2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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古川健介氏(以下、けんすう):次はトークセッション的な感じです。まずは自己紹介から。
大湯俊介氏(以下、大湯):(けんすうさんに続いて)パート2という感じで。簡単にサービスの紹介と考えてることを少しお話させていただいて、そのあとに2人でパネルディスカッションをしたいなと思っています。そこがメインパートになるので、パパッと進めてまいりましょう。
改めまして、大湯と申します。よろしくお願いいたします。(スライドを指して)ピックアップしたいところは、1年間留学してて、そのあと大学卒業後すぐ会社をはじめました。そこから今2つ目のサービスとして「ママリ」をやっています。そもそも、自分がコミュニティを好きになるきっかけは2つあってですね、1つは……。
けんすう:(出されているカンペを見て)「笑顔で」とカンペで言われていますね。そんなカンペ出されること、なかなかないですよね。
(会場笑)
大湯:ありがとうございます、笑顔ですね(笑)。2つコミュニティが好きになるきっかけがあって、1つは転校ですね。小学校4年生から5年生にかけて転校してるんですけれども、このとき物心つくぐらいで、やっぱり絶対嫌じゃないですか、転校するのって。
友達と離れたくないって時に、新しい学校にポンって入ってまず考えるのって、安全に生きたいみたいなことで。そこで僕は自分がスクールカ-ストのどの位置にいるんだろうってすごい考えたんですよね。その時に、人との関係性とか人間関係みたいなのをすごい考えはじめた、というのがコミュニティに興味をもちはじめた最初のきっかけかなと思います。
そのあとに留学を1年間していて、まさにさっき宗教の話があったんですけど、留学の1つのテーマとして「宗教を体験する」みたいなのが自分の中にあって。それで宗教について知りたいと思って時間をけっこう作っていました。
その時に知ったのが、宗教って地球上で一番長く続いているコミュニティだなということでした。それを知ってから話を聞いたり、わーって日曜のミサで歌ったり踊ったりしているのを通じて人が幸せそうにしているのを見て面白いな、って思ったのがコミュニティを好きになった2つ目のきっかけです。
大湯:「ママリ」についても簡単に。そういうところから考えて、生まれたのが「ママリ」っていうサービスなんですけど。お母さんに向けたサービスで、特に家族の悩みをテーマにしているものです。女性の方が主に使ってくれています。
その中でもありがたいことに、普通に調査会社さんがお母さんたちに聞くと「よく使ってますよ」ってなっていて、非常にありがたいなっていう感じです。2017年度に出産した5人に1人が使ってくれていて、月間見られてる数は2億回ぐらいになっています。
コミュニティの早さみたいなのも、さっきけんすうさんのパートでコメントがあったので載せています。「質問に共感度の高い回答が素早くつく」っていうのが売りで、実際の回答率が98パーセント。重い質問とかも多いんですけど、1分超ぐらいには回答が返ってくる場所になっています。
(スライドに)こんな投稿があるよみたいなのを載せてるんですけれども、「病気の子供に応援の言葉をください」みたいな投稿に対しては、みんなが共感してあっと言う間に800件もの応援コメントがつくみたいな。あと、物を買うときに迷ってます、なんて投稿とかも多いですね。
それ以外でも、コミュニティの管理人みたいな仕事以外にも、ママリが主体となって発信をしていくみたいなことも最近はやっていて。「みなさんが感じている課題みたいなのを教えてください」「一緒に声を集めて変えていきましょう」みたいなことをやっています。
3日間ぐらいでかなり熱量の高いコメントっていうのが合計50万文字ぐらい集まるような場所になっていて。みんなが何に困っているのかっていうのを集めさせてもらって、実際にその声を集約して社会に対して返していこうみたいな。そういうこともやっていたりします。
こういう形でやっていて。すごくこう、私たちとしては1円も儲かる匂いがしない感じがよくないですか、これ?
(会場笑)
大湯:こういうのは僕すごい好きなんですけど、こういうのをやって、(コミュニティとして)場にいることがハッピーだなーみたいなこともしっかり作っていきたいなと思います。
大湯:トークに行く前に「こういうことを大事にしてますよ」みたいなことを、(スライドを見ながら)最後にちょっとずつ書いてみました。さっきけんすうさんがおっしゃっていた「コミュニティの大事なポイント」みたいなことは、今振り返ってみればうちも意識していたなと思っています。
例えば、参加のハードルはかぶってもいいよみたいなことを随所に書いてきていて。同じ質問とか、同じことを言ってもいいんだっていうところで、ハードルを下げたりしてます。
この(質問のハードルについて)も、最初の頃とかはトップページにも、すごいドンって出していて。そういう空気を作れるまでは、ずっと出しておこうってことをやっていました。メッセージを何回も何回もサブリミナルみたいに出してて、今はだいぶそういうコミュニティの場所になってきたので、ちょっと一歩引いたところに出してはいます。
2つ目は反応が早いみたいなところで、(質問に)初めて回答してくれた人とかに、ありがとうございますっていう感じで、ちょっとポイントをあげる「一番乗りボーナス」だったり。やりすぎると変な回答が早くついちゃうんでよくないんですけど、僕らのあげてるポイントってほぼ何にも使えないので、「貯まるのがちょっと嬉しいな…」くらいの感じです。
そのぐらいがちょうどいいと思っていて、お金とかあげちゃうと、バッて書いてすぐ答えるみたいに、いいかげんに書いちゃうじゃないですか。なので、あんまり意味がなさそうだけど、この場に属している貢献度みたいなのを上げていくみたいな、そういったポイントにしています。
大湯:あと、古参の対応みたいなものへの議論はあるんですけども、僕らは「フォローしない・させない」ようにしています。その時に悩んでいた過去の履歴とか、やっぱり掘られたくない部分とかあったりするじゃないですか。例えば、Twitterで過去のツイートを全部消したりしますよね。
そういった気持ち悪さみたいなことを残さないために、「フォローさせない」ようにしていて。フォロー機能があると、「フォロワーが多い人が偉い」みたいになって、(フォロワーが多い)特定の人に答えさせたいとか、フォロワー1のクセになにいってるのみたいになると。なので、コミュニティでは基本的に、(ユーザーに)フォローさせて強めていく、みたいなことはあまりやらない前提で考えたりします。
(スライドでは)全部はピックアップできなかったんですけど、こんなことを大事にしながらコミュニティを作っていって、みなさんの目線と一緒になって、楽しく過ごせるようにしたいなと考えています。
ちょっと簡単ですけど、私が何者で何をやっているのかっていうのと、大事にしている考え方っていうのをお話ししました。ここからは……。
けんすう:はい、何かいい感じで……。
大湯:一緒に話すみたいな感じの流れにしたいなと思っています。
けんすう:そうですね。よろしくお願いします。ちなみにコミュニティ作っている人から一番聞かれるんですけど、初期の段階って人がぜんぜんいないじゃないですか。で、人がいないと投稿もないじゃないですか。さらに、投稿がないと人は来ないじゃないですか。
ここで行き詰まる人が多くて、すごく質問がくるんですけど、「ママリ」の場合ってどうやってたとかありますか?
大湯:そうですね。いくつか(ユーザーの)増やし方ってあるなって思っていて。僕らの場合、最初(子育てに関して)どんなことに困っていたのかすらも、自分が男性であることもあってわからなかったので、最初はコミュニティではなく、とにかくコンテンツを作っていたんですよね。
コンテンツを作っていく中で、「困るだろうな」ってジャンルがどんどん見えてきて。そのジャンルに特化して、Q&Aが出来る場所を作り始めたみたいなのがあります。
なので、メディアを作って、そこにバーって集まってきて、そこからちょろちょろ流れる感じでスタートしたんですけれども、その中で困っているところをすごいピックアップできたので、それでこの場所に人が残ってくれるようになって。
質問してくれる人が残って、回答待ちしてくれるようになったので、どっちかっていうとメディアから集めてきたっていうのが一本目ですかね。
けんすう:なるほど、メディアで人を集めてそこから流すと。一番投稿が伸び始めたのってどのへんなんですか?
大湯:そうですね。投稿する側で言うと、その(人が集まった)あとから当然いろんなところにマーケティングしようとか考えてたんですけども、(コミュニティに)残ってくれる率がすごい高かったっていうのがポイントで、どこでっていうのが実はそんなにないんですよね。
例えば昔だったら、ママ特化のクラウドソーシングサービスとかあったので、サービスにアドバイスをくださいっていう形で1週間使ってもらうというのをやったりしたんですけど、使った人が軒並み使い続けてくれたんですよね。
なので今思えば、普通にCPI数百円とかで、普通にフィードバック目的でそういう気持ちはなかったんですけど、フィードバックもくれるしCPIも安いしどうなってるんだろうこれみたいな感じで。ずっとユーザーが残り続けていって、そこは最初に力をためるところになっていて、すごい(伸びる)きっかけになったなっていう感じですね。
けんすう:作っている中で、一番困ったことってどこですか?
大湯:そうですね。作っている中でか。
けんすう:困ったユーザーがいたとか。
大湯:もう本当にやばい画像とかを投稿し続ける人とかって、けっこういるんですよ。
けんすう:なんで人はやばい画像を投稿するんでしょうね?
(会場笑)
大湯:やっぱり、それは救いを求めてるんだと思うんですよ。なんか誰かに気づいてほしいんですよね。
きっと僕らのサービスって、社会的にコミュニケーションが途絶えてしまっている瞬間に使ってもらってることが多くて。妊娠、出産からライフイベントっていうのはすごい広がっていって、保険買ったりとか住宅買ったりとか、それこそ一番大変なときにコミュニティでいい体験をした人が信じてくれて。
そのあと、「保険どうしたらいいですか」とか「家買おうと思ってるんですけど、皆さんどうしてますか」みたいな、普通友達にも聞きにくいことを聞いてくれるんです。入り口で困ってる瞬間があるので、そういう荒らしのような行動をするってことは、誰かに気づいて救ってほしいんですよね、たぶん。
だからそういう社会とのつながりを作ってあげるっていう意味では、そのユーザーは生かしたほうがいいんだろうなとかは思ってました。でも、すごい困ってました。ここではいえないような画像がめっちゃ投稿されます。
けんすう:余談ですけど、削除する人を「削除人」って呼んでたんですけど、社内でやると男性はなぜか続かないっていうのがありますね。不思議と女性しかもたないですね。
大湯:それはなんか(理由が)あるんですか?
けんすう:なんででしょうね。やめますね、男性は。
大湯:怒っちゃうんですかね。機械的に出来ないんですよね、なぜか。
けんすう:あんまり深堀りするとコンプラに触れそうなんで・・・・・・。
(会場笑)
大湯:うちもかなりコミュニティ運営をやっていますが、コミュニティサービスって作ったら終わりじゃなくて、運営が全てなんですよね。機械やテクノロジーと人が共同でやっていくっていうのがすごい大事だと思うんです。
うちは初期から運営をずっとやってくれてるのは女性の方で、最初インターンだったんですけど、社長の僕よりも詳しくて。このユーザーはこういうこともあって、こういう文脈があってこういうふうになっていて、だからこうですって言われて、そうなんだぁみたいな感じになる。そういう意味で、ちゃんと文脈を追いかけて運営していくことができる人は絶対必要ですよね。
けんすう:そうですね。文脈がわからなくなりますもんね。
大湯:「アンサー」とかでも、この人はコミュニティを司ってるみたいな人っていました?
けんすう:今日そこに来ている、もうやめちゃったスタッフがやってくれていて。すごくコミュニティに入りこんで、ユーザーと同じ目線で話せるみたいな人がいないと、やっぱり難しいっていうのがありますね。(このスタッフは)メルカリさんにいっちゃったんで……。
(会場笑)
大湯:ちゃんと会社もコミュニティにしていかないとだめですね。
けんすう:そうですね。いいこと言いますね。
大湯:さっきの「コミュニティを維持するには管理人だ」みたいな話があったじゃないですか。会社は本当にコミュニティだなと思っていて、毎日問題ばかりで、そんなに上手く出来ているかわからないんですが、僕個人としてはコミュニティを管理する感覚としては会社も管理人に近いなと思っています。ゴミ拾ったり、めちゃくちゃ水買ったりとかもしてました。誰よりも先に、水がなかったら水を買ってくるみたいな。
水がなかったら「大湯さん、水がないです!」って言われる。「わかった、水買うね!」みたいな感じ。水買ってくれたら嬉しくないですか? 「水買ってくれた!」みたいな感じで。何かこの会社いいかもしれないみたいな。(会社に)いる人がハッピーになれるほうが、ライフタイムタイムバリューというか、長い目で見ていいことじゃないですか。そういうのはサービスにつながってるなって思いますけどね。
けんすう:「アンサー」だと、会議をSlackとか社内だけでやるとわからなくなるので、アンサー上でやったりとかもしましたね。方針をどう決めるかで、場所を作っているのはユーザーさんなのに、運営をきめているのは別の人たちって変じゃないですか。なので(ユーザーにも会議に)参加してもらったほうがいいかなっていうのは思いますね。
大湯:面白いですね。どこまで参加させるかって難しい論点じゃないですか。僕らもさっき出させていただいたママリの中の投稿例で「変えよう、ママリと」っていうプロジェクトをまさに今始めて、やっているんですけど。
これはもう(ユーザーを)意図的に巻き込んでいて。やっぱり「勝手に発信していくよ」っていうのは、コミュニティを持っているサービスとしては、ちょっと違うなと思っていて。最初にみんなが困っていることを、僕らは投稿から分析することも出来るんですよ。
投稿で質問することってだいたいは困りごとじゃないですか。なのでテキストマイニングをしていって、「こういうワードが多かったから、これが困ってるはずですよね」っていう。たぶんあってるんですよね。
なんですけど、それを言われてもなんか燃えないんですよね。だから本当に困っていることを、思いのたけを書いてもらって、これを紙に書いて営業所にもっていく方がたぶん刺さる。そういう意味では(ユーザーを)巻き込んだ方がいい瞬間と巻き込まない方がいい瞬間があるんだろうなって思いますよね。
けんすう:ちなみに削除とかってどんな感じでやってるんですか?
大湯:投稿の削除?
けんすう:投稿の削除。これ一番難しい問題だなと思ってて。
大湯:そうですね。濃淡つけるみたいなのは、さっきおっしゃってたようにあるなと思っていて。全部消せばいいかといえば、全然そうではないと思います。熱量を与えないって書かれてたと思うんですけど、実際にすぐ即断、即決で対応してきれいにしようとすると、「清き川には魚が住めない」みたいなのと一緒だと思うんですよ。
そういう意味で、機械と人のバランスで、消すのはさっきの「これは誰から見てもNG」みたいなのと、一定の猶予を残して消さないで残しておくみたいなバランスをちゃんと保っていくと。ちょっと具体的ではないんですけど。
けんすう:大湯さん、また「笑顔で」というカンペがでているけど(笑)
(会場笑)
大湯:なんか削除について話してたら表情がこわばっちゃいました(笑)
けんすう:削除難しいですよね。
大湯:でも、けっこう(投稿を)消してました? アンサーはあまり消さないですよね。
けんすう:アンサーはカテゴリーがいろいろあったんですけど、「地獄」っていうカテゴリーを作りました。(削除するのではなく)地獄行きになるんですよ。
(会場笑)
大湯:じゃあ普通に「お金の悩み」って投稿してあるけど、地獄に行ってるみたいな。
けんすう:そうなんですよ。これはだめだなってなったら地獄に落ちます。
地獄カテゴリはすごい荒れてるんですよ。人の世とは思えないくらい。普通の人は地獄なんて行っちゃいけないわけですよね。地獄に隔離すると盛り上がるっていう。なるべく消さないっていう感じで。
大湯:僕らも地獄じゃないんですけど、「つぶやき」っていうカテゴリーを作って、もともと質問と回答っていうメタファーを作っていて、質問じゃないだろこれみたいなのがくるんですよ。「おなか減った」みたいな。
それってさっきの荒らしの超ライト版だと思っていて。本人は全然荒らしてるつもりはないし、コミュニティーサービスだから誰かとつながりたいと思っているんですよね。だけど周りのユーザーの中には「これはQ&Aじゃないですよね?」って言う人がけっこういるんですよね。
それを自然と地獄、もとい「つぶやき」に変えてあげるってやって。そういうのは、別に本当に消したいわけじゃないし、その人が悪いわけじゃないし。仕組みの問題なので、「(この投稿は)つぶやきだよね」っていう形で。そこでコミュニケーションが自然と発生して、「おなかすきました。今日の夕飯なんですか」「しょうが焼きです」みたいに、お互いハッピーになったら最高じゃないですか。そういうのをやってたりします。
けんすう:さっきのグルーミングですよね。コミュニケーションも主体になりますよね。カテゴリー決めってどうやって決めてるんですか?
大湯:カテゴリーって最初からですか? それとも投稿されたあとですか?
けんすう:最初のカテゴリー決めですね。
大湯:最初のカテゴリー決めは、すごいロジカルにやっていて。最初にメディアを作ったときが最初のカテゴリー決めをした時だったんですけど、とにかく悩みのカテゴリーを超分類して、本とユーザーインタビューと検索数を全部分類して、それをピラミッド構造にして、それで書くっていうのを僕が一番最初にやってたんです。そういうのが得意で。
そのあとコミュニティ化する時に、「でもやっぱり、これっていらないよね」っていう議論があったりして、そこは最初よく変えてたりしていました。ユーザーさんと一緒に、投稿数が圧倒的に少ないカテゴリーとかあったので、そういうのを作ってみて、「(ユーザーに)求められていないんだろうな」ってのを見て、統合したり増やしてみたり減らしてみたりとか。つぶやきも最初なかったんですよね。
本当にいくつかのカテゴリーの中で、「これどう見ても質問じゃないよね」っていうのが出てきた時に、それを排除していくんじゃなくて生かすために、つぶやきを作ることはやってたりしましたね。
けんすう:一番失敗した施策って何ですか?
大湯:失敗した施策ですか。今でも深く覚えてるんですけど、「ありがとうボタン」っていうのを作った時ですね。回答してくれた人に対して、ちゃんと「ありがとう」って言ってほしかったんです。なにかっていうと、これがコミュニティを成り立たせる大事な要素だと思ったからなんですね。
みなさんコミュニティサービスに興味を持って来ていただいていると思うんですけど、コミュニティの語源ってcommunisっていう言葉と、なんて読むかわからないんですけどmunitareっていう言葉があって。それぞれ「共通の」という意味と「舗装していく」みたいな意味なんですよね。場をちゃんと舗装していくみたいな感じです。それで、場を保つためには、やり取りの中で感謝が必要だなと思ったんですよ。
質問して回答がついて、そのあとが重要で、「ありがとう」がないと回答くれた人がめちゃくちゃ嫌な気持ちになると。だからその場を保てなくなっちゃうなと思ってたので、ちゃんと「ありがとう」を言いましょうっていうのを推奨して。それを何を思ったか、簡単に言えるようにしようと思ったんですね。ボタンを押したら「ありがとう」って出てハートがつくみたいな機能を作ったんです。
そしたら大クレームで、数千文字ぐらいのメールがきて「この機能はなんでイケてないのか説明します」みたいにめっちゃ書かれるみたいな。「ありがとう」って言ってほしい気持ちを浅く解釈して、まじめに書いたのにレスがスタンプで来るみたいになってしまいました。
例えば、Facebookメッセンジャーで超本気で長文のアドバイスしたのに「(指マークの)いいね!」だけの返信がきたらやばくないですか? 「おお、いいね(で済ます)か……」みたいな。それとたぶん近くて、(返事が)機械的だから感謝してる感じがしなくて、(回答した人が)嬉しくなかったんじゃないかなと思います。そういうのは、やりたかったことをショートカットしちゃったなと思って。
実は、時間をかけさせたほうがいいんです。逆説的ですけど。普通はショートカットする機能を作るじゃないですか。でも実は時間を使ってタイピングさせたほうが、ユーザー満足度が高いっていう話がけっこうあって、論理的思考の逆をいくっていうのがコミュニティサービスではすごい大事だなって思いますね。
あえて同意させるなにか。そういうことが大事だなと思います。
けんすう:さっきパケット型とグルーミング型に整理したんですけど、これに近いですね。「ありがとう」っていう情報を投稿させたいのではなく、実は表現として感謝してるよっていうのをやりたいのに、情報だけをショートカットして渡せるようにしたので、それはグルーミング型っぽいことをやりたい人にとっては違ったっていう。むしろ長文でありがとうって書いた方が気持ちが伝わる。
大湯:そうですね。テンプレート機能とか考えたんですけど、その機能のフィードバックを見て、やめました。僕らはQ&Aって言っていたので、(中身を)QとAで解決したい感を頭の中で持ってたんですけど、実際はグルーミング型のサービスなんですよね。
どっちを作っているのか視覚的に考えていかないと、ロジカルな人はすぐに改善したくなっちゃうじゃないですか。「めっちゃ楽させたい」みたいな。それが、(意思とは)逆になっちゃったなっていうのはすごくありましたね。
けんすう:ロジックで運営するとだいたいこけますね。わけわからない方がいいっていうのはありますよね。
大湯:この前、違う人と「ブランドをどう作るか」みたいな議論で、ブランドを作るには狂ったほうがいいって話をしていて、アップルが丸いオフィスを作ったりとか、どう考えても効率的じゃないんですよね。真ん中開いてるんですよ。無駄じゃないですか。広いし。
それってめっちゃ稼いでいるけど、狂ったことをするからあの会社すごいな、みたいな感じで思われる。これもやってて思うんですけど、一見、経済合理性がなさそうだなっていう施策を適宜やるべきだなと思っていて。そういうのが物語を作っていくから、そういうことはすごい考えてますね。
けんすう:アンサーに「タンポポタイム」っていうのをエイプリルフールに入れたことがあるんです。ユーザーが全員タンポポになるんですよね。
(会場笑)
綿毛タイムっていうのがあって、(ユーザーが)綿毛になるみたいなのをエイプリルフールのネタとして提案されて、1つも意味がわからなくて。やったんですけど、よかったかどうかもよくわからなくてっていうのはありましたね。
(会場笑)
大湯:そういうのは、会社としてもやっぱりやり続けたいですけど。
けんすう:そうですね。コミュニティではそういうの大事ですね。
けんすう:なるほど。質疑応答いきますか。
大湯:もうそういう時間ですかね。せっかくですから聞きたいことあったら聞きたいですね。
けんすう:そうですね。質問ある方。なかったら当てるんで手を挙げてください。では前の方。
大湯:お願いします。
質問者1:今コミュニティ向けチャットSNSを作っています。けんすうさんの本を拝見させていただいていて、今日の内容を含めてお聞きしたかったというところで。
1つ目はけんすうさんに質問で、古参をどうするかってところは、2ちゃんねるとかがVIPを作ったりして、どんどん新しくしていくことで、古参が追いつけないような仕組みにしてると思うんですけど、アンサーでどうしていたのかってことで。
2つ目はお二人に聞きたくて、コミュニティを運営が管理することってなかなか難しいと思うんですけど、事業を成長させていく上での追っかけていく指標みたいなところを。
具体的にはDAUとMAUどっちの指標が多いかとか、それ以外のKPIで投稿回数とか何を重視してみてるかっていうことを教えていただきたいです。
けんすう:なるほど。古参対策ってなにかしたかな。ちょっと違うかもしれないんですけど、使い始めて30分経ったら画面に「やめようね」って表示する施策を行ったらめちゃくちゃ不評でしたね。こんなに叩かれることあるのかと。
あとはなんでしょう、別のサイトだと明示的にアクセス禁止とかやってましたね。2ちゃんねるとかでやってたのは、名前欄を消して(他の人から)もうわからなくするとか。そういう嫌がらせを本気でやって追い出すっていうのはやりましたね。
KPIは投稿数で決まってると思ってて、投稿数だけを追うのもコミュニティとしてはいいかな派です。いろいろあっていろいろ重要なんですけど、追いづらいので投稿数を追ったほうが正義かなと思うタイプです。
けんすう:ママリではどうなんですか?
大湯:そうですね。たぶん近いと思うんですけど、個人的には投稿から紐付くスクリーンビューとかみられている数を大事にしていて。ちゃんと熱量高く見てくれてるのかっていうことは、月間でどれくらいリクエストされて、見られているかを追っていますね。
これはサービスの種類によるかなと思っていて、CGMなので、答える母数が基本的に一定だと思うんですけど。ものによってはかなり参加しやすいものと、1対Nになってしまいがちなコミュニティとか、種別があると思っています。4象限ぐらいに切れると思ってて、匿名か顕名かっていうのと、Q&Aはまさにパケットかグルーミングかじゃないですか。
答えが欲しいのかグルーミングしたいのか。その中で熱量を作る難しさは、4つがそれぞれ違うと思ってて、それによって追うべきものが変わってくるかなとは思っています。僕らとしては「どれぐらい見られているのか」っていうのをすごい考えて、サービス自体は運営しています。
もう一個は、若干軸からずれるんですけど、大事だなと思っているのは、結局コミュニティだけではビジネスにならないと思ってて、コミュニティだけ存在してても難しいと思っています。
僕はコミュニティは起爆剤だと思っていて、コミュニティだけではブランドを構築することは難しい。メディア型じゃないとブランドは作れないと思ってて。「その起爆剤が何を起爆させるのか」みたいなことを設定して、「それがどうビジネスにつながるのか」みたいなことを考えなきゃいけないな、と思っています。
そういう観点でビジネスを成長させる、かつ継続させるっていうと、なにが(コミュニティを)起爆させてビジネスになるのかっていうのは、コミュニティサービスをやるテーマとしては、絶対片方の手に持ってなきゃいけないと思ってるんで、それはすごく考えないとなとは思っています。ちょっと軸が違いますけど。
質問者1:ありがとうございました。
けんすう:他に質問がある方いらっしゃいますか。それじゃ後ろの方かな。
質問者2:お話ありがとうございました。飲食の事前決済サービスをやっている者です。初期のユーザー数を確保するのに、最初コンテンツを作られるところから入るという、大湯さんのお話があったんですけど。コンテンツって最初、例えば悩みについて、偉い先生からアドバイス貰うとか、リッチにしづらいところがあると思うんですけど、そのあたりってどのようにされてたのかなっていうのを教えてください。
大湯:コンテンツのリッチ度だったりとかですよね? それでいうとリッチ度を求めないっていう解法を僕らとってましたね。なんでかっていうと、まさにさっきのパケットとグルーミングじゃないんですけど、やっぱりその目的はなにかっていうところで。本当に正確性の高いものが欲しいのであれば、コミュニティっていうのは向いてないと思うんですよ。
さっきの4象限を言ってて思い出しました。匿名か顕名かってことと、回答する人のやる気が高いか低いかってことが大事で。ちょっと前にバズった、名前忘れちゃった。けんすうさんもやってた答えてポイント貰うやつ。偉い人がポイント貰えるやつ。
けんすう:sophia(ソフィア)かな?
大湯:sophiaってバズってたと思うんですけど、ネットで有名人に質問してみようみたいな。回答するとお金貰えるよみたいな。あれとかって時間価値が違いすぎて成り立たなかった例だと思います。
答える人へのインセンティブを圧倒的に強くしないと成り立たなくて。そういったときに、ちゃんとした回答が欲しかったら、回答する側のインセンティブがすごく強くないと難しくて。一方で、質問箱がなんで(回答が)ついてるかっていうと、答えたコンテンツが、自分をよく見せられるようなコンテンツなので、むしろ(回答する側が)きっかけを提供してもらってるって感じなんですよね。
なので、ずっと続くかっていったらまた別なんですけど、そういう意味で僕らはあえて今の質問に答えると、ヒエラルキーを高くした人を求めない構造にしたってことですね。そうすると回答するハードルもめっちゃ下がるんで、続くようになるみたいな形で、ユーザーが残って回答と質問が出来て楽しいっていう感じになるんで、そういうことを意識して仕組みを変えるっていうのをやりました。
質問者2:ありがとうございます。
けんすう:他に質問がある方いらっしゃいますか?
質問者3:お話ありがとうございました。2人に聞きたいんですが、コミュニティを始める上で、最初にどのぐらい理想のコミュニティ像みたいなのを、描いた上で始めたかみたいな。
管理人の話でいうと、あんまり場のコントロールとか、自分たちで出来ないのかなと思って。それこそ理想像みたいな、始める上でどれぐらい理想像があったのか聞いてみたいなと思いまして。
けんすう:コミュニティは人が作るし、理想通りにならないので、(理想像は)作らなかったですね。人がたくさん集まってるといいなぐらいで。「ママリ」はどうですか?
大湯:そうですね。コミュニケーションの形の理想像っていうのはなかったですけど、そのコミュニティを作った結果、何をしたいかみたいなことはずっと考えていて。さっきも言っていた、ユーザーは孤独ですごい困ってて、毎日夜泣き大変で、誰とも話せないし一歩間違えたら虐待しちゃうかも、みたいな人は実はめちゃくちゃいるんですよね。なので、サービスを通じてその結果ハッピーになり得るかっていうのは考えてました。
少なくとも僕がサービスを考えてたときは、その機能を提供して(ユーザーの)心が安らぎそうみたいなことは考えていて。もちろん測るのはすごく難しいんですけど、それが出来てれば戻ってきてくれて、すごいシンプルに訪問者が増えるっていうのは間違いがないので、そういうことはすごい考えてました。
なので、そのコミュニティのコミュニケーションコントロールは出来ないんだけど、それを経て、どんな世界観を提供したいか、提案したいかみたいなことは考えるといいのかなと思います。
けんすう:はい、じゃあ前の尖ったTシャツ着てる方。
質問者4:ありがとうございます。私はコミュニティサービスを開発してて、そこで気になっていることをお聞きしたいんですけども。1つ目が、完全匿名にすべきか、半匿名にすべきか。「ママリ」にハンドルネームがあるところだったり、判断基準ってなにかあるのかなと思っていて。もう1つは、荒しとは違うネガティブなコンテンツ。例えば、愚痴みたいなのとかもコンテンツだと思うんですけど、それをどう判断すべきかなと思って。
ホスラブみたいなホストのサービスとか、あれはけっこう地獄で・・・・・・。
けんすう:地獄ですね。
質問者4:参考でみてるんですけど地獄だなと思っていて、ガールズチャンネルの方が(例えとして)ちょうどいいかなと思いますけど。ネガティブな感情があるコンテンツをどう判断すべきかなと思ってて、お聞きしたいなと思います。
けんすう:完全匿名って、名無しさんで終えないってことですね。全員名前なしってことですよね?
質問者4:全員名前なし。
けんすう:どっちでもいいなって思っていて、今のユーザーさんって(アカウントを)すぐに消してすぐにまた登録し直したりしてて。アンサーでは転生って呼んでたんですけど、しょっちゅうリセットするのでどっちでもいいなと思います。
そんなに追わないですし、「ママリ」みたいにあんまり追えないようにしておけばそんなにって感じですね。
大湯:確かにアカウントに関しては結局目的がなにか、なにをやりたいかによりますよね。けど、完全匿名は下火になってくるかなと思っていて、サービスに愛着をもてないですよね。
アイコンとかプロフとか設定を、通常のやり方だと面倒くさいから変えた方がいいと思いますけど、(全体的に)愛着を持てるような設計にした方がいいと思うんですよ。長く使われるサービスにしたいってユーザーが思えるように。
完全匿名にしちゃうと愛着をけっこう持ちづらくなるので、特定の用途以外は完全匿名じゃない方がいいなと思っていますね。
けんすう:ちなみに2ちゃんねるって「名無しさん」っていうじゃないですか。あれは匿名というよりも、みんなが名無しさんっていう人になりきるって方が近くて、口調とかみんな同じじゃないですか?
よくロボットアニメの話をするんですけど、ロボットの中に入るのって日本ぐらいらしいんですよ。普通に考えて外からやったほうがいいじゃないですか?
(会場笑)
けんすう:これって「依り代文化」って呼んでたんですけど、なにかに乗り移ってしゃべった方が日本人は投稿しやすいっていう。なので、なりきり掲示板とかVturberとか、あれって日本から生まれてて。要はなにかになりきらないときついっていうのがあると思うんですね。
2ちゃんねるは完全匿名だと思われがちなんですけど、あれはどちらかというとキャラになりきる掲示板に近いので、Vturberとかに近いと思います。
本当に完全匿名にされると、先ほど大湯さんが言ったように、自分の居場所がわからなくなるので、サイトのなにかになりきる以外の完全匿名は、すぐに忘れられちゃうっていう危険性がありますね。
大湯:確かにそういう意味では3段階じゃないかもしれないですよね。本当の完全匿名、みんなが同じ(キャラ)になるパターン、自分がアイコンを設定するパターン、顕名みたいな。
けんすう:そうですね。実名だったり。
大湯:悪いことやりたいなら完全匿名ですよね。ログ残らないからいいだろみたいな。そういうのって、やりたい人は少ないと思うんで。
けんすう:そうですね。ニーズは少ないです。掲示板に書く人って全体の5パーセントぐらいしかいなくて、SNSをやる人って70〜80パーセントぐらい。そのうちのまた80パーセントぐらいが投稿すると。実名になればなるほど投稿する人は増えるというのは、データとしてはありますよね。なので完全匿名にした方がリッチになるような気がします。
大湯:あとはなにを投稿させたいかによりますよね。僕らが顕名にしない理由は、質問していただいた裏側にあって、悩んでることを実名で投稿するのってすごいハードルが高くて。(実名だと)弱い自分を見せなくちゃいけないので出したくない。
Vturberやってる会社を側でみていておもしろいのが、かわいさに自信がない子でもアバターをかぶることで発信が気兼ねなくできる。「顕名のほうがいいじゃん。なんでアバターなの」って聞かれたら、出来ない人がたくさんいるからで。そういう意味で、弱い部分を見せるようなものは、かぶせてもいいなと思います。ネガティブなコンテンツはどうしていけばいいか……。
けんすう:隔離するのがいいと思いますね。地獄じゃないですけど。2ちゃんねるでもネガティブなところもあれば、ポジティブなところもあるので、分けておく方がいい気がしますね。さっきの図で言うと、ポジティブかネガティブかっていうのは、内容ではなくて表現の問題なんですよ、たぶん。
なので、この表現によって投稿できる、できないを決めちゃうとユーザーが混乱するんですよね。難しすぎるって。表現の問題だったら、雰囲気を分けた掲示板を複数作るとか、そういう方がいいと思います。
情報の内容に関しては、一律の基準を定めるというか、例えば「個人を攻撃する投稿はだめです」みたいな。そのへんだけ決めておくのがいいかなと思いますね。そういうホスラブみたいなのを作ってるんですか?
質問者4:いや、ホスラブも面白そうだなと思いつつ、あれは怖いなって。
けんすう:怖いです。ホスラブを知らない人のために言うと、それはホストラブの略でホスラブなんですけど。ホストのための口コミサイトみたいなので、あそこは人間がすごい、お客さん同士のやり取りがすごいです。
大湯:そうですね。今まとめていただいたので、違う文脈で参考になりそうなのを聞いてて思いついたんですけど。ルールを決めてあげるのはすごい大事で、かじる程度ですけど宗教を勉強してて面白いなと思ったのは、やっぱり要素があるんですよね。さっきおっしゃってた感じで。
僕なりに講演とかを聞いてたらいくつか要素があって、同じ場所に集う、同じ動作をするとか、同じ服を着るとか同じようなものを身に着けるとか、あとは同じ経典があるとか、あと神様がいるみたいな。
神様がいるって大事だなと思っていて、コミュニティサービスだったら運営がいるんですよね。そういった人たちが要素をちゃんと担保できると、コミュニティサービスって上手く続く可能性が上がると思っていて。その中で神様がちゃんとルールを示した上で、「誰が存在していいのか」っていうのを一定レベル定めてあげるっていうことは大事かなと思います。
なので、僕らもなにがよくて、なにがだめだとか、例えば初心者のユーザーには優しくしようねとか。初心者のユーザーが初めての投稿で質問すると、「初心者だから優しくしてあげようね」って回答者側だけに見えるようにやってるんですけど。そういったルールをリマインドしていってて、そうじゃない人を少しずつ遠心力で振り払っていくみたいなことをやってますね。
やめさせるのではなくて、「勝手に出て行く仕組みをどう作るか」っていうのが、いいコミュニティを作る大事な要素で。本当に締め出すといたちごっこなので、それをしないように、力学で遠心力と求心力を使い分けるみたいなのはすごく大事なことだと思いますね。
質問者4:ありがとうございます。
司会者:じゃあこのぐらいで締めたいと思うんですが、もし、どうしてもって方がいらっしゃったらあと1名。はい、じゃあ。
けんすう:ここで(手を)挙げられるのは相当な胆力ですよね(笑)。
質問者5:ありがとうございます(笑)。さっきの大湯さんの話に似ているかもしれないんですけど、例えば自分で最初からコミュニティを作るのではなくて、途中からコミュニティの担当になったときに、そのコミュニティがすでにめちゃくちゃ荒れていたとか、冷え切っていたとか。そういうときにどうやってもう一度火をつけるか、雰囲気を変えていくってことで、どんなポイントがありますか。
大湯:いい質問ですね。それは、まさに僕は会社のオマージュをしたんですけど、パッて言われて思いついたエピソードがあって。僕の友人でマッチングアプリを作っている会社に入った人がいるんですけど、その人は採用担当として入りましたと。その時は会社にバイラルする文化とか一切なく、いい会社だねって感じはするけど、ぜんぜん採用にはつながらなかった。
会社ってある種のコミュニティなんですけど、みんながバイラルするほどそこでは熱量を持ってなかったという感じですね。その人が最初にやったのは、みんなの前で「みなさん会社のこと好きですよね? 好きなものって人に紹介しますよね!」って言うことで。思考の転換みたいなことを地道にどんどんやって、バイラルが増えていったっていうことを教えてくれたんです。
さっきの質問に戻ると、自分がすごい好きになるのがステップ1で、それを表現するのがステップ2だと思っていて。実際に「好きな種を持っている人」に好きだって気づいてもらうみたいなことをやる。
熱量って伝播するんで、キーマンがちゃんと好きだってことを発信すれば、熱量は盛り上がってくるんじゃないかなと。なのでバーチャルだったとしても、勝手に好きだってことを言ってくれる人に、火をつけられるようなコミュニケーションとかコミュニティみたいなものを考えてやっていく。
それこそ、それが特定のユーザーであれば極論、会いに行ってもいいかもしれないし、そういう人を集めた場所を作ってもいいかもしれないし、やり方はたくさんあると思うんですけど。結局、「好きだっていう気持ちを広げてもらう仕掛け」をどうやってやるかみたいなことが大事で。それをやるためには、好きだっていう人は中心になって、それを発言するみたいなことはすごい大事なんじゃないかなと思いました。
けんすう:日本交通の川鍋社長っていう人がいて、3代目なんですけど。超若いんです。まだ40歳代で。川鍋さんは東京ハイヤー・タクシー協会の会長に就任したんですが、そこのメンバーは歳上で、超偉い人も多かったらしいんですね。そうすると、「若造が来た」ってネガティブに捉えられそうじゃないですか。
そのコミュニティのトップになった時に「どうやったんですか?」って聞いたら、単純にQuick Winするといってたんです。
最初の1ヶ月、みんな身構えるわけですよ、どんなことをやるんだろうかって。その時に挨拶と掃除だけを徹底的にやったっていう。そうすると、1ヶ月やると「彼が来てから明るくなった」とか「(社内が)きれいになった」とか絶対勝てるところだけ勝つんですね。
こうして勝っちゃうと、「彼の言うことを聞いてみよう」っていう人が、ちょっとずつ増えてくるらしくて。それで組織を掌握するって言ってて、これがけっこうコミュニティで使えるかなと。
なので、絶対勝てる「しょうもない荒らしを徹底的に排除します」とか「とにかくスピードを早くします」とか、「ユーザーの要望に全部答えます」とか。絶対に出来るところからやって信頼を集めていくといいかなと思います。
大湯:失敗事例を作らないように。
けんすう:そうですね。クイックに。そんな感じですかね。大丈夫ですか?
司会者:はい、お二人どうもありがとうございました。
(会場拍手)
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