2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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尾原和啓氏(以下、尾原):子どものころに読んだ「やっぱりおおかみ」という絵本があるんですが、(作者は)佐々木マキさんと言って、村上春樹さんの(作品の)絵を書いていらっしゃる方の本なんです。
内容は、はぐれおおかみが、仲間を探しながら歩いていくという話で。あるときは馬の町に行って、あるときは羊の町に行って。場合によっては、お墓にあるおばけの町に行ったりします。「仲間がどこかにいないかなぁ」と探しているんですけれど、なかなかみつからなくて。
普通の絵本なら、最後におおかみの仲間をみつけて、「めでたし、めでたし」となりますよよね。でも、これはそうならないんですよ。最後、「オレは一人でいいや。一人で生きていこう」と言って歩いて行くという。
伊藤羊一氏(以下、伊藤):それで終わりですか?
尾原:そう。
(会場笑)
伊藤:なんてシュールな。
尾原:「これ、オレだ!」と思ったんですよ。ちなみに、そのあとに読んだ絵本がひとつ目族の話で。ぼくたちは大多数の方がふたつの目がある世界に住んでいますが、(ふたつ目を持った)ある子どもが、ひとつ目族の世界に紛れ込んでしまうんですよ。
そうすると「ふたつ目だ!ふたつ目だ!」と、みんなからビックリされて。見世物小屋に入れられて、そこから逃げるんですね。「ふたつ目でありがとう。うれしいよ」という絵本なんですね。これをみたときに、「ふたつ目であることが少ない国に行けば、こんなにオイシイんだ!」と思えたんですね。
篠田真貴子氏(以下、篠田氏):ほおー。
(会場笑)
尾原:ここで僕は、はずれモノであればあるほどオイシイということと、もうひとつは、人と違うことを思いつける自分が大好きだということに気づいて。
尾原:ストレングスファインダーをやったことがある人はいますか? 全部で37個の「強み」があって、(自分の強みがなにかわかります)。ぼくは何回も受けなおしたんですが、ずっと「着想」が一番なんですよ。
伊藤・篠田:へえー。
尾原:だから、着想だけあれば、ぼくはおかずがいらないんですよ。着想レンジは便利で。例えば、篠田さんもなにか思いつきますよね。普通の人なら思いついたものでビジネスをするんですね。ぼくにとっては思いつくこと自体が価値だから、思いついたあとのことは、ぼくにとってはいらないものなんですよ。
篠田:飽きてしまうんだ。
尾原:そう。だから誰といても争わない。
伊藤:すごいわ。
尾原:そう。だから人から気前がいいと思われるんです。「尾原さんは、なんであんなに気前がいいんですか?」と。だって、思いついたあとのアイデアは、オレにとってはもう価値のないものだから。人とズレたものが自分にとって大事なものだと気づけると、それ以外は全部あげられるんですよ。
伊藤:なるほど。そうすると争わない。
尾原:そう。
伊藤:なるほど、ありがとうございました。
伊藤:それでは質疑応答に入る前に、尾原さんの(描いた絵について)最後に3人で話しておきたいんですが。
尾原:あの絵ね。あの絵はいい絵ですね……。
伊藤:そう、あの絵をみたときに、ちょっと涙がでて。ちょっと描いてみましょうか。見たことがある方もいらっしゃると思いますが……ホワイトボードの裏にでも描きますか。結局、どういう絵かと言うと、さっき篠田さんと「これなんだよね」という話を(していて)。
尾原:なんかでてきた。準備がいい。
伊藤:こういう絵です。
伊藤:グロービスの授業で、必ず描くんです。まったく同じ絵を。
尾原:へえー。すごい。
伊藤:それで尾原さんが、この絵を「どこでも誰とでも働ける」の一番最後に(載せたんですよね)。
尾原:そうですね、もっていきたかった。
伊藤:それを見て、ぼくはちょっと涙が止まらなくなってしまった。そうしたら篠田さんもね。これって、篠田さんの引用なんですか?
篠田:そう。私はこうやって絵は描いていないと思うんですが、言葉で「あなた対わたし」ではなくて、「私たち対課題」というところに構造をいかに変えるかで、いろいろ突破できるし、幸せにもなるというようなことを話したり、Facebookでも書いたりしていて。
伊藤:そう。
篠田:尾原さんがそれをちゃんと本に書いて(くれたんです)。しかも進化していて。「すごい!」と。
伊藤:争わないというところから、ちょっとこの話をしたいなと思って。篠田さんもFacebookで書かれていて、尾原さんも本を出していて、僕もグロービスで(描いていて)。偶然なんですが。
伊藤:つまり、同じレベルで話をしているから人は対峙するんだと(いうことですね)。(視点を)ぐっと上げていって、ぜったいみんなが共有できること、すなわち「世界平和」というようなことで言えば、ぜったいにみんな対立なんてしない。こういうところまでもっていけばいいんだということです。
尾原:まったく意味は違うかもしれないけれど。
伊藤:なんでそう考えたんですか。
篠田:もともとは自分の幸せということではなくて、マッキンゼーでスキルとして(学びました)。マッキンゼーのクライアントは大企業なので、部署によって課題認識が当然違うわけですね。
営業は「開発が悪い」、開発は「営業が悪い」……どこの会社でもあるんですけれど。それを解決しようという話ではないんです。「それは営業が悪いよ」というような話ではなくて。
そもそもの課題はぜんぜん違う別のところにあって、それが根本原因だから(こう)なるよねと。その構造イメージを覚えていて。ついでに言うと、羊一さんと私が机をはさんで話してしまうと、対立構造となって解きづらくなるので、どちらかがホワイトボードに書く。
尾原:今みたいにね。
篠田:そうそう。そうすると、具体的に「我々対課題」になる。この肉体感がすごく大事というのを教わったし、仕事でも体感したんですよね。今では自分が生きていくためにその応用範囲をどんどん広げています。「子どもと私」もそうなんですよ。
子どもは「寝ない」と言う。私は「寝ろ」と言う。これについてどうやって決着をつけるか? というのもそうです。仕事の場面でもそうです。他にも例えば、ほぼ日の上場であれば、細かい論点で対立するより、「ほぼ日が大事にしている価値観」と「市場が求める価値観」を包含する視点を探す。さっき言ったように、自分が通訳っぽいことが好きなので、こういうアプローチがしっくりくるようになったのかも。
伊藤:このイメージが常に頭の中にある。
篠田:そう。
伊藤:僕も思わず読んだ瞬間メッセージしましたが、尾原さんがこれを最後にもってきたというのは、どんな瞬間のメッセージなんですか?
尾原:すごくアツいメッセージですね。
(一同笑)
伊藤:泣きながらですから。
尾原:そうそう。
篠田:「おばらさーん」というような。
(会場笑)
尾原:僕、成長は嫌いなんですが、着想の人だから一番解きにくい問題を常に頭の中に置くということをずっとやっていて。今でこそ当たり前のことのように見えますが、この5年ぐらいはずっと「インクルーシブ」という言葉を追いかけているんです。
「インクルーシブ」という言葉はいろんな人が知っていると思うんですが、排他的に「アイツはいらない」「オレとだけ仕事しよう」とするのではなくて、インクルーシブは誰とでも包摂……日本語だと難しいな。
違いを楽しめるということをずっと考えていると、結局「お前はいらない」というのは、同じレベルにいるから生まれるんですね。それを上にあげていくと、「いっしょに歩んでいこうよ」となる。特にこれは、遠くに行けば遠くに行くほど、同じ旅をいっしょにする仲間になるんですよ。
伊藤:視点も?
尾原:そう。「いっしょにみようぜ」というのを一つのインクルーシブの考え方にしていきたいなあと。引用で使ったときでいうと「モチベーション革命」という本があって、年上の人からみると今のゆとり世代は「すぐに辞めやがって」というように、理解の壁の部分をみてしまっている。それがいっしょに歩んで行けるようになるとステキだなと。
伊藤:向き合って対峙するのではなく、こっちを見ようねというのは別の議論でもあって。
尾原:そうそう。そうすると、むしろ相手ができないことが出てきたときに、「やってあげようよ」となる。
伊藤:同じだ。本当にビックリしました。ということで、3人バラバラのようですが、この絵においてはまったく一致しているという、そういうことですね。
尾原:そうですね。
伊藤:それではそろそろ質疑応答に入りたいと思います。ここからまだまだ余裕で時間がありますので。
尾原:なんでもこたえるよ。
伊藤、海外のカンファレンスや学会などでは、わりとこういう感じ(の質疑応答スタイル)でやるようです。
尾原:こういうスタイル?
伊藤:(スタンドマイクを指し)質問したい方はここに並んでください、ということで。 尾原:GoogleにはTGIFと言って、毎週金曜日に、必ずラリーかセルゲイが参加する全社集会があって。スタンドマイクがあって、そこに並ぶんですよ。しかも、よっぽどのことがない限り、全員がいなくなるまで答え続けるという。すごかったのは、Googleが中国を撤退すると決めたとき。ものすごい数の人が並んで、全員が同じ質問をしてくるんですよ。
(会場笑)
「なんで中国を撤退するんですか?」という質問に対して「Googleはこうで」とラリーがこたえて。次(質問に)でるやつが同じことを言って(笑)。
伊藤:なるほど(笑)。最近バズっていた記事で、日本の人は質疑応答のときに質問しないで、あとで名刺交換のときに「実は質問があるんです」と言うと。それなら「最初から質問しろ!」というような記事があって。
その通りだなと思って。ここで一気に全部こたえたほうがいいなあと。そんなことで試しでやってみます。
尾原:オーディエンスを追い込みますよね。さすが。
伊藤:いやいや。ダメだったら次回はやめるので。どうですか?
尾原:最初に行ったほうがつまらない質問ができるよ。
伊藤:いいですね。この感じで。大体ストレスがかかりましたね。この感じ、いいですね。(質問者が)並ぶと。
質問者1:お話ありがとうございました。私はメーカーで働いていて、今日の話はすごく理解ができ、楽しく聞けました。途中……最後かな、篠田さんが「得意でなくて好きなんだ」と言っていたと思うんですが、みなさんはそれぞれお自分がなにが得意なのかを聞きたいと思いました。
伊藤:これ、いきましょうか。得意なやつ。
尾原:得意ですか。僕は、誰よりもキャッチアップして、それを人にわかりやすく説明するという技能が得意。さっき言ったように「ここではない」と思っているから。新しい世界に行かないと僕は死んでしまうので。生き残るための技能ですね。
伊藤:では、篠田さんは。
篠田:私は、さっきも言いかけたことかな。「得意」は「好き」と若干かぶるんですが、もともと私は、利害が対立する大企業の政治状況がぐちゃぐちゃなところで「まあまあまあまあ」と言いながら、とりあえずみんなのこたえをまとめるのが、わりと得意でした。
尾原:得意というか、スキですよね。
篠田:キライ。
(会場笑)
尾原:キライなの?(笑) すごく腕まくりして、飛んで行っているイメージがするんですが。
篠田:役に立つなと思うからやるし、そこで対立していることをいろいろ総合して話が進まないことにものすごくイライラするので、やるんです。
ほぼ日に移る前は大きい会社にいたので、わりとそういうことが時間の8割〜9割を占めるわけです。それで、それに飽きて。ずっとここでこれをやっているのはいやだなと思うようになりました。
質問者1:人から「あなたは、こういうのが得意だよね」と言われたんですか。
篠田:両方です。私は、この人にまず聞いて、こういうこたえを引き出して、こうすれば、みんながとりあえずバーッといくよね、というのについて、なんとなく自分でシナリオを描き切る。まずみなさんも描くんですが、私より遅い。
(私は)動いて違ったら修正する。結果、動きが早いので、社内的に結果がでる。そうすると、外資系だったら……ファーストネームなので、「真貴子ならいける。やらせろ」という話になって、そういうスパイラルに確実に入っていく。もしかしたら私の元同僚がFacebookで聞いて、すごく笑っている可能性がありますが、たぶん、そうねという。
尾原:でも、得意なことは、自分にとって当たり前のことが多いから、いろんな人に聞いたほうがいいですよ。それから、ふだん付き合っていない人と、ボランティア的にプロジェクトをやってみると、意外と得意だったというのを教えてくれるから。
伊藤:ちなみに僕が一番得意なのは、人を無駄にアツくさせることですね。
(会場笑)
大体無駄なんですよね。そんなにアツくなんなくてもいいだろう、というところでも、「どうしても羊一さんと話したい!」となる。
(会場笑)
尾原:サイコー!(笑)
伊藤:「もうやっちゃりますよ!」と。「もうちょっと落ち着いたほうがいいよ」という状況にするのが、けっこう世界レベルだと思います。
(会場笑)
尾原:本当、本当。そのアツさがなかったら、職場以外の人間に6分間もしゃべらせることはできないよ。ビックリした、アレ。普通はやらないよ、
伊藤:そうですね。でも、アレは6分間もいっていないです。途中から「あと4分」「あと3分」と言って短くしていったので、実は最終的には5分弱です。
尾原:すごいねえ(笑)。
伊藤:人を無駄にアツくする僕が、プレゼンの本を書いたんですね。『1分間で話せ』。さりげなく宣伝しているんですが。
尾原:すごく売れているらしいですね。
伊藤:すごく売れています。今、12万6千部売れています。プレゼンの本ですよ。スキルの本なのに(読んだ人が)「読んだら今日からプレゼンがしたくなりました」「アツくなりました」と言うから、「オレ、文章でもそうなってしまうんだ」と思って「これだわ」と思いました。
今までそれをちょっと恥ずかしいかなと思っていたんですが、いっさい気にせず「アツくいこうや」というような感じになりました。はい。ありがとうございました。
尾原:どうもです。
(会場拍手)
質問者1:ありがとうございます。
(会場拍手)
質問者2:お話しありがとうございました。先ほどの質問とちょっと近いですけど、質問としては「タグのみつけ方・つくり方」のようなものをお聞きしたいです。具体的に、まず1つは「自分がやりたいこと」というような意識があった。一方では、さっき尾原さんもおっしゃっていたように、時代の潮流にあっていなかったり、あるいはそもそもニーズがなかったり、自分は正しいと思っても相手が全然求めていなかったら、その軸って本当に必要なのか。とりわけ、最近印象に残っているのが、藤原和博さんがおっしゃっていて。
尾原:そうですね。もともとタグ系は、あのオッサンの話ですね。
質問者2:どうつくっていくのかというところをお話しいただければと思います。よろしくお願いいたします。
尾原:僕はネタが豊富にあるから、先にどうぞ。
篠田:直接のこたえになっていないかもしれないですが、「なにがタグになるか」というのは、けっこう周りとの関係性の話なので、場所を移ったら、使えなくなるタグがあると思うんですね。私自身、「なにがタグですか」と聞かれても、スラスラと自分のことが答えられないので。ちょっと話がそれました。
私の過去の経験でお話しすると、マッキンゼーは「マッキンゼーコンサルタントとしてのポテンシャルがないよ」と言われて辞めることになったんですね。辞める直前の私への評価は、マッキンゼー的にはおバカさんですが、「人柄はいい」「面白い子だよね」というのはたぶんちょっと言われていた気がします。
そのあとノバルティスに転職したんですが、半年後に人事評価があって。その人事評価で言われたことは、「ものすごく頭はキレるけれど、人当たりが悪い」と。真逆なんですよ。私が半年で変わるはずがないのに。
マッキンゼーにおいては私のタグは、「人当たりはいい」。ノバルティスにおいては「人当たりが悪い」ということになってしまっています。だから「タグのつけ方」とおっしゃったときに、それをつくるのは自分なんだろうかという疑問が、私にはあります。
伊藤:では、僕いきますね。僕のタグというのは、インキュベーション、プレゼンテーション、リーダーシップ開発というところで。インキュベーションのところはプラスで新規事業をつくってまして、ベンチャー企業の方々といろいろ話す中で「会ってみたら?」と言われてサムライインキュベートさんに会いに行きました。そうしたら「スポンサーになってくれ」というからその場でなりました。
そうしたら「いきなり判断してくれてめっちゃ嬉しい!」となって。そうこうするうちにMorning Pitchに呼ばれて、そこで審査員をやってくれと言われました。そしてKDDI∞ラボのメンターに呼ばれまして、そうしたらけっこう評判がいいというので、どこそこのメンターになりました。なんていっている内に、事業開発のお手伝いをたくさんやっていたという、わらしべ長者みたいな流れですね。
プレゼンもそうですね。プラスの営業マンを指導していたんですよ。それをKDD∞ラボでやったら、「すごくいいね」ということで、いろんなインキュベーションプログラムでプレゼンの稽古をしてほしい、とが入りました。
こんな感じ。「何かやって、次に呼ばれて。結果出したから、また呼ばれ、いつのまにかこうなっていた」という。そこに向かうつもりは毛頭なくて。4〜5年前にはこんなことをやっているつもりはぜんぜんなかったんです。ただ、やっているうちにこうなった。これが僕のタグになっていることですね。
「こうあるべき」ということは、まったくゼロという状態で、今にいたっています。
尾原:本当にその通りで。最近タグづけという話が(先行している)。藤原さんもそうだし、岡島さんもそうなので、流行っているから。
やたらめったらTwitterのうしろに自分のタグを貼るバカが増えているんです。
伊藤:(笑)。
尾原:僕は、3つの順番で(お話しします)。タグは浮かび上がるもので、自分から「これ」と決めつけて動ける人は、よっぽどマーケティング的な才能がないと無理なんです。
とはいえ、自分の所属するコミュニティにいる100人のうちの1人ぐらいにはなっておかないと「タグ」と呼べないから、そこまではいかなきゃいけなくて。
これは藤原さんも同じで、「アウトラインが1万時間の拘束」という言い方をしますが、僕は、「やっていて苦ではないこと」が大前提です。昔の人間は根性があるから1万時間も修行できますが、僕のように根性のないやつは、普通1万時間も修行できないわけ。
でも新しいことを知りにいくためだったら、1万時間平気でいろんなところに旅できる。それが僕にとっては苦ではないからなんですよね。だから自分にとって苦ではないところをみつけると、結果的に1万時間ぐらいそこに費やせるから、そうすると1パーセントぐらいラクになれるし。
僕は最近悩みをかかえていて。「好き」をみつけるというのは、単に苦ではないことを、自分で「好きだ」と錯覚しているだけかもしれないと思っていて。でも、それでいいと思うんですよ。だからまず、苦ではないところをみつけて、1万時間ぐらいやってみるというのがひとつあります。
2番目はさっき言ったように、タグは自分で自称してもマーケティング的な価値がないから、他人から言ってもらわなければいけないわけですよ。最近すごくおもしろいなあと思ったのは、僕らの共通の友人に石川善樹という、本当にうれしそうにブラックなことを言う男がいて。
彼が、最近「人脈」ということばかりをみんなが言う中で、最近よく「尾原さんと共通の友だちが35人もいるんですよ」って声をかけられますと。
たぶん石川善樹からしてみたら「おいおい、共通の友人は35人いても、お前の話をその35人からきいたことねえよ」と。「それって、あなたは無価値だということを声高々に自慢していますよね」という話なんだよと、石川善樹が言っていたんですよ。僕ではないですよ。
(会場笑)
これは真実で、結局タグは自分から言うものではなくて、羊一さんのように「プレゼンがアツくていいですね。来てください」と他人から呼ばれるようになったら、それがタグになるので。他人から呼ばれるまで、いかに苦でないことをやり続けられるかで。とはいえ、やっぱり多少は自分の価値パターンにはまりやすいところを選んだほうがいいから。
例えば、僕がなんで『モチベーション革命』を書いたかと言うと、もともとさっき言ったようにインクルーシブにとりつかれていたけれど、タイトルに「インクルーシブ」と書いても売れないよなと思ったので、さっきの相対的な話を調べて。アメリカではゆとり世代のことをミレニアル世代と呼ぶんですね。これについては、300冊ぐらい本がでているんですよ。でも日本で調べたら1冊しか(本が)でていなくて。これなら「勝てる」と思ったんで。
「モチベーション」と検索して、僕の本が検索ページの1ページ目にでるまで、5年はやると決めて。「モチベーション」で検索して検索上位になるメディアを中心に、僕のモチベーションの記事を寄稿していくということを順番にやっただけですよ。だから、ある程度武器がそろえて、その武器を有効活用するんだったら、できるだけ価値が高くないと。
伊藤:さっきのNetflixの話と(近いですよね)。
尾原:近い近い。通用するまでの武器は、人から言われるぐらいまで苦ではないことをやり続けて、できるだけいろんなぶつかり稽古をして、いろんな人から「こういうところがいいね」と格付けしてもらうためのぶつかり稽古を増やしていくしかないですよね。
質問者2:てっぺんをポーンと超えたら
尾原:そうそう。てっぺんをポーンと超えたら、そこからはずる賢く。
質問者2:ずる賢く。ありがとうございました。
(会場拍手)
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