2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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宗像淳氏(以下、宗像):大庭さんのSNS活用ということで、ちょっとお話をお願いします。
大庭啓太氏(以下、大庭):僕は大学生なので、どちらかというとアイドルの方や有名人の方をフォローしている立場にあるんですけど。基本的に友だちの中で会話が始まる時や「どこどこ行こうよ!」というのは、僕の世代では、SNSの続きを話すことが普通になってきているなと(思います)。
古川未鈴氏(以下、古川):えっ、超新鮮(笑)。
大庭:僕の父親や母親の世代が会うと、近況報告から始まるのが普通だと思うんですけど、SNSでみんなそれぞれが近況報告していたことから、話が始まるんです。
宗像:なんとなくわかる気がします。
江守敦史氏(以下、江守):ヤバい、近況報告してるかも(笑)。
大庭:今回のテーマについてお話すると、ニュースやどこかで地震がありました、震災がありました、という情報も、僕ら世代はSNSで知ることが多いんです。
だから、大きな流れと社会を変えるための一歩みたいなものも、そこ(SNS)で知って現地に行ってみようとか。僕が高校3年生で17歳の時に、ちょっと前にネパールで大地震が起きたんですよね。それをTwitterやインターネットなどを介して知りました。
自分はその時カナダにいたので、言い方は悪いかもしれないですけど、自分が育った日本よりも貧しい国で、東日本大震災のような大きい地震が起きていると聞いた時に、「どうなっているんだろうな?」という方向性のなかで興味が出て、「行ってみたいな」と思ったわけですよね。
その場で、インターネットで(ネパール行きの)飛行機のチケットをとろうと思ったんですけど、高校生なのでもちろんお金もなくて行けないなと思って、どうしようかなと親に言っても「そんな危ない国やめておけ」と。
古川:それはそう言われると思う。
大庭:その時に、東南アジアでけっこうテロがあったので余計に、周りに言っても「いやあ無理だよ」とか。
古川:それは怖くなかったんですか?
大庭:怖いというより行ってみたいという欲のほうが強くて、もう「行かなきゃ」という感じでした。どうしようかなと思った時に、それもインターネットで解決したんですけれども、クラウドファンディングというサイトを見ました。
何かやりたいというファーストペンギンが出てきて、それでサポーターがお金を渡してシェアするという仕組みがあるんですけど、それがクラウドファンディングというものだと。
「ネパールに行きたい。飛行機とろう。でもお金がない。クラウドファンディングだ!」という流れを3分ぐらいで思いついて。
宗像:へえ、すごい!
大庭:その場で、このReadyforという会社に連絡して「17歳で今カナダにいるんですけど、どうしてもネパールに行きたい。とりあえず1回会ってくれ」と(メッセージを)送りました。カナダにいたので(直接は)会えなかったんですけれど、すぐにSkypeで電話ミーティングをして。その場でクラウドファンディングを立ち上げて、旅費とネパールの滞在費と、あと帰ってきてからの報告会もしたいなと思っていました。
17歳が実際に(ネパールに行って)、これは僕が撮った写真なんですけれども、こういう写真をぜひ直接見てもらいたいなと思って、そこにかかるお金を全部クラウドファンディングで負担してもらったという感じです。
宗像:でも、これが13人で21万円ということは、どんな感じなんですか? 大きい金額を入れた人もいるんですか。
大庭:僕の場合は、会ったことがない人からご支援いただいたということが、たぶんほとんどなくて。この間、都内でネパールフェスティバルというのがあったんですけれど、そこに出向いて「ちょっと僕の写真を飾ってほしい」と。
その写真を見てくれている人に、クラウドファンディングを紹介して、ぜひ支援していただきたいですということを直接お願いしました。そのツールとしてクラウドファンディングがあるということです。
宗像:なるほど、なるほど。
大庭:1人あたりの支援していただいた金額が多いという、ちょっと特殊なパターンかもしれないですね。
宗像:なるほどね。はい、わかりました。ありがとうございます。そういう意味だと大庭さんにとっては、行動を起こすということと、それを実現するために、バリアはSNS活用で乗り越えたという感じですね。
大庭:そうですね。活動する上でSNSは絶対に必要なんですけど、僕はどちらかというとSNSで見たものに興味を持って、行ってみたいというタイプなので、今やっている団体のスタディツアーも「反日行動が韓国で起きている」「じゃあ実際に起きているのか」を、自分の目で見てもらいたいということがあって、それで大学生に実際に韓国に行ってもらったり。
宗像:あっ、それでそうつながるんですね。なるほど。大学生がいろいろなところに(行って)自分の目で見ようよ、向こうのことを勉強しようよ、という活動をされているので。
大庭:この間は、それこそ東北の女川(おながわ)という仙台から2時間ぐらいの街に行ってきたんですけど、そこで生産者と大学生が話す機会を設けて、帰ってきたら女川に住みたい、半年住むという仲間がいっぱい出てきたり。そういうことが一番うれしいなと思います。ぜひ、森さんが携わられている農家さんでスタディツアーができればなという。
森:ああ、いいですね。
宗像:ああ、いいですね。この後打ち合わせをしたらいいんじゃないですか。
古川:じゃあ、そこででんぱ組.incライブなんかも(笑)。
宗像:いいですねぇ(笑)。そういうスピード感もやっぱり大事ですよね。お話をおうかがいして、SNSだからといってSNSだけでは完結しないのかなと思いました。直接人と会うとか、そういうイベントで一緒に経験するといったリアルな行動が、SNSを使うとかなり加速される。そういうこともありそうだなとすごく思いました。じゃあ、森さんからお願いします。
森:私もFacebookを活用しているんですけれども、先ほどから話に出ているマルシェのほうですね。本当にお客さんに来てもらいたいという思いがあるので、毎月はできないですけれども、できるだけFacebookで告知をするようにはしていますね。来てくださいというだけではなくて、そこでどういう食べ物なのかということをできるだけ紹介しています。
今は本当はさんまを出したいのですけれども、去年はさんまがすごく不漁で、残念ながら、この浜のさんまは出せなかったんですよね。でも、漁協同士が連絡をとって、北海道の漁師が「じゃあ、うちのを」って出してくれて。
漁協のつながりで販売することができたというふうに、1つの物を販売するにもいろいろなストーリーがあるので、ただ美味しいというだけではなくて、できるだけそういった話も一緒に載せるようにはしてますね。
先ほどの(古川さんのお話にあった「いいね!」)数に関していうと、やっぱり毎月Facebookに投稿していくと、そういうイベントに関しては見る人も慣れているので、やっぱり「いいね!」数が少なかったりみたいなものは(笑)。
宗像:減っていく?
森:減っていく。まあそうですね。とくに私たちの一押しは「ワカメ」じゃないですか。インスタ映えとか難しいんですよね(笑)。
宗像:インスタ映えワカメね(笑)。
森:ワカメで「ええーっ!」っていうふうにシズル感を出すのはすごく難しいですよね。サンマ、ホタテとなるとやっぱりすごいんですけど。
宗像:まあ確かに、「ジュワーッ」みたいな。
森:そうなんですよ。
古川:ホタテは映えますね(笑)。
森:(ホタテはインスタ映えが)すごいんですけど、やっぱり広めていきたいのはワカメなんですよ。(ふだん食べているワカメと)ぜんぜん違うということを伝えていきたいので、それを写真で伝えるのは難しいので、とにかく毎月のように(告知などを)やっています。(Facebookなどではそれほど)反応がないんですけど、けっこう直接会うと「あの毎月やっているワカメって何?」というふうに。
(会場笑)
宗像:ああ、なるほどね。聞いてもらえるんですね。
森:「何でそんなにワカメに熱くなっているんだ」と聞いてくれたりするので、やっぱり反応がなくても定期的にやっていくことってすごく大切なのかなと。
古川:告知って反応ないですよね?
森:難しそう(笑)。
古川:「いついつライブあるよー!」ツイート、「うーん」みたいな(笑)。
(会場笑)
古川:それで写真とか載せると集まってきて。良かった、告知に関して森さんと同じ悩みがあったとは(笑)。
森:告知が伸びないことはあります(笑)。
古川:あるでしょ(笑)。でも、あまり告知っぽく見せないようにしたり、ちょっと工夫しています。
森:私もホタテの告知をする時に、一度、先ほどのように現地の20枚ぐらいの写真と共にホタテの告知をしたんですよ。そうしたら、みんな「うわー、あの告知」と思ったのか何かわからないけど、「いいね!」みたいな感じで(押してくれて)。それで、最後のほうに「ホタテ売ってます」という。やっぱり見せ方みたいなものは、毎月やっていることだけに、すごく難しいなというふうには思いますね。
宗像:辛酸なめ子さんってご存じですか? あの人のブログやTwitterが好きで見ているんですけど、ちょっと告知を隠しているというか、最後にチョロっと告知する工夫をされているんだろうなと思います。
古川:SNSは、この工夫も大事ですよね。
宗像:使いこなしていくには大事ですね。ありがとうございます。
宗像:けっこう盛り上がっておりまして、時間も若干押しているんですけども。僕は日本人として生まれていますし、今日の参加者もほとんどが日本人の方かなと思うのですけど、なにかで一歩踏み出す時に、僕らは謙虚なところがあったり、みんなが動いているとわりと参加できても、2人目、3人目になるのはちょっと苦手だったり、1人目になるのはもっと苦手ということがあるかと思います。
そこで、次のテーマは、日本人である僕らがどうやって乗り越えるきっかけを持つのかということです。実は、森さんは日本語の先生をやられていて、たくさんの外国人の生徒に教えているということで、外国人だとやっぱりここが違うよねとか、こういうところは良い意味で真似したらいいかも、とか。何かそういったことをお話いただけますか?
森:そうですね。ファンという切り口でいうと、私の生徒たちは、日本のファンだから日本にきているんですよね。日本の伝統的な文化が好きという人もいれば、それこそ今で言うとアイドルとかゲームだったり、声優さんですかね。
そういったものがすごく好きで日本に来ているので、まずは日本のファンということで、私から見たら何てこともない日常のものすべてが、彼らにしてはすごく新鮮で、もうやっぱり「The Japan」という感じなんですよね。なので、たいやきと自撮りするとか。
古川:アイドルはたいやきと自撮りしがちですけどね。
森:本当!?(笑)。
古川:たいやきはわりと自撮りポイントですね(笑)。
森:すごい、知らなかった。そうなんですかね(笑)。なので、自分にとっては普通のもの、当たり前になっているものが、海外の人から見ると「すごくおもしろい!」という目線になる。日本と海外に限らず、どこの人に何が引っかかるかわからないということはいつも思ってます。
けっこうみんなSNSで発信するのが上手なんですけれども、私はあまり自撮りができなくて、もしたいやきを載せるなら、たいやきしか撮らないと思うんです。外国人はけっこう自撮りも上手だし、セルフィーとかも使って、すごく楽しんでいる様子をまず載せる。
「私、日本大好き!」という自分の気持ちを第一優先でやっている感じがすごくあるので、本当に反応というよりも、自分の好きなものをすごくアピールする。楽しいをアピールするのが上手だなという気はすごくしますね。
宗像:なるほどですね。遠慮せずに楽しんでいる、好きというのを出しちゃうみたいなことですね。
森:そうですね。それがすごくあると思います。
古川:海外に行くと、本当に日本ってすごいんだなってわかります。でんぱ組.incもワールドツアーをやったことがあるんですけれども、Japan Expoなどに行くと「本当に日本の文化でこの規模のイベントができるんだな、しかも海外で」というところが。海外に行くと、日本の良さにより気づきます。みんな「NARUTO」のコスプレとか本当にすごいです。
宗像:けっこう漫画とかYouTubeとか見て、日本にいないのに日本のことをすごくよく知っていたりね。
古川:私より日本人らしい外国人の方とかね。
森:漢字の勉強を始めると筆を出す人とか(笑)。
(会場笑)
宗像:マジですか(笑)。
森:授業は鉛筆なのに、「漢字を書きます」と言うと筆を出すフランス人とか(笑)。
古川:そういうイメージなんですかね。
森:こっちよりも和、Japanを大好きというのがあるので、そういうのは本当におもしろいですよね。
古川:うれしいですよね。
森:うれしいですね。本当にこっちも気づきになるというのがありますね。
宗像:何か前に聞いた話なんですけど、アニメで日本が好きになったフランス人が、実際に日本に来て、東急ハンズに行ったらお弁当箱がすごくたくさんあると。
「ああ、これが漫画に出てたあのお弁当か」みたいになって、「これフランスで売れるんじゃね?」ということで、仕入れて売ったらしいんですね。そうしたらバカ売れしたらしく、なんと会社を作って、お弁当箱を売りまくっているらしいんですよ。
古川:お弁当とかもたぶん(フランスには)ないんですよね。
森:ないです。
宗像:ないでしょうね。日本独特でしょうね。
森:「これがジブリで出てきたお弁当箱か」みたいな。
宗像:そうそうそう、そのノリですよ(笑)。
古川:海外の方と話をしていると日本の文化に気づくなって思います。
宗像:そうですね。なので、いろいろな人と触れ合うこともいいでしょうし、自分では気づいていない自分の良さを発見できるのもいいですよね。大庭さんいかがですか?
大庭:僕は中学校3年生の時から高校を卒業するまでカナダにいて、現地の高校を卒業しているんですけど。それが、シリアから難民の人たちがちょうどカナダに入ってきた時期で、実は世界で2番目に難民を受け入れた国がカナダなんです。
僕の住んでいた地域にもシリアの子どもたちが逃げてきているという状況でした。僕は最初「あっ、カナダにシリアから難民の人たちが来ているんだ」ということをSNSで知って、興味を持ちました。
それで、どこに行けばその人たちの声が聞けて、その人たちの顔を見られるのかと考えた時に、近くの小学校にシリアの子どもたちが勉強に来ていると聞いたんです。そこで実際にボランディアを始めて、卒業してからも行っていたので、たぶん合計2年弱ぐらい、英語や数学を教えていました。
宗像:そういう意味だと、大庭さんの中ではSNSがきっかけで(いろいろな情報を)知ることが多い印象なんですけど、どういう使い方をしているんですか? 特定の人をフォローしていたりとか。
大庭:その時はカナダの大統領をフォローしていたり、Twitterで興味あることを見つけて、それをさらにググるみたいな。
宗像:なるほどね。
大庭:自分が興味があってなにか活動したことを発信したり。これ(シリア難民の子どもたちに勉強を教えること)も、最初は僕が1人でやっていたボランティアでした。
古川:1人!?
大庭:それを、僕がこういうことをやってます、とTwitterやインスタに上げているうちに、「僕もやりたい」「私もやりたい」という感じで、最後は各国の留学生たちが(ボランティア活動を)助けてくれたという感じです。
古川:超ファーストペンギンじゃないですか。
宗像:すごーい!
大庭:それが今も続いているという感じで。
森:大庭さんのTwitterは、英語と日本語でやってるの?
大庭:カナダに行っていた時はみんなインスタをやっていたので、インスタとFacebookは常に英語でポストして、という感じです。Twitterはけっこう日本特有で、アジア中心なのかなという感じです。
宗像:そうなんですね。
古川:学生の頃に留学すると本当にいいなと思うんですよ。私はぜんぜんそういう経験がなかったので、もし将来子どもができたら、絶対に留学させようと思ってます。
大庭:今、2回目の留学中でタイにいます。
宗像:あれ? いつ戻られたんでしたっけ?
大庭:昨日ですね。
宗像:そうなんですね。
古川:すごーい!
大庭:実は一番遠く(から来た参加者)は、奄美じゃなくてタイだったという(笑)。
(会場笑)
大庭:ずっと言いたかったんですけど、言えなかったんです。
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