃうんですよ。でもこっち(画像左)になると、急にですね……例えば打ち手がけっこう考えられるんですよね。

花海:確かに、具体的に。

基本はサービスの入口と出口から描くこと

須藤:そうそう、授業中に有料会員になってもらうにはどうしたらいいのかな、とか。だって、授業を受けてて「これってもっと知りたいな」、だからなんとかやって有料会員にする、という方法も例えば考えられるじゃないですか。

で、さっき聞いたらスクーさんはもう、3,000ぐらいのストックの授業があるということなので。授業を受けてる間にいかに、例えばビジネスにつなげられるかって、実はけっこう重要なんですよね。という、事業構造の描き方一つでも、実は問題点とか改善したいことってけっこう変わってくるんですよ、と。そういうことですね。

花海:なるほど。ちなみにコメント欄に、ヒロユキさん……タカハギさん、とお読みすればよろしいですかね。「ユーザーのサービスへの入口から出口までのアクションを描いてみたらいいのかな?」とコメントをいただいてますが。

須藤:そうやって描いたほうが良い事業もありますし、そうじゃない事業もあるんですけど(笑)。実は結局この描き方って、人の問題意識がすごい露骨に出るんですよね。要は自分が「こういうこと直したいな」と思ってるように、実は描いていくんで。いろんな描き方が正直ありますと。ただ「ユーザーのサービスの入口から出口までのアクションを描く」というのはけっこう、わりと基本ですね。

花海:うん、うん。まずは描いてみて、自分が「もうちょっとここは細分化できるかな」というところがどんどん描ければいいですね。文章でも、文字でも大丈夫です。

須藤:はい。

花海:またワークショップ中に質問がありましたら、タイムライン、ぜひね。

須藤:そうです。もう、ぜひ。聞いていただければ。

花海:はい、質問ボタンを使って投稿してみてください。適宜質問を受け付けてます。

須藤:ユーザーの入口から出口までというのは、基本的には……ストック型のビジネスをしてる人が、そう描くケースが多いですね。

花海:ほぉー。

求人サイトだったら、事業を輪切りにして考える

須藤:逆に例えばですけど、ストック型じゃないビジネスって何があるかな……じゃあ例えば求人サイトとかって、1回転職が決まったら、次使うのって遠いじゃないですか。だからフロー型のビジネスって言うんですけど、そういうのだとこういう描き方は実はあんまりされないで、事業を輪切りにしたような感じとか。

花海:あー! なんかよく見る、事業ホームページに丸く、ベン図が描いてあってとか。

須藤:そうです、例えばそういう描き方をされるケースが多いですね。

花海:なるほど。

須藤:なんでこんなことをやってるかという、まぁみなさん描きながらですね。あっ、「人生という事業にも適用できそう」、ありがとうございます。

花海:はい、カズキさんからコメントいただきました。

須藤:実はこれ、ぜんぜん関係ないですけどそういう……例えば自分が進学で悩んでるとか、なにかこういうことをしたい、ということもぜんぜん使えるマップになってます。

花海:おぉ。

他者への説明を前提に考えると、問題設定の質が高まる

須藤:なんでこんなことやってるかということをちょっと、すごい喋りながらですね……みなさん今、一生懸命描いてると思うんで、やりたいなと思うんですけど。これ実は、「あなたは知らない人に事業構造とか中期的なゴールを簡潔に説明できますか?」ということでして。

要はこのワークショップ、実はフェイストゥフェイスでやるとき、ぜんぜん知らない会社の人いっぱい集まって。「自分の事業ってこうなんです」とかやるんですよ。

花海:あっ、じゃあもう一緒のテーブルになった人と「どんな事業してますか?」って。

須藤:そうです、そうです。

花海:確かに説明するの、難しいですよね。

須藤:そうです、難しいんです。すごい難しいんです。難しいんで、みんな素朴な質問するんですよ。「あの、ちょっとわかんないんで教えてください。こういうことってどうなんですか?」って。実はその素朴な質問をされることって、すごい大切で。要は自分たちの事業のことをよく知ってる人が「いやいや、あれはこうでさ」って話してるのとぜんぜん違う、「確かに、なんでそれってそうなってないんだっけ?」とか「そういうふうにしないんだっけ」という。実は素朴な質問を受けたりすることによって、思考が揺れるんですよね。

花海:確かに。

須藤:説明できないから「どうしよう、こうしよう」って考えていくと、その問題設定の質ってすごい高まるんで。けっこう、実際本当にやられるとわかるんですけど、同じ会社の人で同じ事業やってる人が描いても、みんな事業構造の描き方ってやっぱり違うんですよ。「あっ、そういうふうに見てんの?」みたいな。

そうすると、「それ、なんでなの?」「どうしてなの?」とかという話をするだけでも、実は問題設定の質ってすごい高まっていくんで。大切なのは「現状把握」を、この「事業構造を描く」というとこでは。現状把握と、あと「どこに行きたいのか」というこの二つを、しっかり・はっきりする、させる、ということをやるセクションになってるわけです。

花海:なるほど。まさに今の現状把握と、自分が持っていきたい・ありたい目的地をちょっと考えていくということですね。

須藤:そうです。

花海:確かに、さっきの話ではないですけど、友人と集まった時に「何の仕事してるの?」とか言われた時に説明しづらいというか(笑)。嚙み砕いて言わないと、「それってこういうこと?」「いや、それではないんだけど……」とか、ブレイクダウンしていく感じはなんとなくわかります。

「中期的=2~3年」として捉えよう

須藤:そうですね。あっ、今ご質問いただいてます。「中期的」というのは、そうです。だいたい2~3年ぐらいをスコープとして、書いていただけるといいかなと思ってます。

花海:はい、カミヤさんから。「中期的なゴール」とは何ですか、という質問です。「中期的」というのは2~3年くらいでしょうか、ということで。

須藤:そうです。「2~3年後ぐらいにこういう状態を目指してます」。これがまたけっこう難しいのは、例えば「顧客満足度ナンバーワン!」とか書くじゃないですか。じゃあ顧客満足度って、調査してちゃんと測ってるんですかというと、測ってない。それはゴールとして置いていても、測定できないんで。達成可能かどうかがよく、実はわからないということで。

中期的なゴールは、ちゃんと定量的に測定可能かどうかということを置かないと、実は問題の設定の質が高まっていかない、ということで。いろんなコメントいただいてますけども、そうなんです。

花海:ほかに気になったコメント、ありますか?

シンプルに描けるほど、事業が成功している証

須藤:あっ、このツジさんが言ってらっしゃる、「知人がベンチャー経営をしているのですが、事業構造の図が驚くほどシンプルで感心しました」って書いてるんですけど、そうなんです。実はこれ、成果を出してるチームと成果を出してないチームで露骨に差が出るのは、シンプルに描けてるチームってめちゃくちゃ……成果が出てるというか。成長するチームは意外とシンプルに描けてる。

花海:ほぉー。

須藤:逆に成長してないチームってのは、なかなかこれが複雑で……何ですかね、みんな描いてることがバラバラだったり、複雑なように描いてると、実はそんなに成長してないケースがすごい多い。

花海:確かに。自分の事業内容がわかってないと、問題すらわかんないですよね(笑)。

須藤:そうなんです。今の事業構造と、行きたい先がわかる。現在地と目的地という話なんですけど、この間に必ず。こっちに行きたいんだから、ここに問題を置くべきなんですよね。

花海:なるほど。おっ、ヒロユキさんが「そういえば資金調達に動いた時に作ってました」って。ほぉー、こういうのは作るんですね。

須藤:そうですね、はい。

花海:「中期的なゴール」、難しいかもしれませんがね、ぜひタイムラインにもコメントしていただければと思います。ふだんこういったセミナーをされてると、みなさんどのぐらいで書き上げられるものなんですか?

須藤:10分ぐらいで無理やり、とにかく描く。

花海:あっ、でも10分でもう。一生懸命になって描かなきゃいけないんですね。

10分で描けなければ相当ヤバい

須藤:そうです。逆にいうと、10分で書けないと相当ヤバいと思ったほうがいいですね(笑)。

花海:そうなんですね(笑)。

須藤:まずいぞ、と(笑)。やっぱりこれ、今みんなやって、一生懸命たぶん描いてくれてると思うんですけど。そうなんです、10分間で書けないということは、自分が何をしてるかをよくわかってないとか、どこに向かってるかをよくわかってないってことなんで。すごく、焦ったほうがいいかなと(笑)。

花海:(笑)。なるほど、ありがとうございます。気になることがありましたら、コメント欄に投稿していただければと思います。みなさん「なるほどボタン」も使っていただいてますね。ありがとうございます。

須藤:ありがとうございます。

花海:確かにイワナガさんのコメント、私が思っていることと違うかもしれないんですが、「新しいことって勘違いして伝わりそう」というのは、新しいお仕事のことですかね。

須藤:新しい事業とかじゃないですかね。

花海:事業とか。銀行はわかりやすいんですけど、いかにも「ベンチャー!」という事業はピンとこないので、ちゃんと説明しないとって勘違いしちゃいますよね。

須藤:そうなんですよね。でもどんな事業も、一応たぶんシンプルに説明できるはずなんですよね。というか、そんなにややこしい事業してる人っていないと思うんで。だいたいわかりやすく、なにか物を売ったり買ったり、なにか仕入れて売るとか。なにかしらのことをやってるんだと思うんで、図は描けるんじゃないかなと。

ショットの積み重ねが有料会員の累積になっていく

花海:なるほど。先生にせっかく描いていただきましたボードで、スクーの長期的なゴール、どのようなかたちで考えればいいのかなってちょっとヒントをいただきたいのですが。

須藤:はい、わかりました。

花海:それだと細かいほうが長期的なゴール、わかりやすいですかね。

須藤:たぶん大ざっぱなほうで……たぶんなんですけど、スクーの場合、会員数ってすごい大事だと思うんですよね。フリートライアルと、この月額の動いてる会員数が大切で。たぶん中期的には、これがたぶんお金の方法なんで。一つはこの会員数が例えば、何10万人とか100万人を目指しているんじゃないかな、と個人的には思ってます。ちょっとこれ、モリさんしかわかんないんで。

花海:(笑)。

須藤:モリさん、いたら言って欲しいんですけど。その時にすごい大事なのはこっちなんですね、たぶん。今授業を受けてる人たちが有料の会員になってくれるためとか、ほかの授業を受けるためにはという、このショットの積み重ねが有料会員の累積になっていくんで。

要は一事業の体験ですよね。その中でどうやってスクー自体のサービス体験を高めていくのかが、たぶん改善していくときの本当、すごいポイントで。1回の授業でこの率がちゃんと高まっていけば、絶対に会員、積み上がるんで。ここですよね。

全体のコンバージョンレートをどう高めていくか

花海:でも問題点をどう、「ここが問題点かな」というのはどのように判断したらいいですかね。

須藤:あっ、問題点ですか。たぶんですけど、いくつかに分解できるんですよね。今授業を受けてくれてる人の数が足りないのか、いやいやそれとも体験を完了してくれる人の率が少ないのか、それとも体験してから有料化する率が足りないのか。何個かにたぶん、分けて考えればいいと思うんですけど。

これ、問題点を探るときに、その授業自体の一個一個の質ってあるじゃないですか。それってコントロールするの難しいと思うんですよ。例えば僕のこの授業、あんまり満足度が低くて……。

花海:いや、そんなことないですよ(笑)。

須藤:仮にね、仮に(笑)。そういうこともまあ当然ありえるわけで、一個一個の質は高められないんですけど、全体としての質は高められる。つまり全体としてのコンバージョンレートをどうやって高めていけるのか、みたいなことをちゃんと追ってくと、事業自体はたぶん健全に改善してくるんだと思うんですよね。

花海:なるほど、ありがとうございます。いろいろ考え方がありますね。

須藤:ありがとうございます。

花海:おっ、タカスカさんからですね。保険会社で働いているそうで、「2~3年以内に今まで主力だった商品以外の商品で、シェアを10パーセントまで上げたいです」というコメントをいただきました。

須藤:なるほど、ありがとうございます。こういうのはいいですよね。主力以外の商品でシェア10パーセントってけっこう、ほかの商品も伸びてるんで、たぶん10パーセントまで上げるにはなにかを変えないといけないんで。じゃあ何を変えたらいいか、みたいな。あっ、モリさんが「なるほど」って来ましたね。

花海:はい(笑)。「カイゼンプラットフォームの事業構造も作ってみました」というわけで、タカハギさんからもコメントいただきました(笑)。

須藤:ありがとうございます。これ、見たいけど見れないのが残念(笑)。

シンプル思考の秘訣は「一度立ち止まってみる」

花海:そうですね(笑)、みなさんのお手元にきっと、構造があるんでしょうね。フジタさんからは「10分で書けるように、シンプルに思考していることが大切ということですか」という質問をいただきましたが。

須藤:そうですね……いつもふだんからシンプルに思考できるかどうかってわかんないんですけど、立ち止まって一度ちゃんと考えてみるというのが、すごい大切なので。なんかこういう場で、立ち止まって考えてみるということが大事です。ふだんからもうだって、毎日忙しいじゃないですか。その時に「ふだんからシンプルな思考」とか、そんなお洒落なこと言えるけど、普通無理でしょ、みたいな。

花海:(笑)。

須藤:みんな日々忙殺されるんで。でもちゃんとふだん立ち止まって、「これ本当にいいのかな」ということを考えるというのはすごい大切かなと思います。

花海:はい、ありがとうございます。では続いてのワークショップにも進んでいきましょう。お願いします。

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