2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
リンクをコピー
記事をブックマーク
徳田葵氏(以下、徳田):みなさん、こんばんは。受講生代表の徳田です。今回お越しいただきましたのは、株式会社AND CREATE代表取締役社長の清水久三子先生です。先生、今日はよろしくお願いいたします。
清水久三子氏(以下、清水):よろしくお願いいたします。
徳田:さあ、みなさん、始まりました。本日の授業は「一流の学び方」ということで、なりたい自分をイメージし、ゴール設定をするという授業になっております。さっそくですが、先生、自己紹介をみなさんにいただけますか。
清水:はい。あらためまして、みなさん、清水久三子です。よろしくお願いいたします。
私は1998年に外資系のコンサルティング会社に入りまして、コンサルタントとしてのキャリアをスタートいたしました。専門領域は企業変革戦略ということで、お客さまの変革の実現を支援する戦略部門のリーダーを務めてまいりました。
いろいろやっていくうちに、やはり中の方が力をつけて、自ら変革を実現できるようになっていただきたいなと思い至るようになり、専門領域を人材育成のほうに移してまいりました。
そうしていろいろとプロジェクトをやっているうちに、IBMという会社にグローバルで吸収統合されることになり、当時のIBMのエグゼクティブから「外部の人材じゃなくて、社内の人材を育成してほしい」との命を受けました。2005年からコンサルタント、それからエンジニアの方、数千人の事業部で人材育成のリーダーを務めてまいりました。
2013年に独立いたしまして、現在ではビジネス書の執筆、講演、研修講師などの活動を行っております。
徳田:先生は、ご著書がたくさんあるんですよね?
清水:はい。ありがとうございます。宣伝のような感じなんですけれども。
徳田:いえいえ。
清水:現在15冊ほど出版させていただいておりまして。今日お話しさせていただく内容は、なんと1冊目の『プロの学び力』なのですが、こちらはちょうど10年前に初めて書いた本なんですね。
当時コンサルタントは、いろんな業界や業務で仕事をする中で早くキャッチアップして価値を出していくことが求められていました。そこでコンサルタントの学び方についての本を出しました。おかげさまでロングセラーということで、いまだに売れていたりします。
この10年間のいろんな変化を受けて、学び方が変わってきたものもあります。それを反映したかたちで、昨年『一流の学び方』として改訂版を出させていただきました。今日はこの内容を中心に、みなさんと「どんなふうに学んでいったらいいのか?」を考えていきたいと思っております。
徳田:ありがとうございます。ご著書がたくさんあるので、もしかしたら受講生のみなさんもどれかを持っている方がいらっしゃるんじゃないかなと思うんですけれども。
清水:だとうれしいですね。よろしくお願いします。
徳田:さっそく番組タイムラインの着席ボタンが止まらないんですけれども。(タイムラインを見て)みなさん「楽しみにしていました」とか。「変革したい!」とおっしゃっていますね。
清水:本当ですか。すごいコメントですね。
徳田:はい。一緒に学んでまいりましょう。では先生、今回の授業の流れをお願いいたします。
清水:今回の授業は全2回なんですけれども、初回となる今回のテーマは「何故、私たちは学ばなければいけないのか?」、そして「何を学べば良いのか?」という、答えが出るのかわからないような深遠なテーマではあるんですけれども。
徳田:大きなテーマですね。
清水:はい。それについて見ていきたいと思います。講義の流れとしては、学びの必然性が増しているというマクロな背景から入っていきまして、「じゃあ現代では、どんな能力を求められているの?」というところに入っていきます。
今は格差社会についていろいろと言われていますが、学びにもやっぱり格差が生まれてきつつありますので、学びの格差も踏まえてお話をします。
みなさんは学生時代にいろんな勉強をされたと思いますが、その同じ学び方ではビジネスパーソンとしてはちょっと難しいかなというお話をして、じゃあキャリアプランからどうやって学びを決めていくのかという流れで進めていきます。
徳田:受講生のみなさんも、気になることや気づいたことなどがありましたら、どんどんタイムラインからコメントでご参加いただければと思います。
(タイムラインを見て)「ご著書、複数持っています。いずれも愛読書です」、それから「『一流の学び方』読みましたよ」なども。
清水:すでに読んでいただいるということですね。
徳田:授業と照らし合わせていっていただければと思います。それでは講義内容に入っていきましょう。まず1つ目ですね。学びの必然性が増している背景を教えてください。
清水:まず大きなマクロの話からなんですけれども、(スライドを指して)こちらは『LIFE SHIFT』です。みなさんも読んだことがある……まあ、聞いたことがあるという方はたくさんいらっしゃるかと思います。
ちなみに、徳田さんはいかがですか?
徳田:ええと、これはスクー社の必読書になっているんですけれども、実はまだ読めていなくて……。
清水:でも、持ってはいらっしゃるという感じですかね?
徳田:そうですね。はい(笑)。
清水:じゃあ次回までに。
徳田:次回までの課題とさせていただきます。読んだことがある方、どうでしょうか?
清水:どうでしょうね。みなさん読んだことはありますか?
徳田:はい。ありましたら教えてください。でも、本当に本屋さんに行くと必ず見るというか、かなりのベストセラーで。
清水:ベストセラーですね。14万部ということで、本を書く身としてはうらやましいなという感じなんですけれども。
徳田:(笑)。
清水:ちなみに、まだ読んでいらっしゃらない方のためにどんなお話なのかを簡単にお話ししますと、「人生100年時代」はものすごくキャッチーなキーワードですけれども、それが到来しますよということで、大きく学びに変化を与えていく必要があるということです。
人生100年時代になりますと、「20代までに学生として学んで、20代から60歳の定年まで1つの会社で勤め上げて、その退職金や年金で余生を過ごす」という今までのライフプランが通じなくなってくることが前提としてあります。そうやって働く期間が長期化して、なかなか現役を引退できなくなることがまず1つ。
そうしたときに、テクノロジーの発展からも大きな後押しがあります。今までは働く場と生活の場、つまりワークとライフが分かれていたんですけれども、その統合がどんどん進んでいくこともあります。これもやはり働き方に大きな影響を与える1つの要因なんですね。
働く期間は長期化するけれど、テクノロジーの進展によって働く時間そのものは長時間でなくなるだろうと。そういった予測がありまして、「じゃあ、その短くなった時間で何をしていくのか?」が、よりライフを充実させるために求められてきます。
今までお休みというと「recreation」、余暇の時間だったのが、「re-creation」に。自分自身を新たにつくり出す時間になるということをおっしゃっているんですね。自分をつくり出すというのは学びそのものですから、学びの必要性が非常に増していますと。そんなことを述べられている本です。
徳田:なるほど。まさしく今を生きるみなさんに必要だということですね。
清水:そういうことですね。
徳田:けっこう「読みましたー!」とか「まだ読んでません」とか、「必要なところから読み始めています」みたいなコメントをいただいていました。
清水:必要なところからでも十分かと思いますので、ぜひ目を通してみてください。
徳田:そうですね。じゃあ、読んでいないという方も今回しっかりと学んでいけるように、授業を進めてまいりましょう。
清水:日本でもライフシフトを追随するかたちで、いろいろと概念をつくられている方がいます。(スライドを指して)こちらは、千葉商科大学の伊藤先生という方が「ライフプランも変わってきますよ」ということで3つにまとめているものを、私のほうで概念化したものです。
まず1つ目のライフプラン。「ライフプラン1.0」と書いてありますけれども、これはいわゆる高度経済成長期の団塊世代です。お父さまぐらいでしょうか? もうちょっと上ですかね。
徳田:そうですね。
清水:という方々の世代で、終身雇用や結婚が前提としてあり、家族形態も会社員の方と専業主婦で、60歳で定年を迎えて、豊富とは言えるかどうかわかりませんが退職金と年金をあてにできる世代ということですね。その方たちのライフプランが1.0。
徳田:1.0。
清水:はい。平均寿命でいうと、だいたい70〜80歳ぐらいまで生きる方々ですね。
2つ目。ライフプラン2.0がどんなものかというと、こちらはバブル世代から団塊ジュニア世代で、私もまさにこちらに当たってくるのかなと。
徳田:おっ、先生は2.0。
清水:ちょうどバブル期の最後の年に入社した組なので、こちらに当たるかなと思います。
転職する方もだいぶ増えてきているんですが、1つの会社に勤め続ける方も依然多いということで、4人に1人が未婚のまま退職するという、ちょっとショッキングなデータも出つつあります。
共働きの方も増加しているんですけれども、年金に関しては、私も年金のお便りをいただくと「あれ?」となる感じにじりじり低下しています。退職金はあるんですけれども、景気の悪い時期をモデルにしているので、ちょっとあてにするのは難しいかなと。
それまでの社会変化に対応することがなかなかできなくて、いろんな制度面のほころびが出てきていて、ライフプランを立てるのがやや難しくなってきているということが言えるかなと思います。生きる長さとしてはだいたい80〜90歳ぐらいということですね。非常に問題が噴出している世代です。
徳田:だんだんと出てきたというところですね。
清水:そうですね。最後の3つ目、ライフプラン3.0なんですけれども、先ほど言った100歳まで生きる世代ということで、世代的に言うと「ミレニアル世代」。聞いたことはあるでしょうか。
徳田:はい。
清水:2000年以降に成人を迎えたり、社会人として働き始める世代ということで、そうなってきますとやはり仕事自体の変化も激しいので、転職も当然になってきます。夫婦で働くだけではなく、一緒に子育てもしていくのも当たり前になってくるということですね。
先ほどのライフプラン2.0のいろいろな反省も踏まえ、自覚的に老後を考えていくことが求められます。つまり、二毛作・三毛作というライフステージやキャリアステージを考えていく必要があるのがライフプラン3.0になります。
徳田:(スライドを指して)こう並べるとけっこう違いますよね。変わってきているなと感じます。
清水:そうですね。はい。
徳田:受講生のみなさんからも「私も2.0世代」というコメントをいただいていますが、みなさんがどの世代に当たるのか。
清水:そうですね。ぜひうかがってみたいですね。
徳田:そうですね。ということで、今先生からライフプランのご説明をいただいたのですが、受講生のみなさんはこの中のどれに当てはまるのか、ぜひ1.0、2.0、3.0で教えていただければと思います。
どうですか、気になるコメントはありますか? (タイムラインを見て)「もう年金は信用しないことに決めました」とか(笑)。
清水:そのほうが、あてにしていて何かがあった時よりはいいかもしれませんね。
徳田:そうですね。「自分で」ということで。それから「僕はもしかすると、これまでの日本人が経験したことのないような生き方のモデルケースを作っているのかもしれない」と。
清水:なるほど。まさにこれからを作り上げるというコメントですね。
徳田:(タイムラインを見て)富田さんからは「ライフプラン2.0世代ですが、3.0にシフト中です」とコメントをいただいています。
清水:まさにそうですね。私も世代的には2.0なんですけれども、やはりこれだけいろんな問題が出てきているところなので、自分も積極的に。年齢的には違うんですけれども、3.0のほうにシフトしていこうかなということで、キャリアも二毛作・三毛作を目指していきたいなと思っています。
徳田:さあ、続々とまいりましたが、3.0と2.0の方がいますね。
清水:そうですね。3.0がやや多いかと思いつつ、2.0も多いという感じですかね。
徳田:そうですね。ありがとうございます。
清水:ありがとうございます。
徳田:1.0の方はいないみたいですね。
清水:そうですね。
徳田:ありがとうございます。では、みなさんのライフプランがわかったところで、進めていきましょうか。
清水:はい。マクロの話をしましたので、次は「現代に求められる仕事の能力はどう変化していくのか?」を見ていきたいと思います。
まず、あるデータをお見せしたいと思います。(スライドを指して)こちらはアメリカのデータなんですけれども、アメリカの人口におけるルーティンワーク……つまり定型業務ですね。決まった業務をするルーティンワーク就労者の割合のデータなんです。
1968年から2014年までのデータを見ると、ルーチンワークの割合がどんどん下がってきていると。やや目盛りが恣意的かなという気がしなくもないんですけれども、減っているということは読み取れるかなと思います。
あともう1つ、縦にグレーの線が入っていますが、これは不景気と呼ばれる時期なんですね。記憶に新しいところですと、2008年のリーマンショック。これが大きな不景気になったことがあったかと思います。
みなさんはこのデータを見て、どんなことに気づかれるでしょうか。ルーティンワークが減っているということがまず1つ。もう1つはなにか。
徳田:なんでしょうか……ああ!
清水:なんでしょう?
徳田:このグレーの不景気のときに減るんですか?
清水:そうなんですよ。おっしゃるとおりです。不景気になると雇用が減るというのは当然なんですよね。なので、不景気のときに(ルーティンワークが)ガクッと減ることがまず1つ目。
もう1つはちょっと怖い事実なんですけれども、不景気でいったん減ると、そのあと景気が良くなっても復活しないという線なんです。
徳田:うーん、怖いですね。
清水:非常に怖いですよね。つまり、不景気の時代に機械やITによってこういうルーティンワークを置き換えてしまうと、そのあといくら景気が良くなっても、人間を再度雇うことはないということなんですよ。
ですので、不景気のときに大きなシフトを迫られる方も増えてくると。とくにルーティンワークに就いている方は危機感を抱かないといけないかなという、ちょっとショッキングなデータです。
徳田:はい。
清水:さらにもう1つ進めていくと、AIがありますよね。「AI時代」とすごく叫ばれているんですけれども、じゃあAI時代に仕事がどんなふうに変わってくるのかという予測として、こちらもリサーチデータをいくつかお見せします。
(スライドを指して)3つあるんですけれども、1つ目は仕事の約35パーセントがロボットかAIに置き換えられると。かつ、年収3万ポンド、日本円でいうと約550万円未満の方は、年収12万ポンドの方に比べると、(AIに仕事を)奪われる可能性が5倍高い。
徳田:5倍も!
清水:これはイギリスのデータですが、非常に低収入の方はただでさえ不安なのに、さらに不安を煽るようなことが言われています。
徳田:厳しいですね。
清水:2つ目なんですけれども、こちらもオックスフォード大学のデータですね。今後10〜20年間で、ITの影響でアメリカの700の仕事のうち半分がなくなりますと。総雇用の約半分が失業リスクにさらされる。これもつらいデータですよね。
徳田:つらいですね。2人に1人が失業すると言われているようなものじゃないですか。
清水:そういうリスクにさらされるということですね。10〜20年でだいぶ厳しくなってきました。
徳田:厳しいですね。
清水:最後に、ここ数年でアメリカの会計士・税理士の需要が8万人減っている。これはもう実際に起きたことなんですよ。
徳田:これはすでにAIに代用されているという?
清水:AIやITなど、そういうことですよね。
徳田:ほう。
清水:だいぶショッキングなデータですよね。とくに一番最後のデータ。単純業務だったらまだ「致し方ないかな」というところもあったと思うのですが、会計士・税理士はいわゆる高収入が得られそうだとしてみなさんが目指される高資格、という感じだと思うんです。
だけど、そういった非常に高度なスキルが必要なものでも置き換えられてしまうリスクにさらされている。これがAI時代の非常に怖いところかなと思います。このデータを見て、みなさんはどうでしょうか。
徳田:怖すぎる予測ですよね。(タイムラインを見て)「怖い!」とおっしゃってる方も。
清水:怖すぎるという感じです。
徳田:これから生きていかなきゃいけないのに、どうしたら……。
清水:そうですね。さらに仕事が減る、みたいなお話ですよね。
徳田:本当に。
清水:ただ、いたずらに不安だけを抱いてしまうとやっぱりよくないと思うんです。こういった世の中が大きく変化するタイミング、例えば産業革命や農業革命のときは、当然ながら今までの仕事は減るんですけれども、新しい仕事も生まれてくるわけですよね。手作業でやっていたことが機械化されて早くできるようになると、次は流通という仕事が生まれるとか。
そうやって新しい仕事は生まれてきますので、ちゃんとそれにシフトできるかどうかがやっぱり求められてくるわけです。
「1つの資格を取って安心」「1つの仕事で一生」というのはない代わりに、できるだけ早くシフトできるような学び力がより重要になってきますよと。逆にそれが武器になってくるという裏づけだと思っていただければ。まあ、いたずらに怖がらないでくださいというところですかね。
徳田:怖がらずに。ここにいるみなさんは一緒に予測できるので。
清水:予測できますし。
徳田:シフトしていく準備をね。
清水:そうですね。「土曜日の9時から勉強しよう」という方々なので、あんまり恐れないでほしいかなと思います。
関連タグ:
2024.10.29
5〜10万円の低単価案件の受注をやめたら労働生産性が劇的に向上 相見積もり案件には提案書を出さないことで見えた“意外な効果”
2024.10.24
パワポ資料の「手戻り」が多すぎる問題の解消法 資料作成のプロが語る、修正の無限ループから抜け出す4つのコツ
2024.10.28
スキル重視の採用を続けた結果、早期離職が増え社員が1人に… 下半期の退職者ゼロを達成した「関係の質」向上の取り組み
2024.10.22
気づかぬうちに評価を下げる「ダメな口癖」3選 デキる人はやっている、上司の指摘に対する上手な返し方
2024.10.24
リスクを取らない人が多い日本は、むしろ稼ぐチャンス? 日本のGDP4位転落の今、個人に必要なマインドとは
2024.10.23
「初任給40万円時代」が、比較的早いうちにやってくる? これから淘汰される会社・生き残る会社の分かれ目
2024.10.23
「どうしてもあなたから買いたい」と言われる営業になるには 『無敗営業』著者が教える、納得感を高める商談の進め方
2024.10.28
“力を抜くこと”がリーダーにとって重要な理由 「人間の達人」タモリさんから学んだ自然体の大切さ
2024.10.29
「テスラの何がすごいのか」がわからない学生たち 起業率2年連続日本一の大学で「Appleのフレームワーク」を教えるわけ
2024.10.30
職場にいる「困った部下」への対処法 上司・部下間で生まれる“常識のズレ”を解消するには